【不動産売却ガイド】不動産売却の基本的な手順と事前に知っておくべき3つの注意点を解説

家の売却を検討している方のなかには「何から手をつければいいの?」「築年数の古い家だけどそのまま売れるのだろうか……」など、不安を抱えている方も多いでしょう。大切な住まいの売却で後悔しないためには、不動産売却の全体の流れと押さえるべきポイントを把握しておくことが大切です。
そこでこの記事では、不動産売却の基本的な手順や売却する際の注意点、よくある悩みを解説します。最後まで読み進めてもらえると「住宅を売る前にもう少し準備しておけばよかった」と後悔しないで、安心して手続きができるようになるでしょう。
目次
1. 不動産売却の基本的な手順
不動産売却の大まかな流れを図を用いて解説していきます。不動産の売却は、一般的に下図のような手順で行われ、事前準備から引き渡しまでの目安は半年程度です。

それよりも短い期間で売りたい場合は、不動産会社に相談してみると良いでしょう。では、各手順を一つずつ説明していきます。
・手順1:事前準備
家を売ると決めたら「まずは売却査定!」と気が急いてしまいがちですが、売却査定を受ける前に以下のような準備を行っておきましょう。
- 近隣の相場を調べる
- 境界を明確にする(土地の場合)
- 必要書類を用意する
これらの準備は、売却査定をスムーズかつ正確に進めたり、売却後のトラブルを避けたりするために必要です。手間がかかるものもありますが、一つずつ確認していきましょう。
事前準備1:近隣の相場を調べる
売却査定の前に、近隣相場をチェックしておきましょう。その理由は、現在の相場を理解しないまま査定を受けてしまうと、提示された査定結果が妥当であるかを判断できないからです。悪質な業者に騙されないためにも、事前に相場を把握しておくことが必要です。
中古住宅を販売している無料のWebサイトでチェックしていくのも良いですが、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を活用すれば、無料で簡単に信頼できる情報を調べられます。

このサイトでは、過去に実際に行われた不動産取引の価格を地図上で確認できるだけでなく、ハザードマップ(防災情報)や周辺の学校・医療機関、都市計画情報なども重ねて表示させることが可能です。まずは売りたい物件のエリアを選択し、最新の取引価格を把握しましょう。さらに、その土地の防災リスクや周辺環境といった付加価値も調べることで、不動産会社から提示された査定額が妥当であるかをより多角的に判断するための材料にできます。
事前準備2:境界を明確にしておく(土地の場合)
土地や土地を含む一戸建てを売却する場合「どこまでが自分の土地なのか」を明確にするために、境界確定測量を行うことが一般的です。測量は義務ではないものの、土地を売る場合には「境界確認書」の提出が契約条件になることが多いです。境界が明確でないと売却後のトラブルにつながる可能性があるので、測量することをおすすめします。
なお、境界が確定するまでは3~4カ月程度かかります。早めに始めて、売買契約時には境界確認書を用意できるようにしておきましょう。
事前準備3:必要書類を用意する
売却査定を受ける前に、以下のような査定に必要な資料を用意しましょう。
【売却査定に必要な資料】
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記簿謄本(土地・建物)
- 建物の図面・仕様書
- 土地の測量図・境界確認書
これらの書類は、必ずしも「用意しなければ査定が受けられない」というわけではありません。しかし、上記書類を用意することで、査定額算出の精度向上が期待できます。「できるだけ詳しい査定額を算出したい」という方は、事前に準備しておくことをおすすめします。
・手順2:売却査定
事前準備が終わったら、実際に売却査定を受けましょう。不動産の売却査定には、以下の2種類があります。
- 簡易査定(机上査定)
- 訪問査定(実査定)
それぞれ解説します。
簡易査定(机上査定)
簡易査定は、物件のエリアや築年数などの情報をもとに、大まかな査定価格を出す方法です。簡易的な情報だけで机のうえで算出するので「机上査定」ともいわれます。ただし、室内の状態や管理状況、日当たりの確認など実際の物件を見ているわけではないので、近隣の相場や公示価格などを基にした大まかな査定価格しか得られません。
訪問査定(実査定)
訪問査定は実際に営業担当者が訪問し、物件の現状や周辺環境などを細かく調査して査定価格を出す方法です。実際の物件を見て査定することから「実査定」ともいわれます。訪問対応が必要なので、手間や時間はかかりますが、簡易査定よりも詳しい査定価格が得られます。
簡易査定のみで家を売ることはない
