“ゆるやかなつながり”の大切さ。「ひとりでいるのも好き」な開発者が提案する、新時代の賃貸住宅のカタチ

“ゆるやかなつながり”の大切さ。「ひとりでいるのも好き」な開発者が提案する、新時代の賃貸住宅のカタチ

プライベート空間を維持しながら、入居者同士が“ゆるやかにつながる”ことができる、それがコスモスイニシアが提供する賃貸住宅「nears(ニアーズ)」です。賃貸住宅の新たな提案となるシェアレジデンスが2021年に誕生しました。
nears誕生のきっかけとなったのはコロナ禍。社会が変化を迎えた時代に、コスモスイニシアは「新しい暮らしを提案したい」と考えていました。
開発担当者のおふたりに話を聞くと冒頭から、「もともと他の人とつながれる住宅の形態にすごく興味があったわけではありません」と、本音を明かしてくれました。そんな担当者だからこそ、顧客のことを考えて実現できた“ゆるやかさ”とは、いったいどのようなものなのでしょう。

PROFILE

日置 拓磨/Takuma Hioki

名前

日置 拓磨/Takuma Hioki

部署

R&D部門 R&D戦略部

コスモスイニシア歴

9年

経歴

兵庫県出身。2017年に新卒入社。西日本支社梅田営業所にて中古マンションの仕入れ販売、仲介業務に従事。4年目に本社の現部門へ異動となり、オーナーさまの土地の有効活用や飲食などの新規事業企画、推進を行う。現在はシェアレジデンス事業以外にも賃貸運営事業や宿泊事業などの複数の新規事業企画、立ち上げに携わる。

PROFILE

木下 瑞貴/Mizuki Kinoshita

名前

木下 瑞貴/Mizuki Kinoshita

部署

賃貸事業部 コンテンツ運営部

コスモスイニシア歴

8年

経歴

大阪府出身。2018年に新卒入社。入社後、総務課・ICT推進課にて、DX推進業務(業務システム導入/刷新等)に従事。4年目にR&D戦略部新規事業推進課に異動し、シェアレジデンス事業の企画・立ち上げに携わる。nears推進課にて今後の展開に向けて業務を推進。

シェアレジデンス誕生の背景に「孤独感」

コスモスイニシアが手がけるシェアレジデンス「nears(ニアーズ)」。そもそもシェア型住宅の構想が持ち上がったのは2018年。拡大しつつあるシェアハウス市場を背景に、コスモスイニシアも新たな価値を提供できないかと考えていた矢先、コロナ禍襲来。社会の状況が一変しました。

木下

当時、一人暮らしをする人びとが直面したのは「孤独感」でした。オンラインでのコミュニケーションが増えたものの、オフラインでは人と会う機会が減り、先行きが不透明な時間が続きました。そういった世の中だからこそ、人の温かみを感じたり、身近に人の存在を感じたりしながら、プライベートも大切にして過ごしていただける暮らしが提供できないか、と考えました。

そういいつつも、「そもそも一人で過ごす時間も大切にするタイプの人間なんです」と、2人は顔を見合わせて苦笑いします。

木下

正直、わたしは一人でいる時間も心地よく、きっとそういう方も他にいると思ったんです。だからこそ、ただのシェアレジデンスではなく、入居者が自由に距離感を選べる住まいをつくりたいと考えました。「nears」のコンセプトは「“ゆるやかな隣人”との心地よい暮らし」を掲げています。新しい賃貸住宅の価値を提供する場を生み出そうと、このプロジェクトはスタートしました。

プライベートとパブリック、バランスの妙

そうして2021年に開業したのが『nears川崎』です。

日置

『nears川崎』は、プライベートも仕事も大切にしながら、自分のペースで暮らせることを重視しています。そのうえで、友人や同僚ではない隣人と“ゆるやか”につながる機会を生み出す仕掛けがあるところが特長です。

木下

特長のひとつがキッチン・ダイニング・ラウンジ・ライブラリー・暖炉・オープンテラスなどがある充実した共用ラウンジです。ここでは気の合う人と話したり、料理をしたり、映画を見たり。何もせずとも、ただ一緒に時間を共有することもあれば、時には一人きりで作業をすることもできる。そんな自分次第で過ごし方を選べるスペースをイメージしています。

