理想のキッチン間取りとは? 知っておきたいキホンまとめ
新しい住まいの購入やリフォームを考えるときに、キッチンを重視する方は多いでしょう。キッチンは毎日使うからこそ、おしゃれで気分よく料理できるお気に入りの空間にしたいスペースです。
理想のキッチンを叶えるためには、自分や家族のニーズを見定めたうえで快適に使える間取りを選ぶことが大切です。そこで今回の記事では、キッチンの間取りについて以下の内容を解説します。
- キッチンの基本的な動線
- 6タイプの間取り
- キッチンの間取りにおける注意点
使いやすくおしゃれなキッチンを叶えるヒントを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. キッチンの基本動線をチェック
理想のキッチン空間を実現するにあたって「キッチンの動線」を考えましょう。「動線」とは、建物の中で居住者が自然に行動する際に通る経路です。
キッチンの動線は「居住者がキッチンの中で通る経路」であり、シンプルであるほど調理を行う際の動きの無駄を省けます。ここでは、シンプルな動線をつくるために重要な2つのポイントについて解説します。
・調理の流れに合わせて設計する
キッチンの動線を考えるにあたって、日頃の家事における一連の流れを思い返しましょう。料理をつくる際は、以下のような流れで行動することが一般的です。
- 冷蔵庫から食材を取り出す
- シンクで洗う
- 作業台にまな板を設置しする
- 食材を刻む
- コンロに用意した鍋で加熱調理する
- 食器棚から食器を取り出す
- 完成した料理をお皿に盛り付ける
- ダイニングテーブルまで運ぶ
また、食事のあとは以下のような流れで片付けをします。
- 食器をさげる
- シンクで洗う
- 乾燥棚で乾かす
- 布巾で拭く
- 再び食器棚に戻す
これらの一連の動作がスムーズに行えるよう、キッチンの空間を設計することが大切です。
・ワークトライアングルを意識する
キッチン動線を考える際によく使われる言葉が「ワークトライアングル」です。ワークトライアングルとは、キッチンでの作業のポイントとなる「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」の3つを結ぶ作業動線を指します。
3つの場所がバランスの取れた距離で配置されていると、効率良く作業が進むとされています。以下の図のように「コンロ・シンク・冷蔵庫」を行き来する距離の合計が、3.6〜6.6メートルに収まる状態が理想的です。また、それぞれの場所への距離は、1.2メートル以上が適切とされています。
それぞれの距離が1.2メートル以上あれば、十分な配膳・収納・作業スペースの確保が可能です。反対に、必要以上に距離が長いと動きにムダが出てしまい、作業効率が悪くなる可能性があります。
ただし、この距離の目安は、一人で調理をすることを前提に考えられている値です。日常的に複数人で調理をする場合は、スペースにゆとりが持てるよう距離を調整しましょう。また、右利きの人は「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」を右回りに、左利きの方は左回りに配置するのが基本です。
2. キッチンの間取りで代表的な6タイプ
キッチンの間取りは、主に以下6種類のタイプがあります。
ここでは、それぞれの間取りにおけるメリットとデメリットを解説します。キッチンの間取りごとの特徴を理解し、自分に合ったタイプを選びましょう。
・Ⅰ型|シンプルかつコンパクト
Ⅰ型のキッチンは「冷蔵庫」「シンク」「コンロ」が壁付けで一列に配置されたタイプであり、日本で一番多く採用されている間取りです。一直線に流れるような作業動線が生まれ、一般的に使いやすいと言われています。
規模が小さく、コンパクトなキッチンスペースをつくるのに向いているタイプです。
【間取りのワンポイント】
Ⅰ型キッチンは壁付けのため、調理をするときは壁側に体を向けます。そのため、リビング・ダイニングにいる家族とのコミュニケーションを取りづらいのがデメリットです。
コミュニケーションの取りづらさは、キッチンの向きをリビング・ダイニングと直角に配置することで改善できます。また、ダイニングテーブルとの距離を近づければコミュニケーションを取りやすくなります。
ただし、Ⅰ型は横長に作りすぎるとその分移動距離が長くなり、作業効率が落ちてしまうことには注意が必要です。作業スペースを広く取りたい場合は、キッチンの近くに作業台を設けることである程度改善できますが、別の型を検討することも検討しましょう。
・Ⅱ型(セパレート型)|作業動線が短く、対面での利用が可能
