使いにくい間取りの3つの特徴を解説|リビングを上手に活用するテクニックも紹介

リビングの間取り選びは、家族の快適な暮らしを実現するために重要な要素の一つです。マンションの場合、間取りは既に決まっているため見学時に確認できますが、実際に住んでみると「使いにくい」「家具を配置しづらい」「思ったより狭く感じる」といった問題が生じることも多いです。
使いにくい間取りを選ぶと、日々の生活にストレスを感じ続けることになるため、事前に間取りの特徴や注意点を理解しておくことが重要です。そこでこちらの記事では、リビングの間取り選びについて以下の内容を解説します。
- 使いにくいリビング間取りの特徴
- 間取り選びで失敗しないための3つの手順
- マンションリビングの基本的な間取りパターン
- 狭い間取りでも広く見せるテクニック
- 実際の間取り活用事例
使いにくい間取りを避けて理想のリビング空間を実現するためのポイントを理解していただけるので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. リビングってどんな場所?
「リビング」というと、どんな空間が思い浮かぶでしょうか。「家族団らん」「子どもを遊ばせる」「友人を招いてホームパーティをする」など、さまざまな場面が想像できます。
近年は、「子どものリビング学習」に代表されるように、これまで家族それぞれが自分の部屋にこもって行っていた読書、勉強、電話などをリビングに持ち出せるような間取りにニーズが高まっています。家族が一緒に何かをするわけではないけれど、同じ空間にいて気配を感じられる、またはコミュニケーションが取れることに価値を置いているケースが多いです。リビングは「家族がそれぞれの時間を過ごす多機能空間」へと、変化しつつあります。
面積でいうと、リビングの面積はどんどん広くなり、個室の面積はどんどん狭くなる傾向にあります。また、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)のつながりを意識する人が多いのも、家族がLDKに集まる重要性を感じているからでしょう。リビング空間の過ごしやすさが家族の絆を形成していると言っても過言ではなく、リビングに対する重要度が益々上がっていると考えられます。
2. 使いにくい間取りの3つの特徴
一見とても過ごしやすそうなリビングでも、いざ住んでみると使いにくい!という声を聞くこともあります。具体的には、以下のような特徴のある間取りは使いにくいと言えるでしょう。
- 家族の動線が悪い
- 面積が広すぎる
- 来訪者にキッチンが丸見え
それぞれ詳しく解説します。
・家族の動線が悪い
リビングを移動するときに家族の動線が悪いと、日々のストレスになりかねません。例えば、洗濯物を干しにバルコニーへ向かうとき、ソファとテレビの間を通過しないといけない動線にした場合、家族がくつろいでいるところを遮ってしまいます。リビングの使い方や家具の配置などには十分注意して、動線計画を立てましょう。
・面積が広すぎる
「広いリビング」は、多くの人が憧れがちです。しかし、必要以上に広くしてしまうと掃除に時間がかかったり、冷暖房が効きにくかったりといったデメリットも存在します。また、リビングから各居室までの距離があると、移動が煩わしいと感じることもあるでしょう。家族の人数や家具の大きさなども考慮に入れながら、本当に必要な広さはどれぐらいなのかを検討した上で物件を選ぶようにしましょう。
・来訪者にキッチンが丸見え
LDKのつくりによっては、来訪者がキッチンの前を通り、リビングに向かう場合があります。キッチンを片付けるのが苦手な方は、リビングとキッチンの配置には注意しましょう。もし、丸見えになってしまうキッチンが気になるようであれば、立ち上がりのあるキッチンが導入された物件を検討してみてもよいでしょう。例えば、コスモスイニシアでは、シーナリーキッチンを導入しています。

