マンションの主な隣人トラブル9選を解説|正しい対処法や相談先も紹介

あなたならどうする? 隣人・近隣トラブルの事例と正しい対処法

マンションでの暮らしにおいて「上階の足音がうるさい」「ゴミ出しのマナーが悪い居住者がいる」など、隣人・近隣トラブルで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、過去1年間のトラブルの発生状況では「居住者間のマナーをめぐるトラブル」が60.5%で最も多い割合を占めていました(※)。

一度こじれてしまった隣人関係は修復が困難で、最悪の場合は引っ越しを余儀なくされたり、法的措置に発展したりするケースもあります。しかし、適切な知識と対処法を身につけておけば、多くのトラブルは未然に防いだり、早期解決したりすることが可能です。

今回の記事では、マンションで発生しやすい隣人・近隣トラブルについて以下の内容を解説します。

  • 代表的な隣人・近隣トラブル
  • 問題が発生した際の対処法
  • 問題が発生した際にやってはいけないこと
  • トラブルを避けるための対策

隣人・近隣トラブルが発生しづらいマンションの見極め方を紹介していますので、ぜひ物件選びの参考にしてください。

(※)国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果 (P.28、P.29)

1. マンションで発生しやすい隣人・近隣トラブル9選

マンションの隣人・近隣トラブルにおける代表的な例は、以下のとおりです。

  • 生活音、騒音
  • ペットの飼育方法
  • タバコのマナー
  • ゴミの出し方、分別方法
  • 玄関前や廊下などの共用部分の使い方
  • 車や駐車場でのマナー
  • すれ違った時の挨拶
  • 室内やベランダの汚損
  • 勘違いによるトラブル

それぞれのパターンについて事前に理解し、隣人・近隣トラブルを回避しましょう。

・生活音、騒音

マンションの構造によっては隣人・近隣の生活音が気になりやすく、トラブルに発展する場合があります。トラブルにつながる生活音の例は、以下のとおりです。

  • ドアを閉める音
  • トイレの水を流す音
  • 携帯電話のバイブレーションが鳴る音
  • 子どもの走る音
  • 赤ちゃんの泣き声

また、以下のような騒音は大きな問題に発展しやすいため特に注意しましょう。

  • 大音量での音楽の再生
  • 楽器の演奏
  • 必要以上に大きな声での会話
  • 怒鳴り声での喧嘩

生活音や騒音は、原因を作っている方が認識している以上に大きく響いている場合が多く、解決の難しいトラブルのひとつです。マンションの騒音・防音対策に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので併せてご覧ください。

詳しくはこちら:【原因別】もう悩まない! マンションでの騒音・防音対策を徹底解説

・ペットの飼育方法

ペット可のマンションでは、飼育方法やマナーの悪さが隣人・近隣トラブルに発展しやすいため注意が必要です。苦情の原因となるのは「ペットの鳴き声」「ニオイ」「糞尿の始末」などさまざまなケースが考えられます。

一般的にペット可のマンションでは、居住者の快適な生活を守るためにマンションの管理規約にて「ペット飼育規約」を定めています。規約を守らない飼い主がいると、多くの近隣住民は不満を抱えるでしょう。また、ペットを飼う方と飼わない方の間でペットに対する価値観やマナーへの認識に差があることも、隣人・近隣トラブルに発展する一因です。

お住まいのマンションの管理規約・使用細則などを確認して、ルールを守ったうえでペットとの楽しい生活を送るようにしましょう。

・タバコのマナー

昨今、マンションの共用部において喫煙は禁止とされているケースが増えています。まずは、お住まいのマンションの管理規約・使用細則に記載されている喫煙に関しての項目を確認しましょう。

加えて、ベランダ・バルコニーは専有部ではなく共用部にあたるため、マンションの管理規約・使用細則を守りながら喫煙をするようにしましょう。

また、喫煙マナーはタバコを吸う方と吸わない方で認識の差が大きく、隣人・近隣トラブルに発展しやすい問題です。ベランダで喫煙する際、タバコの煙が上階や隣の室内に入ると、苦情につながる場合があります。

また喫煙者のマナー自体が悪く、ポイ捨てや共用部分での喫煙がトラブルの原因になるケースが考えられます。

・ゴミの出し方、分別方法

ゴミの出し方や分別方法はお住まいの市区によって異なりますので、まずは地域のルールを確認しましょう。昨今は24時間ゴミ出しOKとなっているマンションが増えていますが、地域のルールとゴミ出しマナーは守りつつ、マンションにお住まいの方がお互い気持ち良く暮らせるように心がけることが大切です。

