みんなの終活フェア|苗穂駅のマンション|イニシアグラン札幌苗穂【公式】

道新 みんなの終活フェア

道新 みんなの終活フェアで
セミナーを開催しました!
要介護リスクへ備える
50代からのフレイル予防

あなたの暮らしは健康寿命を
縮めてませんか?

新型コロナ感染症の拡大によリ外出することが減少するなど、孤立する高齢者の増加が問題になってきています。またウィズコロナやアフターコロナといわれる時代をどのように過ごしていけばいいのか。去る2月19・20日、ロイトン札幌(札幌市中央区)で開催された「道新みんなの終活フェア」で公衆衛生学・老年学が専門の村山洋史氏(東京都健康長寿医療センター研究所・研究副部長)がフレイルの影響や予防法を講演し、約200人の方に参加いただきました。

村山 洋史
東京都健康長寿医療センター研究所 研究副部長 村山 洋史 (むらやま・ひろし)氏

2009年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(保健学博士)。東京大学高齢社会総合研究機構、ミシガン大学公衆衛生大学院を経て、20年東京都健康長寿医療センター研究所・専門副部長、21年より現職。12年日本公衆衛生学会奨励賞、15年(公財)長寿科学振興財団長寿科学賞、20年日本疫学学会奨励賞など受賞歴多数。著書に「つながりと健康格差」(ポプラ社)。

当日の「みんなの終活フェア」の様子

2022年2月撮影
2022年2月撮影

多くのお客様がご参加くださいました。
ありがとうございました。

フレイルってご存じですか? 要介護リスクへ備える
50代からのフレイル予防

TOPIC01 社会参加でフレイル予防三つの重要ポイント

栄養・体力・社会参加の中で特に大事なのが社会参加です。社会参加の大事なポイントは三つあります。一つ目は一日一回以上は外出すること。二つ目は週に一回以上、友人・知人などと交流すること。三つ目は月に一回以上、楽しさややりがいのある活動に参加することです。この三つを意識してできればフレイル予防の可能性が高まると提唱しています。

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これらの根拠として、


一つ目の外出ですが毎日外出しない人は外出する人に比べ、移動能力や日常生活を送るための能力が低下するという研究結果が出ています。外出が少ない人の方が二年後に移動能力や日常生活の能力が低下する危険性が高くなります。外出する予定を立てないといけないと考える人も多いと思いますが、そうではなく外出とは家の敷地から出ることで、コンビニやスーパーまで歩いたり、犬の散歩でも良いのです。現代社会はインターネットなどで社会とつながれるので、外出しなくても買い物もできるし家から出なくても支障ないのですが、家から出て買い物をしてくるだけでもフレイル予防になります。歩くことで足腰の衰えを防げて、人と会えば会話が生まれるので認知機能の低下を防止します。つまり高齢者ほど外出することが大事だということが分かります。


二つ目の週に一回以上、友人・知人と交流を持つということは、毎日頻繁に交流を持つ人と月に一回から週に一回未満の交流の人とを比較すると、交流の少ない人は将来要介護や認知症、死亡するリスクが一気に高まります。新しく友人をつくるということや、今皆さんが持っているご家族や友人、近所の人などとのつながりを大切にすることが大切だと考えられます。例えば最近会っていない人などに連絡を取り交流につなげるというのも一つの方法です。


三つ目は月に一回以上、楽しくやりがいのある活動に参加するということです。これは老人会・町内会・ボランティアなどのグループに未加入の人に比べると、活動に参加している人の方が生活機能が維持・改善しやすいという研究結果が出ています。学ぶ、働く、集う、趣味、ボランティアなど、さまざまな活動に無理のない自分のペースで取り組むことが大切です。楽しい、参加したいという気持ちが大事で、参加者の中でも参加したくて進んで参加している人たちが三年後に自立した生活を送れなくなる確率を調べると、自立が維持されやすいという結果が出ています。

TOPIC02 運動頻度と運動グループへの参加による要介護リスクの違い

運動頻度と運動グループへの参加の程度による要介護リスクの違いを調査した研究があります。運動のグループに参加しているが、自分自身は週に一回未満の運動しかしていない人たちの四年後に要介護認定を受けるリスクを調査すると、グループに参加していないが一人で週一回以上運動をしている人よりも要介護認定のリスクが下がるという結果が出ています。このメカニズムは笑うと健康ということで、一人で運動しても笑顔はなかなか生まれませんが、仲間と一緒にいると笑いや会話が生まれ、それが健康に良い影響を与えていると考えられます。


運動に関しての二つのポイントとして、


一つ目は役割と健康です。町内会でも地域活動でも、そこで役職経験がある人はない人よりも将来の死亡率や認知症リスクが減ることが分かっています。人と集まり役割を持つことが大事で、グループに参加することが重要です。


二つ目は仲間意識と健康です。競い合いながら、励まし合いながら刺激を受けて活動することができます。


下図は孤立した人の脳のMRI画像ですが、研究によると孤立した人たちの脳は、ある部分が活性化していました。前部帯状回という部分で肉体的な痛みを受けた時に反応する部位です。ところが孤立している状態でも、この部位が反応していたのです。つまり孤立していると肉体的苦痛と同じ処理を体が認識してしまうということです。はたから見るとけがも病気もしていませんが、孤立している状態では、体に多大なストレスが掛かっていると考えられます。

Eisenberger et al.,Science,2003

TOPIC03 住まいを変えることも要介護リスクへの備えに

ウィズコロナやアフターコロナの中で、無目的なつながりをどうつくるかが重要になります。三つのポイントとして、


一つ目は高齢になるとフレイルになったり要介護になったりする人が増えてきますが、健康度に応じてつながるということです。健康の状況に応じて近所付き合いにとどめたり、要介護の中で人とのつながりを探したりということです。


二つ目は気軽に社会参加を考えるということで、ボランティアで頑張ることも素晴らしいですが、何かのついでに社会参加をするという、ちょっとしたことでもよく、状況に応じて取り組み方を決めるということです。


三つ目は環境を変えてみることです。今までのつながりを大事にしながら、環境を変えることで新しいつながりを見つけることです。住んでいる場所を変えてみるというのも一つの方法です。大切なのは自分ができる役割ややりがいを見つけることで、そのために環境を変えることも一つの手段と考えます。


健康度や生活の状況に応じて、柔軟につながりを実践していただければ幸いです。