審査に通らない… 住宅ローンを借りられる人と借りられない人の違い

マンションや戸建てなど自宅の購入では金融機関からの融資を受ける人がほとんどでしょう。現金一括で買えればもちろん良いのですが、現実には難しいものであり、金融機関の審査を受けて住宅ローンを借りることになります。しかしいずれの金融機関も住宅ローンの貸付は慈善事業ではなく、営利目的で行っているだけに、融資した金額を回収できる見込みのない方には、まず住宅ローンを貸してくれません。
今回は「住宅ローンの融資を受けるにはどんな条件が必要なのか」「借入審査に落ちる方はなぜ落ちるのか」などを知り、住宅ローンを借りるためにはどのような準備をしていけばよいのか詳しく見ていきましょう。

目次

住宅ローンの融資では何を審査しているのか
住宅ローンの審査に通る人の特徴
年収が高い
公務員や大企業などの社員で一定期間勤務をしている
融資時の年齢が若くて返済期間が長く、収入が上る可能性が高い
夫婦で収入がある
住宅ローン以外に借金がない
頭金が多い
住宅ローンの審査で落ちる人の特徴
勤務先の安定性が低い、自営業者である
年収が低い
借金が多く、カードやローン返済を滞らせたことがある
フルローンに近い融資額である
審査が通らなかったときの対策
他の住宅ローンに申し込んでみる
フラット35を利用する
安定性の高い職場に転職する
頭金を用意して借入額を減らす
借金をすべて返済し、使うカードを限定する
まとめ

 

住宅ローンの融資では何を審査しているのか

まず金融機関が融資を審査する時に、申込人の何を審査しているのでしょうか。結論から言いますと、「確実に返済を行える能力がある、もしくは担保を用意できる」という点になります。よく公務員は住宅ローンを組みやすいと言われますが、それは勤務先の安定性がずば抜けているからです。また、東証一部上場企業や従業員数の多い企業など、経営が安定していて、かつ倒産しにくい企業に勤務しているか、という点も審査のポイントです。そして、収入に対する融資金額ももちろん重要です。

例えばフラット35の融資条件では年収400万円未満の場合は、年収における住宅ローンやカーローンなどの返済比率が30%であり、年収400万円以上になると、返済比率が35%と緩和されます。年収500万円の場合、最大で500万×35%=年間175万円の返済がおおよその年間での上限金額になります。これを35年ローン、金利1,1%でローンを組んだとしたら金利返済分を含めて6,000万円以上まで借りることも、場合によっては可能です。もちろんそこまで借りる人はなかなかいませんが、年収が多ければ多いほど融資額も増えます。

ただし、住宅ローン以外に借入金やローンがある場合はその分を差し引いて計算されるということも意識しておきましょう。審査の主なポイントをまとめると「確実な定収入が得られる「年収に対する借入金額」の2点となります。また、ケースとしては少ないのですが、評価の高い担保を持っていることも有利に働きます。

 

住宅ローンの審査に通る人の特徴

審査で見られる条件をそのまま満たしている人が通りやすいのは事実ですが、具体的にはどのような人なのでしょうか。ここではケース別に特徴を見ていきましょう。

 

・年収が高い

まず本人の年収です。年収が高いということは当然ながら住宅ローンの返済能力に直結しますので、融資金額の面でも、審査面でも有利に働きます。同じ企業に勤務していて、他に借り入れなどが少ない人同士を比較した場合、もちろん年収が高い人の方が審査は通過しやすいでしょう。
ただし、自営業や芸能人、プロスポーツ選手が住宅ローンを組みにくいと言われるように、必ずしも年収が高いからといって審査が有利になるとは言い切れない側面があります。自営業の人や芸能人は年収の上下変動が激しく、一気に年収が伸びることもあれば、全くなくなってしまう可能性があるからです。ちなみにスポーツ選手は怪我で全く働けない、引退するなどのリスクもありますので、現金で家を購入することが多いようです。

・公務員や大企業などの社員で一定期間勤務をしている

前にも触れましたが、勤務先の安定性が高い人は、融資先からすれば、定収入が見込めて借入金の返済が滞るリスクが低いので、審査が通りやすくなります。さらに有利に働く条件として、現在の勤務先での勤務期間が長いということも審査に通過しやすくなる要因となるでしょう。長く勤務をしている人はその企業で重要な役職に付き、年収がアップする可能性も高くなります。逆に転職したばかりという人では、せっかく安定性の高い職場で勤務をしていても職場に定着できるか先が不透明という審査をされてしまう可能性があります。

