ーー「東京デコルテ・ココラボモデル」当社担当者である春田亮一に話を聞きました。
ココラボ2008で行った「5つの視点(省エネ、素材、外環境、住空間、街並み)」による研究内容を受けて、この春、細田工務店との共同事業により「ココラボモデル環境共生住宅」が着工しました。豊かな緑とゆとりある街区計画のなかでも、陽当たりのよい南向きの丘に位置する「東京デコルテグローイングヒルズ」。住宅地としてのポテンシャルが高いこの地に、「『自然のちから』で心地よさをつくる、太陽と風と木の家」が誕生します。
「東京デコルテ・ココラボモデル」担当 春田亮一
通風シミュレーションの内観模型
現地(平成22年6月15日撮影)
では、研究成果から実際にどのような住まいになるのか、改めて「5つの視点」にそって紹介していきます。まず、「省エネ」です。夏の陽射しを遮り、冬は陽射しを取り込む大庇を設け、床下には蓄熱コンクリート、外壁には外断熱工法を採用しています。次に「素材」ですが、国産杉の無垢材を躯体に用いてあらわし仕上げとし、自然素材を楽しめる空間としています。「外環境」では、街並みに緑のうるおいを与え、自然と共生していく工夫として陽射しをコントロールする落葉樹を外構に植えています。「住空間」については、吹き抜けのある大らかな空間、自由にプランニングのできる可変性のある空間など、家族の絆と、家と家族がともに成長していく空間づくりを行いました。最後に「街並み」ですが、ココラボで街全体に流れる風を把握し、その風を有効につかまえて、室内に取り込むために2階のバルコニーにはウィンドキャッチャーとよばれる袖壁を設けました。
今回の環境共生住宅で重要な要素のひとつである「風」。街区の風の流れをシミュレーションするCFD(コンピューターによる流体の数値計算)と風洞実験(模型を使った風圧測定)による両面からのアプローチを経て、「5つの視点」でご紹介した袖壁やにくわえ、風が通り抜ける時に生じる壁面の圧力差を利用して、住まいに空気の流れを生む位置に窓を配置することにより、風の通り道を確保しました。(左図のうち、上段は通風シミュレーションの模型、下段は建設中の建物の内部写真です。風をとり込む大きな窓と、外に逃がす天窓をご確認いただけます。)

住まいに「自然」の風が入ることは、室内環境の良化や五感で感じる心地よさにつながります。また、季節にあわせた自然風の活用はエアコンの使用回数も減らし、省エネ効果も生み出します。このように、ココラボモデルには人と環境が「心地よく」共存するための工夫がたくさんつまっているのです。
(平成22年7月9日公開)