"住居と職場の中間点"に込められた思い
PROFILE

名前
鈴木 ゆりか/Yurika Suzuki
経歴
大和ハウス工業株式会社 東京本店 流通店舗事業部 第三事業部 営業課
東京都出身。2021年新卒入社。新卒時から同部署に所属し、事業用不動産の仕入・開発・売却や工事請負の営業に従事。保育園、介護施設、ホテル、商業ビルなど幅広いプロジェクトに携わる。ビールを美味しく飲むためにジム通いを続けている。2年前に始めたゴルフにも日々奮闘中。
PROFILE

名前
井貫 拓真/Takuma Inuki
部署
賃貸事業部 コンテンツ運営部
コスモスイニシア歴
11年
経歴
兵庫県出身。入社当時からシェアオフィスやセットアップオフィス等の新規事業プロジェクトに携わり、2021年から株式会社WOOCへの社外出向を経て、2024年4月よりMID POINT事業推進の部署に従事。
PROFILE

名前
広瀬 大輔/Daisuke Hirose
部署
ソリューション事業部 再生不動産推進課 兼 賃貸事業部 企画開発部
コスモスイニシア歴
8年
経歴
東京都出身。2018年に新卒入社。入社当時からオーナーさまの不動産活用に携わり、 賃貸管理やシェアオフィス運営等の受託営業部門に従事。

コスモスイニシアのシェアオフィス事業「MID POINT」は、「住居と職場の中間点」「企業の成長過程における新たなステージへの通過点」という2つのコンセプトを掲げ、2018年の立ち上げから7年目を迎えました。現在は東京都と神奈川県を中心に9拠点を展開し、新たな働き方の選択肢として注目を集めています。
立ち上げ当初から事業に携わってきたMID POINT推進課の井貫は、事業誕生の背景をこう振り返ります。
当時の不動産市場では中古物件の価値を見直す流れがあり、クリエイティブなリノベーションの可能性が注目されていました。そこで自社の運営事業として何か新しいことができないかと考え、シェアハウスとシェアオフィスというアイデアが生まれました。検討を進める中で、まずシェアオフィス事業が先行してスタートしたんです。
最初の拠点は目黒不動前からスタートし、その後は新築物件への出店も増えました。
元々分譲マンションデベロッパーとして住空間のデザインに強みを持っていたことを活かし、オフィスらしい無機質な空間ではなく、マンションのモデルルームのような柔らかい雰囲気を大切にしています。駅前の商業ビルというよりも、住まいに近い場所で、くつろぎながら働ける環境を提供したいと考えました。
事業発足当時は、フリーランスの増加という社会変化もあり、新しい働く場所へのニーズが高まっていたタイミング。コンセプトの背景には、わざわざターミナル駅まで行かなくても近隣で働ける場所を作りたいという思いがありました。
例えば目黒・不動前エリアでは、それまでシェアオフィスがほとんどなく、フリーランスの方々はカフェやホテルのラウンジで仕事をしていました。地域に住む方々が気軽に利用できる働く場所を提供することで、新たな価値を生み出せると確信していました。
コスモスイニシアと
大和ハウス工業の共創モデル

不動産開発と運営のそれぞれの強みを活かした協業が、シェアオフィス事業の成長を支えています。グループ会社でありながら、異なる視点で事業に関わる両社の連携は、新しいビジネスモデルを生み出しています。
実は私、大和ハウス工業に入社する前に『MID POINT目黒不動前』の1階にある飲食店でアルバイトをした経験があるんです。そのとき「MID POINT」の入居者さま同士で仕事が生まれることもあると聞き、「なんて素敵な事業なんだろう」と感じていて、大和ハウス工業に入社してからも、いつかこのような人とひとが交流する場を作りたいと思っていました。
現在の業務の視点から見ても、「MID POINT」との連携には大きなメリットがありました。
私の主な業務は土地を仕入れて建物を建て、投資利回りを重視して売却することです。オフィスビルを建てる場合、テナントを複数見つけるのは大変な作業になります。「MID POINT」のようにまとまった面積を一括で借りてくれるテナントがあれば、建物の価値を高めやすくなるんです。
不動産投資の観点からも、シェアオフィスのビジネスモデルには独自の優位性があります。
広い床面積に対して高額な賃料を負担できる企業を探すのは難しいですが、同じ空間を小さく分割すれば、坪単価を上げることができ、土地取得時の採算性も向上します。お互いにメリットのある関係が築けるんです。
「MID POINT」の出店窓口を担当する広瀬は、理想的な出店エリアを探す際のバランス感覚を大切にしています。
「MID POINT」のコンセプトである「住宅立地型シェアオフィス」を実現するため、住宅エリアに近い場所での出店を重視しています。同時に、高付加価値型のサービスを目指しているため、ある程度の賃料負担ができる方々が住まれているエリアを選んでいます。
心地よく、ちょうどいい空間とは?
単なるワークスペースではなく、地域の特性を映し出す「場」の創出を目指す「MID POINT」。各拠点は、その土地が持つ独自の魅力を空間デザインに取り入れています。
例えば、『MID POINT幡ヶ谷』は、都市と自然の二面性を空間に反映させた好例ですね。 新宿・渋谷に近いアーバンな雰囲気と、玉川上水や代々木公園など自然豊かな環境が共存するエリアの個性に合わせて、店舗設計ではラウンジに青色のタイルを部分的に採用して水のイメージを表現したり、床を2種類の素材に分けて都会と自然の要素を表現しています。

