ココを確認すれば失敗しない!リノベーション済み中古マンション購入前のチェックポイント!

新築マンションの購入を検討しているものの、予算に合わず悩む方は多いでしょう。リノベーション済み中古マンションであれば、コストを抑えて理想の住まいを実現できます。

今回の記事では、リノベーション済み中古マンションについて以下の内容を解説します。

  • リノベーション済みの中古マンションの魅力
  • 入居後の代表的なトラブル
  • 物件を選ぶ際の注意点
  • 建物部分や室内でチェックしたいポイント
  • 不安な方におすすめの住宅診断

安心かつ快適に暮らせる物件の選び方を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. リノベーション済み中古マンションは手頃さが魅力

手頃な価格で注文住宅のような住まいを得られることから、近年ではリノベーション済み中古マンションが注目されています。人気エリアの物件であっても、比較的安価に手に入るでしょう。

また、リノベーションによりグレードアップしたマンションは、資産価値が下がりづらいことが特徴です。将来売却することになった場合、やや高値をつけても購入されやすいでしょう。

ただし、リノベーション自体の歴史は浅く、さまざまなトラブルが発生しています。トラブルを避けるためには、物件を購入する前にあらゆる角度から吟味することが大切です。

2. リノベーション済み中古マンションにおける代表的な3つのトラブル

中古マンションを購入する場合は、設備の老朽化による問題が発生する可能性があるため注意が必要です。ここでは、リノベーション済み中古マンションで発生しやすい3つのトラブルを紹介します。

・水回りの問題

リノベーション済み中古マンションで特に多いのが「水漏れ」のトラブルです。水道管などは見えない部分にあるため、特に問題がなければ交換せずそのまま使い続けることがあります。

2000年以前に建てられたマンションでは、劣化しやすい金属製の給水管が使用されていることもあり、目に見えない箇所でカビや腐食が発生している可能性があります。蛇口や洗面台が新しくても、壁の内側では配管の継ぎ目から少しずつ水が漏れていたり、湿気によって壁紙の裏にカビが広がっていたりすることがあり注意が必要です。

入居直後には問題がなくとも、住み始めて数年後に水漏れが発生し、大がかりな工事を要するケースがあります。内見では、洗面台やキッチンの下やメーターボックス周辺など、目視できる部分の劣化や素材を確認しましょう。リノベーション済み中古マンションを検討している方は、水回りを重点的に確認することをおすすめします。

・換気の問題

マンションは窓が少なく、湿気がこもりやすい住居です。湿気がこもるとカビの原因になるうえ、場所によっては壁紙が浮くことがあります。また、天井裏の換気ダクトが接続不良になると、カビが生えたり木材部分が腐ったりする可能性があるため注意が必要です。

中古マンションの中には、換気扇が古くなり稼働しない場合があります。リノベーション済み中古マンションを検討する際は、換気扇の有無はもちろん、問題なく稼働するかも確認しましょう。

・音の問題

中古マンションの中には、床や壁に防音性の高い素材を使用していない物件があります。壁紙が新調されていても、防音性能は十分でない可能性があります。実際に住み始めてから、近隣住民の生活音が想像以上に気になるケースがあるため注意が必要です。

マンションの防音性は、構造や床の工法によって異なります。二重床工法であれば、コンクリートの構造体と床材の間に空間が設けられて遮音効果が高く、直床工法では床材がコンクリートに直接貼られているため、下階への音が伝わりやすいと言われています。

近隣の居住者がドアを開け閉めする音や、歩く音などが響く物件の場合、ストレスを感じやすくなるでしょう。また、日中には生活音が聞こえなくても、朝や夜の静かな時間になると音が気になりやすくなります。防音性能は見た目では判断できないので、内見時に部屋の中央で手を叩いたり、壁や床をノックしたりして確認してみましょう。

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3. リノベーション済み中古マンションの見学前に考慮すべき6つのチェックポイント

ここでは、リノベーション済み中古マンションを選ぶ際に考慮したいポイントを6つ紹介します。新築マンションとは異なる視点で検討すべき条件があるため、実際に見学する前に確認しましょう。

・住む年数を基準に考える

リノベーション済み中古マンションの購入を検討する際は、今後その物件に住む年数を考慮する必要があります。若い夫婦やファミリーであれば、何十年も住み続けると考えられるでしょう。その場合は、将来的に交換する必要のある設備や、マンションの修繕時期を把握したうえで物件を決めるのがおすすめです。

