マンション売却の査定価格に影響する6つのポイントを紹介|取引事例を調べる方法も解説

マンション売却は、期待と同時に「損はしたくない」「後悔したくない」という不安がつきまとうものです。特に、適正な価格がわからなければ、一歩踏み出すことすら難しいと感じるでしょう。そこでこの記事では、マンションの査定価格に影響する6つのポイントを詳しく解説します。
さらに、自分で価格相場を調べるための具体的な方法や、査定を依頼する前に知っておきたい大切なことも紹介します。これらの情報を知ることで、売却活動を始める前の不安や疑問を解消し、納得感のあるマンション売却を実現するための第一歩を踏み出せるでしょう。
1. マンションの売り出し価格を調べる2つの査定方法

気になるマンションの価格相場。今後の生活のためにも、なるべく高く売却したいですよね。そこでまずは、査定を依頼してみることをおすすめします。
査定依頼には「簡易査定」と「訪問査定」があります。どちらで依頼するかは「できるだけ早く売却したい」「売却したい気持ちがあるが検討中」など、それぞれの事情によって異なります。
詳しくはこちら:不動産売却、査定額「だけ」高い業者に要注意! 騙されないコツと基礎知識
それでは、「簡易査定」と「訪問査定」について、ひとつずつ見ていきましょう。
・簡易査定(机上査定)
簡易査定は、売却しようとする物件に関するデータのみで簡単に査定額が算出されるもので、机上査定とも呼ばれています。マンションの所在地や面積、築年数などのデータをインターネット上で入力することにより、簡単な査定が可能です。査定対象の不動産周辺における現在および過去の取引データから査定額を割りだしてくれます。
簡易査定は、インターネットや電話のみで簡単に査定依頼ができます。査定依頼をしてから返答までの時間が早く、スピーディーに査定額を知れるのがメリットです。例えば、インターネット上で依頼すれば、早くて1時間程度で結果が返ってきます。「まずは、おおよその価格相場が知りたい」という方におすすめの査定方法です。
・訪問査定
訪問査定は不動産会社の担当者が実際に訪問して、データではわからない建物や周辺の細やかな状況を調査したうえで査定額を算出する方法です。例えば以下のような情報は、実際に物件を見てみなければ正確な評価はできません。
- 周辺環境
- 建物の外観
- 周辺の雰囲気
- 設備の状況
- 見晴らし
- 日当たり状況 など
これらの現地でしか確認できない要素が査定価格に反映されるため、簡易査定よりも信頼性の高い査定価格を算出できます。実際にマンション売却を進めるうえでは、この訪問査定が必須となります。
訪問査定で出された査定額は、最終的な売却価格を決定する際の重要なベースとなるでしょう。「簡易査定 → 訪問査定 → 売却依頼」という順序で進める場合、ある程度の期間がかかることを覚えておくといいでしょう。そのため「短期間で売却したい」と具体的に売却を進めることが決定している場合は、簡易査定を省き「訪問査定→売却依頼」という流れで、より早期に売却活動の開始を検討するのがおすすめです。
2.「このマンション、売ったらいくら?」取引事例をWebで確認する方法

査定する前に「どのくらいの価格で売れるか?」を実際に知ることができるサイトがあります。それが「不動産情報ライブラリ」です。

不動産情報ライブラリとは、国土交通省が運営する不動産のデータベースで、取引価格や地価公示価格などのさまざまな情報を体系的に整理・蓄積したサイトです。
実際に取引価格を調べる際には、「地図」や「地域」から検索したり、以下のように検索条件を選択して、一覧表示することも可能です。

