老後はどうする? 終の棲家を考えた過ごしやすい間取りとは
現在の家に暮らしにくさを感じ、老後の住み替えを検討する方は多いでしょう。子どもの独立や定年退職によりライフスタイルは大きく変化するため、老後は住まいに不満を感じやすくなります。快適な老後生活を送るためには、理想の「終の棲家」を見つけて住み替えるのがおすすめです。
今回の記事では、老後生活で重要な終の棲家について以下の内容を解説します。
- 終の棲家とは
- 老後における生活の変化
- 老後に暮らしやすい家を見極めるポイント
- マンション・一戸建てにおける老後生活の送りやすさ
- 理想の終の棲家が見つからない場合の対処法
老後生活を快適に過ごせる家を選ぶヒントを紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. 「終の棲家」とは人生の最期を過ごす住まい
「終の棲家」とは、生涯を終えるまで過ごす住まいを指します。将来的に訪れる老後生活を想定し、年を重ねても住みやすい家について考えておくことが大切です。
今の住まいを、結婚や出産などのタイミングで購入された方は多いのではないでしょうか。若いときに購入する住まいは、家族全員が快適に暮らせる空間を意識して選ばれることが多いです。しかし、年月が経つにつれて家族のライフスタイルは変化します。
特に老後生活がスタートする時は、子どもの独立や定年退職によりライフスタイルが大きく変化しやすいタイミングです。そのため、老後はマイホームを手放し、終の棲家へ住み替えたいと考える方が増えています。
詳しくはこちら:老後のことを考えて住み替える? タイミングや気を付けるべきポイントとは
2. 老後のライフスタイルにおける3つの変化
年を重ねるとライフスタイルは大きく変化するため、同じ住まいでも暮らしの快適さは異なります。ここでは、老後のライフスタイルにおける代表的な3つの変化について解説します。
・子どもの独立や定年退職
家族全員のライフスタイルが考えられた広い間取りの家では、子どもが独立した後に「部屋が多すぎる」と感じることがあります。空いた子ども部屋を物置として使っている場合であっても、定期的な掃除や空気の入れ替えなどが必要です。一戸建ての場合は子ども部屋が2階にあることが多いため、掃除の度に階段を昇り降りすると足腰に負担がかかります。
また、定年退職をして家で過ごす時間が増えると、自宅の不便さが気になりやすくなります。郊外の一戸建てに暮らしていた方が、老後の生活を考えて利便性のよい都市部に住み替えるケースは多いです。
・加齢によって足腰が弱くなる
年を重ねると、身体機能の低下や運動不足によって筋肉が落ちやすくなります。筋肉量が減少すると足腰の動きが悪くなるため、階段の昇り降りがつらく感じるでしょう。
二階建てや段差の多い家に住んでいる方は、足腰が弱くなったときに不便さを感じやすいため、老後に暮らしやすい家へ住み替えるケースが多くあります。
・今の住まいに不満が出てくる
仕事や子育て中心の生活をしていた頃に購入したマイホームは、当時の理想に合った間取りになっているでしょう。例えば「子どものための広い部屋」「デザイン性に富んだ内装」「2階にリビングを配置した住まい」などが挙げられます。
2階に配置されたリビングには明るく暖かな陽射しが入ることから、家族団らんの場としてイメージの良い間取りです。ただし、老後には2階のリビングが使いづらくなる可能性があります。
食事や外出時など1日に何度も階段を昇り降りするのは、加齢で体が弱まることを考えるとかなり辛いでしょう。子どもを中心に考えた間取りや古くなった設備に対して不満を感じたことをきっかけに、住み替えを検討する方は多いです。
3. 老後に暮らしやすい家を見極める2つのポイント
終の棲家への住み替えを考えたとき、身体のことを考えて使いやすい間取りを選びたい方は多いでしょう。ここでは、老後に暮らしやすい家を見極めるポイントを2つ紹介します。
・バリアフリーが考えられた間取り
階段や段差のある家の場合、体力が低下し足腰の弱まる老後は不便に感じやすいでしょう。また、自宅にある段差で転ぶシニア世代は多いため、転倒事故を防げるようにバリアフリーが考えられた間取りをおすすめします。
