マンションをリノベする際の間取り決めのポイントを解説|アイデアが決まらない際の解決策も紹介

マンション購入の際にリノベーションを選ぶ人が増えています。そのメリットは、なんといっても、自分たちの暮らしに合った空間を自由に作れることです。モダンタイプやカフェスタイルなど、憧れのテイストを取り込みながら家を作れるのは、自由度が高いリノベーションならではの醍醐味と言えるでしょう。
間取りから細かな設備・仕様の一つひとつまで自由に選べるので人気が高い反面、「アイデアが出ない」「何をどう決めれば良いか全くわからない」などと悩む方も多いようです。一生住むかもしれない家づくりですから、選択肢が増えるのは良いことです。迷いも楽しみに変えて、優先すべきアイデアを一つずつ整理していきましょう。きっと、理想の家の形が見えてきます。
目次
1. マンションをリノベーションする際の間取りのポイント
リノベーションするにあたって、絶対に場所を変えられないのはマンションの共有部分に当たる、玄関や窓といった開口部とバルコニー、そしてパイプスペースです。パイプスペースとは給排水管やガス管などの配管スペースのことで、間取り図では「PS」または「MBPS」(メーターボックスと同じ場所に配管が設置されている場合の略語)などと書かれます。
この3ヶ所(開口部・バルコニー・パイプスペース)以外は、建物の構造による制限がなければ、ほぼ自由にデザインできます。究極は家の中身を全部空っぽにした状態からオリジナルの間取り、デザインを考えられるので、マンションのリノベーションといえども、自由度はかなり高いのです。
しかし、まっさらな空間で一から間取りを決めるのは、時間や手間がかかり大変です。イメージが漠然としがちなリノベーションで、押さえるべきポイントを順番に紹介します。また以下の記事では、マンションの間取りの基礎知識に関して詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
・家族構成に合わせた玄関とリビングの広さを決める
家族が多いのに玄関や収納が狭いと、散らかりやすく整った印象を保ちにくくなります。まずは、人数に合わせた入り口の必要スペースを考え「家の顔」とも言われる玄関のイメージを整えましょう。玄関は来客があったとき、いちばん最初に見せる場所であり、家のイメージを決定する場所でもあります。そこにどのような個性を持たせるかで、家の雰囲気の方向性が見え始めます。
リビングも同様に、人数に合わせて広さを決めましょう。例えば、家族全員が揃ってゆったり過ごすのに必要な広さや、来客がくつろげるスペースを間取りのどこに配置するのかを考えることが大切です。また、リビングは収納やソファ、テーブルなど大型家具が多いので、それらのボリュームも考慮しましょう。
・明るい住まいを実現するための採光を計画する
ベランダに面する窓は大きいので、光と熱がよく入ります。その光をどれくらい奥深くまで取り込みたいかも、忘れてはいけないポイントです。多くの家で悩みの種となっているのが、玄関や廊下、リビングより奥の部屋が暗いことです。
光が届かないスペースは、日中でも照明に頼る必要があります。マンションの玄関は暗めになりがちなので、気になるなら玄関へ通じるドアをガラス戸にするなど、採光で調節するのが良い方法です。リビングから廊下、玄関へと自然光が届く家は全体が明るく感じられ、最近ではリビングと玄関に間仕切りを作らず一体型にするアイデアも、空間を無駄なく使えることから好まれています。

・家族構成の変化に合わせた育てる家づくりを考える
「いずれ子どもが成長し、巣立っていく」「高齢の家族と同居する」などのように、家のリノベーションでは、家族構成の変化を考慮しておくことが大切です。例えば、一部を仕切るだけで子ども部屋になるリビングづくりや、壁を取り払えばすぐにワンルームにできるように個室を隣り合わせにしておくなど「変化に合わせて育てる家づくり」が欠かせません。
家族構成に合わせたリノベーションでは、手軽に部屋数を増減させられる「動く壁」や「動く収納を壁がわりにする」という方法もあります。レールで動く壁や収納を子ども部屋の仕切りがわりに使えれば、子ども達が巣立った後でも、収納を壁際に移動するだけで部屋の仕切りを取り除けて、将来のリフォームの悩みを減らせます。壁は一度作ったら動かせないもの、という固定観念から離れられるのもリノベーションの良いところでしょう。特に子どもが小さいうちは、この「動く」壁や収納は便利です。