一般的なマンションの寿命は、建物や設備のメンテナンス状況によって大きく異なります。国土交通省の「RC造(コンクリート)の寿命に関わる既住の研究例」によると、鉄筋コンクリートの物理的寿命は推定117年です。ただし、物理的寿命はコンクリートの部分に限った年数のため、ひとつの目安として考えましょう。

・専有部分と共用部分の違いを知る

リノベーション済み中古マンションであっても、自分や家族の好みに合わせてさらに改装を行うケースがあります。追加でリノベーションをすることを見越して「専有部分」と「共用部分」の違いを理解しましょう。

専有部分とは、住戸を購入した方が所有するスペースであり「部屋の内側」を指します。共有部分とは「専有部分以外のすべて」の箇所です。「エントランス」「共用廊下」「エレベーター」だけでなく「バルコニー」も部屋の外側にあるため共用部分に該当します。

基本的に、リノベーションできるのは専有部分のみです。バルコニーや玄関ドアの外側は共有部分のため、リノベーションはできません。中古マンションを選ぶときは、将来的にリノベーションできる専有部分をチェックすることをおすすめします。

・建物の構造や躯体を確認する

マンションの骨組みや柱は建物全体を支えるための共用部分であり、基本的に自身で工事ができません。リノベーション済みで見た目が新しくても、マンションの構造によっては新耐震基準を満たしていない可能性があります。補強工事の有無は、不動産会社に確認しておきましょう。

今後リノベーションを予定している場合、間取り図を見ながら「どの壁や柱は壊せないのか」「水回りの位置を動かせるのか」といった点を売主や不動産会社に確認します。内見では見極めが難しい部分をあらかじめ把握しておくことで、購入後に「希望通りのリノベーションができない」といった後悔を避けられます。

・管理規約の制約を確認する

管理規約は、マンションで暮らす住民全員が守るべきルールブックです。マンション独自のルールが規定され、リフォームやリノベーションに関する制約も含まれています。

たとえば、専有部内の床に使用できる素材が決められていることがあります。そのため希望するリノベーションが行えず、プランを変更しなくてはいけません。

内見の際には、現在のリノベーション内容が管理規約に沿って行われているかを確認しましょう。同時に、将来リフォームを希望するのであれば、制約内容を事前に確認します。管理規約の内容に不明点があれば、管理組合や管理会社・不動産仲介会社に相談すると安心です。

・修繕履歴を確認する

マンションの修繕履歴を確認することで、建物の耐久性や耐震性が維持されているかを把握できます。修繕履歴は、不動産仲介会社を通じて管理会社から取り寄せられます。手数料が発生する場合もありますが、購入前に必ず入手しておきましょう。

修繕履歴は、以下の内容を確認します。

  • 大規模修繕が適切な周期で実施されているか
  • 給排水管や空調設備など主要設備が計画的に点検・交換されているか
  • 白アリや雨漏りの修繕をしているか

上記のポイントを確認しておけば、劣化が進んだ物件と気付かずに購入するリスクを減らせます。建物自体のメンテナンスが不十分であれば、将来的に大規模な工事が必要になる恐れがあるため、必ず修繕履歴をチェックしてから購入を判断しましょう。

・時間を変えて複数回見学する

リノベーション済み中古マンションを見学する際は、朝昼晩と時間を変えて複数回訪れましょう。例えば、日中は静かに感じても、時間を変えて現地へ行くとさまざまな音が気になる場合があります。

朝晩の静かな時間には排水管の音が響いたり、周りの部屋の生活音が聞こえたりするケースがあるため注意が必要です。特に中古マンションの場合は、建物の老朽化が原因で音が発生することがあるため、入念にチェックしましょう。

4. リノベーション済み中古マンションの建物部分における4つのチェックポイント

中古マンションを選ぶにあたって、自分が住む住戸だけでなく、建物全体の状態をチェックすることが大切です。ここでは、リノベーション済み中古マンションの建物部分において確認したい4つのポイントを紹介します。

・築年数

マンションの築年数は、建物の耐震性に影響する重要な要素です。1981年6月以降に建築確認を取得したマンションであれば、新しい耐震基準にもとづいているため、旧耐震基準の建物と比較して、地震によるダメージを軽減できるでしょう。旧耐震基準との比較表は、以下のとおりです。

旧耐震基準 新耐震基準
適用年 1981年5月以前 1981年6月以降
想定される震度 震度5程度の中規模地震 震度6強程度の大規模地震

旧耐震基準の物件であっても、耐震診断や補強工事を行うことで、新耐震基準と同レベルの耐震性を備えることができます。リノベーションの際に耐震診断が実施されたか、必要に応じて補強が行われたかを、不動産会社に確認してみましょう。

