【不動産買取ガイド】買取の5つのメリットや決済までの流れを解説

不動産の売却を検討する理由は、人によってさまざまです。「早く現金化したい」「売却後の手間を省きたい」という理由から、不動産会社による「買取」を検討する方も多いでしょう。買取は、仲介での売却とは異なるメリット・デメリットがあり、特に築年数が古い物件や内部の状態が悪い住居の場合には、非常に有効な売却方法となります。
そこでこの記事では、買取のメリット・デメリット、買取を行う際の流れ、買取に向いている不動産などを紹介します。あなたが今所有している不動産は、本当に買取による売却を行ってもよいのか、メリット・デメリットを比較検討しながら読み進めてみてください。
目次
1. 不動産買取の5つのメリット

「仲介による不動産売却と比較して価格が安くなってしまう」というのが、買取のたったひとつのデメリット。その反面、買取を利用すれば一般的な仲介を利用した売却と比較してメリットは沢山あるのです。ここでは、5つのメリットを紹介していきます。

- 仲介手数料が不要
- プライバシーを考慮した売却が可能
- 室内のリフォームや修繕が不要
- 契約不適合責任が免責
- 期限内、かつ確実な取引が可能
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それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
・仲介手数料が不要

買取による不動産売却は、仲介手数料が不要です。そのため、売却の際の諸費用を節約できます。不動産会社へ仲介を依頼し、買い手を見つけて貰ってから売買契約を結ぶ場合は、成功報酬として不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
しかし、買取の場合は直接不動産会社に売却するので、仲介手数料の節約ができます。仲介手数料に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
・プライバシーを考慮した売却が可能

急な転勤や離婚など、不動産の売却を考える理由は人によってさまざまです。なかには「購入希望者に住んでいるところを見られたくない」「ご近所に知られることなく売却をしたい」と考える方もいるでしょう。不動産会社による買取を利用すれば、プライバシーを考慮した売却が可能です。
仲介による売却を行う場合は、不動産会社のホームページや広告チラシなどに物件の情報を掲載しなければなりません。購入者が決まるまでの間、内覧希望者を迎えることに煩わしさを感じる方もいるでしょう。
しかし、買取は不動産会社と直接取引を行うので、一切の販売活動を行いません。そのため、同僚やご近所に知られる心配もありませんし、内覧希望者を迎える必要もありません。
・室内のリフォームや修繕が不要

仲介による売却では、不動産そのものが老朽化している場合「部屋がきれいじゃない」「リフォームをしないと買い手が見つかりそうにない」などの理由により、購入希望者が現れにくいかもしれません。
しかし、買取による不動産の売却は、不動産会社と直接取引を行うため、室内の状況を気にする必要はありません。多少部屋が汚れている状態でも、問題なく売却できるケースが多いです。
・契約不適合責任が免責

不動産会社による買取での売却を行った場合、契約不適合責任が免除になります。契約不適合責任とは、引き渡した不動産が種類、品質、数量に関して契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
民法改正前の瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)と異なり、契約内容との「不適合」という観点から、買主は追完請求(修理など)・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除を求めることが可能になりました。
契約不適合に当てはまる代表的なトラブルは、雨漏りやシロアリの発生、給水管からの漏水などがあげられます。仲介による売却を行った場合、売却した不動産で何かしらの契約不適合が見つかると、売り手に修繕や補修、損害賠償などの義務が発生してしまいます。契約不適合の内容によっては、何十万、何百万円の支払いが発生する可能性も考えられます。
※なお個人間の売買契約では、契約不適合責任の期間を2~3ヶ月程度と定めるケースが多いです。
「売却後のトラブルが心配」「売却後の余計な出費は避けたい」という方は、買取による不動産の売却を検討してみましょう。不動産会社への買取であれば、原則として売主の契約不適合責任は免責されるため、売却後の心配が大きく軽減されます。
・期限内、かつ確実な取引が可能
買取をしてくれる不動産会社が決まれば、すぐに売却し現金化できます。仲介によって売却を行う場合、買い手を見つけられず、困っているケースが見受けられます。近年では、買い替えや住み替えなどの次の計画が決まっているのに、売却が上手くいかず無駄な出費が増えるケースも多いです。
2. 不動産買取のデメリット

不動産買取のデメリットは「市場価格よりも買取価格は低い傾向にある」という点です。依頼する不動産会社によって買取価格は異なりますが、仲介での売却(市場価格)の70~80%ほどになることが多いです。
不動産会社は、買い取った不動産にリフォームやリノベーションなどの手を加えて再販売を行います。そのため、買取は相場よりも安くならざるを得ないのです。
3. 不動産売却で「買取」に向いている不動産とは?