室内の段差はできるだけなくし、転倒事故を防ぐようにしましょう。手すりを「廊下」「トイレ」「浴室」などに設置すれば、足腰が弱くなっても体を支えられるため安心です。また、車椅子が必要になるケースを考えて、廊下の幅は十分にあるかを確認しましょう。
例えば、快適な老後生活が送れる家として、リビング・ダイニングと和室が隣り合う以下のような間取りが挙げられます。
シニア世代のうち、和室で足を伸ばしてくつろぎたい方は多いでしょう。和室とリビングを隔てる扉は引き戸にし、普段は開けておけば開放感のある空間になります。
また、年を重ねると部屋の寒さで体調を崩す方が増えるため注意が必要です。リビングが南側に面しており、床暖房が入っている家であれば、暖かく快適に過ごせるでしょう。
・生活動線や家事動線の考えられた間取り
生活動線や家事動線は、住み始めてから不満を感じやすいポイントです。老後に住み替えをするのであれば、動きやすさや効率のよさを考えられた間取りを希望する方は多いでしょう。
以下の間取りでは、玄関からリビングまでが直線の廊下でつながれています。加齢により足腰が弱くなっても、直線的に動ける間取りであればスムーズに移動しやすいでしょう。
また、リビング・キッチンの近くに洗面所や浴室があり、動線は短めです。年を重ねると、浴室での事故が増える傾向にあります。リビングから近い場所に浴室があれば、万一の際には同居している方が異変に気づきやすいでしょう。
洋室すべての入り口ドアが「引き戸」であることは、老後に暮らしやすい家のポイントです。一般的な住宅によく利用されている「開き戸」の場合は、開閉のために一度体を後退させる必要があります。
一方で、引き戸は扉を横にスライドするだけなので出入りしやすく、車椅子生活になってもスムーズに移動できます。生活動線や家事動線の短い間取りを選べば、老後に快適に暮らせるでしょう。
4. 老後生活を考慮した場合のマンション・一戸建ての魅力
老後を見越して住み替える家を探すにあたって「マンション」と「一戸建て」のどちらにするか迷う方は多いのではないでしょうか。ここでは、老後の暮らしを考慮したときのマンションと一戸建ての特徴を解説します。老後生活におけるメリットはそれぞれ異なるため、希望の条件に合った住まいを選びましょう。
詳しくはこちら:【マンションVS一戸建て】買うならどっち? 11項目から徹底比較!
・マンションの特徴
近年は、終の棲家としてマンションを選ぶ方が増えています。ここでは、老後の生活におけるマンションの主なメリットと注意点を紹介します。
ワンフロアで生活でき階段の負担が少ない
マンションにはエレベーターが設置されているため、自宅まで階段を使う必要はありません。また、2階のない住まいであり、ワンフロアで生活できます。
老後に足腰が弱っても階段を使う機会が少ないため、快適に暮らしやすいでしょう。
建物の管理を自分でする必要がない
一戸建てに住む場合、外壁の塗装や庭の手入れなどの管理は、すべて自分で行います。一方でマンションであれば、管理費に共用部分の保守代が含まれており、自分でメンテナンスを行う必要はありません。
「管理の楽さ」というメリットから、終の棲家としてマンションを選ぶ方は多いです。
セキュリティが高い
老後にマンションに住むメリットとして、セキュリティが高いことが挙げられます。オートロックの設備があることはもちろん、管理人が常駐または通勤している点もマンションに住む利点です。
耐震性と共用部分は要チェック
終の棲家として長く住むなら、マンションの耐震性や共用部分をチェックしましょう。耐震性を考えるときに注目すべきは「旧耐震基準」と「新耐震基準」です。
旧耐震基準は「震度5程度の地震では倒壊しない」という規定でした。それに対して、新耐震基準では「震度6以上の強い地震では倒壊せず、人命を守れること」が規定されています。
新耐震基準は、1981年6月以降に確認申請をして建築されたマンションで採用されています。旧耐震基準の建物であっても危険とは言い切れませんが、判断材料のひとつとして建てられた年を重視する方は多いです。
また、マンションの共用部分に段差があるかや、廊下の広さをチェックしましょう。エレベーターがあっても、エントランスやホールに段差が多いと転倒する危険性が高くなります。
また、車椅子を使うケースを考えた場合、共用部分に段差があると不便です。共用廊下については、車椅子でスムーズに通行できる広さがあるかを確認しましょう。
