「資産価値の落ちにくいマンション」を選ぶための10のポイント

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購入するマンションを検討する際、資産価値の落ちにくさは重要な判断基準の1つです。購入したマンションに永住するつもりであっても、転勤や住み替えなどを理由に、売却が必要となる可能性があります。

売却時にできるだけ高値で取引するためには、資産価値の落ちにくいマンションを選びましょう。今回の記事では、マンションの資産価値について以下の内容を解説します。

  • マンションの資産価値とは
  • 資産価値を左右する10大ポイント
  • 築年数が資産価値に及ぼす影響

資産価値を維持しやすいマンションの選び方を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. マンションにおける資産価値の概要

住み替えに失敗しないための注意ポイント

マンションの資産価値とは、建物や土地などの財産に対する評価額を指します。例えば、あるマンションを3,000万円で買いたい方がいれば、その物件には3,000万円相当の資産価値があると考えられます。また資産価値は、売却時の値段だけでなく、不動産の需要の大きさを示す指標の1つです。

不動産に定価はなく、さまざまな要因によって値段が変動します。例えば、築年数が長くなったり、設備の劣化が進んだりすると、資産価値は落ちやすくなります。一方で、近隣に新しい駅ができたり、エリア自体がブランド化して人気が上がったりすれば、資産価値は向上するのです。

2. マンションの資産価値を左右する10大ポイント

不動産売却時に必要な書類

資産価値の落ちにくいマンションの条件は、大きく分けると以下の3つです。

  • 立地条件がよい
  • 建物の住環境が整っている
  • 管理体制が整備されている

また、マンションの資産価値を見極める際は、立地の不便さや住まいの問題点などのマイナス要素の程度を中心にチェックすることが重要です。ここでは、3つの条件において、マンションの資産価値を左右する合計10個のポイントを解説します。

 ・最も重要な要素である「立地条件」

「資産価値=立地条件」と言われるほど、マンションが建つ場所は重要なポイントです。マンションの設備や管理体制であれば、比較的簡単に改善が可能ですが、立地は変更できません。近隣に新しい駅や学校などができ、立地条件が改善されるケースはありますが、可能性は低いでしょう。

立地条件は簡単に変更できないからこそ、資産価値を考えるうえで最も重要です。ここでは、マンションの資産価値に大きく影響する3つの立地条件について解説します。

交通利便性

交通利便性は、立地条件を判断する重要な要素の1つです。一般的には、駅から近いほど供給数が少なくなるため、資産価値は高くなります。将来的に建物が古くなっても、資産価値は落ちにくいでしょう。

また、駅からの近さに加えて、アクセスのしやすいエリアであることが重要です。ビジネスエリアにアクセスのしやすい立地であれば、資産価値は落ちにくいでしょう。

ビジネスエリアの例は、東京であれば「新宿」「品川」「大手町」、大阪であれば「本町」「京橋」「淀屋橋」などです。また、大雨や事故などのトラブルに見舞われた際に、代わりのインフラが利用できる立地は交通利便性が高いと言えます。

ただし、駅から徒歩10分以上かかったり、ビジネスエリアまでに乗り継ぎが必要だったりする場合は、資産価値に対して大きなマイナスとなる可能性があります。

生活利便性

生活利便性のよさは、マンションの資産価値に大きく影響する立地条件です。例えば、周辺に以下の施設があるマンションは、生活利便性に優れています。

  • 活気のある商店街
  • 商業施設(大型スーパーマーケットなど)
  • 金融機関
  • 郵便局
  • 病院
  • 学校

生活利便性を判断するには、各施設が「ひととおり揃っていること」と「なくなりづらいこと」の2点に着目しましょう。「スーパーマーケットはあるが金融機関はない」「学校はあるが病院がない」など、暮らしに必要な施設が揃っていない立地は不便です。

各施設が揃っていたとしても、廃れた個人商店や診療所が多ければ、将来的に生活利便性は低下するでしょう。また、交通利便性のよい立地は、生活利便性も高い傾向にあります。ただし、同じ最寄駅であっても、駅のどちら側に位置するかによって生活利便性は大きく異なる場合があるため注意が必要です。

