「やりたいこと」をあきらめてしまうのはなぜ?<br>50周年プロジェクトで育まれたデベロッパーの理想像と向き合う方法

「やりたいこと」をあきらめてしまうのはなぜ?
50周年プロジェクトで育まれたデベロッパーの理想像と向き合う方法

世田谷区祖師ヶ谷大蔵の街角。長年地域の人々に親しまれてきた温泉施設があった場所に、いま、コスモスイニシアの新しいマンション『イニシア祖師ヶ谷大蔵』が姿を現しつつあります。 この物件は単なる分譲マンションの開発プロジェクトではなく、コスモスイニシア創業50周年を記念する特別なフラッグシッププロジェクト。多くの従業員が情熱を注ぎ、知恵を絞って取り組んできた場所です。 建築、デザイン、プロモーション、そして商品企画。それぞれの専門分野から集まった4名の担当者たちが、限られた条件のなかで妥協せず、どのようにして理想のマンションづくりに挑んできたのか。進行中の現場から、その思いと歩みを聞きました。

PROFILE

土屋 裕大/Yudai Tsuchiya

名前

土屋 裕大/Yudai Tsuchiya

経歴

建築本部 統括部 兼 経営管理本部 サステナビリティ推進室
兵庫県出身。注文住宅業界とマンション管理業界を経て2022年に中途入社。建築部にて主に分譲マンションの担当として物件づくりに携わったのち、2025年に統括部に異動。2023年に第一子誕生のタイミングで2ヶ月間の育休を取得。

PROFILE

向山 直登/Naoto Mukoyama

名前

向山 直登/Naoto Mukoyama

経歴

建築本部 建築一部 兼 経営管理本部 サステナビリティ推進室
静岡県出身。2018年に新卒入社。入社から商品企画課で設計監理や商品企画に携わる。学生時代からマンションコミュニティに関する取り組みを行ってきた経験を活かし、50周年プロジェクトではコンセプト策定および商品企画を推進。2025年から建築部で本物件担当を担う。

PROFILE

山田 滉人/Hiroto Yamada 

名前

山田 滉人/Hiroto Yamada 

経歴

建築本部 統括部 <一級建築士事務所>
茨城県出身。2021年新卒入社。建築部にて物件担当として物件づくりに携わったのち、2023年から統括部<一級建築士事務所>として多様なアセットの企画設計や商品企画に邁進。商品企画からデザインまで社内完結を目指した50周年フラッグシッププロジェクトにて、デザインを担う。

PROFILE

保川 真由佳/Mayuka Yasukawa

名前

保川 真由佳/Mayuka Yasukawa

経歴

分業事業部 事業推進部
新卒で入社し、新築分譲営業からキャリアをスタート。プロモーション・マーケティング部門で10年超携わり、現在はマネージャーとして従事。40周年の際も、フラッグシッププロジェクト『イニシア武蔵新城ハウス』にて、商品企画・プロモーションまで一貫したプロデュースを担う。

1つの物件からはじまる
特別なプロジェクト

土屋

ある物件を中心にプロジェクトが組成されるのは当社でも珍しいことでした。ESGプロジェクトとかジェンダーフリープロジェクトとか、テーマ型ならあるんですけどね。

建築担当として携わる土屋は、プロジェクトの特徴をそう語ります。通常の物件とは違う雰囲気が最初からありました。

土屋

ごく普通の物件担当として入って、のちに「これ実は50周年プロジェクトなんだよ」と聞かされました。多くの人が関わって、検討の幅も広がって……どこまで広げていいのか迷うくらい(笑)。思い出深い経験になりました。

このプロジェクトには特別な使命がありました。これまでの会社のDNAを受け継ぎつつ、これからの10年を見据えた提案をするという目標です。商品企画を担当した向山も、このプロジェクトの苦労とおもしろさを語ります。

向山

社内では「50周年だから」というプレッシャーももちろんありましたね。建築費が高騰しているなかで予算とも格闘しながら、でも「これだけは絶対やりたい」というこだわりを持ち続けました。限られた条件で工夫するのは大変でしたが、それが創造性を生むきっかけにもなったと思います。

さらに、時代の変化も感じていました。

向山

昔みたいに「すごい!豪華だ!」と驚かせるマンションの時代ではないなと。超大規模だったりすごい設備があるわけでもない、私たちができることを考えたときに、この場所の歴史や文脈を大切にすることだという答えにたどり着きました。

そうして生まれたのが、建物に感謝する「館謝の会」というお披露目会。単に建物を建てるだけでなく、その場所の記憶を継承する取り組みでした。

「館謝の会」が示した
新たな視点

長年、地域の人々に親しまれてきた「そしがや温泉21」。その歴史に敬意を表し、新たな建物を建てる前にこれまでの建物に感謝する会を開催するという取り組みは、従来の不動産開発では珍しい試みです。

向山

内覧で解体前に見せてもらった時に「すごくおもしろい、歴史ある建物だな」って思ったんですよ。銭湯って男性は男湯、女性は女湯にしか入らないじゃないですか。でも解体前なら両方見学できる。しかも、そしがや温泉21ってプールやサウナもあって、いろんな要素があったんです。

向山は当時の思いを生き生きと語ります。

向山

オーナーさんは昔からここで営業されていて、スタッフにも多くの世代の方々がいらっしゃいました。歴史ある温泉がなくなる前に、一度みなさんで集まれる機会があったらと思ったんです。

土屋は、安全面での懸念もあったと正直に振り返ります。

土屋

最初は正直、リスク管理的にどうかなと思っていました。温泉施設ですから床も濡れていて、誰か転んでケガをしたらどうしようかと。でも向山くんの粘り強い説得に、結局「じゃあやろうか」という気持ちになって。いろいろリスク対策を考えて当日のオペレーションを組み立てました。一人じゃ絶対に実現できなかったですね。

