2フロアを縦につないだアスレ遊具でトンネル気分!「子どもの“楽しい!”を追求した」保育事業がオープン

2フロアを縦につないだアスレ遊具でトンネル気分!「子どもの“楽しい!”を追求した」保育事業がオープン

子育て中の親が自分の時間を持つことは贅沢なことなのでしょうか。いいえ、そうではないはず。子育て世代の従業員、南野理沙さんはそう確信していました。 子どもにとっても親にとっても、心からワクワクできる預かり保育のカタチを求めた新しい挑戦が動き始めています。

PROFILE

南野理沙/Risa Minamino

名前

南野理沙/Risa Minamino

部署

R&D部門 R&D戦略部

コスモスイニシア歴

7年

経歴

東京都出身。2019年に新卒入社。入社当時は同部門市場戦略課に所属し、宿泊事業等のマーケティングを担当。途中1年間の産休・育休を経て6年目で新規事業推進二課へ異動し、かねてから興味のあった「子ども」領域の新規事業の立ち上げに挑戦。

ほんとうの"安心"は、子どもの笑顔から始まる

有楽町の一角に生まれた特別な空間。ビルの2フロアを縦につなぐ大型遊具、窓からは在来線や新幹線が間近に見える特等席のような眺め。4月にグランドオープンした「ANO-NE Kids Club」は、従来の一時預かり施設の常識を覆す、新しい発想の室内遊び場です。

この施設の誕生には、ひとりの母親としての切実な体験が原点にありました。

出産後、仕事に復帰してから夫婦でゆっくり会話をする時間がすごく減ってしまったんです。自分の時間も取りづらくなって。一時預かりという選択肢があることは知っていたのですが、いざ預けようとすると、子どもに対して申し訳ない気持ちになってしまったり、手続きが煩雑だったりと色々なハードルがありました。

南野さんは、実際に一時預かりを利用したときの複雑な思いを振り返ります。

まず施設の数が少なくて、ようやく見つけたところも狭い部屋にプラスチックのおもちゃが置いてあって、子どもが2、3人いるような場所でした。自分の時間を取るために、不慣れな環境に子どもを置いていく。これが自分のやりたいことなんだろうかって……

預けるときには不安そうに泣いて、お迎えに行くと「やっと帰れる」という表情を見せる。その経験は、親と子どちらにとっても前向きな時間とはなりませんでした。

しかし、実家の祖父母に預けた経験が、南野さんの考えを大きく変えることになります。

おじいちゃんとおばあちゃんに手を引かれて、すーっと行ってしまうんですよ。外に連れて行ってもらったり、普段できないことをさせてもらったり、子どもが楽しそうにしているのを見て、私もすごく安心して休むことができたんです。安心してそれぞれの時間を過ごすためには、まず子どもが安心して、楽しんでいること。これが大前提なのだなと思いました。

100人いると100通りある育児の価値観

南野さんの実体験から生まれたアイデアは、社内公募制度「NGC(Next Generation Challenge)」で見事採択されました。

実現に向けてまずは徹底的にヒアリングしようと、社内外のママ・パパ延べ100人くらいの方にお話を聞きました。そこで、100人いると100通りの価値観があることに衝撃を受けました。たとえば、どんなに仕事や家事で忙しくても、子どもと一緒に過ごすのが一番大事だ、という方もいれば、隙間時間をつくって一人で映画を見たり、本を読みたい、その時間が穏やかな子育てには必要だ、という方もいました。

多様な価値観に触れるなかで、南野さんは施設のあり方について重要なことに気がつきました。

「こういうときに使ってください」と決めつけるのではなく、それぞれの家庭に合った使い方ができる場所であることが大切だとわかってきました。

社内公募制度での採択から実現までの道のりは、決して平坦ではありませんでした。

4月に新規事業推進の部署に異動になり、立ち上げ自体ももちろん初めて、右も左も分からない状態でした。たとえば賃貸借契約ひとつとってもどうやって締結したらいいのか、社内の誰になにを聞いたらわかるのか。そういう戸惑いから始まりました。

