INTERVIEW

入居者インタビュー

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2019.03.20

現代に伝統構法を引き継ぐ

自然体で生きる建築家のワークフィールド

Member Introduction

一級建築士事務所 忘羊舎
宮本 啓 さん
HP:https://boyosha.com(4月開始予定)

  • 2018年11月 開業。
  • 2019年1月 MID POINT入居。
  • 日本で永く培われてきた木造建築構法である「伝統構法」に携わる建築家。
  • 家族:妻、猫

My Work Story

-起業に至った経緯を教えてください

日本の気候風土に合わせて発達してきた伝統的な構法、なかでも民家の技術に則った住宅を手掛ける、福岡県の工務店の家で生まれ育った宮本さん。伝統構法とは、西洋建築の考え方が日本に入って来る前からあった建築構法で、本来ある木の特質を生かして木組みをするのが特徴です。ユネスコ無形文化遺産への登録運動があるほど文化的価値は高いものですが、現在この構法で住宅を手掛ける工務店はごくわずかです。

宮本さんは大学で建築を学んで一級建築士の資格を取得、実家で伝統構法に携わります。他の設計事務所などに勤務した後、再び実家に戻り、伝統構法を踏襲した住宅の設計に取り組んできました。こうして10年以上建築士として働いた後、日本建築史を大学院で学ぶために2016年に上京します。「自分が今描いている図面は、どういう時代的な変遷を経て、どういう意味を持つことになったんだろうってどうしても知りたくなっちゃったんですね。好奇心です、ノリです!」と宮本さんは軽やかに笑います。

「設計は“ものづくり”ですからね、わくわくしちゃうんですよね。そこに歴史的背景が乗ってくると、たまんないですねえ」。伝統構法の魅力を聞かれ、とろけそうな声で答える宮本さん。

上京後は都内で、文化財の修理工事などを手掛ける工務店で働きながら大学院に通います。日本の中世以降の構法の変遷を研究しようとしたものの、その研究室では今は扱っていないテーマでした。その代わり、担当教授から小田原城の天守(現在はRC構法で鉄筋コンクリート造)を木造復元する運動を紹介されます。「人材が高齢化していること、伝統構法の技術を次の世代に伝えていくこと、その仕組みづくりをすること」というこの運動の意義に共感し、調査研究プロジェクトへの参加を決意、大学院を卒業した今もプロジェクトで研究を重ねています。

「今までの経験を踏まえて、自分がどこまでやれるのか自分自身の力を試したい」と、大学院を卒業して2カ月後に起業。かつて在籍していた工務店の設計を手伝いながら今に至ります。

My Work Style

-仕事へのこだわりを教えてください。

「伝統構法は絶滅危惧種」と端的に表現する宮本さん。「日本の気候風土に合った建築技術がなくなるのは日本の文化がなくなるってこと。それを継承していけるよう、かむほどに味の出るような『現代の木の家』を作っていかないと…。その一助になれれば」と続けます。伝統構法というと「古くさいもの」、「設計の自由度が下がるのでは」と思われがちですが、決してそんなことはないそうです。

だからこそ、今は一人でやっているけれども、「ゆくゆくは誰かと仕事をしたい」という思いを宮本さんは持っています。同じ指向性をもった人が近くにいれば、刺激を受けていろいろな設計のアイデアが生まれるのでは、と今後に期待しています。

「自分のブースも落ち着くんですよ。人が歩いていても気にならない、いい高さのパーテーションです」。

My Life Story

-ライフスタイルで大事にされていることはありますか?

「食べることは生活の中で非常に重要」と考える宮本さんは、MID POINTのラウンジで必ず昼食を作っています。設計も料理も段取りが大事との信念から、作りながら片付けるのが鉄則。食事をする際には、洗い終わった調理器具が水切りに置かれています。

一つの鍋でできるものを考えるのがポイント。宮本さんがキッチンを使うのを見て、それまで人前で料理をすることにためらいがあった入居者もキッチンランチに興味を持ち始めています。

帰宅前にラウンジでお酒を片手に本を読むのも日課になっています。トワイライトタイムを楽しんでリフレッシュしてから帰って夕食を作ります。「まさか同業者と結婚するなんてこれっぽっちも思っていなかった」などと言いつつも、話が合う妻と自宅でのひと時を過ごしています。

MID POINT For Me

-MID POINTを選んだ理由を教えてください

1.個人スペースであるブースがちょうど良い広さであること、
2.料理ができるくらいラウンジが充実していること、
3.喫煙スペースがあること、
の3つがそろったことでMID POINTを選んだ宮本さん。しかし、最大の決め手は「自宅からの近さ」でした。徒歩で通えるので、満員電車に乗らずにすみ、交通費もかからない。「実は思ったより時間がかかって25分くらい(笑)。いい運動だと思っています」と、ちょっとした“想定外”をおおらかに受けとめています。