2種類の査定方法のうち、簡易査定のみで家を売ることはありません。簡易査定を受けたあとは、確実に訪問査定を受けることになります。早く売りたいと考えている人は、簡易査定を飛ばして訪問査定から始めると良いでしょう。
なお査定を受けるときは、1社だけでなく複数社から見積もりを取ることをおすすめします。査定価格はもちろん「査定額だけでなく根拠を明示してくれるか」「相談に親身に乗ってくれるか」など、担当者の対応もチェックして、一番良い会社を選ぶようにしましょう。不動産査定におけるチェックポイントに関して、以下の記事でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
・手順3:媒介契約
売却査定が終わったら、実際に売却活動を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、サービス内容や契約期間などを法的(宅地建物取引業法第34条の2)に定めるもので、以下3種類に分けられます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの違いを、下表にまとめました。

表からわかる通り、「一般媒介契約→専任媒介契約→専属専任媒介契約」の順に、制限が厳しくなっていきます。どの方法を選べば良いのかは状況によって異なるため、一概にはいえません。それぞれにメリットとデメリットがあり、販売する物件の条件などによって、選択するべきものが変わってくるからです。
たとえば、一般媒介契約は複数の会社と同時に契約できます。しかし、不動産会社側は「この物件を売ることで確実に自社の利益になる」という確約がないため、損失を避けようとしてあまり広告費を割かない可能性があります。つまり、人の目に触れる機会が減り、買い手が現れるまでに時間がかかる可能性がある、ということです。また、販売状況を報告する義務がないため、進捗がわかりづらくなる可能性もあります。
ほかにも「レインズ(REINS)」と呼ばれる、オンラインの物件情報システムへの登録義務がない点にも注意が必要です。レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社だけが閲覧できるオンライン・ネットワークシステムです。不動産会社と「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を結んだ場合、法律によって定められた期間内(それぞれ契約から5営業日以内、7営業日以内)に、このレインズへ物件情報を登録することが義務付けられています。
レインズに物件を登録すると、契約した不動産会社だけでなく、全国の不動産会社があなたの物件情報をリアルタイムで把握できます。その結果、各社が抱える買主候補に物件を紹介してくれるため、より広く、スピーディーに購入希望者を見つけられる可能性が高まるわけです。反対にレインズに登録しないということは、物件を宣伝する機会が減るということです。あなたの物件をより多くの人に知ってもらうためには、レインズへの登録も1つのポイントとなってきます。
では、一般媒介契約は良くないのかというと、そんなことはありません。広告費を割かなくても売れるような好条件の物件であれば、一般媒介契約で十分な可能性があります。また「家を売っていることを周囲に知られたくない」などの希望がある場合は、むしろレインズ登録義務がないことは利点となるかもしれません。
このように、物件の条件や売り主の意向や理由によって、どの契約が最も相応しいかは変わってきます。売却査定のときに担当者に相談してみて、一番納得のいく媒介契約を勧めてくれた会社と契約すると良いかもしれませんね。媒介契約については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
・手順4:内覧対応
媒介契約を結んで実際に販売活動を開始すると「家を見てみたい」という、内覧希望者が現れます。これは部屋を賃貸するときと一緒です。物件を内覧する人は、自分の目で見ることで、間取り図や写真などだけではわからない物件の価値を見極めようとします。
物件の良さをきちんとアピールして好印象を与えることができれば、成約の可能性はグッと上がります。内覧対応で良い印象を持ってもらうためには、以下のようなポイントに気を付けると良いでしょう。
- 事前に掃除して綺麗にしておく
- 内覧希望者の要望には柔軟に応える
- 内覧時には丁寧に接し、物件の情報をきちんと伝える
どれも当たり前のことですが、しているかしていないかで印象は大きく変わります。家の売却は買い手がいて初めて成立するものなので、できるだけ良い関係を築けるよう心がけましょう。なお、この内覧対応が面倒だと感じる場合は、業者買取サービスを利用するのも一つの手です。
