「仮住まい」って何? 失敗しない選び方と条件別費用シミュレーション

「仮住まい」って何?ートップ

家の建て替えや大規模なリフォームなどの際は、自宅が一時的に利用できなくなるため「仮住まい」を借りるのが一般的です。また、住み替えでマイホームを売却した際、新居が決まっていない場合は短期間に限って仮住まいを利用することになります。

今回の記事では、仮住まいについて以下の内容を解説します。

  • 仮住まいが必要なシチュエーション
  • 仮住まいを探す方法
  • 一時的に入居できる物件の種類
  • 住み替え時に仮住まいの利用を避ける方法

希望の立地や予算に合った仮住まいを見つけるヒントを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 仮住まいが必要な3つのシチュエーションと期間

住み替えに適したタイミングとは

仮住まいが必要となる主なシチュエーションとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 大規模なリフォーム・リノベーション
  • 建て替え
  • 住み替え

各シチュエーションにおいて、仮住まいを利用する期間の目安は以下の表のとおりです。

シチュエーション 仮住まい期間の目安
大規模なリフォーム・リノベーション 1〜4ヶ月
建て替え 4〜6ヶ月
住み替え 数週間〜

大規模なリフォームや建て替えの際は、住居の補修・改修が行われます。工事の期間中は自宅に住めなくなるため、仮住まいの確保は必須です。仮住まい探しは、施工プランの打ち合わせと同時期に始めましょう。

住み替えの際は「自宅を売却したが新しい家が決まっていない」「現在の家の退去と新居への入居時期が合わない」という場合に仮住まいが必要です。一般的な住み替えの際は、売却と購入のタイミングを合わせ、できるだけ仮住まいを発生させないようスケジュールを組みます。

しかし、スケジュールのずれや、意図的にタイミングを調整した場合は、一時的に滞在先がなくなるため仮住まいが必要です。また、住み替えの際に仮住まいに入居する期間は、状況によって異なります。住み替え時に仮住まいを発生させない方法については後述します。

2. 仮住まいを探す3つの方法

仮住まいを探すにあたって、ハウスメーカーなどの業者に紹介してもらう方法があります。業者からの紹介の中に希望する条件の物件がなかった場合は、自分で仮住まいを探すことが必要です。

自分で手配する場合は、地元の不動産屋で探すか、仮住まいの専門業者に相談するかの2つの方法が挙げられます。ここでは、仮住まいを探す3つの方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。

・ハウスメーカーなどの業者に紹介してもらう

建て替えの場合、ハウスメーカーが扱っている仮住まい用の物件を紹介してもらえることがあります。リフォームやリノベーションの場合は、施工業者が物件を保有していたり、不動産業者と提携していたりすることがあります。仮住まいを紹介してもらいたい方は、施工プランの打ち合わせの際に相談しましょう。

住み替えの際には、新居の販売会社や仲介業者が仮住まいを紹介している場合があります。売却してから新居に引っ越すまで期間が空く予定の方は、計画を立て始めるときに相談しましょう。

また、建て替えやリノベーションの場合とは異なり、住み替え時には仮住まいを利用せずに新居へ移動できます。仮住まいを利用したくない方はその旨を相談し、一時的に別の家に住む必要があれば希望に沿った物件を紹介してもらえるかを確認しましょう。

メリット|手間を省け、手数料は割引されることがある

家の補修・改築や売買を担当する業者に仮住まいを紹介してもらえば、自分で探す手間が省けます。希望条件を伝えておけば物件の選定を任せられるうえ、引っ越し業者の手配まで一括して依頼できる場合があり、各手続きにおける負担の軽減が可能です。

また、売買仲介や施工とセットで契約するため、仮住まいの仲介手数料は割引されることが多いです。

デメリット|希望する条件の物件がない場合がある

業者の扱う物件には限りがあり、希望する条件の仮住まいが見つからない場合があります。また、タイミングによっては仮住まいの空きがなく、借りられないケースがあるため注意が必要です。

希望する条件の物件がないと分かった時点で、自分で探し始められるよう、打ち合わせの際に早めに確認することをおすすめします。

・地元の不動産業者で探す

ハウスメーカーなどからの紹介では希望する条件の物件を見つけられなかった場合、自分で仮住まいを探すことが必要です。自分で手配する方法の1つとして、地元の不動産業者への問い合わせが挙げられます。

メリット|近所の物件を見つけやすい

仮住まいが現在の家から遠方の場合、通勤や通学が不便になる可能性があります。そのため、生活のスタイルを崩さないように、仮住まいを選ぶ際はできるだけ近隣で物件を探す方が多いです。

地元密着型の不動産業者であれば、近場の物件を探しやすいでしょう。中には、全国展開している企業では扱っていない物件が見つかる可能性があります。

デメリット|短期入居を理由に仲介を断られる場合がある

仮住まいを探す際、一般的な不動産業者では入居を断られるケースがあります。短期間の入居は貸主にとってメリットが少なく、契約を嫌がられる傾向にあるためです。

仮住まいであることを隠して契約した場合、短期解約の違約金を請求されるなどのトラブルに発展することがあるため注意が必要です。「仮住まいを探している」という前提条件を伝えたうえで、親身に対応してくれる不動産業者を探しましょう。