また、最初からバリアフリーにしておけば、赤ちゃんが生まれたときや、高齢の家族との同居の際の安全性を備えられます。家族構成や体調の変化があったときでも、安全に暮らすために必要な条件を考えることで、床や壁の位置や高さをどうすれば良いかが見えてくるでしょう。
・暮らしやすさの向上につながる家事動線を確保する
家事動線は、家事をスムーズに運ぶための命綱のようなものです。同時に、家族全員の動きを妨げないことで、限られた空間を広く感じさせる効果をもたらします。部屋の数や広さに関係なく、行きたい方向へストレスなく進むための動線は確保しておきましょう。
具体的には、炊事や洗濯、浴室などのすべての水回りの掃除がしやすいように導線を考えます。家事は一度に複数のことを並行することが多いため、行き止まりがあると、何度も同じ場所を行ったり来たりしなければなりません。これでは効率も下がります。もしキッチンのスペースが狭いのに、さらに奥が行き止まりになっていると、お手伝いに入ってくれる家族が逆に邪魔になることもあり得るでしょう。

すべての水回りとリビング、廊下を回遊できる作りにしたり、キッチンの奥から玄関や勝手口につながるルートを一本化したりするなど、家事動線を確保することで取り回しが良く、暮らしやすい家に仕上がります。日常の細かな問題を回避するためにも家事動線の確保を考えてみましょう。
2. リノベーションのアイデアに迷った際の決め方
リノベーションのアイデアがいくつか出揃ったとき、どのアイデアに決めれば良いかわからない、本当にこれに決めて良いかわからないと悩む方も多いでしょう。決断に迷うときには、まずは以下のような方法で、現実的に考えてみましょう。
- 早めに家全体のデザインテーマを決める
- 予算を考慮して優先順位を決める
- 「我が家の暮らし方」を見つめ直す
- 今の家で感じる不便を書き出す
- 過去の事例をたくさん見る
それぞれ詳しく解説します。
・早めに家全体のデザインテーマを決める
「こんな感じにしたい」「なんとなくこんな雰囲気で」という説明が、いちばんアバウトで全員が迷う原因になります。細かな部分より先に、以下のような好みのテイストで家全体を包むテーマを決めましょう。
- 北欧モダン
- 西海岸風
- ヨーロッパ調
- 和風 など
頭のなかにある雰囲気がどのテイストに入るかわからないときは「明るくて活動的」「爽やか」「落ち着いて静かな空間」など、求める雰囲気を具体的に言葉に置き換えてみてください。テーマが定まると、使える色や壁紙のデザイン、ドアや照明などパーツ選びの方向性が明確になるので、施工会社からの提案もしやすくなります。
・予算を考慮して優先順位を決める

どうしてもゆずれないポイントは、やはり「予算」でしょう。間取りから作るフルリノベーションでは、出費をうまくコントロールすることで、こだわりたい部分にどれだけ力を入れられるかが変わります。大幅に予算オーバーしないためにも、使えるものは上手に活用しましょう。
例えば壁やトイレ、浴室など、十分使える部分をそのまま残します。浴槽やクロスなど、パーツの取り替えでリノベーション後のテイストと調和を取れば、そこだけ味わいが違うような不自然さは防げますし、費用もかなり抑えられます。残す部分が多いと予算が抑えられるだけでなく、工期も短縮可能です。リノベーションの間に仮住まいを用意したりする場合には、工期の長さで生活費の負担額が変わるので、この点も踏まえて活用部分を決めることをおすすめします。
予算に制限がなければ、理想はすべて叶えられるかもしれませんが、そうはいかないのが現実です。全体の予算だけで話を進めるうちに、アイデアが増えて予算オーバーするケースも少なくありません。部分ごとにかけられる予算を大まかでも最初に決めておくと、できることの範囲が見えてくるはずです。そのため、できるだけ早い段階で、実際にできることを把握しておきましょう。
・「我が家の暮らし方」を見つめ直す
アウトドア派とインドア派では、同じ家でもスペースの使い方が異なります。使いやすいスペースの確保を目指すなら、次のように「我が家らしい暮らし方」を見つめ直してみると、具体的なアイデアが出やすくなるでしょう。
・広い作業スペースが欲しいのか、狭くても良いから集中できるスペースが必要か
・スポーツをしている家族のために、玄関からすぐバスルームに入れる方が良いか
・楽器の演奏や音楽を楽しむために、音漏れしない部屋を作りたいか
・食料品などを買い込んだ時に、玄関からキッチンに直接回れるルートが欲しいか
このような、いつもの暮らし方をほんの少し向上させるための想像が、暮らしやすい間取りづくりの種になります。自分のペースだけにこだわらず、互いの生活リズムを見つめてみることが大切です。そこから生み出されるアイデアは、きっと家族全員が暮らしやすいものになるでしょう。
・今の家で感じる不便を書き出す
今の家で不便だと思っていることを、紙に書き出してみましょう。シンクの高さが身長に合っていない、浴槽が小さくて手足を伸ばしてゆったりできない、などの悩みを感じているなら、改善のチャンスです。浴室、トイレ、キッチンは後からリフォームし直すと、時間もお金もかなりかかります。こういった大物こそ、リノベーションの際に力を入れておきたいポイントです。掃除のしやすさやスペースに見合ったサイズ、デザイン性など、優先したいポイントに沿って選びましょう。
リノベーションは、健康面のデメリット改善を目指すにも良い機会になります。近年よくクローズアップされている、ハウスダストやカビによる健康被害です。これは床材をカーペットでなくフローリングにしたり、壁に漆喰を用いて調湿機能を持たせたりすることで対策ができます。汚れにくい壁や床は掃除が楽になり、病気の原因となるカビやダニの発生を抑えられます。
・過去の事例をたくさん見る
施工会社が持っている過去事例だけでなく、インターネットでも検索して多くの事例を見ておきましょう。仮に「リノベーション モダン」というワードで検索してみると、想像以上に多様なデザインが表示されます。家族のなかだけでは出てこないアイデアに、たくさん触れることが可能です。好みのテイストで参考になる画像をピックアップすれば、出来上がりのイメージの輪郭をつかむ手助けとなり、それを施工会社に見せることでイメージの共有ができ、意見の食い違いを回避できます。
また、実際に住んでみないとわからない問題点の見落としを防ぐには、失敗例が役に立ちます。インターネットで「リノベーション 失敗例」と検索し、まとめサイトや不動産会社のコラムなど多くの記事を読んでみましょう。リノベーションの失敗につながりがちなのは、施工会社の選び方や間取りの決め方、施工時の確認の仕方など、知らなければ気づかない様々なポイントです。理想をきちんと形にしてリノベーションを成功させるために、過去の事例を学び、役立ててください。
3. リノベーションで欠かせない施工会社のコンセプトチェック