街の発展性・成長性

立地条件のよいマンションを探すためには、街の発展性・成長性をチェックしましょう。以下のようなエリアに立地するマンションは、資産価値が落ちにくいとされています。

  • 新しい路線や駅の建設が決定しているエリア
  • 再開発が決定しているエリア
  • マンションを新たに建築する土地が残っていないエリア

その他に、自治体の取り組みや大企業の動向などは、街の発展性や成長性に大きく影響します。例えば、文京区や横浜市などのように、ブランドを確立している街に建つマンションの資産価値は落ちにくいです。

・暮らしやすさの指標となる「住環境」

国土交通省が発表した「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(令和3年9月改訂版)」では、年数が経ち陳腐化するマンションの特徴として、以下の例が示されています。

高経年マンションの陳腐化の例

引用:改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル|国土交通省(令和3年9月改訂版)

陳腐化がすでに進んでいたり、今後発生することが予想されたりするマンションは、将来的に資産価値が低下しやすいでしょう。マンションの陳腐化による資産価値の低下を回避するには「住環境」に着目することが大切です。

住環境とは、建物の設備の先進性や利便性を指します。ここでは、マンションの資産価値を維持するために重要な5つの住環境について解説します。

専有面積の広さ

専有面積の広さは、マンションの資産価値に影響する住環境の1つです。専有面積とは、マンションの居住者が自由に使える以下のような敷地の広さを指します。

  • リビング
  • キッチン
  • 収納スペース
  • トイレ
  • 居室

専有面積が広いほど資産価値は上がりますが、購入時の価格も高くなります。狭いマンションを選ぶと、将来的に売却をする時点で陳腐化が進み、資産価値は低くなる可能性があるため注意が必要です。

ただし、住環境より立地条件の方が資産価値への影響は大きいため、専有面積の広さよりも利便性を優先して選びましょう。

収納や床暖房などの住宅設備

住宅設備は、資産価値の維持に影響する要素の1つです。マンションの住宅設備としては、以下のように専有部分と共用部分の両方が含まれます。

  • 収納スペース
  • 宅配ボックス
  • 郵便受け
  • 掲示板

また、近年では「敷地内のスーパーマーケット」「歩車分離の集中立体駐車場」などの設備を整えているマンションがあります。魅力的な設備は、資産価値を見極める際にプラス要素として捉えられるでしょう。

資産価値の落ちにくいマンションを見極めるには、生活が不便になるほど致命的な設備の劣化・陳腐化が起きていないことが重要です。住宅設備は経年劣化が避けられないため、将来的には資産価値の低下に影響するでしょう。

しかし住宅設備は、買い替えやリフォームをすれば、比較的簡単に新しくできる部分です。生活をするうえで住環境は重要ですが、資産価値の維持の観点で考えると、住宅設備に固執する必要性は低いと言えます。

収納についてはこちら:住まいの見栄えが変わる! 理想のマンション収納を考えよう!

日当たりや風通しなどの快適性

マンションの資産価値を見極めるには、快適性に着目しましょう。買い替えやリフォームによって変更できる住宅設備と比べると、快適性は改善が難しいため、購入時の重要度はやや高くなります。

マンションの快適性において重要な要素は、以下のとおりです。

  • 日当たり
  • 風通し
  • 近隣の交通量(騒音)

日当たりが悪いマンションでは、洗濯物が乾きにくかったり、部屋にカビが発生しやすくなったりとさまざまな問題が発生します。また、購入時は日当たりがよくても、将来的に近隣に高いマンションやビルが建設されれば、日陰になる可能性があります。

別のマンションとの距離が近く、窓が隣接している建物の方角にあれば、風通しは悪くなるでしょう。

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防犯・防災対策などの安全性

マンションの安全性は、資産価値の落ちにくさに影響します。マンションの安全性を見極めるには、オートロックや監視カメラなど、実施されている防犯対策が重要です。また、2011年の東日本大震災以降、防災の意識は高まっており、建物や立地そのものの安全性が重視されています。

マンションを購入する際は、国土交通省が公表している「ハザードマップ」を参考にしましょう。地震だけでなく、洪水や土砂崩れなどのリスクに強い土地に建つマンションを選ぶのがおすすめです。

