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不動産投資

市場価値と投資価値・中級編

市場価値と投資価値(モーゲージ・エクイティ分析)

不動産投資では、購入する不動産がどの程度の収益をもたらしてくれるのかを予め把握しておくことが必要ですが、借入金額や金利など銀行融資の条件は千差万別で、どの物件に投資する価値があるのか見当をつけるのは容易ではありません。しかし、それを教えてくれる分析手法があります。

2つの価値の違い

株式や債券、為替などの金融商品を対象にした投資では、誰が投資家でも同じ価値をもたらします。投資の手法や投資額が全く同じなら、その成果は同額になります。誰が取引をしても、市場は同じ動きをするからで、取引者を選びません。投資(購入)した人など取引の主体に関係なく同じで、こうした価値は市場価値と呼ばれます。
一方、投資価値は、同じ取引対象でも、投資した人によって価値が異なるものを指します。置かれた環境などの違いから、投資する人と投資しない人の間に明確な価値の差が出てきます。ある都市の郊外に商業施設を建設するための不動産があり、流通業のA社は既に進出している地区で、同業のB社は未進出のエリアならば、その不動産価値は進出意欲が高いと思われるB社のほうがA社に比べて高くなると推測されます。

著名な世界的投資家のウォーレン・バフェット氏が提唱している「バリュー投資」という投資手法は、その企業が本来備えている価値に着目し、割安の評価になっている株式を見つけて積極的に投資します。その際、割安株かどうかを判断する指標として。株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などを使います。

不動産投資は、物件購入から始まります。多くの場合、購入資金を銀行から借り入れますが、その際、物件購入価値の目安を測る手法があります。それがモーゲージ・エクイティ分析です。

モーゲージ・エクイティ分析の計算式

モーゲージ(Motgage)は、その響きのとおりフランス語が語源で、「抵当」「担保」「貸付金」などの意味があります。エクイティ(Equity)は「株主資本」と訳されています。この分析手法は、投資家が目標とする自己資金に対する運用利回りを確保するには、購入する不動産にどの程度の利回りがあれば良いかを求める計算式があります。銀行借り入れ条件を前提にした場合、どの程度の収益(利回り)物件ならばいいかを探ることになります。

分析条件を以下のように設定します。
1 借入金額1500万円
2 金利2%
3 返済期間20年
4 LTV(融資比率)=80%
5 ROE(投資家が求める自己資金の運用利回り)=20%

ROE(Return On Equity)は、株主資本利益率または自己資本利益率と訳されています。株主(自己)資本をいかに有効に活用して利益を上げたかを見る指標で、資本を上手く運用できているかどうかを見るもので、投資効率の良し悪しを見る指標です。

計算式は年間返済額を借入金で割った数値(A)と、ROEと自己資金の割合(1-LTV)をかけた数値(B)を足します。上記の条件では5.28%の結果が出ました。この計算式では、Aの数値は借入金額によって変動しません。金利と返済期間で決まります。金利と返済期間が同じで借入金額1500万を3000万円に変更しても、5.28%と同じ結果になります。

この計算式から得られる結論は、金利2%、返済期間20年の融資が可能で自己資金を2割用意できる場合、利回り5.28%以上の物件ならば、自己資金の運用効率(ROE)20%の目標を達成できるということになります。

見方を変えると、Aは銀行の金利を織り込んだものですから、銀行がこの融資において求める利益ということができます。Bは自己資金に対する収益率です。金融機関からの融資が確実ならば、自分の目標利回りが判断できることになります。

モーゲージ・エクイティ分析

ただ、ROEは借入金を増やせば自己資金の比率が下がるので、ここで算出した数値も多くなります。一般に自己資金が多いほど投資負担は低下すると考えられますので、この分析手法にも、ある種の限界があります。

投資効率を図る一つの尺度

不動産投資は、原則として生身の人間に居住空間を提供するビジネスであると言えます。人の流れは世の中の動きに必ずしも比例するわけではありませんので、全体的な経済や市場の動きを見るだけにとどまらず、一つひとつの物件によるニーズの違いなどが浮き彫りになることが頻繁にあります。
さらに、空室や建物の老朽化、大規模修繕、自然災害など多くのリスクに対する管理、コスト管理が必要になってきます。こうした様々な要因を含めて不動産投資は展開されます。モーゲージ・エクイティ分析は優れた計算方式ですが、あくまで自己資金から見た投資効果を測る一つの尺度として活用すると良いでしょう。

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