また、別の地域から引っ越して来た方が、悪気なく以前の居住地のルールのままゴミを出してしまったり、新しい分別法をまだ把握できていなかったりすることで、隣人・近隣トラブルに発展する場合があります。基本的には、ゴミの出し方や分別方法を居住者が理解できれば解決が可能です。

しかし、ルールを知っていても「ゴミ出しの時間を守らない」「ゴミ袋の口をきちんと閉めない」といった居住者がいる場合は、問題の解決が難しくなります。また、ゴミの中には各世帯のプライバシーに関する品が含まれています。ゴミを通じたプライバシーの侵害が原因となり、隣人・近隣トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。

・玄関前や廊下などの共用部分の使い方

マンションの玄関や廊下などの共用部分の使い方は、隣人・近隣トラブルに発展しやすい事柄のひとつです。共用部分の使い方に関する苦情としては、以下のような例が挙げられます。

  • 放火の危険があるダンボールや新聞紙などの可燃物を、廊下に放置したままの居住者がいる
  • 駐輪場があるにもかかわらず、廊下や玄関前などの共用スペースに自転車を停めている居住者がいる

それぞれのマンションには規則があるものの、共用部分を巡るトラブルの原因となる居住者はルールを守らない場合が多いでしょう。

・車や駐車場、駐輪場でのマナー

車や駐車場を利用する際のマナーに不満が募り、隣人・近隣トラブルに発展するケースがあります。「早朝や夜間にエンジンの音がうるさい」「隣の居住者の知人が勝手に自分の駐車スペースに車を停めていた」など、苦情の内容はさまざまです。

車のエンジンの音量に対する感じ方は、人によって異なります。今まで問題にならなかった音量であっても、新しい居住者は不快に感じる場合があり、トラブルに発展する可能性があります。

また駐輪場では、自転車と関係のない子どもの遊び道具やタイヤの空気入れが使われたまま放置されて、ほかの利用者の邪魔になりトラブルに発展するケースが多いです。

・すれ違った時の挨拶

マンションの敷地内ですれ違った時に挨拶をするかしないかの問題は、予想以上に多い隣人・近隣トラブルです。例えば、関西地方のあるマンションでは、2016年に敷地内の居住者への挨拶禁止がルール化されました。

挨拶禁止がルール化された発端は、管理組合の総会で小学生の親御様から「知らない人に挨拶されたら逃げるよう教えている。マンションで挨拶するのはやめて欲しい。」という要望が挙がったことです。また、年配の居住者からは「挨拶の返事がなく気分が悪かった。」という意見が挙がり、挨拶禁止のルール化に至りました。

このニュースに対しては賛成・反対の両方の意見が多く挙がっており、マンションでの挨拶における問題の重要性を物語っています。

・室内やベランダの汚損

マンションでは、たとえ専有部分であっても、室内やベランダの汚損が原因でトラブルに発展するケースがあります。例えば、自室で水漏れが発生した場合、下の部屋の天井や壁にシミができたりカビが発生したりする可能性があります。

また、多くの居住者が利用するベランダでの行動も注意が必要です。ベランダでの喫煙によって、隣戸の洗濯物に臭いが付着したり、灰や吸い殻で汚れたりするケースがあります。

ほかにも、ベランダにゴミを長期間放置したことによる悪臭の発生や、植物への過度な水やりが階下のベランダに滴り落ち、迷惑をかけることもあります。悪気がなくても相手に直接的な被害を与えてしまうことで、大きなトラブルに発展することがあるため注意しましょう。

・勘違いによるトラブル

隣人トラブルのなかには「嫌がらせをされている」「物が盗まれた」など、一方的な思い込みや勘違い、被害妄想を抱いた隣人から、逆に嫌がらせを受けるケースがあります。また、騒音の発生源を間違えてしまい、隣の部屋がうるさいと思い込んで苦情を言ったところ、実際は別の部屋や場所からの音だったということもあるでしょう。

さらに、管理規約の内容をよく確認しないまま、一方的な思い込みで苦情を言ってしまうケースも見受けられます。例えば、規約では時間制限付きで楽器演奏が許可されているのにもかかわらず「禁止されているはず」と、一方的に苦情を言ってしまい、居住者間の関係をこじらせてしまうケースも見受けられます。

