実際どうなの!? マンション最上階のメリット・デメリットを徹底解説
今回の記事では、マンションの最上階について以下の内容を解説します。
- 階数により価格が異なる理由
- 最上階のメリット・デメリット
- 階数以外に検討するべきポイント
実際の暮らしやすさや資産価値についても解説していますので、マンションの最上階の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
1. マンションの階数により価格が異なる理由
面積や間取りなどが全く同じタイプの住戸であっても「階数」によって価格は異なります。なぜなら、マンション住戸の価格決定は他の市場と同じように「需要があるものほど高くなり低いものほど安くなる」という市場原理が働いているからです。
例えば、全室の販売価格が同じマンションがあると想定します。小さな子どもがいる家庭や高齢者であれば低層階を希望する場合もありますが、多くの方は眺望や日当たりのよい高層階の住戸を選ぶでしょう。
販売する不動産会社側からすると、不人気の住戸を出す訳にはいきません。そのため、低層階住戸の販売価格を下げ、高層階の値段を上げることで需要を平均化させているのです。
このような調整を行っているため、新築分譲マンションの申し込み状況を確認すると、最上階住戸の倍率が一概に高いとは言えません。販売価格が高いことが原因で、最上階が売れ残るケースは多く見られます。
2. マンションの最上階における5つのメリット
低層階や中層階の住戸にはそれぞれの利点がありますが、最上階に住むことでしか得られない特権は魅力的です。ここでは、マンションの最上階における代表的な5つのメリットを紹介します。
・開放感があり見晴らし・眺望が良い
最上階に住む最大のメリットの1つは、見晴らしの良さです。「広大な青い海が見渡せる」「四季折々に変化する山々が望める」「街のシンボルやランドマークが見える」など、自宅の窓から美しい景色を眺められるのは、最上階に暮らす醍醐味と言えます。
また、他者の目を気にする必要がないため、カーテンを開け放して生活することもできます。特に曇りや雨の日であれば、カーテンが一枚ないだけでも室内の明るさの違いを感じられるでしょう。
・資産価値が高く、売却の際は早く売れる可能性がある
マンションの資産価値は「周辺施設の充実度」「立地のよさ」「マンションの管理体制」によって大きく左右されます。資産価値を決定する条件が、同じ一棟のマンション内で比較した場合、最上階は高額となる傾向にあります。
資産価値が高いマンションとは、購入を希望する方が多い物件です。新築・中古を問わず、最上階の住戸は高いプレミア感があるため、他階に比べて断然人気があるのです。
また「転勤があるので早く売却しなければならない」「子供の進級・進学の時期に合わせたい」「新年を新しい住居で過ごしたい」など、マンションの売却時にはスピードが求められることが多くあります。人気がある最上階であれば、早く売却できる可能性が高くなるため安心です。
さらに、最上階は経年による値下がり幅が小さい傾向にあるため、予想より高値で売れることが期待できます。
資産価値についてはこちら:「資産価値の落ちにくいマンション」の選ぶための10のポイント
・日当たり・風通しが良い
最上階は近隣建物の影がかからない可能性が高くなるため、その場合、日当たりは抜群に良いことが魅力です。そのため太陽が昇っているうちは、照明を点ける必要がありません。また、冬季は暖房器具を使わなくても暖かいため、光熱費の節約が可能です。日中は外出することが多い方でも「厚手の洗濯物がよく乾く」「観葉植物がスクスクと育つ」「カビの発生が抑制される」など、日当たりが良いことの恩恵を感じられるでしょう。
マンションに住むにあたって重要なカビ対策に関しては、日当たりだけでなく通風を心がけることも重要です。最上階は風通しが良いため、日当たりとダブルの効果でカビの発生を抑制できます。
風が強いときは開け放したドアが勝手に勢いよく閉まったり、閉じている扉がカタカタと鳴ったりすることがありますが、暑い夏場は風通しのよさが救いになるでしょう。
日当たりについてはこちら:「日当たりは南向きがいい」って本当? 後悔しない、日当たりのいい住まいの見つけ方
風通しの良さについてはこちら:風通しの良い家を作るには? 間取りと窓の配置に注目!