業者買取サービスとは、家を一般の個人ではなく不動産会社に買い取ってもらう方法です。買取価格は相場の70~80%と安くなりますが、売却にかかる時間と手間は大幅に軽減されます。できるだけ早く手間なく売りたい方は、買取を視野に入れるのがおすすめです。弊社コスモスイニシアでも、不動産の買取を行っております。「内覧対応に時間が割けない」「所有しているマンションをなるべく早く売却したい」と考えている方は、まずは以下のページから無料査定にお進みください。
・手順5:売買契約
内覧で物件を気に入ってもらえて成約に至ったら、売買契約を結びます。売買契約では、さまざまな書類などが必要になります。以下のとおりに一例としてまとめてみました。
【一戸建て、マンションによらず必要なもの】
- 印紙代
- 印鑑(実印)
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(免許証、健康保険証など)
- 登記済権利証もしくは登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 固定資産税評価証明書
- 仲介手数料(現金または小切手)
【一戸建ての売却で必要なもの】
- 建築確認通知書および検査済証
- 土地測量図および境界確認書 など
【マンションの売却で必要なもの】
- 管理規約、使用細則など
- マンションの維持管理費に関する書類 など
耐震診断やアスベスト使用調査を受けている場合は、その報告書も用意しておきましょう。必要なものが多いですが、事前に不動産会社から説明があるので、落ち着いて用意すれば問題ありません。当然ですが、賃貸借契約と違って売買契約は一度結ぶとなかなか解約できません。ただし「住宅ローン特約」や「買い替え特約」が付いている場合、買い主の都合によっては契約が白紙解除される可能性があります。
これらの特約は、それぞれ「買い主がローンを組めなかったら契約が解除される」「買い主が自分の家を売れなかったら契約が解除される」という、買い主側の事情での白紙解除を認める内容です。契約がキャンセルされると、また一から販売活動を再開することになります。契約を結ぶ前には特約の有無だけでなく、買い主側の状況も確認しておきましょう。売買契約の基礎知識に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
・手順6:決済・引き渡し
売買契約が結ばれたら、日程を調整し、実際に決済と引き渡しを行います。引き渡しの手続きの際には、主に以下の書類を用意します。
- 所有権移転登記関係の書類
- 抵当権抹消関係の書類
- 建築確認関係の書類
- 設備などの取扱説明書
- 設備などの保証書
- 印鑑(実印)
- 印鑑証明書
- 物件の鍵
- 仲介手数料(現金または小切手)
- 代金などの領収書
こちらも、事前に不動産会社の案内に従って用意しておきましょう。所有権移転登記の申請は司法書士に依頼することが一般的であり、抵当権抹消は金融機関とのスケジュール調整が必要です。焦らなくていいように、余裕をもって用意することをおすすめします。
なお、不動産の引き渡し時には、退去が完全に済んでいることが原則です。事前に引っ越す必要があるので、引き渡し前はかなり慌ただしくなります。不動産会社とよく相談しながら、抜けがないように準備しておきましょう。
2. 不動産売却を行う前に知っておくべき3つの注意点
不動産売却を始める前に、最低限知っておくべき注意点として、以下の3つがあります。
- 「高く」と「早く」の両立は難しい
- 売却査定額のまま住まいが売れるとは限らない
- 売却益に対する税金や、仲介手数料などの諸費用は意外に高額
これらを理解しないまま家の売却を始めると、結果的に「住まいが見込んでいた額で売れず、新居の頭金を用意できなかった」「減税措置が適用できるのに、知らなかったので受けられなかった」といった事態を招きかねません。それぞれ詳しく解説します。
・「高く」と「早く」の両立は難しい
多くの売主は「できるだけ高く、そして早く売りたい」と考えるのが本音です。しかし「高く売る」ことと「早く売る」ことを両立するのは、難しいといえます。明確な売却期限を設定しているなら売却価格を、目標の売却価格を設定しているなら売却時期や期間を柔軟に考える必要があります。どちらが大切かしっかりと比較しておくとよいでしょう。
たとえば、3,000万円の相場の住宅があったとします。このとき、2,000万円で売ればすぐに買い手がつき、早く売ることができるでしょう。しかし、売却目標金額が3,500万円で、絶対にその金額を妥協できないというのであれば、時間をかけてでも「その金額でもほしい」と考える人を探す必要があります。
もちろん、相場より高い値段で売り出しても、すぐに買い手がつくこともあります。しかしそれは稀なケースです。早く売りたいならある程度の価格設定に対して柔軟な対応を、逆に高く売りたいなら長期戦も覚悟しておいた方がよいでしょう。