リノベーションの成功のカギは、施工会社選びにあるとも言えます。施工会社には、ゼロからのオーダーメイドリノベーションを得意とする会社、既製品をはめ込むリフォームに近い形でのリノベーション経験が多い会社など、それぞれに得意分野が異なります。会社を選ぶ際には、見積もりの比較だけでなく、各企業が打ち出しているコンセプトをチェックしましょう。
コンセプトには、リノベーションを含めた家づくり全体に対する企業の考え方や姿勢が表れているので、自分が希望している家づくりのコンセプトとマッチしているかどうかを判断する材料になります。例えば「物件探しからお手伝い」「オーダーメイドスタイルを提供」などという言葉があれば、フルオーダーリノベーションが得意な企業です。「プチリノベーション」という言葉が使われている企業なら、一部改築など小規模リノベの対応が得意と考えられます。
最初から、セミオーダーリノベーションすることを前提にしたマンションを購入するのと、中古マンションを自分で見つけて購入しプチリノベーションを行う場合とでは、企業が提案してくるアイデアや施工内容に違いが出ます。予算を大幅にオーバーしないためにも、希望するリノベの規模に合う施工会社を探しましょう。
リノベーションは、規模が大きくなるほど自由度が高くなり、施工への要求が広がります。顧客のニーズを正しく汲み取って、より良いアイデアを提案する力、それを実現する施工力が揃った施工会社と出会うには、施工会社のコンセプトに目を向けることが大切です。
4. リノベーションのメリットは個性と機能の融合にある
リノベーションのメリットは「機能性が高く使いやすい」と「個性的なデザインで精神的な満足を得られる」の両面を実現できることです。そのどちらが欠けても、自分らしく住む家としては物足りなさを感じてしまうでしょう。それぞれの家庭で、家への期待は異なります。
それを形にして、今よりも充実した暮らしを実現させるのがリノベーションです。希望があれば、遠慮せずに施工会社に相談しましょう。多くの施工実績で培ったプロならではの意見を取り込むことで、さらに良い選択が見つかるでしょう。以下の記事では、マンションをリノベーションするメリットに関して詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
5. まとめ
マンションのリノベーションは、リフォームのように「古くなったものを新築の状態に近づける」ことではありません。暮らしへの期待や希望を具現化すること、家が今持っている機能や価値をさらに高めることを目指します。「家族の笑顔が増える家を作る」それがリノベーションを選ぶ意義、そして最高の楽しみと言えるのかもしれません。
コスモスイニシアの「オーダーリノベーション」では、お客さまのお住まいもしくはこれからご購入されるマンションのリノベーションデザイン・リフォームデザインを承っております。ぜひお気軽にご相談ください。
2025/09/22時点での情報です。
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