・防犯やプライバシーの面で安心
10階建て以上や60mを超える高層マンションの最上階では、歩行者や駐車場にいる方の視線を気にする必要がなく、プライバシーを保ちやすくなります。他人の目を意識せずにゆったりくつろげるのは、最上階に住む方の特権です。
しかし他人の目がないことを理由に、開放的になりすぎるケースには注意しましょう。最上階に住んでいても、外出の際に窓やドアの鍵をかけ忘れたことが原因で窃盗の被害に遭う可能性があります。
令和5年に警視庁が発表したデータによると、侵入窃盗の発生場所は「住宅」が41.6%となっています。そのうち「3階建以下の共同住宅」は7.3%、「4階建以上の共同住宅」は僅か3.8%です。このデータから分かるように、高層階に住んでいれば窃盗被害に遭う確率は傾向として少なくなります。
(参照:警視庁 住まいる防犯110番『侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和5年)』より)
それにも関わらず高層階で被害に遭う方がいるのは「階数が高い場所には泥棒がやって来ない」と油断しているからです。窃盗犯の中には、10階程度の高さであれば排水パイプなどを登って窓から侵入してくる人がいます。上の階に住むほど防犯への意識は緩みやすいため、最上階に住む際は窓やドアの施錠を忘れないように心がけましょう。
・上階からの物音に悩まない
最上階の上には誰も住んでいないため、上階からの物音のストレスは感じなくなります。近年では、上下階を仕切るコンクリート厚(スラブ厚)を上げ、クッション材が裏打ちされた仕上げ材を用いることで、遮音性能を高めた物件が増えています。
しかし、防音対策を施したマンションであっても、完璧に生活音を防ぐことはできません。特に、小さな子どもがいる部屋の階下に住むと、泣き声や足音などの騒音に悩まされることがあります。
外からの騒音については、サッシの遮音性能に左右されるものの、窓を閉めきれば気にならないでしょう。ただし、マンション前に交通量の多い幹線道路や高速道路がある場合は、窓を開けていると車の走行音や風の音が混じり合った「ゴー」という音が気になることがあります。
3. マンションの最上階に住む4つのデメリット
マンションの最上階には、メリットだけでなくデメリットも存在します。また、デメリットの影響は建物が高層であるほど顕著になる傾向にあるため、十分に理解したうえで最上階を選ぶかを検討しましょう。
ここでは、最上階における代表的な4つのデメリットを紹介します。
・冷房が効きにくく夏場は特に暑い
マンションの最上階は日当たりの良さが魅力ですが、夏場は暑さに苦しむことがあります。「今日は異常に暑いな」と思って外に出ると、意外と涼しかったということはよくあります。特に西向きの部屋は、午後から強い陽射しが差し込み、室内に熱がこもった状態が夜まで続くほどです。
夏場に室内へ入る熱の70%以上は窓からで、さらに最上階の場合は直射日光を受ける屋根からも暑さが伝わります。そのため、近年では遮熱効果が高い窓ガラスを採用したり、屋根に断熱効果の高い処理を施したりしている物件が増加しています。夏の暑さが気になる方は、検討している物件の断熱や遮熱の性能をチェックしましょう。
・エレベーターの待ち時間が長い
最上階のデメリットとしてよく耳にするのが、エレベーターの待ち時間が長いことです。マンションに設置されている一般的なエレベーターの速度は、分速30~60mほどです。通常、エレベーターは1階に待機しているため、下から上まで往復すると2分ほどかかる計算になります。さらに、他の階から乗り降りする方がいたり、利用したいときに下降中だったりすれば、より時間がかかります。
わずか数分の差ですが、エレベーター内で忘れ物に気付いたときには再び最上階まで昇り降りしなければならず、更に時間がかかるでしょう。また、出勤や通学前などの慌ただしいタイミングでは、エレベーターの待ち時間を考慮しなければなりません。
