コスモスイニシアの
デジタル推進

メッセージ

不動産はその商品特性から、未だにアナログな商慣習が根強く残っていますが、コロナウイルス感染症への対応や政府の進めるデジタル推進の影響もあり、不動産テックサービスの拡大、電子取引や業務効率化のクラウドサービスなどをはじめ、デジタル化が急速に拡大しています。

このような変化の波に対応し続けデジタル推進をしていくため、『デジタルを活用し、当社のプロセスとビジネスを変革することでお客さまへ、社会へ、「Next GOOD」を生み出し続ける』とデジタルビジョンを定めました。

このデジタルビジョンの下、私自身も常に「本当にこれでいいのか」、「デジタルで効率化できる部分はないか」、「変革できる可能性はないか」と考え続けながら、当社のデジタル活用の方向性を明らかにし、「Next GOOD」の実現に向け徹底的なデジタルの活用をスピード感をもって推進していきます。

デジタル推進部門 デジタル推進部
亀田 孝彦

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デジタルビジョン

デジタルビジョン実現に向けた3つの取組領域ごとに施策を推進

当社では、デジタル推進にあたり2023年にデジタルビジョン「デジタルを活用し、当社のプロセスとビジネスを変革することで、お客さまへ、社会へ、『Next GOOD』を生み出し続ける」を掲げました。その実現に向けて「プロセス変革」、「ビジネス変革」、そしてそれらを支える「デジタル基盤の強化」の3つの取り組み領域を設定しています。

今後も、このデジタルビジョンの下、生産性向上や顧客価値・社会価値創出など、デジタル推進に積極的に取り組んでいきます。

デジタルビジョン「デジタルを活用し、当社のプロセスとビジネスを変革することでお客さまへ、社会へ、Next GOODを生み出し続ける」実現に向けた3つの取組領域:プロセス変革(生産性向上) デジタル化・標準化・自動化を通じた効率性・スピードの向上、データを活用した意思決定の高度化。:ビジネス変革(顧客価値・社会価値創出)顧客接点のデジタル化、取引の電子化・オンライン化、オープンイノベーションを通じた顧客価値・社会価値創出。:デジタル基盤の強化(柔軟性の獲得/セキュリティ/ガバナンスの強化)『プロセス変革』『ビジネス変革』に求められる柔軟でセキュアなデジタル基盤の構築。

※ プロセス・ビジネスの状況に応じたシステムの変更・改修および働き方の多様化などに対する柔軟性

プロセス変革の取り組み

基幹システムの再構築

当社では環境変化に対応すべく、事業の多角化を推進しています。
これに対し、従来の基幹システムでは密結合に伴うシステムの硬直化やレガシーシステム固有のリスクが顕在化しておりました。これらの問題を解決すると共に、環境変化への迅速な対応と、多角化した事業の業務効率の向上や継続性の確保を目的として基幹システムの再構築を行いました。

新たな基幹システムでは、経営情報のタイムリーな把握、事業運営におけるデジタル活用の促進やマイクロサービス化、業務のデジタル化やペーパーレス化、レガシーシステム固有のリスク排除を実現し、徹底的な効率化・スピード向上、データに基づいた意思決定を推し進めます。

また、今後も基幹システムの更なる改善にも取り組んでまいります。

基幹システムの再構築:現行基幹システムの課題(密結合に伴うシステムの硬直化、レガシーシステム固有のリスク)から新基幹システム(事業多角化への対応、業務効率化・働き方改革、事業継続性の確保)への移行を示す図表

リノベーションマンション事業におけるDynamics365 Salesを活用したシステム化

リノベーションマンション事業において、事業目標の達成に向けた業務改革に着手しました。
課題の分析を行い改善施策を検討した結果、業務基幹システムを導入し、デジタル基盤の構築を進めています。本事業では、物件の仕入れから販売までを一貫して手がけていますが、従来は業務プロセスの非効率性や属人化により、業務品質にばらつきが生じたり、意思決定が遅れるといった課題がありました。

これに対し、業務の「仕組み化」、業務の「自動化」、データ活用を推進することで、業務の効率化や品質担保による生産性の向上と、事業の高度化による収益性の向上や事業量確保を目指しました。その実現手段として、Dynamics365 Salesによるシステム化を実施しました。