以下のような物件の売却を考えている場合は、思い切って買取を選択してみましょう。
- 築年数が30年以上経過している物件
- 過去に事件や事故のあった物件
- 内部の状態がかなり悪い物件
それでは、一つずつ確認していきましょう。
・築年数が30年以上経過している物件
水道などの給水管や排水管などの寿命は、25年程度だと言われています。もし売却後の配管に欠陥が見つかった場合は、契約不適合責任による修繕の義務が発生し、構造によっては修繕費が100万円以上かかることもあります。高額な出費を避けるために、築年数の古いマンションは仲介による売却はせず、買取を選択する人も多いです。
・過去に事件や事故のあった物件
過去に火災や自殺などの事件や事故のあった物件は、心理的瑕疵物件と言われ、買い手が現れにくくなる傾向にあります。そのため、相場よりも極端に安い価格での売り出しになります。過去に事件や事故のあった物件を売却に出す場合は、多少価格が低くなってしまったとしても買取を選んだ方がよいでしょう。
・内部の状態がかなり悪い物件
「内装が汚い」「設備の状態が劣化している」といった内部の状態が悪く、売却が見込めない場合も不動産会社に買い取ってもらうのがおすすめです。買取後、リフォームやリノベーションして販売を行う不動産会社は多く、その場合は内装の状態を問われないからです。
もし、内装や設備を一新させてから売却に出そうとすると、リフォーム代を売却価格に上乗せすることになります。仮にリフォームをしても必ず買い手が見つかるとは言い切れず、資金面以外にもさまざまな手間がかかります。そのため、買い手が見つかるまで待つよりも、買取を利用した方がメリットは大きいです。
4. 不動産買取の流れ