ただ美しいだけではなく、人と人をつなぐ設計思想が「MID POINT」の空間づくりの根幹にあります。
各部屋から出ると必ずラウンジを通る動線設計になっています。そこに常駐しているコミュニティマネージャーと入居者さまの方が「おつかれさまです」「お帰りですか」といった気軽な会話を交わす姿がよく見られます。社内の同僚のような距離感で、自然なコミュニケーションが生まれているんです。
こうした空間から生まれるつながりは、ときに社会的な活動へと発展することもあります。
『MID POINT大森』では入居者さまの提案で「吃音(きつおん)カフェ」を開催したり、最近では「ヤングケアラーズミートアップ」というイベントも実施しました。社会性のあるイベントが自然と生まれてくるのも、「MID POINT」ならではの特長ではないでしょうか。


『MID POINT学芸大学』の
新規出店から見えてくる未来
2025年10月にオープン予定の『MID POINT学芸大学』は、「MID POINT」のコンセプトを体現する新たな拠点となりそうです。この物件の土地仕入れを担当した鈴木には、特別な思い入れがあります。
学芸大学駅周辺(目黒区鷹番)は私が個人的に好きなエリアなんです。バス通り沿いの空き土地を見つけたとき、このエリアの特性を活かせる建物にしたいと考えました。高級ブランドが出店するような立地ではありませんが、個人経営の飲食店が広がり、活気ある商店街もある、住む人と遊ぶ人が自然に混ざり合うエリアです。
ライフスタイルの変化とともに、働く場所の選び方も多様化しています。学芸大学駅周辺という住宅地でのシェアオフィス展開で見えてきた、新たな可能性とは?
渋谷や新宿のターミナル駅でシェアオフィスを使っている方も、住まいは別の場所にある方がほとんどだと思います。学芸大学駅周辺に住んでいる方が、わざわざ都心まで出なくても地元で働ける選択肢を提供できるのは大きな価値があると思います。
共創がもたらす、
“住宅地シェアオフィス”の可能性

シェアオフィス市場の成長とともに「MID POINT」も着実に拡大路線を描き、年間4〜5施設ずつオープンを重ねています。
拠点数とエリア拡大は同時進行で進めています。都内のさまざまなエリアに拠点を構えることで、住まいの近くで働ける選択肢を増やしていきたい。「東京のシェアオフィスといえばMID POINT」と認知されることを目指しています。
同時に、市場変化への適応策を模索しています。
近年は都心部の賃料上昇や建築費の高騰が課題となっています。オーナーさまへの還元と入居者さまからいただく賃料のバランスを取るのが難しくなっていますが、入居促進の強化と建築コストの精査を並行して進めています
コロナ禍を経て、オフィスへのニーズも大きく変化しました。
テレワークの普及に伴い、電話ブースやWeb会議スペースの需要が定着してきました。新規開業者の増加や地方企業の首都圏進出拠点としての利用も増えています。これからも「ゆるやかに繋がるコミュニティ」を大切にして、地域に愛されるサービスを目指していきます
最後に、「MID POINT」と大和ハウス工業のパートナーシップについて、土地仕入れの最前線から見つめてきた鈴木さんは、この協業の将来性をこう締めくくります。
一般的な商業テナントでは組み立てが難しく、かといって賃貸住宅だけでは採算が取れないような中間的な立地こそ、「MID POINT」との協業が活きてくると考えています。大和ハウス工業が土地を仕入れ、コスモスイニシアが運営を担う。それぞれの専門性を活かしながら、単独では実現できない価値を生み出せることが、この事業の最大の魅力なのかもしれません。