・一戸建ての特徴
子育てや仕事から解放され「老後は第2の人生を楽しみたい」と考える方は多いでしょう。一戸建てであれば暮らす際の制限が少なく、理想の生活を叶えやすいことが魅力です。老後の生活における一戸建ての主なメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
近隣住民を気にせずのんびりと過ごせる
マンションとは異なり、一戸建てでは上下階からの生活音を気にする必要がありません。また、自分の生活音が近隣住戸に伝わりにくく、プライバシーが守られます。
郊外でのんびりと暮らしたい方は、一戸建てを選ぶとよいでしょう。駅やバスなどの公共交通機関の本数は少なめですが、自然を身近に感じながらゆったりと生活できることが魅力です。
自分の趣味に没頭できる
一戸建ての魅力は、部屋や庭などを趣味のスペースとして活用できることです。最近は、老後に家庭菜園を趣味にしている方が増えています。一戸建てであれば、庭を自由に活用できるため、家庭菜園を始めやすいでしょう。
日中に庭いじりを行えば生活のリズムが整い、健康的に過ごせます。また、自分が育てた野菜が食卓に出ることが楽しみとなり、日常生活に張りが生まれるでしょう。
5. 理想の終の棲家が見つからない場合の対処法
終の棲家を探していても、実際に理想的な家を見つけるのは困難です。また、住み替えを検討している方の中には、慣れた家を離れることに抵抗のある人は多いでしょう。
ここでは、理想の住み替え先が見つからない場合に、現在の家を老後も暮らしやすくする方法を紹介します。
・減築して使う部屋を厳選する
「減築」とは、部屋を増やす「増築」とは反対に、住まいの面積を減らすことを指します。一戸建ての場合、我が子が独立すれば子ども部屋を使わなくなることが多いでしょう。
使わない部屋であっても、掃除や空気の入れ替えをしなければ住まいが傷んでしまうため、管理に手間がかかります。また、子ども部屋は2階に設置されていることが多く、頻繁に階段を昇り降りするのは大変です。
2階を減築して平屋にすれば、階段の昇り降りが不要になります。また、居住面積が減ることで全体的に生活動線が短くなり、室内を移動する負担が軽減されるでしょう。
・リノベーションでバリアフリー化する
「室内の段差を解消する」「毎日使う場所に手すりをつける」などのリノベーションによって、老後に安心して暮らしやすくなります。また、間取りを全体的に変える大がかりなリノベーションを行うと、快適性が格段に向上するでしょう。
部屋数が多ければ、壁を取り払って広々としたワンルームに変える方法があります。リビングと寝室を近くに配置すれば、足腰が弱くなっても楽に移動しやすいでしょう。
また、家の中での転倒事故を防ぐためには、滑りにくい床材へ変える方法がおすすめです。廊下や部屋の床はもちろん、お風呂の床も滑りにくい素材に変えれば安心して入浴できます。家の中の扉をすべて引き戸に変えれば、車椅子生活になってもスムーズに移動が可能です。
詳しくはこちら:おしゃれに! 安く! 中古マンションをリノベーションする時に知りたい5つのこと
6. まとめ|老後生活をイメージして「終の棲家」に適した住まいを選ぼう
ライフスタイルの変化や加齢の影響によって現在の家に不満を感じ、老後の住み替えを考える方は多いです。住み替える家を探す際は、老後に暮らしやすいよう、段差の少なさや生活動線をチェックしましょう。
マンションに住み替えれば階段がなく、自分で建物の管理をする必要はありません。一戸建ての場合は、部屋や庭を趣味のスペースとして活用しやすいことが特徴です。理想の「終の棲家」が見つからなければ、現在の住まいが老後でも過ごしやすくなるように、減築やリノベーションをする方法があります。
実際に足腰が弱くなり、生活しづらくなってから住み替えを考える場合は、家探しや引越しが大きな負担となるため注意が必要です。老後を見据えて住み替えをするなら、仕事を続けている間に探し始めることをおすすめします。
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※2025年5月時点での情報です。
※記事内で使用している間取り図、写真、図等はイメージです。