Ⅱ型のキッチンは、作業スペースが二列で構成されているタイプです。コンロとシンクが別々になっていることから、セパレート型と呼ばれることがあります。横幅が比較的狭いダイニングキッチンでも対面型を実現でき、さらにシンクと調理スペースのそれぞれを広く確保できることがメリットです。
【間取りのワンポイント】
Ⅰ型に比べてⅡ型は収納スペースが広いため、食器や調理器具が多い方でも使いやすいことが魅力です。対面部分はシンクかコンロかを選べるため、リビング・ダイニングとの距離感を考えつつ、家族が使いやすい配置を選択しましょう。
また、二列の間の幅は、90センチメートル程度がよいとされています。これ以上距離が長くなると作業範囲が広がり、1人で調理をする場合は疲れてしまう可能性があるため、配置を検討する際は注意しましょう。
・L型|作業動線がスムーズで、複数人でも調理しやすい
L型のキッチンは「冷蔵庫」「シンク」「コンロ」「作業スペース」がL字に並んだタイプを指します。作業する際は体を90度回転させるだけでよく、動線がスムーズになることがメリットです。
また、キッチンの後ろに十分なスペースを確保できるため、複数人で調理をしたりすれ違ったりしやすい間取りです。
【間取りのワンポイント】
L型のキッチンは、一辺をリビング・ダイニングに向けると対面式にできます。ただし、設置にはある程度広いスペースを要するため、住まい全体の間取りと同時に検討する必要があります。またキッチンの中に角ができ、手の届きにくいデッドスペースが生まれてしまうことに注意しましょう。
・U型|作業台が広く、料理の品数が多くても余裕
U型のキッチンは「冷蔵庫」「シンク」「コンロ」「作業台」がU字に並び、囲まれる形をしたタイプです。L型と同じくシンクとコンロが90度の位置にあるため、作業動線が短くなります。
また作業台が広いため、料理の品数が多いときや、複数人で調理をする際に便利です。特に、料理が好きな方に好まれるキッチンです。
【間取りのワンポイント】
U型のキッチンはL型と同様に、一辺をリビング・ダイニングに向けることで、対面式の間取りにできます。対面部分を作業台にすることでカウンターとして活用できるほか、料理の配膳台としても使えるため便利です。
各設備の配置を工夫することで、使い勝手のよい空間をつくれます。ただし、L型と同様に設置には広いスペースが必要な点や、角に手の届きにくいデッドスペースが生まれてしまうことには注意が必要です。
・アイランド型|回遊性があり、大人数で囲める
アイランド型のキッチンは、島のように壁から独立したタイプを指します。回遊性があり、キッチンを囲むように作業ができることが特徴です。
リビング・ダイニングと対面で接しているため、調理をしながら家族とコミュニケーションを取りやすいでしょう。またホームパーティや料理教室など、キッチンを大人数で囲む機会が多い方にとって使いやすいタイプです。
ただし、リビング・ダイニングと壁を隔てていないため、コンロやシンクからの油はね・水はねがあることに注意しましょう。
【間取りのワンポイント】
アイランド型キッチンとリビング・ダイニングの間取りを一体的に考えることで、こだわりのある空間の演出が可能です。例えば、作業台を広げてダイニングテーブルを一体として使うことにより、キッチンを中心とした団らん空間をつくれます。
また、キッチンとダイニングを一体化させることで、省スペースながらゆったりとしたダイニングキッチンができ、家族の距離が近くなります。
・ペニンシュラ型|作業動線が短く、リビング・ダイニングを見渡せる
ペニンシュラ型のキッチンは、アイランド型の片方の端が壁とつながった半島のようなタイプです。アイランド型と同様にシンク・コンロ・作業台が全て対面式のため、リビング・ダイニングとのつながりを意識できます。
【間取りのワンポイント】
ペニンシュラ型キッチンは、アイランド型と同様にリビング・ダイニングへの匂い漏れや水はね・油はねの問題が懸念されます。しかし、片側が壁とつながっている特徴を生かし、コンロの前まで一部壁を伸ばして換気扇を設置することで改善が可能です。
また、キッチンの前に少し高めのカウンターを設けることで生活感を隠せます。カウンターは「子どもが宿題をする」「軽い食事を取る」「配膳台として利用する」など活用の幅が広く便利です。
3. キッチンの間取り決めで気をつけたい6つのポイント
キッチンの使いやすさは、細かい部分の寸法や機器の配置に大きく影響されます。ここでは、キッチンのレイアウトを考える際に気をつけたい6つのポイントを紹介します。
・作業台の寸法