・仮住まいの専門業者に相談する

不動産業者の中には、仮住まい用の物件を専門に取り扱っている会社があります。専門業者であれば、短期間の入居を理由に仲介を断られることはないでしょう。

メリット|仮住まい特有の悩みに対応してもらえる

専門業者では、仮住まいを探す際の特有の悩みや要望に対応できることが特徴です。仮住まいを探している方の中には、建て替え工事の日程が迫っていたり、入居費用への不安を抱えていたりする方がいます。

仮住まいの専門業者に相談すれば「工事開始まで2週間しかないので、それまでに確実に入居したい」「初期費用をできるだけ抑えたい」などの要望に応えてくれるでしょう。また、専門業者であれば、賃貸だけでなくウィークリーマンションなどさまざまなタイプの物件を紹介できる場合があります。ウィークリーマンションについての詳細は後述します。

デメリット|業者の数が少ない

仮住まいの専門業者の数は少ないうえ、短期間の入居を受け付けている物件数は限られています。そのため、地域によっては専門業者がおらず、仮住まいを探しづらいケースがあります。

仮住まいの専門業者が見つからない場合は、ハウスメーカーなどが扱う物件の中から探すか、地元の不動産屋に相談しましょう。

3. 仮住まいとして利用できる3種類の物件

仮住まいを選ぶにあたって、費用を気にする方は多いでしょう。仮住まいとして利用できる物件は以下の3種類が挙げられ、それぞれ必要なコストが異なります。

  1. 一般的な賃貸住宅
  2. UR賃貸住宅(旧公団住宅)
  3. ウィークリーマンション

各物件で必要な費用の内訳と実質負担額の目安は、以下の表のとおりです。

費用の内訳
実質負担額の目安
1ヶ月 3ヶ月 半年
一般的な賃貸住宅
  • 賃料 12万円/月
  • 敷金・礼金(賃料の1ヶ月分)
  • 仲介手数料(賃料の1ヶ月分)
  • 諸費用 10万円
  • 引っ越し代×2(10万円×2)
72万円 96万円 132万円
UR賃貸住宅
(旧公団邸宅)
  • 賃料 12万円/月
  • 敷金(賃料の3ヶ月分)
  • 共益費 5千円/月
  • 引っ越し代×2(10万円×2)
38.5万円 63.5万円 101万円
ウィークリーマンション

貸倉庫
  • 賃料 5千円/日
  • 契約手数料 2万円
  • 清掃費 2万円
  • 貸倉庫代 3万円/月
  • 引っ越し代×2(10万円×2)
42万円 78万円 132万円

※東京都23区、2DK、敷金負担6万円・同一区内の引っ越しを想定しています。
※場所や条件によって、実際の費用は変動します。

それぞれの物件における実質負担額の算出方法は、以下の表にまとめています。

実質負担額の計算
一般的な賃貸住宅
敷金12万円 礼金12万円 仲介手数料12万円 諸費用10万円 引っ越し代20万円
敷金返還金額6万円住んだ月数 × 賃料12万円
UR賃貸住宅
(旧公団邸宅)
敷金36万円引っ越し代20万円
敷金返還金額30万円住んだ月数 ×(賃料12万円 共益費
ウィークリーマンション

貸倉庫
契約手数料2万円 清掃費2万円 引っ越し代20万円
住んだ日数 × 賃料2千円住んだ月数 × 貸倉庫代3万円

赤字:初期費用 青字:敷金の返金額 緑字:賃料および貸倉庫代
※敷金返還金額とは、敷金のうち負担すべきコストを差し引いて返還される費用です。今回は例として、一般的な賃貸住宅における敷金負担を6万円とみなします。

実質負担額だけを見ると、UR賃貸住宅が最も安いと感じるでしょう。しかし、費用面以外にさまざまな特徴があり、必ずしもUR賃貸が最適とは言い切れません。ここでは、3種類の物件の特徴を解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせて適切な仮住まいを選びましょう。

・一般的な賃貸住宅|高額だが、さまざまな要望に応えられる柔軟性が魅力

仮住まいの選択肢として、一般的な賃貸住宅が挙げられます。他の種類の物件と比べて圧倒的に数が多く「特定の駅近く」「ペット可」「楽器可」などの希望を叶えやすいことが魅力です。

また、UR賃貸住宅やウィークリーマンションと異なり、一戸建てを借りられます。もともと一戸建てに住んでおり荷物が多い方にとっては、住居と近い条件の仮住まいを探しやすいでしょう。

月額の賃料は他の物件とほとんど変わりませんが、初期費用が高いことには注意が必要です。物件によっては、敷金や礼金が2ヶ月分かかるケースがあります。さらに、大家と直接の交渉でない限り仲介手数料が必要です。

また、一般的な賃貸住宅は短期間の入居を敬遠する傾向にあります。一般的な賃貸住宅を借りる際は「仮住まいとしての入居を許容されるか」「初期費用をどこまで減額できるか」を確認しましょう。