・売却査定額のまま売れるとは限らない
売却査定で査定額を提示してもらうと、その金額を前提に資金計画を立てる方が多くいます。しかし、提示された査定額と実際の売却価格は、必ずしも同一ではありません。家の売却では、なかなか売れないために販売価格を引き下げたり、買い手からの値下げ交渉があったりして、実際の売却額が査定額を下回ることは珍しくありません。
売却査定額がそのまま手元に入ってくると仮定して資金計画を立てていると、すぐに計画が破綻してしまう可能性があります。査定額がそのままで売れると思わず、ある程度低く見積もるようにしましょう。
・売却益に対する税金や、仲介手数料などの諸費用は意外に高額
実際に買い手がついて売却価格が決まったとしても、そのお金がそのまま売主の手元に入ってくるわけではありません。家を売って利益を得た場合は税金の支払いがありますし、利益にかかわらず仲介手数料などの諸費用を支払う必要があります。売却額からそれらの出費を差し引いたものが、実際に手元に入ってくるお金になります。
なお、不動産売却時の税金は意外に高額です。「家を売って利益が出る」つまり家を買ったときよりも高く売ることができた場合は、多い場合百万円単位の税金が発生する可能性があります。不動産売却における税金に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、仲介手数料も意外に大きな負担となります。不動産売却の仲介手数料は、一般的に以下の速算法を用いて算出します。
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)+消費税
この計算式に当てはめると、たとえば家が3,000万円で売れた場合の仲介手数料は96万円です。売却金額が高額になればなるほど、仲介手数料も高額になります。ほかにも、不動産売却時には「住宅ローン抵当権抹消費用」や「土地境界確定測量費用」など、さまざまな費用がかかります。事前に大まかな税金や諸費用を計算して、実際に手元に入ってくるお金がいくら程度なのか、目安を立てておきましょう。
3. 家を売る際のよくある悩み
不動産売却の流れが把握できて「よし、いざ家を売ろう!」と思っても、不安だったり疑問だったりするポイントは多いでしょう。ここでは、家を売るときに多くの方がぶつかってしまう、以下5つの疑問を解消していきます。
- 高く売るポイントはあるの?
- 住宅ローンが残っていても家は売れるの?
- 売却前にリフォームはしたほうがいいの?
- 建物が古い場合には解体したほうがいいの?
- ご近所に知られずに家を売ることはできるの?
一つずつ説明していきましょう。
・Q1.高く売るポイントはあるの?
「とにかくできるだけ高く売りたい」という方は、以下3つのポイントを押さえておきましょう。
- 長期戦も覚悟して、じっくり取り組む
- 掃除とコーディネートを丁寧に行う
- 売却に強い不動産会社を選ぶ
長期戦を覚悟して、じっくり取り組む
先述した通り、不動産売却において「早く」と「高く」の両立は基本的に難しいです。高く売りたいのであれば、長期戦も覚悟して、焦らずじっくりと取り組みましょう。
掃除とコーディネートを丁寧に行う
内覧時の印象は、「買う・買わない」の判断を大きく左右します。特に汚れやすい水回りは、内覧者がチェックする可能性が高い場所ですのでなるべく綺麗にしておきましょう。キッチンや浴室、洗面所などが汚れていると、あまり良い印象は持たれません。場合によっては、必要経費と割り切って、ハウスクリーニングサービスなどを利用しても良いでしょう。
また、あまりに生活感が強すぎると、内覧の印象が悪くなりがちです。新築のモデルルームまでとはいいませんが、生活感が出すぎないように、インテリアに凝ってみましょう。生活必需品を隠すなど、ちょっとした工夫をすることで印象は大きく変わります。雑誌などを参考にして、生活感を出しすぎないように心がけましょう。
売却に強い不動産会社を選ぶ
一口に「不動産会社」といっても、大手から小規模の会社までさまざまあり、また「マンションより一戸建てが得意」「都心よりも郊外を中心に扱っている」など、それぞれ特徴があります。自分が売りたい物件の種別やエリアが得意で、販売実績もある会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社の得意分野を調べる際は、売却査定時に販売実績を尋ねてみたり、会社のWebサイトから傾向を見てみたりすることで、ある程度把握することが可能です。自分が売りたい物件を得意としていそうな会社を選ぶことが、高額売却における一つのコツだといえます。不動産会社を選ぶ際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
・Q2.住宅ローンが残っていても家は売れるの?
