街なみ紹介北千住駅のマンション|イニシア北千住レジデンス【公式】

ATTRACTIVE CITY

魅力的な街

マテリアル

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新しい人やもの、歴史ある店や街なみが共存し、
独自の魅力を持つ北(ちなみに、北千住は駅名のみ。街の名前は千住です)千住の街。
今回は、千住エリアを拠点に北千住の魅力を伝え続ける出版社「センジュ出版」※1の代表、
吉満明子さんの案内で、街をゆっくり歩いてみました。

※1.株式会社センジュ出版(徒歩5分/約370m)

  • 歴史ある店や街なみが
    魅力の街「北千住」
  • 歩けば歩くほど楽しい、
    ふところの深い街「北千住」

北千住の現在(いま)

商店街がにぎわい、
下町情緒あふれる街並みが魅力の北千住。
年々若い世代が増え、
活気に満ちた街という一面も持ち合わせています。
その理由は、5校もの大学が北千住駅周辺に
キャンパスを構えたこと。
都内有数の学園都市となった北千住には、
若者向けの個性的で高感度なお店が増え、
全世代が暮らしそのものを楽しめる街へと
変化を遂げています。
学生も、働く人も、暮らす人も飲む人も、
互いに尊重し合って生まれるミクスチャーが、
北千住の魅力です。

東京藝術大学 千住キャンパス(徒歩11分/約810m)

東京藝術大学 千住キャンパス(徒歩11分/約810m)

旧千寿小学校を改築して生まれた
東京藝術大学 千住キャンパス

東京電機大学 東京千住キャンパス(徒歩10分/約770m)

東京電機大学 東京千住キャンパス(徒歩10分/約770m)

北千住駅徒歩1分の好アクセスが魅力の
東京電機大学 東京千住キャンパス

茶香(徒歩4分/約290m)

茶香(徒歩4分/約290m)

かわいらしい水色の外観に
テンションが上がります

案内人の吉満さんが「若者に人気」と教えてくださったのがパンケーキ専門店「茶香」さん。
独自の配合にこだわり、銅板でじっくり焼き上げたふわふわパンケーキが評判のお店です。メロンや桃など、旬のフルーツをたっぷり使った「限定パンケーキ」の登場を、毎年心待ちにするファンも数多くいらっしゃるそう。
オンライン予約が即満席になることも多い人気店ですが、ご近所なら、当日店頭受付の「順番制」で入店できるかも。スコーンやプリンなど、自宅でも茶香の人気メニューが味わえるテイクアウトも人気だそうです。

(写真提供:茶香)

(写真提供:茶香)

茶香

(徒歩4分/約290m)

定休日:月・火

営業時間:9:50~18:00
(売り切れ次第終了の為)

季節のフルーツをふんだんに使った
限定パンケーキは必食!

吉満さんのレコメンドコメント①

現在の店舗は同じ千住の街の中で移転した場所ですが、駅から距離が離れた今も変わらず、行列が絶えません。パンケーキ愛好家も唸るほどの絶品、味はもちろんですがプレートは写真映えするので、若い人にも人気なんでしょうね。

訪れる人々を温かく迎え入れる
宿場町文化

横山家住宅(徒歩8分/約640m)

横山家住宅(徒歩8分/約640m)

近世の商家建築である伝馬屋敷の面影を伝える
「横山家住宅」

交通アクセスが良く、商業施設や飲食店のバリエーションも豊富な北千住エリア。日々、多くの人々でにぎわう「北千住らしさ」をつくりあげた大きな鍵は、この地が「宿場町」だったことにありそうです。
全国各地を結ぶため、徳川家康が整備を始めた「五街道」のひとつ「日光街道」。その宿場町である「千住宿」が北千住エリアに建設されたのは、1625年のことです。隅田川の水運と日光道中の交通の接点で、宿場の人はもちろん、江戸と郊外の人たちも交流する場でした。物流拠点としても発展を遂げ、幕末には約1万人もの人々が暮らす、江戸近郊でも最大の宿場でした。

宿場町通り商店街(徒歩5分/約350m)

宿場町通り商店街(徒歩5分/約350m)

