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不動産投資の分析「NOI・LTV・CCR」・中級編

下記の記事は2023年10月18日時点での情報です。

不動産投資を適切に分析するNOI・LTV・CCR

不動産投資を始めるにあたっては、投資家として必要最低限の知識を身に付けて投資判断をしなければなりません。投資は自己責任が原則だからです。そのためには不動産投資における様々な分析手法を学んでおくことが求められます。2回にわたり不動産投資の分析手法をご紹介します。

NOIは空室と運営費の低減で改善する

「NOI」とは、「Net Operating Income」の略で、純営業利益などと訳されています。総収入から支払った経費を引いたものです。小売・流通業などの企業決算では売上総利益(売上高―売上原価)から販売管理費を差し引いたものが営業利益ですが、賃貸住宅経営においては、年間ベースでの家賃収入から空室によって生じた損失額と賃貸物件の運営管理費を引いたものになります。

例えば、1棟アパートで賃料10万円の部屋が10室あり、そのうち2部屋が3か月間空室、年間の運営管理費(年間)を180万円とすると、

NOI=1200万円(年間賃料収入=10万円×10部屋×12か月)-180万円(年間運営費)-60万円(2部屋3か月空室=10万円×2×3)=960万円

NOIの数値を上げるには、当然のことですが空室を極力減らして運営コストを低減することです。NOI率は、満室賃料に対するNOIの割合のことで、上記のケースでは960万円÷1200万円×100=80。この場合のNOI率は80%になります。これを公式化すると、

NOI率(%)=NOI÷満室賃料×100

ところで、不動産投資における利回り計算は、年間の賃料収入を物件購入価格で割る「表面利回り」があります。上記のケース(1棟アパートで賃料10万円の部屋が10室)を1億円で購入したとすると、表面利回りは1200万円÷1億円×100=12%になります。表面利回りにNOI率をかけた数値を「NOI利回り」と呼んでいます。この場合は0.8×0.12=0.096で9.6%になります。

表面利回り(%)=年間賃料収入÷物件価格×100
NOI利回り(%)=NOI率×表面利回り×100

1棟アパートで賃料10万円の部屋が10室の場合、表面利回りは12%に対してNOI利回りは9.6%。この差はなにを意味するのでしょうか。表面利回りは、不動産の購入費用や賃貸経営時における運営費用を度外視した概算の数値です。複数ある候補物件のおよそのリターンを把握し、物件購入を判断する際に使う指標です。

これに対してNOI利回りは賃貸経営時における運営費用を含んでいるので、賃貸住宅の経営シミュレーションの数値として有効です。ただ、この数値も物件購入時の諸経費は含まれていません。このコストを盛り込んだのが、実質利回りと呼ばれるものです。

実質利回り(%)=(年間賃料収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

物件購入時の諸経費を300万円とすると、
表面利回り=1200万円÷1億円×100=12%
NOI利回り=0.8×0.12×100=9.6%
実質利回り=(1200万円-180万円)÷(1億円+300万円)×100=9.9%
になります。

物件の購入と賃貸経営の実情を最も反映しているのは。双方のコストを算定したうえで見積もっている実質利回りですが、これから物件を探し賃貸住宅を検討する人は、まず表面利回りで計算し、実質利回りを計算するのが良いでしょう。

LTVは借入依存度 80%以下が理想
LTVは、「Loan To Value」の略で、不動産価格における借入金の割合のことです。

例えば、1億円の1棟アパートを購入する際に5000万円の銀行融資を受けたとすると、LTVは3000万円÷5000万円×100=60%になります。不動産投資における物件購入は住宅ローンの場合と同じで、頭金を2割、残りの8割をローンの比率で実行するのが最低ラインといわれています。当然のことですが、自己資金をより多く準備できればLTVは向上します。LTVは借り入れ依存度を指す指標で、数値が低ければ低いほど借り入れ負担は小さくなります。

ただし、不動産投資は賃料収入のほかに、売却する際にもリターン(売却代金)を得ることができます。このため、LTVの数値が高くても不動産物件の価値が高ければ高値で売却できるメリットもあるので、一概に低ければよい、というわけではありません。

CCRは高数値ほど投資効率が良い?

CCRは「Cash on Cash Return」の略。自己資金配当率と訳されています。不動産投資では、不動産物件の購入に投じた自己資金に対する年間のキャッシュフロー(CF=使える現金の総額)の割合を示します。賃貸住宅経営においてCFは、家賃収入から空室や家賃滞納の損失額、運営費 、税金、ローン返済額を差し引いた現金収入のことです。CCRの数値が高ければ、投資効率が良い物件と判断されます。

例えば2000万円の自己資金を投資して毎年200万円のキャッシュフローが得られる物件のケースでCCRは「200万円÷2000万円×100」で10%。自己資金は10年で回収できる計算です。自己資金が1000万円の場合は「200万円÷1000万円×100」で20%。年間100万円のCFの場合は「100万円÷2000万円×100」で5%。少ない自己資金で高収益が得られれば、CCRの数値が高くなります。

しかし実際には投資している間は減価償却の終了や家賃の下落、建物の経年劣化による補修・修繕費が発生するので、計算式に現れないコストが発生します。投資が長期化すればCCRは低下することがあるのです。

