マンション買い替え入門|理想の買い替えを実現する4つの基礎知識

結婚や転勤などのライフイベントをきっかけに、マンションの買い替えを検討される方は多いのではないでしょうか。マンションを買い替える際は、適切な順序で手続きを進める必要があります。
また、マンションの買い替えでは大きな金額を扱うため、入念に資金計画を立てることが大切です。今回の記事では、マンションの買い替えについて以下の内容を解説します。
- 買い替える際の代表的な疑問
- マンションを買い替える3パターンの手順
- 買い替えで後悔しないための注意点
- 必要な税金と減税措置
複雑な買い替え手続きをスムーズに進めるコツを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. マンションの買い替えにおける代表的な2つの疑問

マンションを買い替えるか迷っており、決断できない方は多いのではないでしょうか。ここでは、マンションを買い替える際の代表的な2つの疑問について回答します。安心して手続きを進めるために、買い替えにおける疑問点を解消しましょう。
・住み替えるタイミングの目安は「ライフスタイルの変化」
住み替えを検討している方のうち、マンションを買い替えるタイミングに悩む人は多いでしょう。買い替えのタイミングには「購入してから〇年」といった明確な正解はありません。マンションを買い替えるタイミングの目安としては、ライフスタイルに変化が生じる時期が挙げられます。
ライフスタイルが変化すると、現在のマンションの立地条件や間取りに不満を感じることがあります。「結婚」「出産」「子どもの独立」などによる世帯人数の増減は、マンションの買い替えを検討するタイミングの代表例です。家族の増減に伴って住まいの広さに過不足を感じても、マンションでは増築や減築はできないため、買い替えを検討しましょう。
また、金銭的な理由で買い替えを検討するケースがあります。マンションの資産価値が下がらないうちに手放し、住宅ローンの支払いを抑えることで、子どもの学費や生活費の確保が可能です。マンションを購入して2〜3年程度であっても、ライフスタイルの変化によって住まいに不満が生じた際は、買い替えを検討するタイミングと言えます。
・住宅ローンが残っていても住み替えは可能
現在のマンションの住宅ローンが残っており、買い替えられるか分からない方は多いでしょう。住宅ローンが残っている場合でも、住まいの買い替えは可能です。
実際には、マンションを買い替える方の多くは、住宅ローンが残った状態で物件を売買しています。「今のマンションを売ったお金で住宅ローン残債を一括返済し、抵当権を外して次の物件を購入する」という流れで買い替えを行う方が大半です。
マンションを売ったお金で住宅ローンを完済できない場合であっても「買い替えローン(住み替えローン)」を利用すれば新居が手に入ります。買い替えローンとは、現在の家の残債と、新居購入の借入を一本化する仕組みです。
例えば、500万円の残債がある状態で3,000万円の新居を購入した場合、新しく3,500万円の住宅ローンを組みます。新居を購入したうえで残債の500万円を一括返済できるため、抵当権は外れます。
ただし、買い替えローンを組む際には、現実的に返済できるかを十分に検討することが必要です。しっかりと資金計画を立てられるのであれば、住宅ローンを完済していない状態でも買い替えを実現できる有益な手段と言えます。
詳しくはこちら:住み替え住宅ローンのポイントと鉄則! 無理のない返済のための2大ルール
2. マンションの買い替えにおける3パターンの手順

