不動産投資に興味はあるけれど、「不動産投資を始めたいが資金が…」と考える人は多いでしょう。また、リスクの大きさや運営の難しさなどに敷居が高いと思っている方も多いのではないでしょうか。現在、そうしたニーズに応えるために、さまざまな少額からの不動産投資商品が登場しています。
そのなかでも代表的な、3つの少額不動産投資、
・「REIT(不動産投資信託)」
・「不動産小口化商品」
・「不動産クラウドファンディング」
について紹介します。
いずれの少額不動産投資も「出資する」ことで、収益の一部が配当、分配される仕組みの不動産投資です。
文字通り、いずれも少額から購入できるものもあり、収入や職業を問わず、誰でも始めることができる投資だと言えるでしょう。また、1棟購入して自身で経営を行う場合と違い、不動産を実際に運用するのは、投資のプロですから、深い知識がない不動産投資初心者にとって始めやすい投資と言えるでしょう。
ただし、始めやすいと言っても、あくまで投資です。リスクのない投資は存在せず、少額不動産投資についても、商品の特徴や想定されるリスクを理解しておくことが大切です。
不動産投資信託(REIT)
小額から投資可能で、リスク分散できる不動産投資信託(REIT)
最初に紹介するのは、本サイトの「REIT(リート)と不動産投資の違いは?メリットとデメリットを比較」でも解説している、不動産投資信託(REIT)という投資信託です。
REITは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので、もともとアメリカで生まれた金融商品です。日本の不動産投資信託(REIT)はJ-REITと呼ばれ、投資家から集めた資金を元手に、専門家である投資法人が不動産投資を行い、そこから得られた収益を投資家に分配する仕組みです。
REITのメリットとリスクを下記にまとめていますが、大きなメリットは、少額から投資が可能で、手間がかからず、分散投資によってリスクも分散できる点です。
また、リスクとして考えておかなければならないのは、比較的安定していると言われる実物不動産と異なり、市場の影響を受けやすいことでしょう。実際に、2020年のコロナ禍においては、大きく下落しました。
メリット
- 小額から投資可能(1口単位で購入可能)
- リスク分散できる(複数の物件に分散)
- 専門家による運用(運営の手間がかからない)
- 投資法人は法人税がかからないため分配率が高い(商品によって分配率は異なる)
- 年間120万円までの利益が非課税(※NISAの非課税枠を使った場合)
- 流動性が高い
リスク
- 倒産や上場廃止
- 自然災害による分配金の減少
- 市場の動きに連動
- 金利上昇に影響
J-REITの購入方法は3種類
J-REIT ETF
複数の銘柄が組み合わされ、東証REIT指数、その他指数に価格が連動する仕組みの上場投資信託
J-REIT ファンド
投資家から集めた資金を専門家(投資信託 の運用会社)が運用する商品
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相続対策にも活用できる、不動産小口化商品
REITは不動産投資法人への出資ですが、「不動産小口化商品」は、実際に不動産のオーナーとなる権利(小口化された)を持つことができる投資商品です。小口に分割されていますので、何億円もする物件でも、小口化して100人で投資すれば、1人当たりの金額は100分の1になります。
事業者は、複数の投資家から出資された資金によって不動産を購入し、運用することで、生まれた収益を投資家の出資金額に応じて分配するという仕組みです。
REITと異なり、不動産の所有権も得ることができますから、相続税対策にもなる投資商品だと言えるでしょう。また、REITは自分で出資対象の不動産を選ぶことはできませんが、不動産小口化商品は自分がこれと思った不動産を選択したうえで投資することができます。
不動産小口化商品のメリットとリスク
最大のメリットは、一般の投資家が単独では購入できないような物件に投資できることでしょう。さらに、所有者はいわゆる管理業務を行う必要もなく、手間もかかりません。リスクとしては、融資を利用できないこと、すぐには解約できないことなどがあげられます。
メリット
- 一般では購入できない物件が選択可能
(プロによる購入)
- 物件の所有者になれる