・UR賃貸住宅(旧公団住宅)|タイミングよく見つかれば仮住まいに最適

UR賃貸住宅(旧公団住宅)は、条件さえ満たしていれば仮住まいに最適な選択肢です。礼金や仲介手数料が不要なため、一般的な賃貸住宅よりも初期費用は安くなります。敷金は賃料の3か月分とやや高額ですが、原状回復に必要な費用以外は退去時に戻ってきます。

また「一年以上の契約」などの期間的な縛りがないため、短期間で退去する場合であっても断られません。単身者用からファミリー向けまで幅広い種類の間取りがあり、さまざまな世帯に対応できます。賃料は物件ごとに異なるため、一般的な賃貸住宅の相場と同程度、もしくは少し高額と見積もりましょう。

ただし、UR賃貸住宅の数は限られるうえ、入居は先着順です。人気の物件が多いため、空きが出てもすぐに借りられてしまいます。入居時期をずらせない仮住まいの場合は、タイミングよく空きが出るかがポイントです。また、ペット不可の物件が多いため、動物を飼っている方の利用は難しいでしょう。

・ウィークリーマンション|短期間の単身・少人数世帯向け

短期間の仮住まいであれば、ウィークリーマンションを視野に入れましょう。料金は日額5千円程度であり、ワンルーム〜1DK程度の物件がほとんどです。同条件の物件と比較すると賃料は割高ですが、初期費用が契約手数料のみであり、退去時は清掃代を払うだけという手軽さが魅力です。

半年以上の長期間になれば費用がかさみますが、1ヶ月程度であれば他の選択肢より安く抑えられます。一方で、他と比べて狭い物件のため、家財は貸倉庫(トランクルーム)などに保管する必要があります。

また、大人数での入居には向かず、1~3人程度の少人数世帯向けです。手軽に借りられるがゆえに、入居者にはさまざまな方がいることを念頭に置く必要があります。

4. 仮住まいを利用せずに住み替える3つの方法

住み替えでは「現在の家を売却する」「新居を購入する」という2つのイベントを両方進める必要があり、非常に手間がかかります。多忙な住み替えの際に仮住まいが必要となれば、より多くの時間と労力を費やすことになるでしょう。

建て替えやリフォーム時とは異なり、住み替えの場合であれば仮住まいは必須ではありません。ここでは、住み替えの際に仮住まいの利用を避ける3つの方法を紹介します。

・退去と入居のタイミングを合わせる

仮住まいを利用せずに住み替える基本的な方法は「退去と入居のタイミングを合わせること」です。売却した家の退去日と、購入した新居の入居日を合わせれば、1回の引っ越しで全てが完了します。

しかし、売却の時期は買い手の都合に左右されるため、タイミングをぴったりと合わせることは難しい場合が多いです。

・数日程度なら、引っ越し業者の荷物預かりサービス+ホテル

仮住まい期間が数日程度であれば「引っ越し業者の荷物預かりサービスを利用して、住まいはホテルで済ませる」という選択肢がおすすめです。大手の引っ越し業者では、荷物の一時預かりサービスを提供している場合があります。

仮住まいの期間が数日程度であれば、荷物を一時的に預け、ホテルに泊まれば手間を省けます。預かり期間や費用は業者ごとに異なるため、複数社に見積もりを取って比較検討するとよいでしょう。

・売却した家に住み続けられるサービスを利用する

「退去から入居まで1ヶ月以上かかる」「先に家を売却して新居はじっくり決めたい」という方は、仮住まいを使わずに住み替えられるサービスの利用をおすすめします。例えばコスモスイニシアでは、賃料を払うことで売却した家に住み続けられるサービス「住みながら買取り」を提供しています。

「住みながら買取り」は、住み替えの労力を軽減するサービスです。一般の方に売却するのではなくコスモスイニシアが買取りを行うため、売った家を賃貸として最大2年間住み続けられます。

仮住まいが不要なことはもちろん、売却活動の際の面倒な内覧対応は不要なため、住み替えにまつわる手間を極限まで減らしたい方に最適です。

住みながら買取り-仕組み

参照:住みながら買取り

近年では、住み替えに力を入れる不動産業者が増えています。利用を検討している不動産業者に、該当するサービスがあるかを事前に問い合わせましょう。

5. まとめ|自分の希望に合わせて仮住まいを選ぼう

仮住まいを探している方によって状況はさまざまであり、ベストな選択肢は異なります。「利用期間」「世帯人数」「予算」「立地」など、希望の条件を明確にし、優先順位をつけて仮住まいを探すのがおすすめです。

ハウスメーカーなどに紹介された物件が希望の条件に合わず、自分で探す場合は以下のチャートを活用しましょう。

アナタにオススメの仮住まい

また、住み替えの場合は仮住まいを利用せずに引っ越す方法があります。売却した家に住み続けられるサービスを活用すれば、新居に移るタイミングに合わせて退去できるため、仮住まい探しの手間を大幅に省けるでしょう。

2025年5月時点での情報です。
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