シャッターに描かれた浮世絵「日光道中」。
お店が閉まっても華やぐ

街を歩いてみると、今も一部の街並みや区画割りに、往時のにぎわいや約400年にわたる歴史を感じることができます。特に、その名の通り「宿場町通り商店街」には、近世の商家建築である伝馬屋敷の面影を伝える「横山家住宅」といった歴史的建造物や、千住本陣跡を示す看板や石碑などを見つけられます。商店街のシャッターには、歌川広重の「日光道中」が描かれ、道行く人の目を楽しませています。

宿場町として、常に外から人を受け入れ、送り出してきた千住宿。
その気風は今なお受け継がれ、北千住エリアには、多様な人々を温かく迎え入れる感性が根付いています。そして、多様な人やお店が共存する北千住エリアの空気感も「宿場町らしさ」を受け継いだものと言えそうです。
さらに千住宿は、江戸中心部からも適度な距離があり、異文化に触れながら自らの文化や技術を磨いてきたエリア。『江戸にあって江戸にあらず』。千住宿に暮らす人々は、地域で育んできた文化や技術に誇りを持ち、江戸とも違うスタイルで勝負するという気概を持っていました。
今も北千住に残る「宿場町文化」は、多くの想いある人々を惹きつけ、「自分の信じる道を進みたい」という方の働く場、暮らしの場として選ばれています。

日光御街道千住宿日本無類楠橋杭之風景本願寺行粧之図(写真提供:足立区立郷土博物館)

日光御街道千住宿日本無類楠橋杭之風景本願寺行粧之図(写真提供:足立区立郷土博物館)

宿場の街並み、千住大橋を渡る日光参詣の行列。
千住宿の活気を今に伝える浮世絵

十二カ月花卉図屏風(右隻)(写真提供:足立区立郷土博物館)

十二カ月花卉図屏風(右隻)(写真提供:足立区立郷土博物館)

江戸で隆盛した「琳派」も千住に根付き、
華やかな作品が生み出された

今回は、2019年から北千住を拠点に活動されているレザー作家、TOMYさんにお話を伺いました。2017年にレザーブランド「TOMY MADE(トミーメイド)」を立ち上げたTOMYさん。ART・SUSTAINABLE・UNISEXのテーマに基づき、バッグや財布などのオリジナルプロダクトから一点モノのオーダーメイド、空間を彩るインテリアアイテム、アートワークまで幅広く展開されています。

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMYMADEを主催するTOMYさんこと
伊藤聡人(とみひと)さん

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

艶やかなレザーアイテムが並ぶヴィンテージ棚

TOMYさんが北千住に住居兼アトリエを構えられた決め手は、アクセスがよく、職住近接が実現できそうだと感じたことだったそう。
「北千住は、都内でどのあたりにある街かをイメージしやすいですし、都心のお客様でも足を運んでいただきやすい距離感。土地勘は全くなかったのですが、『職住近接できたら』という想いもあって物件を探しました。仕事も家庭もひっくるめて自分だし、仕事に熱中しても、娘とごはんを食べに家に戻ったり、近所の公園で遊ぶ時間もしっかりとれる今の暮らしを気に入っています」
TOMY MADEのアトリエは、ヴィンテージ家具や小物が並ぶ空間。TOMYさんが手掛けたバッグや小物が、インテリアに調和して並んでいます。感覚的に「いい!」と思えるプロダクトを知れば知るほど、TOMYさんの思想、素材やものづくりに込められたストーリーを感じられます。
「お客様の6割は女性。贈り物として買い求めた後にご自分用も揃えられたり、プレゼントされた方が『身近な人に、TOMY MADEのプロダクトを持っていてほしい』と、ご両親やご友人宛に買ってくださることが多くてうれしいですね」

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

アトリエで作業中のTOMYさん

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

一軒家をアトリエと住居に改装している

POP UP SHOPの開催等で
出張も多いTOMYさんに、
北千住の印象について伺いました。

千住龍田町防災ひろば(徒歩6分/約410m)

千住龍田町防災ひろば(徒歩6分/約410m)

TOMYさんと娘さんがお気に入りの
「千住龍田町防災ひろば」

「自然体でいられる街です。『下町の人間関係は面倒そう』と想像したこともありますが、ご近所とは適度な距離感でお付き合いしています。自分もいい歳になり、これからは、互いの考え方やなりわいを尊重し合える人とだけ一緒に過ごしたいと思っていました。そんな願い通り、3年間で、互いに共感し合える友人が少しずつ増え、豊かな時間を持てています。
また、北千住は都心ともほどよく距離があり、誰かの目を気にせずに活動できる街。都心での刺激を受けながらも、自分が本当にほしいものを追い求められる環境です。僕みたいなつくり手にとっても、自分のスタイルをしっかり持っている方にも居心地がいいと思います」

