最終確認! マンション内覧会でのチェックマニュアル

マンションの内覧会は、内装の仕上がりを確認したり家具の配置をイメージしたりと、入居への期待が高まるイベントです。同時に、内覧会は住まいにおける不具合の有無を確認する重要な機会のため、事前準備や入念なチェックを行う必要があります。
内覧会の準備やチェックが不十分の場合は、住居の不具合を見逃しやすく、入居してから後悔する可能性があるため注意しましょう。今回の記事では、マンションの内覧会について以下の内容を解説します。
- 内覧会で必要な持ち物
- 所要時間の目安
- 不具合を見つけた場合の対応方法
- 内覧会における注意点
- 内覧会でチェックすべきポイント
内覧会で後悔しないための対策方法を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. マンションの内覧会は不具合をチェックできる唯一の機会

マイホームを購入するにあたって「建物内部をしっかりと見たい」と考える方は多いでしょう。しかし、新築のマンションは未完成の状態で販売されることが多いため、実際の住まいは完成するまで確認できません。
マンションが未完成の時点で購入を決めた方にとって、内覧会は初めて実際に室内を確認できる機会です。内覧会は住居の引渡し直前に行われるのが一般的なため「完成披露会」のようなイメージがあるのではないでしょうか。
実際には「購入者が入居前に最終的なチェックをする機会」が内覧会であり、不具合の有無を確認する重要な意味が含まれています。内覧会の日のチェックが不十分な場合、入居後に不具合を見つけても対応してもらえないケースがあるため、当日はしっかりと確認しましょう。
2. マンションの内覧会で必要な7つの持ち物

ここでは、マンションの内覧会で住まいの仕上がりを確認する際に必要な持ち物を紹介します。当日は忘れずに持参し、不具合の有無を確認しましょう。
・メジャー
内覧会の際は、メジャーを持っていくのがおすすめです。室内の各所のサイズを測ることで、家具の配置をイメージしやすくなります。
内覧会のためにメジャーを購入する際は、測れる長さを確認しましょう。家具の位置決めに用いるだけでなく、部屋の全体的な長さを測る場合があるため、5.5mほどのメジャーが理想です。また、測っているときに巻き上がると危ないため、伸ばした状態でロックできるタイプをおすすめします。
・間取り図のコピー
内覧会の際は、間取り図のコピーを用意しましょう。内覧会当日は、部屋のサイズや設備などが購入時の設計と異なっていないかを確認することが大切です。
確認した内容をマーカーやペンなどで間取り図のコピーに記入すれば、不具合のチェックをスムーズに進められます。間取り図のコピーは内覧会の担当者が用意する場合があるため、事前に確認すると安心です。
・水平器
水平器とは、建物の傾きを測定できるツールです。内覧会の際には、水平器を使って住居に傾きがないかを確認しましょう。
高額で本格的な水平器でなくとも、1000円前後の簡易タイプで十分に測定できるため、内覧会に持っていくことをおすすめします。
・スリッパ
完成したばかりのマンション内は、資材による塵やホコリなどで床が汚れていることがあります。内覧会の際に足元が汚れる可能性があるため、スリッパを持参しておくと安心です。
物件によって室内の清掃状況は異なるため、必要に応じてスリッパを履きましょう。
・デジタルカメラ
内覧会の際に気になる箇所があれば、デジタルカメラなどで撮影して記録を残すのがおすすめです。また、不具合のある箇所を修繕してもらえる場合は、改修前の状態を撮影しましょう。
修繕前後の状態を写真で比較すれば、きちんと直っているかを判断できます。
・ライト(懐中電灯)
住居の中には、暗くて確認しにくい箇所があります。例えば、以下のような場所はもともと薄暗く確認しづらい部分です。
- 収納内部
- 押入れの中
- 床下
- 天井
また、当日の天候によっては、開けた部屋であっても暗くて見えづらい場合があります。ライトを持参すれば、暗い場所でも詳細を確認しやすいでしょう。
・タオル
キッチンや浴室などの水回りは、実際に水を流してチェックしましょう。確認時に水が周囲に飛び散ることがあるため、すぐ拭けるように複数枚のタオルを持参することをおすすめします。
3. マンションの内覧会の所要時間