キッチン前に立ち上がりを設けることで、リビング・ダイニング側から見た時に手元の調理スペースを隠すことが可能です。片付けが苦手な方でも、無理なく使い続けられます。
3. 使いやすい間取りを選ぶ3つの手順
家族が過ごしやすいリビング空間を考えるためには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。理想ばかり膨らむけれど、具体的にどのような間取りを選べばよいかわからず困っているという方もいるでしょう。リビングを考えるベースは、以下の3つの手順です。
- どのように過ごしたいか
- どの家具を置くか
- 家族の動線はどうなるか
これから家を探す方や検討中の間取りがある方、リノベーションを考えている方は以下で詳しく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
・どのように過ごしたいか
リビングは、今や多種多様な過ごし方が選択できる自由な空間です。まずは「リビングはこうあるべきだ」という固定観念を捨てて、以下のように「何をしたいのか?」からリビング空間を考えていきましょう。
- 親の近くで子どもを勉強させたい
- リビングに夫のワークスペースを設けたい
- くつろぐための空間をできるだけ広く取りたい
- 友人をたくさん呼びたい など
このように、家族の求めるライフスタイルによって、リビングの使い道はさまざまに変化していきます。同じLDKの間取りでも、住む人によって全く違ったテイストにできることを覚えておきましょう。物件を探す前や、不動産会社へ相談する前に「どんな暮らしがしたいのか」をぜひ立ち戻って考えてみてください。やりたい項目を書き出しておくと、悩んでしまったときにまた立ち戻ることができます。
・どの家具を置くか
リビングでどのように過ごしたいかが決まったら、次はどんな家具を置きたいかを考えましょう。現在住んでいる家からどの家具を運び込むか、新しく購入する家具をどのように置きたいか、などを検討します。例えば、大きなソファやダイニングテーブル、飾り棚を置きたいと決まった場合、それに対するリビングの広さや形はどのようなものがよいか大体わかってきます。
家を買った後に家具が入らないと悩まないように、家具を置いた際の完成図をイメージしておくことが大切です。もし間取り図があれば、実際にどのような家具のレイアウトが考えられるかを図面に書き足してみるのもよいでしょう。
・家族の動線はどうなるか
最後に重要なのは、家族の動線を考えることです。
今は昔と比べ、さまざまな間取りの物件が出てきています。リビングから廊下を挟んで玄関側に居室が配置されている間取り、リビングから直接2つの居室につながる間取り、リビングと洗面室・浴室が隣り合わせの間取りなど、さまざまな間取りが存在します。ここで注目したいのは、リビングと各居室のつながり方です。
- 家事、炊事、洗濯をできるだけスムーズに行いたい
- 帰ってきた子どもが一度リビングを通ってから居室に向かってほしい
- 夫がワークスペースとリビングを行き来できるようにしたい
このように家族の動線を考えつつ、リビングを中心とした使いやすい間取りを選択していきましょう。
家事動線についてはこちら:家事動線をよくするための基本ガイド|理想の住まいを考えよう!
4. マンションのリビングの使いやすい間取りの種類
多様化されつつあるリビング空間ですが、マンションにおけるリビングの間取りは、主に「縦型リビング」と「横型リビング」の2パターンに分かれます。
それぞれの間取りの特徴について、以下で説明していきます。使い方も含め検討してみてください。
・縦型リビング

縦型リビングは、マンションのバルコニーに対して、LDKが縦方向に配置されている間取りです。縦型リビングのよさは、LDKの隣にもう一室バルコニーと面する居室を設けられることです。マンションは住戸同士が隣り合い、各居室に十分な窓を取れないことが多いので、縦型リビングは日当たりのよい居室をより多く取りたい場合に適しています。
また、縦型リビングの場合は、長辺部分の片方が壁になるので、大きなテレビや棚なども壁側に置きやすいです。大きな飾り棚を壁一面に設置したい場合などはとても使いやすい間取りといえるでしょう。
しかし一方で、LDKの奥側は窓から遠くなるので、どうしても暗くなってしまいます。キッチンをLDKの奥側に設置している場合は、昼間でも照明をつけて作業をしなければなりません。
・横型リビング

横型リビングは、マンションのバルコニーに対して、LDKが横方向に配置されている間取りです。LDKの全面がバルコニーと接しているので日当たりがよく、リビング全体が明るくなるのが、横型リビングのメリットといえるでしょう。
また、廊下からLDKに入ったときにダイニングキッチンとリビング空間が左右に分かれるので、空間の区別がしやすく使いやすいという意見もあります。しかし、長辺側に大きな窓を取っていることから、壁の面積が限られ幅が広い棚などは置けません。またコンセントの位置も限られてくるので、家電製品が多いご家庭では、延長コードやタコ足配線は必須です。
5. 使いにくい間取りの欠点をカバーして広く見せる3つのテクニック
住宅の悩みとしてよく挙げられるのが、「リビングをすっきり広く見せたいのに散らかってしまう」ということです。リビングが散らかっているように見えるのは、単純に物が多いだけではなく、家具の配置や色使いなども影響しています。同じLDKの間取りでも、以下のようなポイントを意識することで、広々と見せることが可能です。
- 視線の抜けを意識する
- 色使いを意識する
- 家具の寸法を意識する
それぞれ詳しく解説します。
・視線の抜けを意識する

住宅の中で視線が抜ける箇所をつくると、空間が広く見えます。
例えば、手前から奥の窓に向かって家具を置かないスペースを細長くつくると、床を長く広く見せることができ、リビング空間全体がすっきり広く見えます。
また、手前に背の高い家具を、奥に背の低い家具を配置することで遠近感が強調され、奥行きのある空間を表現できます。
抜けのある家具を選ぶのもよいでしょう。足の細いテーブルや椅子、フレームタイプのソファや棚など、向こう側の景色まで視線が抜ける家具は、空間を広く見せてくれます。
・色使いを意識する