日置

他の入居者との距離感を自分で選べることにこだわりました。共用部は、1人で仕事や読書をする場合や、複数人で会話や食事をしたりする時間など、さまざまなシーンを想像しながらゾーニングや必要な機能やサービスを考えました。

その一方で、居室は水回りと鉄筋コンクリート造りならではの高い遮音性能を備えたプライバシーに配慮した空間に。水回り(シャワー、トイレ、洗面)を備えているから、どんなライフスタイルでも気兼ねなく過ごせるのも特長です。そもそも新築でシェアレジデンスを建てること自体が珍しく、できれば築浅物件に暮らしたいというニーズにも応えられています。

木下

14.4平方メートルという広さは、一般的な賃貸マンションと比べるとコンパクトに感じられるかもしれませんが、キッチンやランドリーを共用部に配置すること、また、生活動線やデザイン性にも配慮することで暮らしやすい空間になっています。
一人暮らしの快適さを確保しながら、ラウンジでは自分の気が向いたときに人と関わることができる、そんな環境です。

意外な入居者層が化学反応を生み出す

シェア住宅というと若者が集まりにぎやかに暮らすイメージがあり、年齢が高くなるとコミュニティの輪に入るのが難しいのでは、という考えが頭をよぎってしまいます。

日置

「nears」は20代~30代を中心に、幅広い年齢の方をターゲットにしています。実際の入居者の年齢層も広く、下は10代から、上は60代までいらっしゃいます。

木下

特に40代・50代の方からのお問合せは想定以上にいただき、大きな発見でした。年齢を問わず、ゆるやかなつながりを求める方が増えているのだと実感しています。

趣向を凝らしたイベントも開催中。入居者さまからアンケートを取得したりしながら、さまざまなイベントを提案しています。

木下

月に2回、運営者が主催するイベントもあります。最近は朝ごはんイベントのトライアル中です。パンを楽しむ日もあれば、みんなで素麺やお茶漬けを囲む日もあり、朝から和やかな雰囲気になりますね。

ラウンジでは食事をしながらの交流会や、ワイン会、映画観賞会などのイベントも行われました。入居者同士で演奏会に一緒に行ったり、週末の朝にヨガをやったりということもあるそう。

さらに世代を超えた交流も生まれつつあるといいます。

木下

先日は若い方が年配の方に慶事のマナーについて相談してアドバイスをもらった、という話を聞きました。一緒にゲームを楽しんだり、日々おしゃべりを楽しんだりと、お互いの世代にとらわれることなく、自然に交流が生まれているシーンも多々あり、それがnearsのよさでもあると思います。

なんともほっこりするエピソードです。近所づきあいが希薄な現代。気軽に聞ける人が身近にいるのは心強いものです。

今後の成長と課題、
そしてキャリアに与えた影響は

nearsは、2026年に新たに2棟、2027年以降でさらに3棟開業を予定し、着実に事業を拡大する一方で、課題もあります。

日置

建築コストの適正化が大きな課題ですね。設定賃料と建物や内装の仕様のバランスをとることを考えています。また、シェアレジデンス以外にも新しい賃貸住宅の展開も検討しています。

木下

現時点では、このプロジェクト全体の成功を評価することはまだ難しいと考えています。目標としている展開を見据えると、ペースには課題を感じる部分もあり、正直なところ焦りもあります。ただ、ありがたいことに 『nears川崎』は満室稼働が続き、ご入居者のみなさまからも好評をいただいており、手応えを感じています。まずはこの成功を確かなものにしながら、さらなる市場開拓に向けて取り組んでいきます。

課題を感じる一方で、達成感を感じるシーンも少なくありません。

日置

社内外で高く評価いただくことがあるのは、うれしいですね。建てて販売して終わりではなく、nearsでは新しい価値を作り出して、その価値を高めることができているので、これからも運営を改善し、新しい住まいの選択肢を提案していきたいです。

木下

少数のチームで事業を拡大することは非常に貴重な経験で、自分のキャリアに大きな影響がありました。ひとつの住まいの提供から、「どのように社会に新しい価値を広めていくのか」という視点を持つようにもなりました。

人と人のつながりを大切にしたシェアレジデンス開発は、部署内にも副産物を残してくれました。

日置

nearsのメンバーとは仕事のことだけでなく、それ以外もいろいろな話をします。仕事のつながりですが、なにかと相談ができる大切な仲間です。

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