●今回のココラボでできあがった家について、どうお考えですか。
南:あえて環境という言葉を使わないでいえば、五感を活かす、原点回帰みたいなものだと思います。ナチュラルに、鈍くなっている皮膚感覚を戻していくようなもの。戦車みたいな家の中で生活するのではなくて、もう少し肩の力を抜いて、自然にしていて気持ちいい、住んでみてしみじみ、じわっと居心地がいい、というような価値に戻るのを助けてくれるような住宅なんじゃないかなと。
難波:究極は、次世代に残したくなるような住まいにしようということかな。自分の家に対する愛情を持とうというか。最終的には、お金をかけてでも残したくなるような作品でないと残らないんです。
南:環境というテーマを表面には出していますけど、環境と個人とか、環境と家族とか、家族の半径数メーター以内の環境が、間接的に地球にちょっといい、というようなところであるとか。そういう観点で、住宅をはじめとする暮らしのお手伝いをしていければいいなと思いますね。
難波:一緒にステークホルダーが考えていく、という新しい試みが理解していただければ、それが出来る可能性は大きいと思いますし、実際にそうなっていくべきだと思いますね。
南:不動産業界は、売り手意識が強い業界だと思います。ユーザー目線のいろんな見識で考える、という機会が失われている状況がずっとありました。売り手側も、いち生活者としてどこかの家に住んでいるはずなんですけど、会社の中にいると、自分は提供する側で何か考え出さないといけないという風になってる。先生の研究室と一緒にやらせていただき、一般のユーザーの方といろんなやりとりをする中で、当然新しいことって業界にとっては既成概念を壊すことですが、それがある一定層のユーザーには強い支持を受けていることがわかりました。強い商品を出す時にはすごいエネルギーがかかるんです。
●今回、ココラボで設計された住宅に興味をもたれた方にメッセージをお願いします。
難波:こうした住まいのあり方を変える、最初の担い手になってほしい。そのためにはどういう風にこれができて、どういう風に住まわれるといいか、ということを一緒に理解してもらいたい。そうすることで、この大きなプロジェクトに参加してもらいたいなって思いますよね。
南:この設計が実現した時には、是非共感していただける方に住んでいただいて、率直なご意見を難波先生や私たちにフィードバックしていただきたいですね。

