審査に通らない… 住宅ローンを借りられる人と借りられない人の違い

マンションや戸建てを購入する際、住宅ローンを組む方は多いでしょう。住宅ローンを組むためには、金融機関による審査を通過することが必要です。

今回の記事では、住宅ローンの審査について以下の内容を解説します。

  • 住宅ローンで審査される要素
  • 審査に通る方の特徴
  • 審査に落ちる方の特徴
  • 審査に落ちた場合に住宅ローンを組む方法

住宅ローンの審査に通りやすくするコツを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 住宅ローンを組む際に審査される要素

金融機関が融資の可否を決める際は、申込者が「確実に返済を行う能力があるか、もしくは担保を用意できるか」を審査しています。例えば、公務員は住宅ローンを組みやすいと言われるのは、勤務先の安定性が証明されているからです。

その他に「東証一部上場企業」「従業員数の多い会社」「業歴の長い会社」など、勤務先の経営が安定している方は審査に通りやすくなります。また、収入に対する融資金額は審査対象の1つです。

フラット35の融資条件を例に挙げると、年収400万円未満の場合、収入に対する住宅ローンやカーローンなど(すべてのお借入れ)の返済比率は30%です。年収が400万円以上であれば、返済比率は35%に緩和されます。

例えば、年収500万円の方の場合、年間の最大返済額は500万円×35%=175万円です。住宅ローンを35年、金利1.1%の条件で組むと、場合によっては金利返済分を含めて5,000万円程度の借入を受けることができます。

年収が多いほど、住宅ローンの融資額は増えることが一般的です。ただし、住宅ローン以外に借入がある場合は、その分を差し引いて融資額が算出されます。

2. 住宅ローンの審査に通りやすい方の6つの特徴

住宅ローンの審査に通る代表的なケース以外にも、融資を受けやすくなる条件があります。ここでは、住宅ローンの審査に通りやすい方の特徴を6つ紹介します。

・年収が高い

年収の高さは、住宅ローンの返済能力に直結する要素です。同じ企業に勤務する方(他に借り入れなどが少ない人、勤務年数が同程度の方)を比較した場合、年収が高い方が審査に通過しやすいでしょう。審査の面だけでなく、融資金額を算出する際も有利になります。

ただし、年収が高ければ必ずしも審査に通りやすくなるとは言えません。例えば「自営業の方」「芸能人」「プロスポーツ選手」などは住宅ローンを組みにくいとされています。年収の変動が激しく、収入は一気に伸びる可能性がある反面、大きく下がるリスクもあるためです。

・公的機関や大企業などに一定期間勤務している

勤務先の安定性が高い公務員や大企業に勤めている方は、持続的な収入が見込めます。借入金の返済が滞るリスクが低いため、住宅ローンの審査に通りやすくなります。

さらに、現在の職場での勤務期間が長ければ、審査の際に有利に働くでしょう。長く勤務をしている方は、将来的に重要な役職に付き、年収が上がる可能性が高いためです。一方で、転職したばかりの方は職場に定着できるか明確でないため、審査で不利になる場合があります。

・年齢が若い

融資時の年齢が若ければ、返済期間は長くなり、長期の住宅ローンを組みやすくなります。例えば、30歳で35年の住宅ローンを組む場合、65歳で完済が可能です。さらに40年、50年ローンであれば、月々の支払い額を下げることができるでしょう。

一方で、80歳がローンの完済年齢の上限であるため、50歳以上の方が35年の住宅ローンを組むことはできません。多くの企業では定年を60歳に設定しており、再雇用する場合は65歳が上限とされています。40歳であれば、35年の住宅ローンを組める可能性はあります。ただし、安定収入が途絶える前に退職金などで返済をする必要があり、老後の生活に不安を感じやすいでしょう。

また、若い方は将来的に収入が増える可能性があります。年収が上がる可能性があれば、繰り上げ返済が期待できるため、審査に通りやすいでしょう。

・夫婦で収入がある

一般的に、夫婦で収入がある場合は住宅ローンの審査に通りやすいと考えられます。しかし、必ずしも両者が働き続けるとは限りません。

子どもが生まれると、妻の方が育児休業や退職をすることが多くなります。そのため、夫の勤務先や年収が審査の対象とされるケースが多いです。ただし、妻が大企業に勤務していたり、公務員として働いていたりすれば、審査の際に大きなプラスになります。

夫の勤務先の安定性に不安がある場合は、妻とのペアローンにするという方法があります。夫の年収が400万円の場合、3000万円の融資を受けるのは難しいでしょう。ペアローンであれば、年収400万円の夫が1800万円、年収300万円の妻が1200万円の融資を受けられる可能性が高まります。

・住宅ローン以外に借金がない

車のローンや携帯電話の分割払いなど、毎月の大きな出費がない方は審査に有利と言えます。車のローンを組んでいても、年収に対する返済額の比率が小さければ問題ありません。

その他に、カードローンの借入の有無も審査の対象です。リボ払いの利用や、カードの支払いを滞納した実績がなければ、マイナスには捉えられないでしょう。

・頭金が多い

頭金の額は、住宅ローンの審査において重要なポイントです。頭金を十分に用意していれば、必然的に融資額は少なくなるため、審査に通過しやすくなります。

また、頭金が多く物件金額の1割を超えると、金融機関によっては金利面の条件が良くなったり、審査が通過しやすくなったりします。頭金が用意できる方は、返済が滞る可能性が低いとみなされるケースが多いためです。