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

TOMY MADE(徒歩8分/約580m)

ユーザーだけのストーリーを表現する素材、
ヌメ革製の小物たち

TOMY MADE

アトリエは平日予約制、土:12-20時、日:12-19時オープン
https://tomymade.net/
予約DM:https://www.instagram.com/tomy.made/

吉満さんのレコメンドコメント②

この街の友人からのおすすめでトミーさんのことを知りました。暮らしの中でのレザーをテーマにされるだけに、店内には美しいコードバンのレザーアイテム以外にも、ヴィンテージを中心とした生活雑貨が置かれていて見応え抜群。

暮らしやすい街千住

北千住と言えば、こちら「飲み屋横丁(通称:飲み横)」。北千住駅西口に広がるディープな飲み屋街です。路地裏まで小さなお店がひしめき合い、その日の気分で立ち寄れば、美味しく幸せなひととき。アットホームに楽しめるお店ばかりで、お酒や外食がお好きな方は、他の街に住めなくなってしまうかも。
老舗うなぎ料理屋「まじ満(ま)」さんなど、家族で入りやすいお店もあります。その奥深さに迷い込むと、街の魅力をさらに体感できそうです。

飲み屋横丁(徒歩6分/約470m)

飲み屋横丁(徒歩6分/約470m)

「今日はどこにしよう」と考えるだけで楽しい通り

まじ満(徒歩12分/約930m)

まじ満(徒歩12分/約930m)

一品料理やお昼の定食も充実の「まじ満」さん

また、北千住はお買い物にも便利な街。駅前のマルイやルミネといった大型商業施設はもちろん、昔ながらの商店街、近年、続々と増えているお洒落なお店もコンパクトなエリアにまとまっています。
千住エリアで特徴的なのは、「足立市場」の存在。安土桃山時代の青物市場を原点とする都内唯一の水産物専門市場です。北千住駅周辺に、美味しい鮮魚を扱うお寿司屋さんや小料理屋さんが多いのは、足立市場のご近所であることもひとつの理由と言えそうです。
足立市場は一般客にも開かれ、奇数月の土曜日に実施される一般開放デー「あだち市場の日」は大賑わい。市場グルメも堪能できます。

(写真提供:足立区観光交流協会)

(写真提供:足立区観光交流協会)

千住大橋のすぐそばにある足立市場

足立市場(徒歩17分/約1,290m)(写真提供:足立区観光交流協会)

足立市場(徒歩17分/約1,290m)(写真提供:足立区観光交流協会)

少量から購入できる店もあり、一般客にもやさしい

今回は、吉満さんが普段から
よく立ち寄られるお花屋さん
「decora」にお邪魔して、
北千住の魅力や、近年の街の変化に
ついて伺いました。

「街なかに若い方が増えたことで、お洒落なお店やカフェが増えてきた印象です。もともとの下町の雰囲気、温かみは残しながら、年々暮らしやすい街に変化していますね。当店のお客様も街の変化に合わせるように、若い方から年配の方まで幅広いですね」
そう教えてくださったのは、スタッフの髙橋さん。店内には色とりどりの生花が咲き誇り、海外のマルシェのよう。ドライフラワーや鉢物、センスあふれるインテリア小物など、暮らしをいろどる商品が所狭しと並んでいます。

decora(徒歩8分/約620m)

decora(徒歩8分/約620m)

表まで植物であふれる
decoraさんの店頭

decora(徒歩8分/約620m)

decora(徒歩8分/約620m)

笑顔な素敵な髙橋さんに、
今日おすすめのお花を教わります

「お花を一輪飾るだけでも、お部屋が明るくなりますよね。decoraでは、日本ではあまり見られない個性的な品種を揃えているので、『おっ!』と感じたお花があったら、ぜひ気軽に試していただきたいです。『季節の花々を使うリースづくり』などのワークショップも時々開催しているので、気になるものがあればぜひお問い合わせください」

decora(徒歩8分/約620m)

decora(徒歩8分/約620m)

生花からドライフラワーのアレンジメントまで
幅広い品ぞろえ

decora(徒歩8分/約620m)

decora(徒歩8分/約620m)