・入口、階段、掲示板

マンションの共用部分の清掃状況や、掲示板の使用状態をチェックしましょう。清掃が不十分な中古マンションは、管理が行き届いていない可能性があるため注意が必要です。

専有部分がリノベーションされていても、共有部分の照明が切れたままになっていたり、エントランスや階段の壁に傷やひび割れが放置されていたりするケースがあります。また、掲示板の使用状態からは、マンション内の人間関係やトラブルの有無が読み取れます。注意書きが掲示されていれば内容を確認し、穏やかに暮らせるかをチェックしましょう。

管理費や修繕積立金が毎月徴収されているのに入口や階段などが修繕されていない様子の場合は、修繕が適切に実施されているか確認するために、不動産会社を通じて重要事項調査報告書を取り寄せましょう。室内だけでなく、建物全体の維持管理状況をしっかり見極めることが大切です。

・駐車場、駐輪場

マンションの敷地に駐車場や駐輪場があれば、管理状況を把握しましょう。整備状況や利用の状態から、建物全体の管理状況や住人のマナーが表れやすい場所です。

内見の際は、駐車場や駐輪場の清掃状態や整備状況をよく観察します。地面にゴミが落ちていたり、自転車や車が乱雑に停められていたりする状況は、住民のマナーや管理会社の清掃頻度が適切ではない可能性があります。

敷地の整備状態だけでなく、車や自転車を確認することで、マンションに住む方の年齢層や生活水準をイメージできます。マンション購入後に後悔しないためにも、駐車場や駐輪場が適切に使われているかを確認し、安心して暮らせる住環境であるかを見極めましょう。

・建物周辺の植木

マンションの管理状況を判断する方法の1つとして、建物周辺の植木を確認することが挙げられます。「雑草を放置していないか」「枯れている木がそのままにされていないか」などをチェックしましょう。

雑草が伸び放題になっていたり、枯れた植木がそのまま放置されていたりする場合、日常的な清掃や点検が行き届いていない可能性があります。植栽が生い茂りすぎて死角が生まれると、防犯面のリスクが高まります。

一方で、季節の草花が整然と植えられ敷地内の植木や花壇がきちんと手入れされているようなマンションであれば、管理が行き届いている証拠です。管理が行き届いた物件は築年数が経過していても古さを感じさせない外観を保ちやすく、結果として将来的な資産価値の維持にもつながります。

5. リノベーション済み中古マンションの室内における6つのチェックポイント

リノベーション済みであっても、住戸を購入する方の生活に配慮した改装であるとは限りません。室内のチェックが不十分であれば、住み始めてから修繕が必要と分かり、多額の費用を自己負担する可能性があるため注意が必要です。

ここでは、リノベーション済み中古マンションを見学する際に、室内で確認すべきポイントを6つ解説します。

・天井裏(点検口)

売主からの許可を取り、点検口から天井裏を確認しましょう。築年数が古いマンションの場合は、上階の排水管が天井裏を通っている場合があります。

天井裏にある排水管は、遮音・防振の対策がされていないケースが多く、水を流すたびに大きな音がすることがあるため注意が必要です。また、天井裏を見れば、断熱材や電気配線などがきちんと配置されているか確認できる場合があります。

天井裏を確認できない場合は、ホームインスペクターなどの専門家に依頼するとよいでしょう。ホームインスペクターについて、詳しくは後述します。

・フローリング

フローリングの貼り方や、使用されている素材を確認しましょう。フローリングの貼り方には「古い床の上にそのまま重ねる方法」と「古い床をはずして新しい床を貼る方式」の2種類があります。古い床の上にそのまま重ねる貼り方では、床鳴りがすることがあるため注意が必要です。

また、遮音性の低い素材のフローリングが使用されている場合は、物を落としたときに下の階に大きな音が響くことがあります。品質の悪いフローリングであれば、歩くだけでも音が鳴る場合があるため注意しましょう。

・水回り(給水)

洗面所やお風呂などの水回りは、重点的に確認したい箇所です。洗面所の下の扉を開けて排水管の周りを見たり、実際に水を流したりして、以下のような項目を確認しましょう。

  • 湿気がこもっていないか
  • カビが生えていないか
  • さびていないか
  • 排水管から水が漏れていないか
  • 水がスムーズに流れているか
  • 詰まっていないか