- 運営は事業者が行い、手間はかからない
- 所有権を有するので、相続税対策にもなる
- リスクを分散できる
リスク
- 歴史も浅く投資家にとって選択肢が少ない
- 元本補償、賃料収入保証はない
- 流動性が低い
- 融資を利用できないので、金額自己資金
- すぐには解約できないケースが多い
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディング
インターネットを通じて投資家を集め、その資金によって不動産投資を行い、生まれたインカムゲインやキャピタルゲインを投資家に分配するという仕組みの投資商品
まだ歴史は浅く、2019年に、不動産投資型クラウドファンディングに参入したい企業に関する条件が緩和され、これを機に増加しました。貸付型クラウドファンディングとも呼ばれるソーシャルレンディングに近い商品と言えそうです。
インターネットで完結することができるうえに、1万円程度から始めることができるので、手軽に行える投資です。
不動産クラウドファンディングを活用することで、少額の資金で不動産投資を始めることができますが、物件の所有権がなく途中で売却できない制約があることが多く、注意が必要です。
不動産クラウドファンディングは2つに分類できますが、初期投資額や運用の方式が異なります。
匿名組合型
- 運用会社(営業者)と匿名組合契約を結んで運用会社(営業者)へ出資(投資家が直接不動産に投資しない)
- 不動産の所有者は運用会社で、登記簿に投資家の名前は記載されない
- 少額投資が可能
任意組合型
- 投資家は出資金額に応じて小口化された不動産共有持分を購入
- 事業者とともに共同出資する
- 所有権もあり、税務対策に活用できる
- 一般的に匿名型よりも高額
不動産クラウドファンディングのメリットとリスク
不動産クラウドファンディングは、「匿名組合型」の場合、プロジェクトの成否によっては、想定利回りより分配金が下がるリスクもありますが、価格変動もなく、安定した配当が期待できる商品であると言えるでしょう。
ただし、解約できない場合が多く、流動性が低いという欠点もあります。
メリット
- リターンは比較的安定
- 株価や金利の動きに大きな影響を受けにくい
- 社会貢献などの新たなプロジェクトへの応援ができる
- インターネットでの手続きのみ、運営も手間がかからない
- 少額からの投資が可能
リスク
- 想定利回りより分配金が下がる、元本の一部または全部が返還されない可能性がある
- 原則的に解約できず、権利を売却することもできない
- 中途解約に対応していない運営会社、ファンドが多い
- 流動性が低い(運用期間があらかじめ設定)
- 融資を利用できないので、全額自己資金
※上記の内容は「匿名組合型」の場合となります
まとめ
最後に、3つの少額不動産投資についてまとめておきます。あくまで参考ですので、実際の投資は十分に検討したうえで行うようにしてください。
REITのメリット
- 小額から投資可能(1口単位で購入可能)
- リスク分散できる(複数の物件に分散)
- 専門家による運用のため手間がかからない
- 投資法人は法人税がかからないため分配率が高い(商品によって分配率は異なる)
- 年間120万円までの利益が非課税
- 流動性が高い
不動産小口化商品のメリット
- 一般では購入できない物件が選択可能(プロによる購入)
- 物件の所有者になれる
- 運営は事業者が行い、手間はかからない
- 所有権を有するので相続税対策に活用可能
- リスクを分散できる
不動産クラウドファンディングのメリット
- リターンは比較的安定している(株価や金利の動きに大きな影響を受けにくい)
- 社会貢献などの新たなプロジェクトへの応援ができる
- インターネットでの手続きのみ、運営も手間がかからない(任意組合型の場合は、共同出資者としての責任を持つ)
- 少額からの投資が可能
構成:猪口真 (株式会社パトス 代表取締役)
編集者 ビジネス書籍の編集・執筆、ビジネス雑誌・Webメディアへの寄稿、取材・調査による分析レポート、教育コンテンツ開発、映像制作ほか、マーケティング・コンサルティングまで行う。
【都心の優良不動産への共同出資】
「セレサージュ」シリーズ
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