2. マンションにおける隣人・近隣トラブル発生時の2つの対処方法

隣人・近隣トラブルに直面した際、どのように対処すれば良いか不安に感じる方は多いでしょう。トラブルの基本的な対処方法としては、以下の2つが挙げられます。

  • 管理会社や自治会などに相談する
  • 警察や弁護士などに相談する

予期せぬ隣人・近隣トラブルに備えるため、事前に対処方法を理解しましょう。以下の表も参考にしてください。

相談先 対応範囲 相談すべきタイミング 費用 注意点
管理会社 ・管理規約違反の注意喚起
・居住者への通達
迷惑行為の詳細をまとめたり何らかの証拠を用意できたりした場合 無料 対応範囲に限界がある
自治体 ・法的アドバイス
・他機関の紹介
問題が複雑化した場合 無料 助言のみで直接解決はできない
管理組合の理事会 ・管理規約改正
・強制的な対応検討
理事会が適切に機能している場合 無料 ・理事会の協力が必要になる
・理事会がトラブルの原因になっている可能性がある
警察 ・法律に基づいたアドバイス
・他機関への紹介
・脅迫/暴力/迷惑行為への対応
・緊急性が高く、身の危険を感じた場合(110番に通報)
・緊急性が低い場合(「#9110」に相談)
無料 緊急性がないと具体的な対応をとってもらえない可能性がある
弁護士 ・法的措置全般
・訴訟代理
当事者間での解決が難しいと判断した場合 ・初回相談は無料のことが多い
・「法律相談料」「着手金」「接見・面接費用」「成功報酬」などの費用がかかる
・弁護士によって得意分野が異なる
・裁判まで進むと高額な費用が必要になる

・管理会社や自治会などに相談する

隣人・近隣トラブルが発生した際は、まずは管理会社や自治体、管理組合の理事会に相談してみましょう。

管理会社への問い合わせ

隣人・近隣トラブルが発生した際は、管理会社が対応することが一般的です。ただし、管理会社が対応できる範囲には限度があります。

騒音を出す居住者に注意通達を送ったり、電話で連絡をしたりすることは可能であっても、実際に話し合いの場を設けることはできない場合があります。管理会社の対応範囲については、問い合わせの際に確認するのがおすすめです。

また、管理会社によっては契約の時に「居住者間のトラブルには一切介入しない」という文面を交わしているケースがあるため、規約も合わせて確認しましょう。

自治体への問い合わせ

隣人・近隣トラブルが発生した際に、住んでいる自治体の市役所や区役所に相談する方法があります。各自治体には、日常生活に関する相談を受け付けている「生活課(※)」という窓口があり、隣人・近隣トラブルについての問い合わせを受け付けています。

ただし、自治体が対応できる問題の範囲は限られている点に注意が必要です。基本的に、自治体はトラブルの原因となっている相手と直接交渉をしたり、問題解決のための手続きを代行したりするような対応はできません。

なぜなら自治体は、あくまで「相談に対する助言をする」というスタンスをとっているからです。自治体への相談は、トラブル時の対応について客観的・法的な視点からアドバイスを求める対処方法のため、必要に応じて活用しましょう。

(※)名称は自治体によって異なる場合があります。

管理組合の理事会への問い合わせ

隣人・近隣トラブルへ本格的に対応するには、管理組合の理事会に対応を依頼する方法が有効です。理事会とは、管理組合の業務を遂行する機関を指します。トラブル時の相談先としては、理事会のほかに自治会も考えられるでしょう。

ただし、なかには理事会がトラブルの原因になっているケースがあります。適切に機能している組織ならば相談する価値はありますが、場合によっては状況が悪化するリスクがあるため注意が必要です。

・警察や弁護士に相談する

管理会社や自治体の対応では状況が改善しない場合は、警察や弁護士に相談すれば法的な措置を取れる可能性があります。警察や弁護士への相談は、隣人・近隣トラブルが起きた際に「相手に威嚇された」「暴力を振るわれるような怖い思いをした」などのケースに有効です。

警察への問い合わせ

警察に相談する場合、まずは「警察相談専用電話#9110」に電話をかけてみましょう。基本的に、警察は事件性がなければ対応できません。一方で、警察相談専用電話では「ストーカー」「悪質商法」「隣人・近隣トラブル」など、犯罪や事故には至っていない悩み事の相談を受け付けています。