お風呂も同様に、目視や実際に水を流して以下のような項目を確認することをおすすめします。

  • タイルにひびが入っていないか
  • カビが生えていないか
  • 水が排水溝に流れているか
  • 詰まっていないか

トイレは経年劣化が気になりやすい箇所のため、以下のようなポイントをチェックしましょう。

  • 水を流したときにすぐに流れるか
  • 給水管から水が漏れていないか
  • 水を流した後も最後にきちんと水が止まるか

トイレの配管は、劣化による水漏れのリスクがあるため、約10年を目安に交換することをおすすめします。

・換気システム

湿気のこもりやすいマンションにおいて、換気システムの確認は特に重要です。建築基準法により、2003年7月以降に着工した物件では、24時間換気システムの設置が義務付けられています。

一方で、2003年7月以前に建てられた中古マンションの中には、24時間換気システムがない場合があります。また、間取りの関係上、換気システムを設置できない物件があるため注意が必要です。

換気扇は正常に作動しているように見えても天井裏で排気ダクトに不具合がある場合、湿気が排出されずに天井内にこもり、カビの発生や木材の腐食につながります。浴室やキッチンなど、湿気が多い場所では特に注意が必要です。

しかし換気システムの不具合は、点検口から覗かない限り自力で気づくことは困難です。購入前にホームインスペクションの活用や不動産会社へ確認することで、内部の施工状況を把握できます。

・窓

窓の建て付けを確認するために、スムーズに開け閉めできるかチェックしましょう。また、窓のサッシやガラスの性能は、部屋の断熱性に大きく関係する要素です。

窓は共有部分のため、ほとんどのマンションではガラスの取り換えはできません。ただし、窓の内側へのサッシの取り付けは可能です。部屋の断熱性が気になる方は、窓のサッシから隙間風が入らないか確認しましょう。

窓は侵入経路となり得るため、防犯対策としても重要な設備です。防犯ガラスでなかったり、鍵の位置や種類に不安があったりする場合は、後付けの補助錠や防犯フィルムを検討しましょう。

サッシは共用部にあたるため個人で交換はできないですが、管理規約により制限が緩和される可能性があります。窓の断熱性や防犯性の改善を検討している場合は、規約を確認して管理会社にも相談してみましょう。

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・ガス給湯器

ガス給湯器が古い場合、一度に出る水の量が少なかったり、電気代が高くなったりすることがあります。お風呂や食洗器など同時に使いたい場合は、最低でも20号以上の給湯器が必要です。中には、16号給湯器が設置されている中古マンションがあり、湯量が足りないと感じる場合があります。

また、ガス給湯器が交換された時期をチェックしましょう。一般的に、ガス給湯器の寿命は約10〜15年とされています。

古い給湯器をそのまま使っていると、数年で故障してしまうことがあるため注意が必要です。入居して数年経ってから故障した場合は、修理費は物件を購入した方の負担であり、高額な出費が必要となる可能性があります。

6. リノベーション済み中古マンションはホームインスペクションの実施がおすすめ

リノベーション済み中古マンションを検討している場合、あらゆる角度からチェックすることが重要です。しかし、住宅全体の詳しい状況や欠陥の有無について、自力で確認するのは難しいと感じる方は多いでしょう。

中古マンションの状態を詳細に確認するためには、専門家によって住宅を診断する「ホームインスペクション」の利用がおすすめです。ここでは、ホームインスペクションについての詳細を解説します。

・ホームインスペクションの概要

ホームインスペクションとは、中古物件の状態について詳細に確認する住宅診断です。住宅診断は「ホームインスペクター」と呼ばれる専門家によって実施されます。

ホームインスペクターは、不動産会社としてではなく、中立的な立場でアドバイスを行うことが特徴です。住宅全体の状態を目視で確認し、修理の必要がある場所や費用などを提案してもらえます。

・ホームインスペクションの所要時間と費用

ホームインスペクションの所要時間は、マンションの規模によりますが、100㎡の建物面積で2〜3時間ほどです。床下や天井裏まで確認するオプションを加えると、合計で4~5時間ほど必要になるケースもあります。また、必要な費用はホームインスペクションを実施する会社によって異なります。

目視による診断であれば、一般的に5〜6万円前後です。さらに、特殊な機材を使って診断する場合は、10万円以上かかることがあります。

マンションでホームインスペクションを実施する際には、管理組合や管理会社の承諾が必要となる場合があります。特に共用部分を含む調査は、管理会社へ事前に連絡しておくとスムーズに進みます。承諾に時間がかかるケースもあるため、購入手続きを急いでいる場合は早めに必要な手続きを確認しておきましょう。

・ホームインスペクションのタイミング

リノベーション済みの中古マンションは内装が新しく見えても、構造部分や配管などに不具合が残っていることがあります。そのため、売買契約を結ぶ前がホームインスペクションの理想のタイミングです。