同じサイズのキッチンであっても「シンク」「コンロ」「オーブン」などの設備を置く位置や寸法により、使い勝手のよさは大きく異なります。適切な寸法の作業スペースが、調理の流れに沿って順番に配置されている状態が理想です。
例えば、シンクの隣に十分なスペースを設けずにコンロが設置されているキッチンでは、洗った野菜を切る場所がなく不便に感じるでしょう。以下の例のように、自分が作業しやすい寸法でスペースを考えることが重要です。
- 冷蔵庫とシンクの間には、幅30センチメートル程の作業台を設置する
- コンロの隣の作業スペースは広くとり、盛り付け作業をしやすくする
また、作業台の高さに関しては、自分や家族が使いやすい寸法に設定しましょう。適切なキッチンの高さは「身長 ÷ 2 + 5 センチメートル」とされています。身長160センチメートルの場合、使いやすい作業台の高さは「160 ÷ 2 + 5= 85センチメートル」です。家族でキッチンを使うことを考慮し、適切な高さを選びましょう。
・通路の幅
キッチンの通路幅は「一人で使うとき」と「複数人で使う場合」とで適切な寸法が異なります。一人で使うならば90センチメートル程度、複数人の場合は背中合わせで作業をしたり、すれ違ったりできる120センチメートル程度の通路幅が理想です。
・冷蔵庫の位置
冷蔵庫の位置は、作業効率や部屋全体の印象に大きく関わります。冷蔵庫をキッチンの入り口付近(手前側)に配置すると、調理中であっても他の家族が食べ物や飲み物を取り出しやすいでしょう。
奥に冷蔵庫を配置すると、キッチン全体の圧迫感がなくなり、スッキリとした印象を与えられます。ただし、調理する方とキッチンに来た人の動線が重なるため、混雑しやすいことには注意が必要です。
また、冷蔵庫のドアが開く方向を考慮して配置しましょう。「ドアが開く方向に壁や棚などがないか」「開いたときにキッチンで調理している人にぶつからないか」などは、冷蔵庫を設置する前に確認することが大切です。
・対面部分に配置する設備
人気の対面式キッチンを考えている方は、リビング・ダイニングとの対面部分に何を設置するかを十分に検討することが重要です。対面部分にコンロを配置すれば、料理中にリビング・ダイニングにいる家族の様子が伺えます。
シンクを設置すれば、対面からでもコップに水を入れたり手を洗ったりできます。作業台を設置すれば、盛り付けた料理を対面で運んでもらうなど、配膳に役立つでしょう。
ただし、対面部分にコンロやシンクを置く際は「調理の匂いがリビング・ダイニングまで流れてしまう」「調理している反対側に油はねや水はねをしてしまう」などの問題があり、掃除が大変です。これらを考慮して、対面部分に何を設置するかを決めましょう。
・ゴミ箱の位置
キッチンのレイアウトで意外と忘れがちなのが、ゴミ箱の配置です。ゴミ箱のスペースを考えておらず、使いにくい場所に配置することで作業効率が悪くなるケースがあります。
シンクや作業台の側にゴミ箱のスペースを設ければ、作業中に出たゴミをすぐに捨てられて便利です。キッチンをスッキリ見せるためには「シンクの下にゴミ箱を隠せるスペースを設ける」「食器棚と冷蔵庫の間にゴミ箱が収まるようにする」など、あらかじめ設置場所を検討しましょう。
・設置する機器の作業動線
キッチンに設置したい機器は、居住者によってさまざまです。電子レンジ、オーブントースター、ミキサーなどを頻繁に使用する場合は、それらの機器を作業動線に組み込み、寸法やレイアウトを調整しましょう。機器の配置が考えられたキッチンは、使いやすいだけでなくスッキリ整って見えます。
4. まとめ|キッチンの間取りにこだわって理想のスペースをつくろう
使いやすいキッチンを実現するためには、動線を意識することが重要です。「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」の3つの距離を適切に設定し、調理や片付けの手順を考慮して配置しましょう。
キッチンには6種類のタイプがあり、作業動線や設置に必要なスペースの広さなどが異なります。対面式であれば家族とのコミュニケーションを取りやすく、作業スペースの広いタイプは料理が好きな方や複数人で調理することが多い家庭におすすめです。
中には大きなスペースを要するタイプのキッチンがあるため、家全体の広さや間取りを考慮して選びましょう。実際にキッチンを使うシーンを想定し、冷蔵庫の位置や調理機器の配置などをあらかじめ決めておくと安心です。
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※2025年3月時点での情報です。
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