電話に限らず、警察署の相談窓口へ直接出向いて相談することも可能です。その場合は、都道府県警察本部の「警察総合相談室」か、各都道府県の警察署にある「警察総合相談窓口」に相談しましょう。

電話と対面どちらの場合も、対応するのは専門の「警察安全相談員」(警察官、元警察官など)です。警察安全相談員に事件性があると判断されれば、捜査担当部門に引き継がれ、検挙や補導などの法的措置が取られます。

事件性がないと判断された場合は、トラブルの原因となっている相手への具体的な対応方法など、法律上または事実上の手段に関するアドバイスや指導を受けられます。状況によっては、ほかの行政機関を紹介されたり、未然に事件を防ぐために警察が指導・警告・説得などを行ったりするケースがあり、トラブルの解決につながりやすいでしょう。

(参考:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ

弁護士への問い合わせ

刑法に基づいて対応する警察に対し、民法に抵触する隣人・近隣トラブルに対応できるのが弁護士です。例えば、騒音が原因のトラブルの場合、民法709条に基づく「受忍限度」を超えていれば、法律上の「不法行為」として裁判所へ訴えられます。訴えが認められると、裁判所からの騒音行為の差し止めや損害賠償の請求が行われるのです。

ただし、受忍限度の判断を含め、弁護士に依頼をすれば費用がかかります。相談の段階で「法律相談料」がかかり、依頼をすれば「着手金」「接見・面接費用」「報酬金」などが必要です。

加えて、交通費や法的手続きにかかる費用が別途実費で請求されます。場合によっては、自身が引っ越したほうが低コストになるため、弁護士と相談のうえ冷静に判断するようにしましょう。

3. マンションの隣人・近隣トラブルが発生したときにやるべきこと

マンションで隣人トラブルが発生した際には、円満な解決を目指すために冷静かつ客観的な対応が不可欠です。まずは問題が大きくなる前に、以下のように起こったことの事実を記録し、マンションのルール確認から始めましょう。

  • 証拠を集める
  • 管理規約や賃貸借契約書を確認する

それぞれ詳しく解説します。

・証拠を集める

隣人トラブルを解決するためには、被害状況を客観的に示す証拠が重要です。例えば、騒音問題であれば、音声レコーダーやスマートフォンのアプリを使い「いつ、どのような音が、どのくらいの大きさで聞こえるのか」を録音しましょう。

あわせて「◯月◯日◯時頃、上階から子どもが走り回る音が約30分続き、仕事に集中できなかった」といった、具体的な状況を記録することも有効です。また、ゴミ出しのルール違反や駐輪場の不正利用などの共用部分でのトラブルは、日時がわかるように写真や動画で撮影しておきましょう。

ただし、撮影はあくまで「違反行為の事実」を記録するためですので、可能な限り人物が特定できないように撮影するのが望ましいです。共用部に防犯カメラが設置してある場合には、管理会社に相談して確認してもらうのも良いでしょう。

・管理規約や賃貸借契約書を確認する

トラブルの解決には、マンションで定められたルールを確認することが重要です。分譲マンションであれば、共同生活のルールを定めた「管理規約」のなかの以下のような部分を確認しましょう。

  • 専有部分の使用制限
  • 共用部分の利用方法
  • ペット飼育規約
  • 騒音に関する規定

賃貸の場合は「賃貸借契約書」の禁止事項や、善管注意義務の項目に目を通します。多くの場合「近隣住民への迷惑行為の禁止」といった、条文が盛り込まれているはずです。これらの書類によって相手の行為が明確なルール違反であると特定できれば、管理会社や組合へ相談する際に「管理規約第◯条違反です」と具体的に指摘でき、迅速な対応を促しやすくなります。

4. マンションの隣人・近隣トラブルでやってはいけない3つの対応

隣人トラブルが発生した際、誤った対応は問題をさらに複雑化させてしまい、かえって自身の立場を不利にしてしまう可能性もあります。問題を大きくしないためにも、以下のような行為は絶対に避けましょう。

  • 直接相手に文句を言いに行く
  • 仕返しをする
  • 証拠を残さずに感情だけで行動する

それぞれ詳しく解説します。

・直接相手に文句を言いに行く

マンションで隣人トラブルが発生しても、感情的になって直接相手の部屋に文句を言いに行くのは避けましょう。冷静な状況であれば話し合いで解決できる問題も、お互いが感情的になると収拾がつかなくなり、関係性がさらに悪化してしまいます。