ローンの支払いが終わっておらず残債があっても、家を売ることは可能です。ただし、家を売ったお金や貯蓄などで、ローン残債を一括返済できることが条件です。まずは売却査定を受けて、家を売ることでローンを完済できるかどうか確認してみましょう。不安な場合には、ローン残債があることを不動産会社に伝えて相談しておくと安心です。
・Q3.売却前にリフォームはしたほうがいいの?
古い家を売却する前にリフォームをするべきかは、一概に「どちらの方が良い」と言い切れません。リフォームすることで内覧の印象が良くなるケースは多いですが、リフォームにかかった費用を、そのまま販売価格に上乗せできるとは限りません。また、買い手によっては「古い家を自分好みにリノベーションしたい」と考えることもあります。
そのため、せっかくリフォームしたとしても、売却までに時間がかかったり損失が発生したりする可能性があります。リフォームの実施の有無は自身で判断するのではなく、まずは不動産会社に相談して、どちらの方が売りやすいのか一緒に検討しましょう。
・Q4.建物が古い場合には解体したほうがいいの?
古い一戸建ての場合、建物を解体したほうが売りやすい場合はありますが、リフォーム同様、不動産会社に相談したうえで判断するのがおすすめです。
家の売却では「契約不適合責任」に注意が必要です。これは、2020年4月の民法改正で従来の「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」に代わって導入された制度で、より売主の責任範囲が広い考え方になります。
具体的には、引き渡した物件が「種類、品質、数量」に関して契約書の内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。例えば、契約書に記載がない雨漏りやシロアリ被害、主要な設備の故障などが発覚した場合、買主から修理(追完請求)や代金の減額、損害賠償などを求められる可能性があります。
雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きといった契約不適合責任を問われる可能性が高い物件であれば、建物の解体を検討してもよいでしょう。なお、古い建物を解体して「更地」として売却する場合、建物に関する契約不適合責任はなくなります。ただし、土地に地中埋設物や土壌汚染といった問題が見つかった際には、土地に対する契約不適合責任を問われる可能性がある点は覚えておきましょう。また更地にすると固定資産税が高くなりますし、先述したように「古い家をリノベーションしたい人」が買ってくれる可能性もあります。
・Q5.ご近所に知られずに家を売ることはできるの?
可能です。ご近所に知られずに家を売りたい、と希望される方は少なくありません。不動産会社に相談すれば協力してくれるので、まずはその旨を担当者に伝えましょう。「チラシを配布しない」「内覧を制限する」などの対策を立ててくれるはずです。あるいは、業者買取サービスを利用すると良いでしょう。
業者買取であれば、チラシを配る必要がなく、内覧対応も必要ありません。査定のために担当者が訪問する程度で、人の出入りが顕著に増えるなどの心配もありません。確実に素早く家を売ることができるので、ご近所に知られたくない方にはおすすめのサービスです。不動産買取に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
4. まとめ
家の売却は、手間と時間のかかる大イベントです。そしてその大イベントが成功するか否かを大きく左右するのは、仲介を担当する不動産会社です。ここまで述べてきた通り、売却におけるさまざまな過程において、不動産会社との連携が必要となってきます。
スムーズに高く売れるかどうかは、会社の腕次第ともいえます。パートナーとなる会社の専門分野、得意分野をよく理解して、適切な会社選びをすることが重要です。たとえば、コスモスイニシアは「住み替え」を得意としています。
担当者に実績を尋ねてみたり、Webサイトを見て傾向を調べてみたりして、自分が売りたい物件を得意とする不動産会社を選んでください。
2025/09/10時点での情報です。
※記事内で使用している写真、図等はイメージです。