条件を入力すると、以下のように、最寄り駅や取引価格、面積なども表示されるため、自身のマンションと似た条件のものを探しやすいのが特徴です。

不動産会社へ査定をお願いする前に、このような方法で相場価格のチェックをしてみると良いでしょう。
3. マンションの査定価格に影響する6つのポイント

マンションの査定価格の算出では、過去の取引事例や市場動向などを参考にしつつ、以下のようなポイントが大きく影響します。
- 周辺環境などの立地
- 最寄り駅までの距離
- マンションの状況、築年数
- 階数や方角、眺望
- 保守・セキュリティ
- 使用状況やリフォームなど
それぞれ詳しく解説します。
・周辺環境などの立地
マンションの査定価格を決めるのは「室内だけ」と思いがちですが、実は周囲の環境も大きく影響しています。周辺環境を含めた立地は、生活していくうえで切り離せないものです。立地が良いことが査定価格を高くする条件になります。
スーパーマーケットやコンビニなど、買い物に便利な商業施設が近くにあるのも条件のひとつです。さらに、病院や銀行、郵便局が周囲にあると査定価格が高くなるでしょう。生活に密接に関わりそうな施設が近くにあることは、多くの人の生活を豊かにするプラスのポイントとなります。
また、子育て世帯が気にするのは「幼稚園や小学校、公園などが近所にあるか」ということです。子育てをしていくうえで必要な場所が近くにあると、人気物件となります。
さらに、マンションが接する道路の幅なども、査定価格に影響することがあります。歩道が設置され、道路幅が広いと安全性が確保されていると考えられます。子育て世帯にとっては、子どもの通学路も気になるポイントです。このように、基本的には便利で暮らしやすい環境が整っているほど高額査定となります。
立地条件についてはこちら:「資産価値の落ちにくいマンション」の選ぶための10のポイント
・最寄り駅までの距離
マンションでの暮らしを希望する多くの人が気になる点は「最寄り駅までの距離」でしょう。特に都心部など駅を日常的に利用する方々は、最寄り駅までの距離が近いほど購入意欲が湧きます。つまり、最寄り駅まで近ければ近いほど査定価格は上がっていく傾向にあるのです。
駅徒歩の目安としては、10分以内であれば「好立地」と呼ばれます。また、駅までの道のりの安全性(夜道の明るさや交通量)や坂道の有無なども、実際の住みやすさに影響するため、査定担当者はそうした細かな点まで考慮するでしょう。単に距離が近いだけでなく、日常使いにおける「快適さ」が、査定価格を決定する重要な要素となります。
・マンションの状況、築年数
マンションの査定価格には、その築年数と物件の現状が大きく影響します。建物は時間とともに劣化し、建設当時の状況とは異なってくるため、築年数の経過は基本的に査定価格にマイナスの影響を与えます。
特に地震の多い日本では、耐震構造が重要な評価ポイントです。現在の「新耐震基準」を満たしているのは昭和56年6月1日以降に建築確認を受けて建設されたマンションです。この日付以前の物件は「旧耐震基準」で建設されており、耐震性の面で不安視される傾向にあります。
この「旧耐震基準」に該当するマンションは、新耐震基準の物件と比較して査定価格が下がる大きな要因となります。このように築年数が古いマンションは、耐震性が「新耐震基準」に適合していないため、査定価格が下がる要因になります。
・階数や方角、眺望
集合住宅であるマンションでは「どの階数に住むか」も、大きなポイントの一つです。一般的に、高層階であるほど見晴らしがよく人気が高いため、売却の際には大きなアピールポイントになるでしょう。
遮るものがなく開放感のある景色は、高層階ならではで、高層階は需要が大きいこともあり、その分査定価格へよい影響をもたらします。また、日当たりのよい方角にリビングが面している物件もポイントが高いです。そして、隣の部屋に挟まれていない角部屋も人気です。
隣に部屋がないため、窓の数が多いので日当たりがよく、複数の方角からの景色を見ることができます。同じマンション内でも、階数や方角といった条件によって査定価格は異なります。
マンションの最上階についてはこちら:実際どうなの!? マンション最上階のメリット・デメリットを徹底解説
・保守・セキュリティ
マンションの価格査定において「保守・管理状況」と「セキュリティ」も、重要なポイントです。まず、マンションの管理組合がしっかりと機能して、共用部分(外壁やエントランスホールなど)のメンテナンスが定期的に行われているかは非常に重要です。適切な維持管理がされている物件は、購入後の修繕費用の心配が少なく、資産価値も維持されやすいため、査定価格が高くなる傾向にあります。
次に、居住者の安心を守るセキュリティ面も評価の対象です。オートロックや防犯カメラ、管理人の常駐などのセキュリティ設備が充実しているマンションは、安心・安全な暮らしを提供できるため、購入希望者に選ばれやすく、査定価格を押し上げる要因となります。これらの要素は、単に建物の状態だけでなく「住まいの質」や「安心感」を示す指標となります。
・使用状況やリフォームなど
丁寧に使用されている部屋ほど、査定価格が高めになる傾向にあります。一般的には中古マンションの購入を希望している人は、中古であることを理解しています。しかし、あまりにも汚い使用状況や劣化が見られる物件だと、下見の段階で購入意欲を失ってしまう可能性もあるでしょう。
ただ、築年数が経過している物件でも、リフォームを何度か施している物件は査定価格アップの条件となります。そのため、査定時にリフォーム箇所や工事時期を伝えましょう。
基本的に壁紙の汚れ程度なら査定価格の増減にあまり響くことはありません。中古マンションを購入する方の多くが、壁紙を交換しての入居を検討するからです。壁紙の変更は比較的簡単なリフォームです。
一方、大がかりになってしまう水回りは、使えるものはそのまま使う傾向にあります。浴室内にカビが多い、トイレの汚れがひどい、キッチン回りが汚いなど、ハウスクリーニングをしても除去できないほどの汚れがあると、査定額に影響する可能性があります。
4. マンションの価格査定を受ける前に知っておくべきこと