契約前に不具合が発見されれば、売り主に修繕を依頼でき、許容できない不具合の場合は契約を見送る判断材料にもなります。ホームインスペクションは契約後や引き渡し後でも可能ですが、発見された不具合に対して売主へ修繕費の負担を求めることは難しくなります。

契約前にホームインスペクションを実施するには、売主の協力が不可欠です。仲介する不動産会社を通して売主に依頼し、調整をスムーズに進めましょう。

・ホームインスペクションを行うメリット

ホームインスペクションを実施することで、購入前に以下のメリットを得られます。

  • 専門家による客観的な調査で見えない部分を確認できる
  • 契約後のトラブルを未然に防げる
  • 修繕対応を売り主に依頼できる

建築の知識や経験がないと、配管の腐食や雨漏りのリスクなど物件の状態を見極めるのは困難です。購入後に不具合が発覚して修繕費を負担するリスクを避けて、引き渡し直後から快適に生活を始めやすくなるでしょう。

ホームインスペクションの調査報告書には、現時点での不具合だけでなく、将来的に修繕が必要になる箇所も記載されます。購入を検討している物件に不安がある人ほど、実施するメリットが大きいと言えます。

・ホームインスペクションを行うデメリット

ホームインスペクションの実施にあたっては、以下のデメリットも理解しておく必要があります。

  • 調査費用が発生する
  • 引き渡しまで時間がかかる場合がある
  • すべての不具合を見つけられるわけではない

ホームインスペクションの調査費用は、一般的には5万~10万円前後が相場であり、購入予算に加えて調査費用が発生することを考慮しておくことが大切です。また、マンションでは管理組合の了承が必要となるケースがあり、修繕する箇所が見つかれば引き渡しまでに時間がかかります。

ホームインスペクションは、壁の内部や床下など見えない部分まで全てを確認できるわけではありません。国土交通省のガイドラインでも、目視を中心に調査する方法が一般的とされています。ホームインスペクションは完全な検査ではないので、購入後に新たな不具合が発覚する可能性もゼロではない点を理解しておきましょう。

7. リノベーション済みの中古マンションをおすすめする人・おすすめしない人

リノベーション済み中古マンションの購入を検討する前に、自分のライフスタイルや住まいへのこだわりに合っているか確認することが大切です。ここでは、リノベーション済み中古マンションが「どんな人におすすめできるのか」を解説します。

・おすすめする人

リノベーション済みの中古マンションは、同じ立地条件の新築マンションに比べて価格が抑えられています。室内は最新の設備や内装に整えられているため、費用と快適さのバランスを重視する人に合っています。たとえば、以下のような人におすすめです。

  • 新築マンションのような住まいに割安で住みたい人
  • 新しい設備で暮らしやすさを重視する人
  • 好立地のマンションを低コストで手に入れたい人

築年数が古くてもキッチンやトイレなどの水回りと内装が一新されているため、建物の外観より室内環境を重視する人に向いています。中古マンションは新築マンションよりも予算を抑えられるため、人気エリアで利便性の高い物件の購入を検討できます。

・おすすめしない人

リノベーション済みの中古物件マンションは、築年数が古いことや見えない部分の不具合に不安を感じる人には適していません。外観や設備が新しくても、配管や給排水設備などは劣化している可能性があるため、古さに抵抗がある場合は注意が必要です。具体的には、以下のような人には不向きです。

  • 建物が古いことに抵抗がある人
  • 立地や設備など複数の条件を重視する人
  • 配管や給排水設備など目に見えない部分の劣化が気になる人
  • リノベーション内容が不透明なことに不安を感じる人
  • リノベーション済みでも施工内容が不透明だと不安に感じる人

間取りや内装を自分好みにアレンジしたい人には、中古マンションを購入して、自身でリノベーションを手配することをおすすめします。

8. まとめ|リノベーション済み中古マンションは入念に確認して選ぼう

リノベーション済み中古マンションは、新築と比べて手頃な価格で購入できることが魅力です。室内は新しく見えても、建物自体は年数を重ねているため、老朽化によるトラブルには注意しましょう。

トラブルを避けるためには、建物自体の状態はもちろん、室内の状況をチェックすることが大切です。水回りやガス給湯器など、各設備における現在の状態や、過去の交換履歴を確認しましょう。

ただし、中には自力でのチェックが難しい箇所があります。詳しく検査したい方は、ホームインスペクターに住宅診断を依頼するのがおすすめです。さまざまな箇所を入念に確認し、安心して暮らせるリノベーション済み中古マンションを選びましょう。

※2025年9月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。