予想以上の反響があったと向山は目を輝かせます。

向山

すごかったですよ!400人くらいお客さんが来て。駐車場にうねうねと列ができて、それでも足りなくて道にまで出ちゃったんです。「これはまずい」と交通整理するほど大賑わいでした。

デザイン・設計担当の山田は、この経験が自分の視点を変えたと振り返ります。

山田

私、実はこの時はまだ建築部から異動したばかりで正式メンバーでもなかったんです。前日に向山さんから「明日来れる?」と声をかけられて、ふたつ返事で参加したのですが、これが大きな転機になりました。建物を壊して新しいものを建てるという開発行為自体について考えさせられました。 あそこで見た、住民の方やスタッフの方々の様子がずっと印象に残っていて。まちの人に対して建物がどう見えているのか、温泉の記憶としての井戸水をなんとしても残したいという気持ちが生まれたのは、この経験がきっかけでした。

井戸水をなんとしても残したい

「心地よさ」というコンセプトを空間に落とし込む作業は、創造的な挑戦の連続でした。とくに温泉の歴史を継承するために、井戸水を活用した水景設備を設置するという前例のない試みに取り組むことになります。

山田

井戸水を活用して水景設備をつくるということを、これまで誰もやったことがなかったので、誰に聞いても分からない状態からのスタートでした。井戸水を本当に使うのか、品質は大丈夫か、水は枯れないか。さまざまな課題が山積みだったんですけど、土屋さんと一緒にメリットとデメリットを整理して、何度も事業部にプレゼンしました。

通常は1回で決まるデザイン決定会議は、3回も行いました。

土屋

販売の事業部長に何度も案を持っていくんですけど、「本当に井戸水やるの?」って毎回聞かれて(笑)。それでも「やりたい」と言い続けました。

土屋はその過程でチームが見出した姿勢について語ります。

土屋

スケジュールもコストも厳しい制約があるので、全部を実現することはできません。でも、「これだけは絶対に」という部分を見極めて、そこに注力する。やりたいことをあきらめるのではなく、選択肢のなかで最善を尽くすことの大切さをこのプロジェクトで学びました。

チームの化学反応が生み出す価値

このプロジェクトの魅力は、個性豊かなメンバーが集まり、時に激しく議論を交わしながらも1つの目標に向かって進んでいく、独特のチームワークにありました。

向山

私たちのチームは『動物園』みたいなものだと思います(笑)。「あなた、なにしたいの?」と聞くと、それぞれに違うことを言うので基本的にまとまらない。でも、熱意があるアイデアが生き残ってカタチになっていくのを見ているとおもしろくて、「自分もその輪に入りたい」って思うんです

土屋はそんなチームのなかで独自のポジションを見出していました。

土屋

僕は『おりの外から見ている』感じですね(笑)。やりたいことを持っている人たちが大好きなんです。それをカタチにしてまとめるのが得意かどうかはわからないけど好きな仕事です。自分の仕事だと思っています。

山田

土屋さんってなにを言っても受け止めてくれるんですよ。建築側では跳ね返されそうなアイデアも、冷静に、実現するための道筋を立ててくれる。すごく助けられました。

プロモーション担当として後から参加した保川は、チームがつくりあげてきたプロジェクトの本質的な価値についてこう語ります。

保川

印象的だったのは、住居開発を街づくりの一環として考えられていたこと。居住者のためだけでなく、通りを歩く人々がどんな気持ちになるかまで考慮されていて、本来のデベロッパーのあり方を感じました。

完成に向けて。
50周年に込められた思い

現在建設中の『イニシア祖師ヶ谷大蔵』、その特徴的な要素とは?

保川

緑の量がすごいんです。通常の2.5倍くらいの緑を配置していて、エントランスまわりだけでなく四方に緑があります。祖師ヶ谷大蔵という駅近でこれだけまとまった緑を感じられる開発は珍しいと思います。世田谷らしい環境をつくることで、“街の顔”になれるんじゃないかなと思っています。

50周年という節目のプロジェクトは、メンバーそれぞれにとっても貴重な経験となりました。山田にとっては、若手デザイナーとしての大きな挑戦の場だったようです。

山田

このプロジェクトに入った当時、私はまだ3年目で、「50周年のフラッグシップ物件のデザインを任せてもらえるなんてすごいことだな」と思ってました。普通だったらなかなかない機会ですよね。無邪気な提案にも真剣に向き合ってくれる環境があるのは本当にありがたいことですし、自分にとっても大きな挑戦の機会になりました。

向山はこのプロジェクトを通じて「ものづくり」の本質に対する理解が深まったといいます。

向山

私にとって「ものを作る」こと自体は手段のひとつだと思うんです。だからこそ作ったり壊したりする大変な「ものづくり」は強固な思いを残せると思います。そう言っていた先輩たちの言葉が今は腑に落ちます。

チームが注ぎ込んだ情熱と知恵は、やがて『イニシア祖師ヶ谷大蔵』というカタチで結実します。最後に土屋が語った言葉には、この50周年プロジェクトの本質が凝縮されていました。

土屋

事業が多角化しているなかで、いろんなアセットの知見を分譲マンションに還元し、当社らしい商品をつくり続けていきたいと思います。個人的には、建築本部や分譲事業に関わる人たちがとても好きなので、みんなの力が最大限発揮できる環境をつくることで社会に貢献していきたい。その思いが『イニシア祖師ヶ谷大蔵』にも込められています。

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