マンションの内覧会の所要時間は、1世帯あたり「1~2時間程度」と言われています。長めに見積もって、2時間程度を想定しましょう。
中には「新築のマンションなら中古と違って何も問題ないのでは?」という軽い気持ちで内覧会に臨み、時間をあまりかけない人がいるかもしれません。しかし、短時間の内覧では、不具合のチェックがおろそかになる可能性があります。
内覧会では十分に時間をかけ、住居の各箇所を入念に確認しましょう。また、内覧会に出向く時間帯には注意が必要です。
遅い時間から内覧会をスタートすると、チェックしている間に周りが暗くなってしまい、不具合のある箇所を発見しにくくなる可能性があります。内覧会はできるだけ明るい日中で、早めの時間帯を希望するのがおすすめです。
4. マンションの内覧会で見つけた不具合は指摘が必要

内覧会で気になった点は、その場で指摘や質問をしていくことが重要です。内覧会でのチェックがひととおり終わると、購入者は書面に確認済みのサインをします。
入居後に不具合に気づいても、内覧会で見つけられなかった箇所であれば、居住前からの問題であるとは証明しづらいでしょう。居住中に発生した不具合と判断されてしまうと、修繕が無料で行われないケースがあるため注意が必要です。
入居後に修繕を行う場合、家財を移動させたり設備が使えなくなったりなど、生活に不便を感じるでしょう。また、工事のスケジュールがつまっていることを理由に、業者側の対応が遅くなる可能性があります。
内覧会で指摘しないと後悔する場合があるため、気になった点は適宜質問しましょう。
5. マンションの内覧会で後悔しないための4つの注意点

実際にマイホームと対面する内覧会では、不具合をチェックしようという気持ちよりも、ワクワク感が大きいかもしれません。「新築だから不具合はないだろう」と考えて内覧会のチェックを終えると、入居後に後悔するケースがあるため注意が必要です。
ここでは、内覧会で後悔しないために注意する4つのポイントを紹介します。
・遠慮せずに気になる箇所はなんでも聞こう
内覧会でよくある失敗が「遠慮し過ぎてしまう」ことです。小さな傷を見つけたり、図面と異なる箇所に気づいたりしても、立ち会いの業者への指摘をためらう方は多いでしょう。疑問を抱いたまま内覧会を終えると、新しい住まいへの不安を払拭できず、入居してから後悔する可能性があります。
気になる点は、小さなことでも質問することが大切です。実際に口に出して質問すれば、何らかの回答や対応が得られ疑問の解消につながります。
マンションの購入者にとって、不具合があれば指摘して直してもらうことは当然の権利です。内覧会では遠慮せずに、積極的に質問をする姿勢で臨みましょう。
・気が済むまできちんとチェックしよう
内覧会では、所要時間を気にしてチェックが甘くなることがあります。中には時間設定をしている内覧会がありますが、気が済むまでチェックしましょう。
また、内覧会では確認する箇所が多く、夫婦2人などの少人数で出向くとチェック漏れが起きやすくなります。人数制限がないなら、両親や友人などを誘って同行してもらうのがおすすめです。
確認する人数が多くなると、一人では気づきにくい不具合を見逃しにくくなります。さらに、専門知識のある方に同行してもらえば、より詳細にチェックできるため安心です。
・神経質になり過ぎないようにしよう
住まいは人の手によって作られるため、細心の注意を払っても全く傷のない状態で引渡すことは困難です。「小さな不具合まですべて見つけよう」と神経質になり過ぎると、貴重な内覧会を楽しめずに終わってしまいます。
不具合を探すのではなく「完成度を楽しみながらチェックし、気になる点を確認する」という気持ちで臨む方が、内覧会を満喫しやすいでしょう。
・内覧会と引渡しのスケジュールに注意しよう
工期の延長により完成が遅くなったマンションでは、急いで内覧会が行われます。タイトなスケジュールで建てられた物件は不具合が多い可能性があるため、内覧会では入念にチェックしましょう。
また、内覧会と引渡しの間隔が極端に短いマンションでは、不具合が見つかった際は急いで修繕が必要なため、工事の丁寧さに欠けるケースがあります。内覧会を実施する日は、引渡しまでできるだけ余裕を持って設定するのが理想です。
6. マンションの内覧会で確認したい5つのポイント