年配のお客様に人気の鉢物。
かごアレンジが素敵

最後に、北千住で
お気に入りの場所について
伺いました。

「私は、『コーヒーワークショップ・シャンティ』※2という喫茶店が大好きです。素敵なマスターがいらっしゃって、心からくつろげます。うちのお店にも、定期的に大きな枝ものを買いに来てくださるので、シックで温かなお店にふさわしい植物をご提案しています」

※2コーヒーワークショップ シャンティ(徒歩8分/約590m)

吉満さんのレコメンドコメント③

とにかく、並ぶ植物の色合いが落ち着いていて、他にはない品揃え。その上切花など、持ちがいいんです。花器含めてしっかりセレクトされた物が並んでいるので、いつ来ても楽しませてもらえます。贈り物としても喜ばれる、そんな頼もしいお店です。

まとめ

街の方のお話を伺いながら、じっくり歩いた北千住の街。
新しい人やもの、
長い歴史を受け継いできた人やものが尊重しあって共存している光景は、他のどんな街とも違う感じを受けました。
これが、人々の交流拠点となり、刺激を受けて発展してきた千住宿の名残りなのかもしれません。
北千住は、何度も通いたくなる街でした。
暮らしの場として選ぶだけで会話と笑顔が増え、美味しく、豊かな日々を送れそうです。

(写真提供:吉満明子さん)

(写真提供:吉満明子さん)

案内人:吉満明子さん

1975年福岡県生まれ。

編集長を務めた出版社を2015年4月に退職し、同年、住まいもすぐそばの足立区千住に“しずけさとユーモアを大切にする小さな出版社”、株式会社センジュ出版を設立。『ヒルナンデス!』などテレビ番組に出演しガイド役を務める他、雑誌や情報サイトに寄稿するなど地域情報発信も。現在は千住4丁目に仲間との共有地「空中階」を運営、管理人も務めている。著書に『しずけさとユーモアを』(エイ出版社刊)。
https://note.com/senjupublishing

歩けば歩くほど楽しい、
ふところの深い街「北千住」

(写真左)株式会社一歩一歩 大谷さん (右)株式会社センジュ出版 吉満さん

(写真左)株式会社一歩一歩 大谷さん 
(右)株式会社センジュ出版 吉満さん

歩けば歩くほど楽しい、ふところの深い街「北千住」

そうして実現したのは、北千住をベースに多様な飲食店や小売店を運営される「株式会社一歩一歩」※1の大谷順一さん、足立区千住で出版社「株式会社センジュ出版」※2を営む吉満明子さんのお二人による対談です。
北千住を拠点に活躍されるお二人に、北千住の街を彩る「一歩一歩」の歴史、そして、お二人が肌で感じる北千住の魅力について語り合っていただきました。

※1.株式会社一歩一歩(徒歩6分/約410m)
※2.株式会社センジュ出版(徒歩5分/約370m)

これまでの経験をポジティブに活かした店づくり

吉満さん(以下、吉満) 北千住にはなくてはならない存在になった「一歩一歩」さんですが、大谷さんの料理人としての歩みについてお聞かせください。

大谷

大谷(以下、大谷) 料理人に憧れたのは高校生の頃。きっかけは、亀有にある祖父母の八百屋でアルバイトをして、飲食店に野菜を配達し始めたことでした。多様な業態があって、店で働く料理人がかっこよく見えたんですよね。
高校を卒業したら料理の修行をしようと決め、ある高級懐石料理店で働き始めました。毎日厳しく指導されましたが、日本料理の基本を叩き込んでもらったことをありがたく思っています。その後、多様な料理店で働きましたが、「教わったことは間違っていなかった」と実感することばかりでした。

吉満 現在、一歩一歩さんが得意とされている居酒屋業態に飛び込まれたのはいつ頃だったんですか?