本システムは、仕入から販売までを一気通貫で管理でき、当社が基本ソフトとして利用しているMicrosoftアプリ群との高い親和性を活かしながら、Dynamics365 Salesならではの機能も組み合わせることで、導入時の狙いを実現しました。

今後は、生成AIを活用したデータ入力の簡素化・自動化や、事業部による市民開発を進め、"育つ"システムを目指していきます。

Dynamics365 Salesを活用したシステム化:方向性として業務の仕組み化・自動化・データ活用を推進し、期待効果としてデータの流れを清流化することで後続処理の自動化、業務を再定義し統一することで事業スピードの向上とガバナンスの両立、適切なタイミングでのインプットによる作業のための作業の廃止、人材の流動にも耐えられる土台づくり、事業目標の統一FMTでの可視化、事業PLのタイムリーな可視化、データに基づいた戦略立案とPDCAサイクルの実現を目指す

不動産広告の審査業務への生成AI導入による業務進化

コスモスイニシアでは、RAG(検索拡張生成)を活用したツールの導入をきっかけに、生成AIツールの活用範囲を着実に広げています。たとえば、不動産広告の審査業務では、不適切な表現に対して適切な代替案を自動で提案できる仕組みを整備し、業務にかかる時間を約半分に短縮することができました。

不動産業界では、チラシやパンフレットなどの広告物を数多く作成しますが、その際には法令順守が求められます。特に、「おとり広告」や「誇大広告」にならないよう細心の注意を払う必要があり、さらには社内で定めている表記方法やブランディングのルールにも準拠しなければなりません。

従来は、これらのチェックをすべて目視でおこなっていたため、時間がかかるうえに確認漏れのリスクもあり、ダブルチェック体制を敷くなどの対応が必要でした。今回の生成AI活用では、まずは「正しいデータとの照合」といったAIに適した領域に絞って導入し、高い効果を得ています。

今後は法令順守にとどまらず、ブランディング目線での判断や提案など、活用の範囲を広げ、さらなる生産性の向上を目指していきます。

※法令や社内ルールに基づいて広告内容を確認する業務

生成AIを活用した表現チェックの流れ:入力(チラシ広告の例)不動産広告には法令遵守や社内ルールへの適応が求められるがチェックが多岐にわたり煩雑。→生成AI:広告文を解析し、正しいデータと照合。不適切な表現を抽出し、代替の表現を提案。→出力(照合結果)チェック時間の短縮と確認漏れのリスク低減(目視で最終確認を実施)。

ビジネス変革の取り組み

幅広い顧客接点におけるデジタル活用

複数のビジネスにおいて、顧客接点でのデジタル活用の取り組みを進めています。お客さまのお住まいの検討プロセスから、ご契約のタイミング、さらにはご契約後・ご入居後のサポートやコミュニティの運営に至るまでデジタルを活用し、顧客価値創出を図っています。同時に、当社従業員の業務効率化・生産性向上にもつなげています。

たとえば、ご検討時には、お客さまの利便性向上による関係性強化に向けマーケティングオートメーションツールや接客支援ツール等を導入しています。
ご契約時には、お客さま・当社双方の印紙代の削減やペーパーレスによる手間の削減に向けて電子契約化を進めています。
ご契約・ご入居後には、問い合わせや手続きのデジタル化によるお客さまの利便性向上や入居者コミュニティの醸成に向けたアプリやサービスの導入による満足度向上を図っています。

今後も、さらなるお客さまの価値創出とお客さまとの関係性強化を目指し、積極的に取り組みを進めてまいります。

幅広い顧客接点におけるデジタル活用:ご検討時:お客さまの有益な情報取得や利便性の向上を目的にマーケティングオートメーションツールや接客支援ツールを活用しています。新築分譲マンション事業:probance、ROQV、リノベーションマンション事業:PropoCloud、Spacely。ご契約時:印紙代の削減やペーパーレスによる手続き時の手間の削減を目的に電子契約を活用しています。新築分譲マンション事業・リノベーションマンション事業:Musubell、CLOUDSIGN、賃貸マンション管理事業・シェアレジデンス[nears]:ITANDI BB+電子契約くん。ご契約後・ご入居後:問合せや手続きのデジタル化による利便性向上や入居者コミュニティの醸成を目的に入居者アプリ・サービスを活用しています。新築分譲マンション事業:COKINJO、賃貸マンション管理事業:Palette Cloud、シェアレジデンス[nears]:station。