内覧会の限られた時間で効率的にチェックを進めるためには、事前に確認箇所をまとめたリストを作ることをおすすめします。マンションの内覧会におけるチェックリストの例は、以下の図のとおりです。

ここでは、内覧会で特に重視すべきポイントを5つ紹介します。
・床は傾いていないか、壁は垂直か
床や壁に水平器を当て、住居が傾いていないかをチェックしましょう。水平器は、中央部分の液体にある気泡の位置によって傾きの有無を確認できます。
簡易水平器の場合は精度がやや劣るため、複数の箇所で確認することが大切です。また、床については、歩いたときに「ミシミシ」「ギーギー」のような異音がないかを併せて確認しましょう。
・間取り図・設計図通りか
内覧会では、間取り図や設計図面のコピーをもとにひとつずつ確認していきましょう。実際の住居には、間取り図や設計図面と異なる箇所があるかもしれません。
「コンセントの位置がずれていないか」「個数は違っていないか」など、図面との違いをチェックしましょう。確認が終わった箇所にはマーカーで印をつければ、スムーズにチェックを進められます。
・内装の施工はきちんとしているか
内装のうち、クロスは不具合に気づきにくいため、近づいてじっくり確認しましょう。クロスの継ぎ目は重点的にチェックし、剥がれている箇所や隙間がないかを確認します。
トイレや洗面室など水回りのクロスに隙間がある場合は、湿気によって時間の経過とともに剥がれが大きくなることがあるため注意が必要です。小さな剥がれであっても、気になる箇所があれば指摘しましょう。
・建具や水栓などの動作をチェック
建具や水栓などは、実際に動作確認をすることが大切です。「室内ドア」「収納扉」「窓」は、開け閉めを何度か繰り返して確認しましょう。開閉時にスムーズさがなければ、建付けに問題があります。
ドアの動作確認では、開閉時に床に擦れていないかをチェックします。収納の扉がスムーズに開け閉めできない場合、ネジの調整が悪いため指摘が必要です。
キッチンや洗面所などの水まわりでは「水が出るか」「水栓から水漏れがないか」などをチェックしましょう。
・水まわり・設備器具に不具合はないか
水回りのチェックでは、実際に水を出して確認することが大切です。浴室では、浴槽に水を溜めてから排水しましょう。「水がしっかりと流れるか」「排水がスムーズか」は重要なチェックポイントです。
キッチンや洗面室の水栓は、水の出方と排水の流れを確認しましょう。トイレでは、床と便器がしっかりと取り付けられているかのチェックが重要です。また、換気扇や電気設備のスイッチなどを入れ、きちんと動くかどうかの動作確認をしましょう。
キッチンやお風呂の設備機器は、実際に暮らすうちに初期不良が発覚することがあります。内覧会だけでは分からないような不具合については、入居してから一定の期限を設けて無料で修理をしてもらえる場合があります。アフターサービスの内容や無償修理の対象は、事前に確認すると安心です。
7. まとめ|マンションの内覧会では時間をかけて慎重に確認しよう

マンションの内覧会は、入居前に不具合の有無をチェックできる貴重な機会です。内覧会でのチェックが不十分であれば、入居後に不具合を見つけたとき修繕に追加費用がかかるケースがあるため注意が必要です。
内覧会では確認のために使用する持ち物は忘れずに用意し、当日は住居に傾きがないかや水回りなどを重点的に確認しましょう。少しでも気になる点があれば、立ち会いの業者へ積極的に質問や指摘をすることをおすすめします。
納得のいく状態で入居できるよう、十分に準備をして内覧会に備えましょう。
※2025年4月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。





