「コスモ・ザ・パークス調布多摩川」

【審査員講評コメント】
共有部分の環境への配慮やシンプルなデザインの中庭が多様な世代に愛される環境をつくっている。また、デザインの総合的な完成度に優れ、長く使えるデザイン・調和のとれた景観の提案などの点も評価できる。

■ コンセプト
　当該計画地は、京王線「西調布」駅から１４分。敷地周辺は、南に多摩川、東にゴルフコース、西には閑静な戸建住宅地となっており、住宅として非常に恵まれた立地にある。また、天気の良い日には、南西方向に富士山も望め、抜群の眺望条件を備えている。この立地条件を活かし、当該計画では、多摩川の自然を充分に享受できる環境・設備を整え、子育て世代からリタイヤ層まで、幅広いニーズに応えられる物件づくりを目指した。

■ 外観・外構
　地上１５階建て・総戸数３１４戸である大型建築物において、圧迫感を軽減させ、周囲に溶け込む外観・外構デザインをすることに力点を置いた。 　外観デザインは、特に駅からのアプローチに面する共用廊下側について、垂直動線である階段には壁面を、エレベーターとエレベーターホールにはカーテンウォールを設置しており、縦ラインを強調させたデザインが共用廊下の水平ラインを分節することで、軽快でリズミカルのある外観を創出した。また、多摩川に面したバルコニーの一部にガラス素材を採用しており、自然光および多摩川と富士山の眺望を住戸内に採り入れる設計・デザインとした。 　共用廊下には、アトランダムにベンチコーナーを設置し、住人のコミュニケーションの場や、ゆとりのある空間を設計すると共に、廊下周辺には、優しく光害を極力押さえた照明計画を施した。また、どこにいても緑を感じられるように、エントランス棟や駐車場棟の屋上を緑化し、住棟を緑豊かに包み込む設計を施した。ランドスケープと照明が一体化した外構計画を創出した。

■ 共用部分
　エントランス棟屋上部に設置した庭園からも回遊できる中庭「グラスパーク」を中心に、オープンスペースを随所に配置し、積極的に多世代の交流促進が図られるようにデザインした。また、子供たちを見守る親御さん達の快適な居場所となった。 　戸建住宅街に面する道路沿いには、既存の並木道のイメージを継承した、周辺地域にも開かれた交歓スペースとして散策道を設計し、四季折々の植栽やベンチを設置することで、地域の交流の場として提供した。

「横濱ディアタワー」

【審査員講評コメント】 格子状のディティールをもつファサードによって従来の高層マンションのイメージが一新され、それが各住戸の快適さにもつながっている。また、デザインの誠実性なども評価できる。

■ コンセプト
　当該計画地は、山下公園・中華街・元町という性格の異なるエリアに包摂され位置している。開港以来、異国文化に接してきた「エキゾチックな街」山下公園地区のイメージと「エネルギッシュな街」中華街の活力、「ファッショナブルな商業地」元町の先進性に対し、｢多重性・多義性｣をテーマに掲げ、性別や年齢構成、人種にとらわれずに、住人それぞれの考え方やライフスタイルを許容できるようなマンションを目指した。

■ 外観・外構
　外観デザインは、インターナショナルなデザインである規則的・直線的なラインを組み合わせ、格子状の和障子を思わせるデザインとすることで、国際性と「和」の二重の雰囲気を創出した。また、統一感のある外観を形成し、都市に対する「表情」を形成すると共に、夕刻以降は住戸バルコニーからこぼれる明かりによりにじみ出る「生活のぬくもり」による二重の顔を創出した。さらに、低層部外観は、黒御影石本磨きとして、車や建物、行き交う人々などの都市景観を映し込むというイメージをデザインし、建築が単体としての存在ではなく、人々の生活と共に都市を創り出すことを表現した。

■ 共用部分
　エントランスホールは、住人のライフスタイルの出発点として、白を基調に透明感のある空間を設計した。開放感を持たせた吹き抜け空間には、自然光を採り入れるトップライトを設置し、下部にはヒノキのブロックを埋め込むことで、白い空間に拡散する光とブロックの織り成す影による安らぎを演出した。 　最上階２５階に共用のラウンジを設置し、住人がベイブリッジの架かる横浜の海の眺望や「みなとみらい」の夜景を味わえる空間とした。

参考）「グッドデザイン賞（Ｇマーク）」
※(財)日本産業デザイン振興会ＨＰ（http://www.g-mark.org/）より抜粋

「グッドデザイン賞」は、1957年に通商産業省によって創立された「グッドデザイン商品選定制度」（通称Gマーク制度）を母体とする、我が国唯一の総合的デザイン評価・推奨制度です。この制度は、毎年ある一定数の「デザインが優れたものごと」を選び、その選ばれたものをもって生活者や産業などに働きかけ、社会全体をより豊かな方向へと誘導していこうとする活動を続けてきました。制度創設以来「デザインが優れたもの」として選定し推奨してきた総数は、約28,000点にも及んでいます。