また、第三者という証人がいない状況では「言った言わない」の水掛け論になり、相手が逆上して暴言や暴力に発展する可能性もあります。自身の身に危険が及ぶことも考慮して、直接文句を言うのではなく、管理会社など第三者を介してアプローチするのが良いでしょう。

・仕返しをする

隣人からの迷惑行為に対して、同じような行為で「仕返し」をするのは絶対にやめましょう。例えば、上階の足音がうるさいからといって天井を棒で突いたり、壁を叩いたりしても問題解決はできません。それどころか、新たな騒音トラブルの火種となり、事態を泥沼化させるだけです。

何より、仕返しをした時点であなた自身が「加害者」になってしまいます。将来的に裁判や調停に発展した場合、相手側から「そちらも同じことをしてきた」と主張され、不利な立場に置かれる可能性があることを理解しておきましょう。

・証拠を残さずに感情だけで行動する

隣人トラブルの解決において、客観的な証拠を残しておくことが大切です。記録を残さずに、ただ感情的に「いつも夜中に騒音がして迷惑している」と主観だけで訴えても、管理会社や公的機関は具体的な対応を取りようがありません。

また、感情的になりSNSで相手が特定できるような投稿をしたり、近隣住民に相手の悪口を言いふらしたりする行為も危険です。これらの行動は、内容によっては名誉毀損で逆に訴えられるリスクを伴います。感情的な行動は避け、まずは冷静に事実を記録するようにしましょう。

5. マンションの隣人・近隣トラブルを避けるための3つの対策

ここでは、マンションの隣人・近隣トラブルを避けるための3つの対策を解説します。

  • 住まいを購入する前に確認を行う
  • 引っ越し前に挨拶をする
  • トラブルの原因を作らないよう注意する
  • 日常生活でのマナーと配慮を心がける
  • 近隣住民との良好な関係を維持する

隣人・近隣トラブルを未然に防ぎ、安心して暮らせるように対策しましょう。

・住まいを購入する前に確認を行う

隣人・近隣トラブルを避けるために効果的な対策のひとつは、実際に転居する前の確認です。マンションの管理会社に対し、トラブル発生時の対応が可能かを確認しましょう。

加えて、以下3つのポイントを確認するのがおすすめです。

自分と既存の居住者のライフスタイルにズレはないか

マンションを購入する前に、周囲にどのような方が住んでいるかを確認しましょう。近隣住民の家族構成やライフスタイルは、特に重要なチェックポイントです。

例えば朝早く出て夜遅く帰る単身者世帯と、夜は家族で過ごすファミリー世帯では、生活音が気になる時間帯は異なります。マンションの既存の居住者に子どもがいる家庭が多ければ、泣き声や足音への許容範囲は広いと予想できます。

ただし小さな子どもがいる場合、泣き声や足音などは騒音トラブルに発展しやすいため注意が必要です。特に上下左右の居住者とはトラブルに発展しやすいため、家族構成やライフスタイルの違いの有無を入念にチェックしましょう。

共用部分は適切に利用されているか

ゴミ捨て場や駐輪場など、共用部分の使い方にはマンション全体のモラルが表れます。「ゴミが散乱していないか」「乱雑な駐輪がされていないか」などのポイントを確認しましょう。

エントランスや廊下の清掃状況、掲示板の管理状態も重要なチェックポイントです。掲示物が古いままになっていたり、清掃が行き届いていなかったりした場合は、管理体制に問題がある可能性があります。また、共用部分に私物が放置されていないか、駐輪場でルールが守られているかなども確認しましょう。これらは居住者のマナー意識を知る手がかりとなります。

現時点で隣人・近隣トラブルはないか

購入を検討しているマンションにおいて、現時点での隣人・近隣トラブルの有無を確認してみましょう。トラブルの有無をチェックする際は、広い視野で情報を集めることが大切です。不動産会社だけでなく管理会社や管理組合、可能であれば居住者にも確認すると良いでしょう。

・引っ越し前に挨拶をする

近隣住民への引っ越しの挨拶は、可能であれば作業が始まる直前か、少なくとも翌日までには行いましょう。挨拶をせずに引っ越し作業で大きな音を立てれば、両隣や上下階(斜め上や斜め下を含む)の居住者は不快な思いをする可能性があります。

引っ越しの物音がきっかけで「常識のない人が来た」と思われれば、何かの拍子にトラブルへ発展しかねません。引っ越しの挨拶が翌日になってしまった場合は「昨日はご迷惑をおかけしてすみません」などの一言が大切です。