窓からの展望や広いテラスなどの付加価値

付加価値のあるマンションであれば、評価額は向上します。付加価値のある住環境の例は、以下のとおりです。

  • 窓からの眺望がよい(スカイツリー、東京タワー、富士山などが見える)
  • 各住戸に広いテラスが備わっている
  • 24時間いつでもゴミ出しができる
  • リモートワークや勉強ができるカフェスペースが設けられている

ただし、付加価値はプラス要素であり、マンション選びにおける必須条件ではありません。付加価値がなくても致命的なマイナスにはならないため、固執する必要はないでしょう。

・建物の老朽化に影響する「管理体制」

マンションが古くなるほど、資産価値に大きく影響するのが「管理体制」です。管理体制の整ったマンションでは、状況に応じて適切なメンテナンスが行われるため、老朽化のスピードを抑えられます。

管理体制に不安があるマンションは資産価値が落ちやすいため、購入前に慎重にチェックすることが重要です。ここでは、マンションの管理体制の状況を見極める2つのポイントを解説します。

管理会社の有無

管理体制を確認するためには、管理会社の有無をチェックしましょう。管理会社が入っていれば、マンションの居住者によって構成される「管理組合」が適切に運営されます。

また、管理会社によっては、建物の状態を考慮してメンテナンスを計画したり、大規模改修工事について提案したりする場合があります。管理会社のサポートによってマンションの老朽化が抑えられるため、資産価値の下落防止が可能です。

ただし、管理会社が入っていないマンションであっても、管理体制が機能していないとは限りません。管理組合そのものが機能していれば、必要なメンテナンスは適切に実施されるでしょう。

また、マンションの管理状況は、生け垣などの植栽に最も反映されると言われています。建物や設備は丁寧に管理していても劣化しますが、植栽は手入れするほど美しくなるためです。その他に、マンションの管理体制を判断するには、管理組合の活動を確認したり、組合員に直接話を聞いたりする方法があります。

修繕計画や積立金の有無

修繕計画や修繕積立金の有無を確認することにより、管理体制の判断が可能です。管理組合が正常に機能していれば、将来的なメンテナンスに備えて修繕計画が作成されています。また、計画を実現するためには、居住者から修繕積立金を集めている必要があります。

しかし、特に古いマンションの中には修繕計画がなく、積立金を集めていないケースがあるため、注意が必要です。将来的に必要な修繕が実施されず、居住性の悪化、さらに資産価値の低下へとつながりますので、購入前に確認をすることをおすすめします。

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3. マンションの築年数は資産価値の維持における影響が少ない

マンションの築年数は、購入時の価格を大きく左右する要素です。一方で「資産価値の維持」という長期的な視点で考える場合、築年数は大きく影響しません。なぜなら、新築や築浅のマンションであっても、時間が経てば全て劣化するからです。

例えば、主要駅からやや遠い新築マンションと、都心の駅前に建つ築40年の中古物件を比較した場合、資産価値が高いのは後者です。資産価値の落ちにくさにおいて、劣化に関わる要素よりも、立地のように普遍的な条件の方が高い重要性を持ちます。

したがって、資産価値の落ちにくいマンションを選ぶにあたって、築年数の重要度は低いのです。

詳しくはこちら:【新築or中古】物件選択を徹底解説! あなたに合うのはどっち?

4. まとめ|条件の優先度を考慮して資産価値の高いマンションを選ぼう

マンションは将来的に売却する可能性を見越し、資産価値の落ちにくい物件を選ぶことが大切です。資産価値を維持しやすいマンションを選ぶためには、立地条件を重視しましょう。

立地条件は資産価値に最も影響するため、利便性のよさを優先させて選ぶことをおすすめします。また、資産価値の大幅な低下を防ぐためには、住環境や管理体制に着目し、マイナス要素を省くことが重要です。

ただし、投資用ではなく自分が住むためにマンションを購入する方は、資産価値よりも優先させたい条件があるでしょう。間取りの好みや住みやすさなどの希望条件に加え、資産価値の維持しやすさも考慮してマンションを選ぶことが大切です。

コスモスイニシアでは、新築だけではなく、中古マンションやリノベーション物件も取り揃えています。エリアやこだわりから希望する物件を探せるため、さまざまな条件や間取りの中から自分にピッタリの住まいを見つけてください。


※2025年7月時点での情報です。
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