高層階に住む方の中には、外出するのが億劫になってしまう方がいます。高さが10階以下のマンションの場合、日常的に階段を利用すれば運動不足の解消に効果的です。また、エレベーターを待つストレスが解消されるうえ、状況によっては階段の方が早く1階へ降りられます。
・地震や火災などの災害時に最も影響を受ける
マンションの最上階に住むにあたり、災害時に上手く対処できるか心配される方は多いでしょう。特に地震が起きたときは、小さな震度でも揺れが大きくなるため、家具を固定するなどの安全対策が重要です。
また、大地震の際はエレベーターが使用できなくなり、上下階の移動が難しくなるケースがあります。外出できなくなる場合に備え、水や食料などの備蓄品は多めに用意しておきましょう。
火事については、建築基準法や消防法に基づいた防火設備が設置されているため、小規模の火災ならさほど心配する必要はありません。実際に、火災の発生件数や死者数については、マンションより戸建住宅のほうが圧倒的に多いというデータがあります。
(引用:消防庁『令和5年(1月~12 月)における火災の概要(概数)について』より)
消防庁が発表した『令和5年(1月~12月)における火災の概要』の統計によると、マンションを含む共同住宅での火災発生件数は戸建住宅の約半分、死者が発生した件数は4分の1ほどです。しかし、火災の発生がゼロというわけではありません。万一の際に落ち着いて対処できるよう、発災時の行動ルールをあらかじめ決めておきましょう。
・他階と比較して値段が高めに設定されている
最上階住戸の価格を他階と比べると、分譲・賃貸を問わず高めに設定されています。マンション住戸の値段は階数が上がるにつれて高くなる傾向にあり、高層階であるほど価格差は顕著に現れます。最上階の値段に見合った価値を見出せれば満足できますが、価格ほどの魅力を感じなければデメリットと感じる方はいるでしょう。
ただし中古マンションの場合、売主の事情やリフォーム状態に影響されるため、必ずしも最上階が一番高いとは限りません。また、他階に比べて価格が高い場合でも、差額に大きな差のないケースがあります。
予算を抑えつつ最上階に住みたいと考えている方は、中古マンションを探すと好条件の物件を見つけやすいでしょう。
4. マンションの最上階を選ぶ際は方角・住戸の位置もチェック
資産価値の高いマンションを選ぶなら、階数だけでなく方角や住戸の位置も重要です。マンションの方角の中では、日当たり抜群の「南向き」が最も人気があります。また、暑い西日を避けられる「東向き」は買い手に受けがよい方角です。
住戸の位置に関しては、隣戸に挟まれた中住戸より、三方向に窓が設置された角住戸が人気です。つまり「最上階の南東にある角住戸」は、マンション内で最も希少価値が高いと言えます。
また、住戸とエレベーターの位置関係によって物件の価値が異なる場合があります。エレベーターから近い住戸はすぐに乗り込める反面、利用者の足音や話し声、機械音が気になりやすいため価格は安くなる傾向にあるのです。エレベーターから遠い住戸は歩く距離が長くなりますが、共用スペースの騒音は軽減されるため、価格は高くなることが多いです。
5. まとめ|優先順位を決めて納得できるマンションを購入しよう
マンションの最上階は人気があり、資産価値は高くなる傾向にあります。日当たりや風通しに優れており、上階からの物音の影響を受けないため、快適に過ごしやすいでしょう。
ただし、必ずしも居住性や安全性に優れているわけではありません。冷房の効きにくさやエレベーターの待ち時間の長さなど、最上階ならではの特徴に悩むことはあるでしょう。
マンションを選ぶ際は階数にこだわらず、実際に住む様子を想像しながら優先順位を決めて判断するのがおすすめです。コスモスイニシアでは新築物件だけではなく、中古物件やリノベーション物件も取り揃えています。最上階はもちろん、エリアやこだわりなどの条件から希望する物件を探せるため、さまざまな間取りの中から自分にピッタリの住まいを見つけてみてくださいね。
※2025年3月時点での情報です。
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