色にはそれぞれ、人に与えるイメージがあります。色の特性をうまく使うことで、部屋全体を広く見せることも可能です。
特に注目するポイントは、空間の中で面積が大きい床・天井・壁です。黒や茶などの暗い色は「収縮色」といい、目の錯覚でその部分が狭く見えます。一方、白やベージュなどの明るい色は「膨張色」といい、その部分が広がって見えます。居住空間では、床から壁、天井にかけてだんだん色が明るくなるように配色すると、天井部分がより明るく広がるように見え、部屋全体も広がりを持っているように感じるでしょう。
また、カーペットやソファ、カーテン、棚の色などを意識することで、空間全体の雰囲気を調節できます。カーテンは、収縮色で奥行き感が出る青系の色や、空間に広がりを持たせるオフホワイトなどの淡い色を選ぶとよいでしょう。
カーペットやラグは季節ごとに取り替えることで、部屋全体の印象を変更しやすいです。夏は少し明るめ(壁や天井よりは暗め)のラグで軽やかな印象に、そして冬は少し暗めのカーペットで落ち着いた印象にすることで、季節感の演出も工夫してみましょう。
・家具の寸法を意識する

リビングを広く見せるためには、家具の寸法を意識することも大切です。例えば、ダイニングテーブルの寸法が大きすぎるとリビング空間を圧迫し、部屋が狭いと感じることもあります。適切な寸法でコンパクトに家具を収めることで、空間に心地よい余白が生まれます。特にカーペットやラグを中途半端な大きさにしてしまうと、空間が間延びしたり、狭く見えたりするので注意しましょう。
6. 使いにくい間取りのリビングを上手に使うための見本
「どんなリビングにしたいか」がある程度決まったら、あとはイメージを膨らませていきましょう。実際にレイアウトされた空間を見ると、自分が考えてきたベースをさらに発展させられます。この章では、工夫が凝らされたリビング空間の間取りとレイアウト例を2種類紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・大きさ自由自在のリビング
縦型リビングの場合、リビングの隣にもう一室バルコニーに面した居室が設けられた住宅が多いです。
下の画像のように、全面を引き戸で区切っている場合は、引き戸を開ければ一体的な空間としても使いやすいです。リビングと隣の居室の床の素材が統一されていれば、より一体感が増して見えるのでおすすめです。リビングの隣の居室に一工夫加えると、縦型リビングにもう一辺加わった「L型」のリビング空間が作れます。


下の図をご覧ください。扉の開け閉めによって自由に大きさを変更できるのが、L型リビングのメリットです。

普段は全体をリビング空間として使用し、家族が増えたとき、誰かが泊まりに来たときなどに家具のレイアウトを変更して専用の居室をつくることもできます。状況によって臨機応変に対応できるので、とても便利です。隣の居室を夫のワークスペースや子どもの勉強部屋にし、家族といつでもコミュニケーションが図れるようにするのもよいでしょう。
・家具を工夫して広々リビング
LDKの家具を選ぶときに、あなたはどんなものを選びますか?ダイニングテーブルやダイニングチェア、ソファ、ローテーブルなどが一般的な選択肢かと思います。
しかし、違う選択肢を持つと、家全体の印象がガラリと変わります。例えば、下の画像のように、ダイニングテーブルをキッチンに付属したカウンターテーブルに変更してみます。すると、ダイニングテーブルが置かれていた空間が空き、自由度の高いスペースが広がります。

食事は別々にとることが多く、どちらかと言えばリビングで個々が思い思いに時間を楽しみたい家族に向いているでしょう。また、背の低いダイニングテーブルにソファを合わせ、食事もくつろぎの時間も同じ場所で共有するソファダイニングを導入するという選択肢もあります。LDKがあまり広くない物件には、とても有効な空間の使い方です。

現在は、高さや幅、奥行きなどの寸法を自分で選べるオーダーメイドの家具を注文できるところが増えているので、自宅のリビング空間に合った家具を取りそろえることも可能です。家族のライフスタイルに合った家具を考えることで、リビング空間をよりよいものにできます。
7. まとめ
リビングへの価値観や過ごし方は日々変化していきますが、大切なのは家族がリビングに集まって絆を深めていくということではないでしょうか。ぜひ家族で話し合い、家の中心であるリビングをどんな空間にしたいのかと思いを巡らせてみてください。きっと唯一無二のリビング空間がつくれるはずです。
コスモスイニシアでは、マンションの物件紹介はもちろん、リノベーションについてのご相談も承っております。物件探しでお気に入りの間取りが見つからなかった場合は、中古マンションを購入してリノベーションを行うのもおすすめです。
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