訪日インバウンドの旅行体験プラットフォーム開発を推進

2023年よりUPBOND社の「Login3.0」を活用し、グループ会社であるコスモスホテルマネジメントが運営するアパートメントホテル「MIMARU」の宿泊ゲストに向けた、旅行中の課題解決や各種サービスの提供を目的とした旅行体験プラットフォーム構想に着手しました。

2024年にはPOC(概念実証)を実施。UPBOND社との資本業務提携基本契約を締結し、事業化に向けた開発を進めています。

2025年11月より、オンラインチェックインシステムを導入。同システムと連動したゲストID基盤およびマイページシステムを2026年1月に公開予定。これらのシステムの導入を皮切りにサービスを拡大し、訪日インバウンドの顧客体験向上の実現を目指してまいります。

コスモスイニシアグループの目指す新たな旅行体験価値イメージ

デジタル基盤の強化

ネットワークセキュリティ基盤(ゼロトラストネットワーク)の実現

変化するビジネス環境や多様化する要求に迅速・柔軟に対応できること、場所を制限しない働き方ができること、そして、新しい技術を積極的に活用できることを今後のビジネスに必要な要件と定め、ネットワークセキュリティ基盤を再整備しました。

従来の社内ネットワークを前提とした基盤では、SaaS利用の拡大や通信量の増加、さらには従業員のリモートワークやモバイル端末の活用におけるセキュリティ対策に限界が見え始めていました。

こうした状況を打破するため、ゼロトラストネットワークの考え方をベースに、インターネット上でセキュリティを担保するSASE(Secure Access Service Edge)を導入しました。これにより、閉域網(社内専用ネットワーク)を廃止しつつ、より柔軟で安全なネットワーク環境を実現していきます。

※SASE(サシー/サッシー):ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合的に提供する仕組み。ゼロトラストを実現する上で重要なフレームワークです。

現行セキュリティの課題からSASEで実現するネットワークセキュリティへの移行:現行セキュリティの課題では「閉域網(社内専用ネットワーク)」を前提として物理的な境界線で内部と外部を区切る「境界型セキュリティ」を採用。SASEで実現するネットワークセキュリティでは、インターネット上のセキュリティ基盤(SASE)を利用し、閉域網内と同等のセキュリティを確保。

デジタル推進体制の構築

2023年より、デジタルテクノロジーを活用し横断的なデジタル推進をさらに加速することを目的として、新たに「デジタル推進部門」を新設しました。
さらに、事業部門の複数名の従業員がデジタル推進部門を兼任する組織体制とし、全社横断での連携強化を図っています。

兼任者は部門のデジタル推進の支援、導入済みシステムの運用管理、部門内の事例や課題の共有と横連携によるノウハウ活用、さらには生成AIやローコード・ノーコードツールの展開窓口も担っています。

今後も環境変化や全社の戦略に合わせ効果的にデジタル推進ができる体制を築いていきます。

これからのデジタル推進体制:各部門から複数名がデジタル推進部門を兼任、事例や課題の共有、横連携によるノウハウ活用等によるデジタル推進の全体最適。デジタル推進部門では部門のデジタル推進の支援、導入済みシステムの運用管理、生成AI、ローコード・ノーコード等の全社共通ツールの展開窓口を担う。兼任メンバーとしてR&D部門、宿泊事業部、企画開発本部、建築本部、レジデンシャル本部、ソリューション部門が参加。

デジタル人材の育成

業務におけるデジタルツールの自律的な活用を促すため、「生成AI研修」や「PowerPlatform研修」などの社内研修を実施。
また、「公的資格取得に対する合格報奨金制度の拡充」をはじめとする支援制度を整備し、デジタル関連資格の取得を促進しています。

人材育成制度:全従業員向けの研修として生成AI研修、PowerPlatform研修などを実施。資格合格報奨金制度の拡充としてITパスポート、DXビジネス検定などのデジタル関連資格の取得を促進。

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