マンションを買い替える際は「売却」と「購入」の2つの手続きを行う必要があります。マンションの買い替えにおける大まかな手順は、以下の図のとおりです。

現在のマンションの売却と新しい物件の購入を同時に行うのが理想ですが、現実的には難しいでしょう。マンションの買い替え時は、売却と購入のどちらかを優先して進めるか、業者買取サービスを利用することが一般的です。
ここでは、マンションの買い替えを進める際の3パターンの手順の詳細を解説します。
・売り先行型|売却で妥協せず資金計画をしっかり立てられる
| メリット | デメリット | |
| 売り先行型 |
|
仮住まいが必要になる場合が多い |
「売り先行型」は、新居の購入よりも家の売却を優先するパターンであり、最も堅実な買い替え方法です。先にマンションを売却することで、新居の購入に充てられる金額が明確になり、資金計画が立てやすくなります。また、売り先行型には売却の期限がないため、買い手との価格交渉を有利に進めやすいでしょう。
ただし、売却が決まってから引き渡しまでの間に新居を決められない場合は、仮住まいが必要です。仮住まいを探すには手間がかかり、費用は高額となる傾向にあります。
マンションの売却と並行して仮住まいを見つけて契約するのは、予想以上に大きな負担がかかります。売り先行型で仮住まいの利用を避けるためには、不動産会社に相談しましょう。
詳しくはこちら:「仮住まい」って何? 失敗しない選び方と条件別費用シミュレーション
・買い先行型|購入で妥協せず気に入る物件をじっくり選べる
| メリット | デメリット | |
| 買い先行型 |
|
|
「買い先行型」は、売却より購入を優先する方法であり、新しいマンションを納得できるまで選べます。また、仮住まいが必要のない点は、買い先行型の魅力です。
ただし、売却するマンションの住宅ローンを完済していない場合、新居の購入から売却までは負債が二重になる(ダブルローン)というデメリットがあります。また、希望する価格で売却できない可能性があるため、資金計画の堅実さの点では売り先行型に劣ります。
買い先行型の場合は「買い替え特約」や「つなぎ融資」のサービスの利用を検討しましょう。
買い替え特約
買い替え特約は、新居の購入を契約する際に付帯するオプションの1つです。現在のマンションが売れなかった場合、違約金なしで新居の購入契約を破棄できます。
ただし、買い替え特約は新居の売り手にとってデメリットが大きいため、付帯することを断られるケースがあります。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、家の売却価格に相当する額を、新居購入資金として一時的に借りる方法です。売却が成立したら、借入金は一括返済する必要があります。
つなぎ融資は、業者買取サービスに付随していたり、新居のローンとセットにされていたりする場合が多いです。買い先行型で進める場合は、仲介を依頼する不動産会社に、活用できるサービスがないか相談することをおすすめします。
例えば、コスモスイニシアでは「買ってからナッ得売却」というつなぎ融資のサービスを扱っています。新居の購入と高値での売却を両立させたい方は、ぜひご検討ください。
詳しくはこちら:買ってからナッ得売却|コスモスイニシア
・業者買取サービス|スピーディーかつ確実に売却できる
| メリット | デメリット | |
| 業者買取 |
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売却額が通常の70〜80%に下がる |
新居をじっくり選びつつ確実に売却したい方は、業者買取サービスの利用を検討しましょう。業者買取サービスとは、マンションを個人に売却するのではなく、不動産会社に購入してもらう方法です。
手放したいタイミングでマンションを売却できるうえ、内覧対応の手間が省けます。立地条件や築年数などの問題で買い手を見つけづらいマンションや、ずらせない売却期限がある場合は、業者買取サービスの利用がおすすめです。ただし、売却価格は相場の70~80%程度に下がることを理解したうえで検討しましょう。
買い取りを依頼する業者によっては「仲介手数料不要」「瑕疵担保責任なし」などのメリットがあります。コスモスイニシアの買取サービスにおけるメリットは、以下の図の5つです。
迅速かつ確実にマンションを売却したい方は、ぜひご検討ください。
詳しくはこちら:コスモスイニシアの買取りサービス
3. マンションの買い替えで後悔しないための6つの注意点