おおよその価格を知ったうえで、実際に査定を依頼する際には、以下のポイントに注目したいです。
- マンション特有の査定方法「時点修正」が用いられる
- 査定額が売出価格ではない
- 複数社に依頼をし、平均価格を把握する
- 不動産会社の対応や特徴もチェックする
マンションの売却は人生において何度もある訳ではないので、何も知らない状態では価格が正しいのかも分からず、不安が残ってしまいます。そのため、正しい知識を身につけ、後悔のない売却査定を依頼しましょう。
・マンション特有の査定方法「時点修正」が用いられる
一般的な土地やマンションを取引する場合の査定では、周辺の不動産の取引事例を査定価格の参考にする「取引事例比較法」を用います。取引事例比較法では、価格査定をするマンションと似たような物件をあげ、比較しながら査定額の金額を出していきます。駅からの距離や築年数、間取り状況、階数など似ている物件の取引を参考にして、査定価格に反映させていく方法です。
また、不動産は常に価格変動をしているため、事例として取り上げた不動産の取引が行われた時点と価格査定を行う時点が離れている場合はその変動を考慮する必要があります。例えば、査定の対象となっている物件と同じマンションが2年前に4,000万円での取引が行われていたとします。
つい「同じ4,000万円で売れるだろう」と考えがちですが、2年前の取引価格が今も妥当な価格とは限らず、むしろ価格が変動していると考えられるのです。この価格変動を修正するのが、「時点修正」です。時点修正をすることで、相場となる査定価格を算出していきます。
・査定額が売出価格ではない
査定を依頼したときに、査定額が予想より低いとショックを受けてしまうでしょう。「相続で得たマンションを売りたい」「引っ越しのために売りたい」など、さまざまな売却理由がありますが、少しでも高く売りたいと考えるのは当然です。
しかし、売却する理由によっては、価格に大きな差が出ることもあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- すぐにでも処分したいので、相場よりも相当安い価格で売り出した
- 相続した不動産で活用方法がなく、安く手放した
- 売却を急いでいたので値下げ交渉にすぐに応じた
これらは、たとえ査定価格が高くても「早く売りたい」という特別な事情があったため、安く売ったケースです。つまり、査定価格=売出価格とは限らないということです。
基本的に、不動産会社が提示する査定価格は「この価格ならば売れるだろう」という価格です。そのため多くの場合は、売主が考える「この価格で売りたい」という価格とは離れています。おそらく、査定をした不動産会社は「この額なら売れる」と査定価格での売却をすすめてくるでしょう。最終的に、売出価格を決めるのは売主本人です。必ずしも、査定価格で売り出す必要はないことを知っておきましょう。
ただし、注意したいポイントがあります。それは、査定額からあまりにもずれた金額を売出価格としないことです。あまりにもかけ離れた高い金額設定をすると、なかなか売れずに売却が長期化するリスクがあります。最終的には値下げをしてしまい、その間の住宅ローンの支払いや税金が余計にかかる可能性も出てきます。査定額と希望売却価格とのバランスを考えながら、慎重に売出価格を決めていきましょう。
・複数社に依頼し、平均価格を把握する
不動産には定価がないため、不動産会社の担当者は周辺の過去の取引事例を参考にしたり、査定対象物件の状態を総合的に考えたりして、査定価格を算出します。しかし、ここで注意したいのが「不動産会社によって査定価格が異なる」という点です。
不動産会社によって査定価格にバラつきが出るので、査定依頼をする際は、複数社に依頼して結果を比較するのがおすすめです。複数社から出た査定価格をもとにすると、だいたいの平均価格が分かります。平均価格をベースにし、依頼する不動産会社を決めると良いでしょう。
また、複数社に査定依頼すると、査定額が高い会社があるものです。「査定額が高い会社に依頼するべきでは?」と考えがちですが、高い査定価格だからといって、必ずその金額で売れる保証はありません。査定依頼をするときは、複数社からの査定で平均価格をチェックしましょう。平均価格を知ることで適切な価格がわかり、売却の成功につながります。
・不動産会社の対応や特徴もチェックする
複数社に依頼すると、査定額の違いだけでなく顧客に対する対応の違いを見ることもできます。不動産売却に対して専門的な知識があるのは頼りになる存在です。しかし、売主の気持ちを無視した一方的な説明をする担当者は、信頼性にかけるのではないでしょうか。「わからない専門用語をわかりやすく説明する」「売主の話をしっかりと聞いてくれる」「丁寧な対応をしてくれる」なども見極めるポイントです。
5. まとめ

マンション売却を成功させるコツは価格相場を知ることです。何も知らない状態では、不安や疑問が大きくなるばかりでなく、損をすることもあるかもしれません。不動産売却のすべてを理解するのは難しいですが、査定に影響を及ぼすポイントを把握したり、自身で周辺の取引相場を調べてみたりするだけでも、査定を受けやすくなるでしょう。
不動産会社の査定額のまま売った後に「もっと高く売れたのでは?」と不満に思わないために、まずは相場を知ることからスタートしましょう。相場を知ると、査定価格の基準がわかります。不安が解消され、不動産会社と納得のいくやり取りができるはずです。
詳しくはこちら:不動産売却、査定額「だけ」高い業者に要注意! 騙されないコツと基礎知識
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2025/09/22時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。