マンションのコミュニティが強固なほど、既存の居住者は「新参者」に対して過敏に反応する傾向にあります。警戒心を解くには、まず「得体の知れない人物ではありません」というポーズをとることが大切です。そのポーズを示すための手軽な方法が、引っ越しの際の挨拶です。

引っ越しの際の挨拶を「古い習慣」と否定せず、できるだけ時間を見つけて実践しましょう。

・共用部でのマナーを守る

エントランスでは、来訪者への対応時に大声で話したり、長時間占拠したりしないよう注意しましょう。エレベーター内では携帯電話での通話を控え、ボタンを押す際は他の利用者への配慮を忘れずに行います。

ゴミ捨て場では、指定日時を守り、分別ルールを徹底することが基本です。ゴミ袋の口をしっかり閉め、ゴミ置き場周辺を汚さないよう注意しましょう。駐輪場・駐車場では、指定されたスペース内にきちんと駐輪・駐車し、他の利用者の邪魔にならないよう心がけます。

廊下では私物を放置せず、子どもが遊んだり走り回ったりしないよう注意が必要です。また、夜間や早朝の共用部分の利用時は、足音や会話の声量に配慮し、他の居住者の迷惑にならないよう静かに行動することが大切です。これらの基本的なマナーを守ることで、住民全体が快適に過ごせる環境を維持できます。

隣人・近隣トラブルを避けるためには、自分自身が問題の原因とならないことが大切です。特に、他の居住者と行動範囲が重なる「エントランス」「郵便受け」「エレベーター」「駐輪場」「ゴミ捨て場」など、共用部分での行動には十分な注意が必要です。また、夜間や早朝の共用部分の利用時は、足音や会話の声量に配慮し、他の居住者の迷惑にならないよう静かに行動を心がけましょう

これらの基本的なマナーを守ることで、住民全体が快適に過ごせる環境を維持できます。自分自身が可能な範囲で、他の居住者との適切な距離感を保ちましょう。

・室内・ベランダでの過ごし方に気をつける

マンションで快適な共同生活を送るには、日常的なマナーと他者への配慮が不可欠です。特に、生活音はトラブルの元になりやすいため注意しましょう。例えば、洗濯機や掃除機の使用は早朝や深夜を避け、日中の時間帯に行うようにします。また、椅子の脚にフェルトを貼る、ドアを静かに閉めるなどの小さな工夫も、騒音防止につながります。

子どもがいる家庭では、室内で走り回ると階下や隣戸に音が響くことを伝え、防音マットを敷くなどの対策を施すのも効果的でしょう。共用部であるベランダでの喫煙や、階下に水が滴るような過度な水やり、ゴミの放置などもトラブルの原因となるため、常に周囲への配慮を忘れないようにしましょう。

・近隣住民との良好な関係を維持する

引っ越しの挨拶だけでなく、日頃から近隣住民と良好な関係を維持することがトラブル予防策となります。エレベーターや廊下で顔を合わせた際に「こんにちは」と挨拶を交わすだけでも、お互いの印象は変わるでしょう。

また「小さな子どもがいる」「夜勤がある」など、それぞれの家庭の生活パターンを何となくでも知っておくことで、多少の生活音にも「お互い様」という気持ちが生まれやすくなります。完全に音を出さずに生活することは不可能なので、普段からのコミュニケーションでトラブルをなるべく防ぐようにしましょう。

万が一、自身の出した音で迷惑をかけてしまった際は、早めに一言お詫びをすることで関係性の悪化を防ぐことが可能です。

6. まとめ|マンションの隣人・近隣トラブルを避け、安心して生活しよう

マンションには多くの世帯が住んでおり、価値観やライフスタイルは家庭によってさまざまです。生活音やゴミ出しの方法など、近隣住民の暮らし方が気に掛かることは多いでしょう。

近隣住民の様子に対して不満が溜まると、トラブルに発展する場合があります。まずはマンションのルールである、管理規約・使用細則を確認しましょう。

また、隣人・近隣トラブルを避けるためには、マンションを購入する前に揉め事の有無を確認しましょう。良好な人間関係を築けるよう、引っ越し前には挨拶をすることが大切です。

隣人・近隣トラブルが発生した際、対処するときは管理会社や専門家など当事者以外の第三者の力を借りながら穏便に解決できるよう心がけましょう。

※2025年9月時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。