・融資時の年齢が若くて返済期間が長く、収入が上る可能性が高い

次に年齢ですが、例えば50歳を超えた人が35年ローンを借りることは難しいでしょう。完済時の年齢が85歳となりますし、多くの企業では60歳を定年、その後に本人が望んで仕事を続けたとしても65歳が上限となっているからです。40歳で35年ローンを組める可能性は高いと言えますが、収入が途絶える前に退職金などで返済をしなくてはいけないので、老後の生活に不安が残るでしょう。
しかし、30歳で35年ローンを組む場合は、65歳で完済できます。それより若い年齢であれば定年前に完済できるので、生活も安定するでしょう。さらに若い年齢の時に住宅を買えば、その後収入が高くなっていき、繰り上げて返済できる可能性もあります。従って、30歳の年収450万円と、40歳の年収450万円では前者の方が融資を受けやすいという見方もあります。

・夫婦で収入がある

夫婦で収入があっても、必ずしも両方がずっと働き続けるとはいえません。大抵の場合、子供が生まれれば女性の方が育児休業や退職をすることが多くなるので、結局は夫の勤務先や年収が審査の条件として見られます。しかし、妻が大企業に勤務していたり、公務員として働いているということであれば、審査には大きくプラスになるでしょう。夫の勤務先の安定性がない場合は、妻とのペアローンにするという手もあります。年収400万の夫が3000万円の融資を受けるのは難しいですが、ペアローンで年収400万の夫が1800万、年収300万の妻が1200万の融資を受けられる可能性が高まります。

・住宅ローン以外に借金がない

年収に対する返済比率で融資可能な金額が変わってくることは先にお伝えしました。しかし、大きな買い物が多く、住宅ローンの返済に回せる余裕がないと見なされる人は、なかなか審査には通過できないでしょう。カードでの支払が多く定期的な出費がある、車のローンを組んでいてその支払い額の年収に対する比率が大きい、その他奨学金の返済などがあれば住宅ローンの返済は難しくなるでしょう。そういった毎月の大きな返済がない人が審査には有利となります。

・頭金が多い

頭金を多く用意することも審査を通過するための大きなポイントです。金融機関によっては、融資額が物件価格の9割を超えると、金利面での条件が悪くなったり、審査が厳しくなったりします。これは頭金を用意できない人は、返済が滞る可能性が高いと見なされる傾向があり、金利によって融資したお金を返済してもらおうという考えがあるからです。頭金を十分に用意しておけば、必然的に融資金額も少なくなるので、審査が通過しやすくなります。

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住宅ローンの審査で落ちる人の特徴

それでは逆に住宅ローンの審査で落ちやすいのはどんな人でしょうか?審査に通過しやすい人の裏返しとも言えますが、ケース別にその特徴を見ていきましょう。

・勤務先の安定性が低い、自営業である

倒産の可能性が高い企業、自営業やフリーランスは融資が受けにくくなっています。
公務員とは真逆で定収入を確実に得られる見込みが低く、収入の上下変動が激しいと見なされるからです。

・年収が低い

審査において平均年収の低い企業は往々にして安定性の低い企業と見なされるケースが多いようです。また、年収が低いと借りられる金額も少なくなりますので、有利に働くことはありません。

・借金が多く、カードやローン返済を滞らせたことがある

さらに審査では現在の収入だけではなく、その人自身のそれまでの行動も見られます。住宅ローンは多くの人にとって、一生でいちばん大きな金額の借金になりますので、まさにその人の人生が見られると言っても過言ではありません。それまで破産歴がある、カードやローンの返済ができなかったことがあるなど、いわゆる個人信用情報での事故歴がある人は住宅ローンを借りるのが非常に難しくなります。
審査のときに金融機関は、その人の過去の経歴もチェックします。また、借り入れだけではなく、携帯電話料金や税金の滞納歴なども調査される可能性が高く、滞納があった場合は審査の上で不利になることがあります。昨今ではスマートフォンの分割払いをしている人が多く見受けられますが、分割払いも返済率に加味して審査がなされるため、より注意が必要です。