そんな南野さんを支えたのは、周囲の心強いサポートでした。

新しいことをやってるんだから、多少は失敗して当たり前だよね、お客さまに出す前にきちんと解決できているのが大事だよ!と、まわりの方が結構どんと構えてくれているんです。私が安心して進められているのは、会社やまわりのスタンスのおかげですね。

子ども視点で見えた"ほんとうに行きたい"場所

施設づくりでもっとも重視したのは、「子どもたちが」心から楽しめる空間であることでした。

チーム全員が心のなかで、「私はいま7歳の女の子!」「私が5歳の男の子だったら……」と言い聞かせながら準備を進めました。つい大人目線になってしまうんですが、常に子どもの視点に立ち返る。子どもが「ここに行きたい!」と思えることが、親の安心につながることはわかっていましたから。

その思いを形にしたのが、ビルの2フロア分を縦に使った大型遊具です。ネットの遊具をよじ登っていくと、気づいたら2階分上がってきたり、子どもしか入れないようなトンネルをくぐって探検できたり。まるで室内アスレチックのような空間が広がります。

とくに都心は、子どもを手放しに遊ばせられる安全な場所が少ないなと思います。外で遊ばせようと思っても年々気象条件も厳しくなっていて……、なので、室内でも思い切り体を動かして遊べる空間がいいなと思いました。

遊び場の設計には、子どもたちの予想外の行動からも多くのヒントを得ました。

オープン前のトライアルで従業員のお子さまたちを連れてきていただいたとき、線路沿いの窓に子どもたちがべったり張り付いたきり、まったく離れなくなったことがありました。私たちは毎日N700系を30本くらい見ているので慣れているんですが、子どもたちは車両が通るたびに声援を上げていました。そこから「せっかく線路が見えるんだから、プラレールとか、ここを通る車両のおもちゃを全部置いてみよう」というアイデアが生まれました。

お子さまがなかなか帰りたがらなくて、遊具から離してくるのが大変なくらいでした。立ち上げはスムーズに!とは全然進んでいなくて、毎日ちょっと瀕死状態なんですけど(笑)、子どもたちのそういう反応を見ると、ほんとうにやってよかった!って思います。

子育て文化にもグローバルな視点を

有楽町という立地、グループ会社であるコスモスホテルマネジメントが運営する、インバウンド向けホテル「MIMARU」があるという点を活かし、日本人家族だけでなく、訪日観光客の利用も視野に入れています。

インバウンドのお子さんと日本に住むお子さんが一緒に遊べる場所として運営していければ、子どもたちは遊びながら遠い国のお友達ができるかもしれない。ここが国際交流の場になれば、親にとってもうれしいですよね。

保育スタッフの関わり方にも、この施設独自の工夫があります。

大人が強く介入をしないというのが特徴のひとつです。保育スタッフはもちろん配置していますし、安全に遊べるように配慮はするんですが、子ども同士のコミュニケーションをつくり出すお手伝いをする。そういう関与の仕方を心がけています。

子育て文化を変えていきたいという大きな願いも込められています。

欧米圏の方々には、ベビーシッターに子どもを預けて夫婦だけでディナーに行く時間が当たり前にあると聞きました。日本にはまだそういう文化があまり根付いていないように感じるのですが、我が家は子どもを預けて夫婦だけで食事をしたり、飲みに行ったりする時間をつくるようにしています。まわりからはびっくりされることもありますが、忙しい日常の中でなかなか話せないことを話したりと、良い時間になっていると感じています。

自身も4歳の子どもを持つ南野さん。親と子の理想を詰め込んだ施設の開業に、期待で胸を膨らませます。

我が家からは少し遠いんですが、私たちも利用したいと思っています。ここまでの事業推進は夫にも仕事の調整や家事育児とたくさん協力してもらったので、子どもを預けて、夫婦ふたりで銀座で美味しいものでも食べようかなと。

そして、より大きな展望も語ってくれました。

私たちが届けたいと考えている体験価値が、ほんとうに保護者さまにもお子さまにも届けられるのか、徹底的に検証していきたいです。また、この取り組みが「親であっても積極的に自分の時間をつくる」という価値観・文化醸成の一端を担うことができればうれしく思います。親も子も一緒に成長できる、そんな場所になれたらいいですね。

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