売却と購入のどちらを優先するかに関わらず、買い替えを後悔しないように手続きを進めることが重要です。ここでは、マンションの買い替えで後悔しないための6つの注意点を、売却時と購入時に分けて解説します。
・売却時の2つのポイント
マンションを売却する際は、大きな損失を出さず、確実に売ることが大切です。事前に情報を集め、スムーズに売却できるよう心がけましょう。
事前に近隣相場を調べる
不動産会社から売却査定を受ける前に、自分で近隣相場を調べましょう。事前に大まかな資産価値を把握することで、悪質な業者に騙されることを防ぎ、適切な価格設定が可能です。近隣の売却相場は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などのサービスで調べられます。
また、同じマンションの一室が売り出されている場合は、売却価格決定の指標にできます。例えば、同じマンションでずっと売れていない部屋があれば、売却価格はそれより低く設定しましょう。
地域や間取りなどのスペックが同程度の物件であれば、価格設定の参考にできます。ただし、売却時には価格交渉が行われるため、実際の成約価格は設定額よりも低い可能性があります。
内覧対応は丁寧に行う
新築のモデルルームであれば、生活感の少ない綺麗な部屋を提示できるでしょう。しかし中古マンションでは、内覧時に生活感が見えてしまうと、買い手によくない印象を与える可能性があります。
内覧時の印象をよくするためには、以下のような工夫を行うことがおすすめです。
- 水回りを徹底的に掃除する
- 生活必需品を隠してインテリアに凝る
- 日当たりのよい時間を指定して内覧してもらう
- ハウスクリーニングを依頼する
また、マンションの売却は「人と人とのコミュニケーション」であることを念頭に置き、丁寧な対応を心がけましょう。
詳しくはこちら:【不動産売却ガイド】家を売るために必要な基礎知識と手順総まとめ
・購入時の3つのポイント
新しくマンションを購入する際は、物件の状況を確認し、実際の生活をイメージして選ぶことが大切です。また、住宅ローンを滞りなく返済できるよう、無理のない資金計画を立てましょう。
管理状況を確認する
新居を購入するときは、マンションの管理状況を確認することが大切です。マンションの資産価値や寿命は、管理状況によって左右されます。
以下のようなポイントを確認し、管理組合が正常に機能しているかを判断しましょう。
- 毎月の修繕積立が計画的に実施されているか
- 「ゴミ捨て場」「掲示板」「ポスト」などの共用スペースが手入れされているか
- 規約が細かすぎないか
ゴミやチラシが散乱しているマンションは、マナーの悪い居住者がいるか、管理人が清掃を怠っていると考えられます。また、規約が細かすぎる場合は、過去に居住者同士のトラブルが発生した可能性があるため注意が必要です。
トラブルの有無だけでなく、細かい規約がストレスにならないかなど、新居での生活をイメージしてマンションを選びましょう。
理想の暮らしを実現できる間取りかチェックする
マンションの間取りは、快適な暮らしを実現するために重要な要素です。新居の専有面積や部屋数が、家族構成やライフスタイルに合っているかを確認しましょう。
例えば、家族が集まって談笑する時間を大切にしたい方であれば、広さのあるリビングがおすすめです。その他に、キッチンとダイニングが同じ空間にある間取りや、リビングから各部屋への導線が重視されます。
中古マンションの場合は、リノベーションによって理想の間取りを実現できます。自分の求める間取りをイメージし、実現が可能な面積があるかを確認しましょう。
また、将来的にバリアフリーの間取りへ作り直す可能性があります。年齢を重ねるごとにライフスタイルは変化するため、将来を見据えて暮らしやすい間取りをイメージしましょう。
詳しくはこちら:マンションの間取りを徹底解説! ライフスタイル実現の基本ガイド
キャッシュフロー表を作成する
新居購入後の返済に無理のないように、今後の収入の変動やライフイベントによる出費などを加味して「キャッシュフロー表」を作成しましょう。キャッシュフロー表では、年齢ごとの収入と支出を仮定することにより、月々の返済額が妥当かを判断できます。
住宅ローンには「借入額の総額は年収の5倍以内」「返済比率は年収の25%以内」という目安があります。例えば、年収500万円で返済比率を収入の25%とすると、年に125万円、つまり毎月10万円強の支払いが妥当です。手取りから返済額を差し引いたうえで、生活費や教育費などを考慮し、暮らしに余裕があるかを確認しましょう。
ただし、住宅ローンを組むと、返済に加えてマンションの管理費と修繕積立金が毎月発生します。修繕積立金は、マンションの築年数が長くなるにつれ値上がりする場合があるため注意が必要です。
さらに、車を所有している方は月々の駐車場代が必要です。長期的なキャッシュフローを考慮し、精度の高い資金計画を立てましょう。
返済額の試算はこちら:住宅ローンシミュレーション|コスモスイニシア
・売却時と購入時で共通するポイント
売却時と購入時で共通するポイントは「マンションの売買に強い不動産会社を仲介に選ぶこと」です。マンションの売買に強い不動産会社であれば「売却と購入のどちらを先に進めるか」というプランニングを一括して引き受けられます。
「仮住まいを避けたい」「売買の決済のタイミングを合わせたい」のような相談ができ、安心して買い替えが可能です。また、売却と購入ともに、同一の不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。
異なる不動産会社に依頼すると、連絡窓口が2つになるため手続きが煩雑になります。売却と購入で別の不動産会社に頼むよりも、同一の業者の方がスムーズに買い替えを進められるでしょう。
売却と購入でエリアが大幅に異なる場合は、不動産会社の得意とする地域を事前にチェックすることが大切です。全国に販売網を持つ会社なら問題ありませんが、一部のエリアに特化しているのであれば、売却と購入を別々に依頼した方がよい場合があります。
マンションの買い替えの相談をする際は、エリアにおける取引実績を不動産会社に確認しましょう。
4. マンションの買い替えで後悔する典型的な2つのパターン