大谷 28歳の頃で、カジュアルな創作料理系のお店でした。客単価が抑えめだったこともあって、料理は化学調味料頼み。これでは全部同じ味になる……と危機感を感じ、料理長を任されてからは無化調で手作りの料理にこだわりました。結果、客足は大幅に伸びて、少し自信がついたのを覚えています。
その後、北千住の飲食店の出店や運営に関わった頃から、北千住でお店を出したいと思うようになったんです。

吉満 2007年に独立してオープンされたのが、「炉ばた焼き 一歩一歩本店」※3ですよね。

大谷 「炭焼き炉端」という業態に決めたのは、居酒屋として街の人に愛される価格をキープしながら、化学調味料や冷凍食品を使わず、素材を最大限に活かせる料理ってなんだろうと自問自答した結果でした。
最初は干物メインだったのですが、近所のスーパーで驚くほど干物が安く売られていたからか、お客様が来なくて(苦笑)。そこで思いついたのが、旨い野菜をメインにすること。八百屋の手伝い、懐石料理店での修行、過去の経験をフルに活かしていくのが、僕の店づくりの特徴かもしれません。

※3.炉端焼き 一歩一歩本店(徒歩7分/約570m)

北千住で創業し、北千住で育ってきた多彩な店

吉満 一歩一歩さんのお店は、千住エリアだけでも今9店舗に拡大しています。不動産会社や、建物オーナーさんから「ぜひお店を出してくれ」と打診されるケースがほとんどと伺いましたが、「一歩一歩さんに任せたい」と思われる理由ってなんでしょうか。

大谷 そうですね……私も含め、スタッフの「人間性」を見てお声がけいただけているなら、ありがたいです。どんなに儲かって活気がある店でも、その実績に慢心して店の周辺を汚したり騒がしくしたら、街の人にとっては「在ってほしくない店」ですよね。
「目の前の方をよろこばせたい」という想いから、店の周りを整え、ご近所に気持ちのよい挨拶をし、地元のみなさんと地道につながりを築いてきたことが評価されたのだと思います。

吉満 素晴らしいですね。一歩一歩さんは単に飲食店や小売店を営んでいるのではなく、「北千住の街づくり」に取り組まれている印象を受けます。

大谷 以前は「街づくり」という言葉も使っていたのですが、わたしたちに街づくりはできないと気付きました。「どうしたらお客様の気持ちが高まるか」と考え抜いた店をつくって、街に付加価値をつける、彩ることが僕らの役割だと思っています。
例えば、ラフな格好でも入れる寿司屋が近所にあったら幸せだろうな。
久しぶりに会う仲間に、「いいだろ? 北千住も」と軽く自慢したくなる店もあったらいいな。
お子さんが小さくてもハレの日に使いやすい店があったら幸せが増えるな。
そんな「街の人の幸せ」を空想し、実現できる店を出したいと思っています。

一歩一歩、北千住の街にもたらした変化

吉満一歩一歩さんと言えば、丁寧なお見送りなど、温かな接客が全店に根付いていますよね。

大谷 そうですね。いろいろきっかけはあるんですが、ある日、レクサスのショールームでお客様が見送られている光景を見たんです。
「高級車を買うと、こんなに丁重に扱ってもらえるんだな」。
そう感じたと同時に、「うちだって、こだわりを認めてくださったお客様がいて、地域の中では高めのお代をいただいてる。レクサスオーナーと何も違わない」と気付き、すぐに取り入れたのが最初です。

吉満 そんな出来事があったんですね! 一歩一歩さんのおもてなしは、北千住で大きな話題になっていたそうですね。

大谷 駅前のマルイさんやルミネさんが接客研修の一環としてお店にご来店してくださいました。

吉満 一歩一歩さんの存在が、街にポジティブな刺激をもたらしていたんですね。

大谷 そうできていれば、うれしいですね。昔の北千住は、地元密着というか内輪のコミュニティを楽しませる街だった。「住みたい街ランキング」で注目を集めたり、学生さんや若いご家族が増えてきた今は、地元の方はもちろん、北千住と縁のなかった方々も全力でもてなせる街に変化した気がします。

吉満

吉満 確かに、地元のみなさんとも楽しめて、北千住に来てくれる方もよろこばれるお店が増えました。大谷さんはよく「みんなを幸せにしたい」っておっしゃいますよね。全方位見てらっしゃるというか。

大谷(以下、大谷) 属性も問わずみんなを幸せにするって、すごく難しい。でも、それができれば「地域全体を幸せにする店」になれると思うと挑戦しがいがあります。年配の方が食べづらそうなメニューを見つけたら、次から小さく切ってお出ししたり、お子さんが残しがちなメニューがあれば再検討したり。お客様が多様であればあるほど、自分たちのサービス力、応用力も高まります。