・フルローンに近い融資額である

ほとんど頭金がなく、住宅ローンを申し込む場合は、審査に落ちる可能性があるでしょう。頭金や諸費用の出処を申告することが多いので、頭金が用意できない、貯金がないという人は審査を通過するのはかなり厳しいでしょう。貯金が無いということは、貯蓄計画が立てられない、従って返済計画も立てられない人であると見なされてしまいます。

 

審査が通らなかったときの対策

それでは住宅ローンが通らなかった時には、とのような対策をすれば融資を受けられる可能性が高くなるでしょうか。考えられる対策としては、以下のようなものがあります。

・他の住宅ローンに申し込んでみる

傾向として、ネットバンクの住宅ローンは金利が低いかわりに、融資条件が厳しくなることがあります。金利が低いということは、金融機関にとっては収入が減るわけですから、その分確実に回収できる人のみを融資の対象としているわけです。またネットバンクよりも地方の信用金庫の方が審査に通りやすいというケースもあるようです。ネットバンクは店舗を持たない場合が多いので、面談を実施してくれることは少ないですが、信用金庫では面談があることが多いです。
そこで現在の状況や先々で収入を増やしていける見込みがあるなどの、個人的な事情を話せば、審査が通過するというケースもあります。金融機関によってそれぞれ審査基準は異なるので、一つの金融機関に落とされても、気にせず新しい金融機関に申し込んでみるという考え方もあります。

・フラット35を利用する

フラット35は一般の金融機関と異なり、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して融資を行っている住宅ローンです。審査基準が一般の金融機関とは異なり、「質の良い住宅であるかどうか」が最も重要視されるのです。フラット35では「住宅の技術点」という独自の査定ポイントがあります。たとえば、省エネ性の高い低炭素住宅や長期優良住宅など、地球環境に優しく、長い期間住むことができる住宅を建てた場合には、金利の優遇を受けることができます。これはフラット35のホームページにも記載されていますが、面積や用途、断熱性や配管、耐震性や使用されている技術など細かい面まで見られるものになっています。新築住宅を建てて、これらの基準を満たすようにしていけば、本人の収入や安定性が多少低くても、融資を受けられる可能性は高まります。逆に中古住宅では技術基準を満たすために、高額なリフォームなどをしないといけないケースがあるので、新築住宅を建てるほうがフラット35の融資を受けやすいでしょう。

もう一つのフラット35の特徴として、融資を受けている期間はずっと固定金利であることが挙げられます。これが将来的にプラスに働くか、マイナスになるのかは一概には言えません。しかし、低金利時代が到来している現時点では、これから金利が下がる余地も少ないため、固定金利でローンを組むことが有利になる可能性は高いと言えるでしょう。

・安定性の高い職場や職業に転職する

住宅ローンの審査に関しては、安定性が重視されることは、これまでにお伝えした通りです。決して簡単なことではありませんが、安定性が高く年収も見込まれる企業等に転職できれば融資は受けやすくなるでしょう。そこで数年間勤務実績を作り、改めて融資を申し込んでみるのも一つの手段かも知れません。

・頭金を用意して借入額を減らす

頭金が用意できれば、金融機関からの信用性は高まります。頭金によって借入金が少ない方が審査は有利であることは先にも触れましたが、少なくとも住宅購入費の2割程度の頭金を用意することをおすすめします。住宅の購入を少しでも検討されるなら、計画的な貯蓄をしましょう。また、審査の際に説明できるような返済計画を立ててから申し込むようにしましょう。

・借金をすべて返済し、使うカードを限定する

個人信用情報が回復するには短くない時間を要し、自己破産など重大な履歴があれば10年ほどかかるとも言われています。まずは住宅ローン以外に負担しているローンを全て返済し、個人信用情報をきれいにしましょう。クレジットカードは1枚か2枚程度におさえて、毎月の支出最小限にすることで、審査に通過できる可能性が高まるかもしれません。

 

まとめ|住宅ローンの審査はシビアですが、本人の努力次第では通過できるようになる可能性も残されている。

住宅ローンの審査はシビアですが、本人の努力次第では通過できるようになる可能性も残されています。
これまでにご説明してきました通り、住宅ローンの審査は大変シビアなものです。過去に少しでも金融機関の信用を失うようなことをした人が、その信用を取り戻すためには、とても時間がかかり、信用されるための実績を作る必要があります。個人信用情報を塗りかえることは不可能ですが、過去を省みて、同時に収入を増やす努力をすれば、審査にはきっと有利に働くことでしょう。

2017/09/29時点での情報です。