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特別コラム

須田慎一郎が指摘する〝Xデー〟リスクの可能性

まさに「想定外」の出来事となった、トランプ氏の大統領就任。
さて、このことによって何が起きるのか?とりあえず日本のマーケットは〝円安、株高〟の方向に振れ、トランプショックという事態にはならなかった。
果たしてこうした状況はいつまで続くのか?トランプ相場に沸くマーケットだが、その裏に潜むリスクをズバリ見通す。

「想定外」に終わった米大統領選挙

今年もまたいろいろと「想定外」の出来事が相次いだと言えるのではないだろうか。
読者の皆さんにとって、今年一番の「想定外」の出来事と言えば、果たして何だったのだろうか? そんなランキング付けをしながら年末年始を過ごすというのも、また一興だろう。

当コラムとして、今年一番の「想定外」の出来事を挙げるとするならば、やはり何と言っても、このことを置いて他にはないはずだ。そのこととは、アメリカの大統領選挙で、ドナルド・トランプ氏が当選したことだ。
トランプ氏当選に最も敏感に反応したのが金融マーケットで、氏の当選がほぼ確実となった11月9日14時頃、東京株式市場では日経平均株価が前月比で一時1000円超も下落し、1万6000円台を付けるに至った。また東京外為市場でも前月比3円超の円高と、一気に「ドル売り・円買い」が進んだ。
ところが翌10日には、前日とは一転してトランプ新大統領に対する期待が一気に広がり、日経平均株価は前日比で1092円高と急上昇し、今年最大の上げ幅となったのである。
まさにジェットコースター相場そのものだ。こうしたことからも明らかなようにアメリカの政治状況次第で、日本経済はこれほどまでに大きな影響を受けてしまうのだ。
とは言え、マーケットがトランプ登場を大きく評価するのも当然だ。なぜなら、トランプ氏は大統領に就任後、以下の政策に着手するとしているからだ。

①10年間で1兆ドルのインフラ投資
②連邦法人税率を35%から15%に、個人所得税率を引き下げ
③エネルギー及び金融の規制緩和

国内政策に関しては、この3つが柱だ。本当にこの政策が実行に移されたならば、米国経済はバブル状態に突入するだろう。いや、期待先行で、もう既にバブルに突入しつつあるのが実情だ。
しかしバブルはいずれ弾ける。その潮目の変化に要警戒だ。
いずれにしてもトランプ氏の言動に、日本経済も大きな影響を受けることになるのは必至だ。

白旗を上げた黒田日銀総裁

さて「想定外」と言えば、このことも私たちにとっては、そうだったのではないだろうか。

日銀は10月31日~11月1日にかけて金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇目標の達成時期の見通しを従来の「2017年度中」から「18年度頃」へと改めた。
この〝変更〟の意味するところは、極めて重大だ。そもそも黒田日銀総裁の任期は、2018年4月8日まで。つまり黒田総裁率いる日銀は、総裁在任中の目標達成がほぼ不可能であることを認めたも同然なのだ。
総裁就任当初、黒田総裁は「異次元の金融緩和策(いわゆる〝黒田バズーカ〟)に踏み切ることで、日本経済は2年程度でデフレ状態から脱却し物価上昇率2%を達成出来ると、まさに自信満々だったと言っていい。
ところが黒田総裁自身の任期である5年間での達成は無理と言い出したのだから、まさに〝白旗〟を上げたのも同然と見ていいだろう。
さて今後大きな問題になってくるのは、日銀がいつ、そしてどのような形で、「異次元の金融緩和策」を店仕舞いするのか、ということに他ならない。
日銀は、この「異次元の金融緩和策」に踏み切ったことで、それこそウルトラメタボ体形になってしまった。国債やETFを手当たり次第に買い続けたことで、日銀のバランスシートは限界近くまで膨れ上がってしまったと言っていいだろう。
今や、日本の国債マーケットと株式マーケットは、完全に官製相場と化してしまっているのが実情だ。日銀が買うから、国債価格は上がる(金利は下落)、株価が上がる、というのが今のマーケットの実情なのだ。
いずれにしても日銀が今の行動を取り続ける限り〝円安、金利安、株高〟は続き、アメリカのマーケットと同様に日本のマーケットもまたバブル的状況を示すことになるだろう。 ここで言う〝バブル的状況〟とは、資産バブルということに他ならない。従って、不動産価格もジリジリと上がっていくことになる。