不動産の買取は、一般的に以下のような流れで行われていきます。

事前準備から残金決済までの期間は、およそ1ヶ月です。仲介で不動産を売却する場合は半年~1年程度かかるケースもあるため、比較すると非常に短い期間で取引が完了していることがわかります。より短期間で買取を行いたい場合は、不動産会社に相談してみるといいでしょう。それでは、手順を一つずつ説明していきます。
・手順1.事前準備
査定前に以下を準備しておくと、スムーズに買取が進められます。
- 査定に必要な書類を用意する
- 買取査定額の相場を調べる
いくら仲介による不動産売却よりも価格が安くなるとはいえ、できる限り高く、そしてなるべく早く売却を行いたいはずです。手間や時間のかかることもありますが、事前の準備が肝心です。
事前準備1.査定に必要な書類を用意する
まずは、買取を行うにあたって必要になる書類が揃っているかの確認をしましょう。
【買取査定に必要な書類】
登記に必要な「固定資産評価証明書」
所有権の移転登記に必要な「登記済権利証」または「登記識別情報」
建物の形状を確認するための「建物図面」
土地の形状を確認するための「地積測量図」
購入時の販売資料である「パンフレット」
上記の書類は、買取査定を行うにあたって絶対に必要なものではありません。しかし、より正確な査定価格を知るために用意しておきたいものです。
また、取得方法が分からない場合、上記書類の一部は不動産会社に取得代行を依頼することも可能です。できるだけ正確な査定額を知るためにも、前もって必要な書類を用意しておくことをおすすめします。
事前準備2.買取査定額の相場を調べる
実際に査定を行う前に、買取査定額の相場を調べましょう。不動産会社による買取を選択する場合、依頼する不動産会社を選ばなければなりませんが、この時の選択が最終的な買取価格に影響します。
買取査定額の相場を把握するために、複数の仲介会社に査定依頼をするのがおすすめです。ここで注意したいのは「市場価格よりも70~80%ほど低くなる」ということです。
仲介で不動産売却を行った場合はどれくらいの相場になるのかを知っておくと、買取価格を把握するための一つの目安にもなります。不動産売却の際の査定に関して、以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
詳しくはこちら:不動産売却、査定額「だけ」高い業者に要注意! 騙されないコツと基礎知識
・手順2.買取査定
相場が分かったら、買取査定を不動産会社に依頼しましょう。査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類がありますが、より正確な査定価格を知るためにも、訪問査定を依頼するのがおすすめです。訪問査定とは、営業担当者が実際に物件を見て行う査定です。
住所や専有面積、間取り、築年数などのデータから大まかな査定額を算出する机上査定(簡易査定)とは異なり、目で見なければわからない情報を基に査定を行います。2~3社に査定を依頼してみて、査定額の根拠や担当者の対応を比較するとよいでしょう。
・手順3.買取価格の提示
査定を依頼した会社に、買取価格の提示をしてもらいましょう。気を付けたいのは、査定額と実際の売買価格は異なる可能性がある点です。査定額が実際に取引される価格ではないということを、念頭に置いておきましょう。
・手順4.打ち合わせ
売買スケジュールや物件引渡の際の条件確認のため、打ち合わせを行います。買取による不動産の売却は、不動産会社と直接取引を行うことになります。そのため、売買のスケジュールが立てやすく、引き渡しまでスムーズに進みやすいです。打ち合わせの際には、以下のような物件引渡時の条件確認も忘れずに行いましょう。
- 家財道具の処分費の有無
- 空調設備の放置による請求の有無
- 売却代金の決済時期
これらは、非常にトラブルになりやすい項目でもあります。きちんと文書化しておくことが大切です。
・手順5.契約
買取価格に納得ができたら、売買契約を締結します。契約当日は、一般的に以下の5つの項目を行います。
- 売買契約書の読み合わせ
- キッチンやエアコンなどの付帯設備の確認
- 雨漏り、シロアリ、給排水管の故障など、物件情報の確認
- 記名・押印
- 手付金の受領
この時点で、疑問点や不明点を全て解消し、円滑な売買契約の締結を行うよう心掛けましょう。
・手順6.残金決済
最後に、残代金を受領し物件の引渡を行います。引渡日を迎えるまでに、抵当権抹消に向けた手続きや公共企業や管理会社への引っ越し手続き、引っ越しの準備などが必要です。一般的に、決済日当日は、銀行などの金融機関で引渡手続きが行われます。
決済時には司法書士が以下のような内容を確認し、これらが済んだのち、鍵や関係書類の引渡を行い不動産買取による取引は終了です
- 本人確認
- 書類確認
- 売買代金の受領
- 各種精算金の受領
- 住宅ローンの完済と抵当権抹消手続き など
査定から残金決済まで、仲介による不動産の売却よりも期間が短くなる分、自身で準備することも多く、慌ただしくなることが予想されます。依頼した不動産会社とよく相談しつつ、スムーズに売買契約を結んで、不動産売却を進めましょう。
5. 不動産売却でなかなか売れない場合にできること

「せっかく不動産を売却するのだから、より高い値段で売却をしたい」と考えている方もいるでしょう。不動産が売れない理由は必ずあります。どうしても仲介で売却を行いたい場合は、今の売り方に問題がないか確認し、どうすれば売却できるのか検討してみましょう。売れない物件を売りやすくする方法として、具体的な対策として以下の3つがあげられます。
- 売却価格を見直す
- 仲介している不動産会社と媒介契約を変更する
- 物件の商品価値を上げる
仲介での不動産売却を行いたい場合、大切なのは「どのように内覧希望者や購入希望者に買いたいと思ってもらえるか」です。担当者とよく相談し、これから不動産を買う人の気持ちになって対策を考えていきましょう。なかなか買い手が見つからない場合は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
詳しくはこちら:あなたのマンションはなぜ売れない? 売れるマンションに変える3つの方法とは
6. まとめ

不動産を売りに出す場合の事情はさまざまです。しかし「早く売りたい」と「なるべく高く売りたい」を両立することは難しいと言えます。事情を加味したうえで、所有している物件をなるべく高値で売りたいのか、それともできるだけ早く売りたいのかを考え、買取か仲介かの決断をしましょう。
当サイトでは、仲介による不動産売却に役立つ記事も掲載しています。
詳しくはこちら:【不動産売却ガイド】家を売るために必要な基礎知識と手順総まとめ
買取による不動産売却のデメリットは「市場価格よりも買取価格は低い傾向にある」という点です。何か急がなくてはならない事情があり、早く売りたい場合は、買取による不動産の売却がおすすめです。急いでいるなかでも、きちんと査定を行い、納得のできる売却を行いましょう。
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2025/08/29時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。