  頭金の賢い決め方とは? マイホーム購入で失敗したくない人へ マイホームがほしい!と思い立ったとき、気になるのはやはりお金のことですよね。無理をして支払うと、その後の生活が窮屈になってしまうことも…。この記事では、自分に合った金額を見定めるための方法を解説していきます。 コスモスイニシアの暮らしメディア「kurashiba」

3. 住宅ローンの審査に落ちやすい方の3つの特徴

ここでは、住宅ローンの審査に落ちやすい方の特徴を3つ紹介します。ご自身の状況と照らし合わせ、審査に落ちやすい条件を満たしていないかをチェックしましょう。

・勤務先の安定性が低い、自営業である

経営が不安定な企業に勤めている方は、住宅ローンの審査に通りにくい傾向にあります。大手企業や公務員とは異なり、一定の給料を確実に得られる見込みが低く、収入の変動が激しいとみなされるためです。

また、自営業やフリーランスなどの働き方の場合、同様の理由で審査に通りにくくなります。

・年収が低い

住宅ローンの審査の際、平均年収の低い企業は経営が不安定と判断されるケースが多いです。また、年収が低いと融資額は少なくなります。

審査に通過する年収の目安は300万円以上とされており、低ければ融資を断られる可能性があります。

・借金が多く、カードやローン返済を滞らせたことがある

現在の収入だけではなく、過去の行動も住宅ローンの審査対象です。クレジットカードやローン返済の未払いや破産の実績など、個人信用情報での事故歴がある方は、住宅ローンを組むことが難しくなります。

また、携帯電話料金や税金の滞納歴などを調査される可能性は高く、未払い実績がある場合は審査の際に不利になることがあります。さらに、スマートフォンを分割払いで購入している場合は、返済率に加味して審査されるため注意が必要です。

4. 住宅ローンの審査に通らなかったときの5つの対処法

ここでは、住宅ローンの審査に落ちた場合の5つの対処法を解説します。家の購入に向けて、融資の獲得に取り組みましょう。

・他の金融機関に申し込む

住宅ローンの審査に落ちた場合は、別の金融機関に相談しましょう。金融機関ごとに審査基準は異なるため、銀行によっては融資を受けられる可能性があります。

メガバンクやネットバンクに比べると、地方の信用金庫の方が審査に通る場合が多いです。店舗を持たないネットバンクと異なり、信用金庫では審査時に面談が行われます。面談時に、現在の資金状況や年収が増える見込みなどを話すことで、審査に通過するケースがあります。

・フラット35を利用する

「フラット35」とは、住宅金融支援機構が民間の銀行と提携して融資を行う住宅ローンです。一般の金融機関とは審査基準が異なり、住宅の質の良さが最も重視されます。

例えば「省エネ性の高い低炭素住宅」「長期優良物件」など、地球環境に優しく長期間住める家の場合は、金利の優遇を受けられます。その他に「面積」「用途」「断熱性」「配管」「耐震性」「使用されている技術」などが審査対象です。

新築住宅を建てる際、各基準を満たすようにすれば、融資を受けられる可能性は高まります。一方で中古物件では、高額なリフォームをしないと基準を満たせないことが多いです。中古物件を購入するよりも、新築住宅を建てる方がフラット35の融資を受けやすいでしょう。

また、フラット35では、融資を受けている期間は固定金利であることが特徴です。将来的に固定金利がプラスに働くか、マイナスの影響があるかは一概には言えません。しかし、低金利が続いている現時点では、今後金利が下がる余地は少ないです。そのため、固定金利でローンを組むことが有利になる可能性は高いでしょう。

・安定性の高い職場や職業に転職する

住宅ローンの審査の際は、勤務している企業の安定性が重視されます。経営が安定しており年収の増加が見込める企業に転職できれば、融資は受けやすくなるでしょう。

審査に通りやすくするためには、転職後に数年間勤務した実績を作り、改めて融資を申し込む方法が挙げられます。

・頭金を用意して借入額を減らす

頭金が用意できれば、金融機関からの信用は高まるでしょう。審査に通りやすくするためには、少なくとも住宅購入費の2割程度の頭金を用意することをおすすめします。

また、審査の際に説明できるよう、返済計画を立ててから申し込みましょう。将来的に住宅の購入を検討されている方は、計画的に貯蓄することが大切です。

・借金をすべて返済し、使うカードを限定する

住宅ローン以外の借入を全て返済し、個人信用情報の回復に努めましょう。ただし、個人信用情報が回復するには時間を要し、自己破産などの重大な履歴があれば10年ほどかかると言われています。

また、クレジットカードは1枚か2枚程度に厳選するのがおすすめです。毎月のカードの支払いを最小限に抑えれば、審査に通過する可能性は高まります。

5. まとめ|住宅ローンの審査は努力次第で通過できる可能性がある

住宅ローンを組む際は、返済能力を図るためにさまざまな要素が審査されます。年収や勤務先だけでなく、借入の有無など、審査基準は多岐に渡ります。十分な安定収入があっても、融資額によっては断られる場合があるため、返済計画を立てて申し込むことが大切です。

住宅ローンの審査に落ちても、地方の信用金庫やフラット35であれば融資を受けられるケースがあります。また、本人の努力次第では信用を高められ、審査に通過できる可能性があります。あきらめずに住宅ローンの審査に申し込み、融資を活用してマイホームを手に入れましょう。

※2025年4月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。