「Xデー」のリスクに備えよ

ならば日銀が買えなくなってしまったら、マーケットはどうなってしまうのだろうか。考えただけでも、ゾッとする話ではないか。私たちは、そうした状況が現実のものとなることも考慮に入れた上で投資戦略を考えるべきだろう。

筆者としては、マーケットがこれまでと一転して「金利上昇・株価下落」に振れる〝Xデー〟はここ1~2年のうちにやってくる可能性が高いと考えている。
そしてその〝Xデー〟のトリガーを引く可能性が高いのが、他ならぬトランプ新大統領ではないかと筆者は見る。
日銀の異次元の金融緩和は、確実に〝円安、ドル高〟を呼び込む。そしてそうした状況は、間違いなくアメリカの輸出産業にダメージを与える。このことをトランプ新大統領が問題視し始めた時、〝Xデー〟リスクは高まるだろう。
とは言え〝Xデー〟を回避する方法が無いわけではない。
〝Xデー〟を回避するための最善の策は、本格的な景気回復、具体的には経済成長率3%以上の達成を実現させるために、外需依存から内需依存にシフトすることだ。筆者としては、3%成長の達成はそれほど困難なことではない、と見ている。
3%成長を実現するためのポイントは個人消費をいかに拡大させていくかにかかっているといっていいだろう。
輸出の要となるのは、アメリカと中国なのだが、どちらの国の経済状況もとりあえず成長軌道を描く形で推移しているため、ここは期待できるだろう。
問題は、GDPの6割弱を占める個人消費だ。どうにもここ近年個人消費が低迷しており、本格的な景気回復の実現を妨げている大きな要因となっている。
個人消費が安定的に成長していくためには、どうしても所得・収入の増加が必要となってくる。ところがその所得・収入の増加が全く見込めないのだ。日本の失業率は、世界の先進国の中では最低水準とも言える3.0%にまで低下。にもかかわらず実質賃金は上昇する気配すら見せない。
その最大の理由は、日本の主要輸出産業が生産する製品、自動車、エレクトロニクス、家電、電子部品、機械が、まさに過酷な価格競争にさらされているからに他ならない。
つまり製品価格が上がっていかないために部品単価、手間賃、工賃、取り引き単価の上昇 が見込めず(むしろ下がっている)、中小零細企業の業績回復が見込めないのだ。このため 大企業の社員は別として、中小零細企業で働く労働者の賃金は一向に上昇に転じていかないのである。

期待が持てる「民泊」ビジネス

こうした状況を受けて、個人消費を代替する意味で期待が集まっているのが、インバウンド、つまり外国人観光客による消費だ。

しかしインバウンドの拡大を図っていくためには、日本が大きなボトルネックを抱えていることは明らかだ。そのボトルネックとは他でもない、今以上にインバウンドを受け入れるためには、宿泊施設が圧倒的に不足しているのだ。
もちろん今後、ホテルなど宿泊施設の建設は加速度的に進んでいくだろう。しかしそれでも 圧倒的な供給不足は解消できないだろう。
そうした状況を受ける形で、政府は「民泊」の解禁へ向けてのルール作りに着手し始めた。
こうした一連の流れの中で「民泊」を捉えてみると、それが日本の成長戦略の一端に位置づけられることは確実だ。
だとすれば、これからは「民泊」を意識する形での不動産投資も大いに期待できるだろう。

 

経済ジャーナリスト 須田慎一郎氏
経済ジャーナリスト。 1961年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。
経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリスト転身。
「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続けるかたわら、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」、ニッポン放送「あさラジ」他、テレビ、ラジオの報道番組等で活躍中。
平成19年から24年まで、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。

▶著書
『偽装中流 中間層からこぼれ落ちる人たち』KKベストセラーズ、2016年1月
『アベノミクスが激論で解けた!』小学館、2013年4月
『金融資産は今すぐ現金化せよ』KKベストセラーズ、2008年
『ブラックマネー』新潮社、2008年

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