マンションを買い替える際、金銭的な面で後悔するケースがあるため注意が必要です。ここでは、マンションの買い替えで後悔する典型的なパターンを2つ紹介します。
・売却価格の設定を過度に高くしてしまう
マンションを売却する際、住まいに愛着を持っていることが理由で、価格を過度に高く設定する方がいます。思い入れのある家であっても、相場より高ければ買い手は見つけづらいでしょう。
希望のタイミングで売却できずに、すでに決めていた新居の契約を破棄しなければならないケースは多いです。立地条件や設備などの客観的指標から、適正な価格を設定しましょう。
価格を設定する際は、専門家である不動産会社の意見を取り入れることをおすすめします。ただし、インターネットや不動産屋のチラシに表示されている値段は「売り出し用」であり、実際の成約価格よりも低いことがあるため注意が必要です。
・利益を求めて売却を先送りしてしまう
マンションの買い替えでは、利益を求めすぎてマイナスの結果となる場合が多いため注意が必要です。例えば、すぐに買い手が見つかった際に、より高く売れることを期待して売却を引き延ばすケースがあります。
しかし、同じマンションの別部屋がより安い価格で売りに出されれば、買い手はそちらに注目するでしょう。先に売りに出した自分の物件の値崩れにつながり、当初よりも利益は下がります。最初に設定した価格で売れるタイミングが訪れたら、迷わず売却しましょう。
5. マンションの買い替えにかかる主な税金

マンションの買い替えにおいて、予想以上に高額な出費となるのが税金です。売却と購入の両方にそれぞれ税金がかかるため、事前に把握して資金計画を立てましょう。
・不動産の売却にかかる税金
マンションの売却時には、以下の3つの税金がかかります。
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 住民税
売買契約時には「印紙税」、確定申告時には「譲渡所得税」と「住民税」の支払いが必要です。印紙税は、契約金額に応じて売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。譲渡所得税と住民税は、不動産の売却で利益が生じた場合に、その利益に対して発生します。
不動産の売却における利益とは、購入した価格よりも高く売れたときの差額です。購入価格よりも安く売れた場合は、損失が出たことになるため、譲渡所得税と住民税を払う必要はありません。
利益が生じた場合は、売却した物件を所有していた年数によって異なる税率が課されます。利益によっては税金が100万円以上かかるケースがありますが、減税措置を利用できれば大幅な減額が可能です。減税措置について詳しくは後述します。
詳しくはこちら:不動産売却の税金、こんなに高いの?! 税金対策したい人のための基礎知識
・不動産の購入にかかる税金
マンションの購入時には、以下の3つの税金がかかります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
売却時と同様に売買契約時に支払う「印紙税」に加えて「登録免許税」と「不動産取得税」の納付が必要です。登録免許税とは、登記を行うときに支払う税金を指します。登記を依頼する司法書士に対し、手続きの費用の一部として支払うのが一般的です。
不動産取得税と固定資産税は、マンションを購入した後に案内が届くため、納税通知書に従って支払いましょう。
登録免許税の詳細はこちら:登録免許税の税額表|国税庁タックスアンサー
不動産取得税の詳細はこちら:不動産取得税|東京都主税局
6. マンションの買い替え時に利用できる4つの減税措置

マイホームを買い替えたときは、以下のような減税措置の適用が可能です。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 居住用財産売却による軽減税率の特例
- 居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買替えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
居住用財産とは「実際に住んでいる物件」もしくは「実際に居住していた事実があり、住まなくなってから3年が経過した日の属する年の12月31日までの物件」を指します。現在住んでいるマイホームの売却や買い替えを検討している方や、相続して空き家となった物件の売却を検討している場合は、大幅な減税が期待できます。
減税措置の適用には確定申告が必要なため、条件に合致する方は忘れずに行いましょう。
減税措置についてはこちら:不動産売却の税金、こんなに高いの?! 税金対策したい人のための基礎知識
確定申告についてはこちら:最大3,000万円の控除もあるって本当!?不動産を売却したら確定申告を!
7. まとめ|マンションの買い替えは計画を立てて進めよう

マンションの買い替えをスムーズに進めるためには、自身の希望に適した手順を踏むことが大切です。先に現在の住まいを売却すれば、利益を新居の購入資金に充てられ、資金計画が立てやすくなります。
物件探しにこだわりたい方や、仮住まいを避けたい人は、先に新居を購入するのがおすすめです。確実な売却と理想のマンションの購入を両立させたい方は、業者買取サービスの利用を検討しましょう。
また、マンションを買い替える際は大きな金額を扱うため、入念に資金計画を立てることが重要です。住宅ローンの返済だけでなく、売買の際にかかる税金も考慮し、現実的に支払えるかを判断しましょう。
マンションを買い替える際は、仲介を依頼する不動産会社選びが大切です。コスモイニシアでは、売却するマンションの査定はもちろん、新居の物件探しまで一括してサポートしています。マンションの買い替えを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
スムーズで確実な「住み替え」「買い替え」を叶えます。コスモスイニシアの「売却査定」
※2025年8月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。