「会話あり売り場マーケット」が生み出す豊かな毎日

吉満 コロナ禍を経ての、一歩一歩さんの変化についてもぜひ教えてください。

大谷 大きな変化は、小売業に参入したことです。飲食店の営業が制限され、仕入先の魚屋さんが卸先を失って苦境に立たされていました。なんとか助けたくて、運営していた居酒屋「魚屋ツキアタリミギ」※4の店頭で魚を売り始めたんです。
八百屋を始めたのも似た理由で、学校給食がなくなり、行き場を失った足立区産の野菜を買い取って並べたことがきっかけです。こんなときだからこそ、「足立区ってこんなに野菜をつくってるんだよ」と、地元の方に伝えたいという想いもありました。

※4.魚屋ツキアタリミギ(徒歩6分/約410m)

(写真左)株式会社一歩一歩 大谷さん (右)株式会社センジュ出版 吉満さん

吉満 2021年にオープンされた「まるいち青果」※5さんも、いつも賑わっていますよね。

大谷 「このお野菜はこんな調理が向いてますよ」という風に、料理人が知識やスキルをお伝えしながら販売したことで、再来店のお客様が急増したんです。料理人とのささいな会話で、家ごはんが今以上に美味しくなる。わたしたちが始めた「会話あり売り場マーケット」が、お客様の食卓が豊かにできるのだと気付きました。

吉満 そんな会話こそが、北千住の街の魅力ですよね。私がその価値に気付いたのは、住み始めてからだいぶ後のことでした。

まるいち青果

以前、近所にある荻野青果店のおじいちゃんが「今日のかぶはね、特に瑞々しくて美味しいよ」と、お客様に笑顔で声かけされる様子を見て「私は、大切な風景を見逃してきた」と、ハッとしたことがあります。
お話ししながら買い物したものは、家でも会話を生んでくれるんですよね。「今日、まるいち青果で買ったとうもろこし、新鮮だから茹でずに生でも食べれるんだって!」なんて、家族に話ができる。

大谷 コロナ禍を経て、お客様も足元にある幸せを探されている気がしていて、「まるいち青果」はそんな気分にぴったり合った気がします。会話で生まれたつながりが街の魅力をつくるし、家庭も幸せにする。幸せな家庭が増えると自然と街の空気がよくなる。すごく豊かな循環ですね。

※5.まるいち青果(徒歩8分/約640m)

受け入れ力の高い北千住で、自由に暮らしを楽しんで

吉満 大谷さんが感じる、北千住の魅力ってどんなところですか?

大谷 自然体で暮らせるっていうのかな。駅前の商業施設も商店街も充実していて買い物には困らないし、荒川の土手に行けば、野球したり寝転んだり、みんな自由に過ごしていていいなぁと思います。子どもたちにとっても最高の場所ですね。
あと、いろいろな顔を持っているところも僕は大好き。新しいことをしたい人、新しいものも応援されるし、古いものを活かそうとする人、古いものも応援される。どんなことも受け止めてくれる、不思議な街だなぁと思うんです。

吉満 確かに、いろいろなものが自然に共存している感覚があります。
では最後に、「北千住を暮らしの場にしようかな」とお考えの方にメッセージをいただけますか?

大谷 北千住は、いろんな価値観を受け入れてくれる柔軟なところが魅力。住まいは大きな買い物なので、どうしても肩に力入っちゃうと思うんですけど(笑)、ぜひちょっと力抜いて、街なかをたくさん歩いてみてください。面白い場所、素敵な場所、たくさんあります。僕も「一歩一歩」が運営するお店にいることも多いので、いつでも声かけてください。

(撮影:2022年7月11日)

(撮影:2022年7月11日)

株式会社一歩一歩 代表取締役

大谷順一

1974年3月、東京都生まれ 高校生から祖父が経営する八百屋でアルバイト。野菜の配達でさまざまな飲食店を訪れ、飲食業を志す。懐石料理店、居酒屋などで料理と経営の経験を積み、2007年3月、北千住に1号店をオープン。ドミナントで出店して街の活性化に貢献し、2014~2016年はNP大谷法人居酒屋甲子園の理事長を務める。2016年から出店エリアを拡大し、2020年から小売業にも参入。

※掲載の情報は2022年7月現在のものです。

※徒歩分数は80mを1分として算出(端数切り上げ)した概算時間です。

※掲載の写真は2022年07月に撮影したものです。