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東京大学・難波研究室×生活者×コスモスイニシア共同研究プロジェクト
『COCOLABO(ココラボ)2009』「デキゴトが生む家~みんなの脱・n+LDK会議~」研究活動レポート
「脱・n+LDK」の発想で、コンパクトで住みやすい家づくりを提案
平成21年12月11日
 (株)コスモスイニシア(本社:千代田区、社長:高木嘉幸)では、平成21年6月から11月までの6ヶ月間に渡り、新しい住空間の可能性を見出すための産学民協同研究プロジェクト『COCOLABO(ココラボ)2009』に取り組んで参りました。4年目を迎える『COCOLABO』では、昨年に引き続き、「住空間」の研究を専門に進める東京大学・難波研究室と、「住空間」で暮らす一般の生活者、そして「住空間」の開発者であるコスモスイニシアの3者が協同して研究活動を進めました。

 『COCOLABO2009』では、「デキゴトが生む家」をテーマに、家の中での行為と行為の重なり合い(=デキゴト)から考える住まいやすい空間、「コンパクトで住みやすい家づくり」の研究を行って参りました。
 研究は、ウェブサイト(http://www.cocolabo.jp)上での展開を基本活動とし、親子参加型の夏休みワークショップや、当社分譲マンションにお住まいの生活者とのグループインタビュー実施など、生活者との意見交換も例年以上に積極的に展開して参りました。

 生活の中の行為の関係から生まれる家を6ヶ月間に渡って研究することにより、「デキゴトが生む家」という視点で、実用度の高い考察が実現いたしました。この研究活動の成果を通して、今後、当社が提供する実際のマンションの商品企画に反映させていくことも視野に、新しい暮らしの豊かさを提案して参ります。
<COCOLABOココラボ2009ウェブサイトトップページ>
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http://www.cocolabo.jp

-『COCOLABOココラボ2009』プロジェクト概要-
■研究テーマ「デキゴトが生む家~みんなの脱・n+LDK会議~」
 家の中では様々な行為が日々行われています。その行為は、現在の住まい(間取り)に規定されているものもありますが、一方で、住み手の趣味・嗜好や、居住者同士の関係の中で決まってくるものも多くあります。居住者の行為と行為の重なりから空間を考えていく取り組みはほとんどありませんでしたが、今回、このアプローチで住宅を検証していくと、これまでよりも機能的で住み手の立場に立った空間が出来上がるのではないかと考えました。
 『COCOLABO2009』では、日々の生活行為の重なり合い=『デキゴト』とし、デキゴトと空間の関係性の再編成をすることで生まれてくる、新しい生活空間の姿を探ってきました。

■研究活動
 6月から11月までの期間で、①みんなのくらしの中の行為を挙げていく、②限られた空間の中で行為と行為のつながりを考える、③行為と行為のつながりから住みやすい家を考える、以上3つのステップにより、東京大学・難波研究室メンバーがプロトタイプとなる住宅を計画し、ウェブサイト上で発表(1stROUNDからFinalROUNDまで計5ラウンド)していきます。同サイト内のブログでは、発表されたプランへの生活者からのリアルな声を含めた意見交換を展開しました。

=1stROUND「小さなデキゴトから考える」=
住まう人の具体的なライフスタイルを想定し、そこから発見される行為の重なりから具体的な住まいの形を提案
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=2ndROUND「いろいろなデキゴトから考える」=
1stROUNDに引き続き、さまざまなテーマから家の中のデキゴトと、そこから考えられる住宅の形の可能性を追求
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=3rdROUND「デキゴトとカタチの結びつきを考える」=
視点を広げ、環境や共用部などの切り口からデキゴトとカタチの結び付きを考える
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=4thROUND「素材、光、時間、デキゴト」=
「素材」「光」「時間の変化」に注目し、より具体的に集合設計を行う。
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=FinalROUND「マイクロパタンランゲージ」=
独自のマイクロパタンランゲージを作成し、それを適用してコンパクトな集合住宅の住戸のプロトタイプの設計、そして最終的には集合住宅全体の設計を行う。
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<イベント>
 住空間に対して関心の高い生活者のリアルな声を『COCOLABO2009』の研究活動に反映させるため、親子を対象とした夏休みのワークショップ(8月)やグループインタビュー(3回開催)を実施しました。
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■研究パートナー「東京大学・難波研究室」
 難波研究室の研究テーマは、サステイナブルな(持続性のある)建築や都市のデザインです。サステイナブルなデザインとは、一言でいえば、地球環境を持続させることを目的としたデザインです。
 サステイナブルな建物と都市を成立させるためのひとつの重要な条件は、コンパクトで高性能であることです。とりわけ都市の居住空間において、これは必要不可欠な条件だと考えられます。コンパクトで高性能とは、小さな空間によって必要な機能を充足することを意味します。そのような都市の居住空間に相応しいのは、いうまでもなく集合住宅です。
 そこで、「COCOLABO2009」では、集合住宅の住戸単位に焦点を当てて、コンパクトで高性能な住戸空間の新しい可能性を追求してみたいと考えています。現代の都市社会は、さまざまなライフスタイルを持った家族によって構成されています。集合住宅の住戸単位は、多様なライフスタイルを持った家族にフレキシブルに対応できる空間でなければなりません。多様なライフスタイルを受け入ながら、コンパクトで高性能な住空間を実現するために、私たちは住戸の物理的・空間的な条件ではなく、その中で展開している生活の行為に注目しました。そして住戸内で展開している生活行為のつながりを分析し、それをコンパクトに組み替え、重ね合わせることによって、住戸空間を再組織化することを試みてみたいと考えています。
難波和彦(なんばかずひこ)教授プロフィール
1947年大阪府生まれ
1969年東京大学建築学科卒業
1974年東京大学大学院建築学専攻博士課程修了
1977年1級建築士事務所界工作舎設立、
1996年㈱難波和彦+界工作舎代表取締役、
2000年大阪市立大学大学院建築学専攻教授
2003年東京大学大学院建築学専攻教授
作品の代表作に「箱の家シリーズ」など多数
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■COCOLABOとは
 『COCOLABO』は、「個々(coco)の住まいを共に(co)考える研究所(laboratory)」として、展開しているプロジェクトです。住空間への関心の高い生活者、住空間を専門に研究を進める大学研究室、そして住空間の開発者であるディベロッパーの3者が、双方向にコミュニケーションを図る住宅分野において殆ど例のない取り組みです。
 21世紀に入り、人々の生活スタイルの多様な変化に伴い住空間への意識や関心が高まり、量から質への転換が進んできています。また、才能のある建築家の多くが大学で教師となり「建築」を指導・研究し学生を育てていく「プロフェッサーアーキテクト」の時代となっています。教師と学生が一体となって展開する研究はオリジナリティに富み、新たな住空間の創造において大きな可能性を秘めています。
 当社ではこの点に注目し、大学の建築系研究室と住空間への関心の高い生活者との双方向によるプランニングコラボレーションの場として、取り組んでいます。