また、銀行融資で自己資金を増やせばCCRの数値は高まります。その場合に注意すべきなのは金利リスク。極端な例を挙げると、物件を全額融資で購入する場合、その融資を「フルローン」といいます。フルローンを利用して上記の「2000万円の自己資金で毎年200万円のCF」のCCRを算出すると、

CCR=200万円(利息などを差し引いた年間収益)÷0円×100=n%

借入金ですが自己資金はゼロですから、CCRは無限大になります。しかし金利が上昇すれば利息負担は増大します。最悪の場合はローン破たんする可能性もあるのです。投資効率ばかりに目を向けるのは良くありません。LTV(融資比率)も考慮しながらCCRを見ることが求められます。

FAQ

NOI(純営業収益)

Q. NOIとは?どう計算する?
A. 物件が生む営業ベースの純収益。
NOI = 賃料等収入 − 空室・滞納損失 − 運営費(PM費/修繕日常費/共用電気水道
等)
減価償却・金利・税金・元本返済は含みません。

Q. NOIを上げる具体策は?
A.
①空室率の低減(賃料設定/募集条件/リーシング速度)②運営費の適正化(保守契約・清掃頻度・共用設備の省エネ化)③収益源の追加(駐輪/駐車/トランク/看板)。

Q. NOI率・NOI利回り・実質利回りの違いは?
A.
NOI率 = NOI ÷ 満室賃料(運営効率の指標)
表面利回り = 年間賃料収入 ÷ 物件価格(粗い比較用)
NOI利回り = NOI ÷ 物件価格(運営費を反映)
実質利回り =(年間賃料収入 − 運営費 − 購入時諸経費年割
等)÷(物件価格+購入時諸経費)(購入コストまで反映し最も実態に近い)

Q. 表面利回りとNOI利回りが乖離するのはなぜ?
A.
表面利回りは運営費・空室を無視するためです。実務判断はNOI利回りや実質利回りを主に使い、表面利回りは最初のふるいに留めましょう。

LTV(Loan to Value:融資比率)

Q. LTVの定義と計算は?
A. LTV = 借入金額 ÷ 物件価値(または購入総額)。
例)物件価格1億円、借入5,000万円 → LTV 50%。
(※本文例の60%は計算誤記。一般定義では50%)

Q. 目安はいくつ?
A.
本文趣旨では80%以下が理想。LTVが低いほど返済耐性は高まりますが、自己資金効率は下がります。市況・金利・賃料ボラティリティで最適値は変わります。

Q. LTVは低ければ低いほど良い?
A.
一概には×。低LTVは安全だが、自己資金の機会費用が増え、CCR(自己資金効率)は下がりがち。耐性(安全性)と効率(収益性)の両輪で最適点を探ります。

CCR(Cash on Cash Return:自己資金配当率)

Q. CCRとは?どう使う?
A. 投下した自己資金に対する年間キャッシュフローの割合。
CCR =(税引後CF)÷(自己資金)
物件選定後の資本効率を測るのに有効です。

Q. CCRは高いほど良い?
A.
原則◯ですが、**高すぎるCCRは高LTV(レバレッジ依存)の結果であることが多く、金利上昇・賃料下落時に脆い。CCRを見るときはLTV・DSCR(返済余裕)**も併読必須。

Q. “フルローンならCCR無限大”は正しいの?
A.
理屈上、自己資金0ならCCRは定義不能(∞に発散)。ただし現実には金利上昇・空室でCFが悪化すれば即座に逆回転します。数式だけで良否を判断しないこと。

3指標の組み合わせ活用

Q. どの順でチェックする?
A. ①NOI(物件の“稼ぐ力”)→ ②LTV(耐性と資本政策)→
③CCR(自己資金効率)
さらにDSCR/金利感応度/出口価格を感度分析で確認。

Q. 感度分析は何を動かす?
A.
空室率(±5〜10pt)、賃料(±5〜10%)、運営費(±10%)、金利(±1〜2%)、出口利回り(±0.5〜1.0%)。最悪ケースで赤字にならないLTVを逆算します。

Q. “良い物件”の実務目安は?(例)
A. 地域と築年で変わりますが一例:
NOI率:70〜80%台(共用負担の重い物件は要注意)
NOI利回り:エリアのキャップレート以上
LTV:60〜70%(金利環境次第で±)
CCR:税引後で**7〜10%**を狙いつつ、金利+1%上昇でもプラス維持

つまずきやすいポイント

Q. 初心者の典型的ミスは?
A.
表面利回りだけで買う(NOI/実質利回りを無視)
LTVだけ下げて満足(CCRや機会費用を無視)
CCRの高さに酔う(レバレッジ過多で金利上昇に脆弱)
減価償却終了後の税負担増や大規模修繕を未織り込み

Q. 指標を改善する実務アクションは?
A.
NOI向上:早期リーシング、設備の“刺さる”更新(宅配BOX/ネット無料等)、共用光熱の最適化
LTV最適化:自己資金追加/劣後出資の活用、返済期間の見直し(ただし長期化は総支払利息増)
CCR安定化:固定/上限金利の比較、修繕積立の明確化、保険・税の年次見直し

かんたん早見表(手元計算)

NOI利回り = (賃料 − 空室損 − 運営費)÷ 価格
実質利回り = (賃料 − 運営費 −
購入時諸経費年割)÷(価格+購入時諸経費)
LTV = 借入 ÷ 価格
CCR = 税引後CF ÷ 自己資金

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