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『キングフィッシャーベイ・リゾート&ビレッジ』
((株)コスモス・オーストラリアが、現地企業と共同経営するエコリゾート)
オーストラリア・ツーリズム大賞 環境部門で、全豪対象を受賞
平成12年12月1日
  (株)リクルートコスモスは、100%出資子会社(株)コスモス・オーストラリア(社長:入村道夫)で、オーストラリア・クイーンズランド州フレーザー島のエコリゾート「キングフィッシャーベイ・リゾート&ビレッジ」(以下「KBRV」)の運営を行なっておりますが、当リゾートが昨日11月30日、オーストラリアの観光機関(ツアーリズム・オーストラリア)より「オーストラリア・ツーリズム大賞・環境部門大賞」を受けましたので お知らせ致します。
 「KBRV」のあるフレーザー島は、オーストラリア大陸の東海岸に位置する「世界最大の砂の島」として有名であり、1992年にユネスコより世界遺産の認定を受けております。「KBRV」は、この環境を生かし、高いレベルでのエコツーリズムのスタンダードを目指し、また『この島を訪れる人々に対して、最大限の環境を保護する為の努力をしていることを見ていただくこと、そして、抱えている自然とそこから派生する文化的遺産を充分に理解してもらい、正確に伝えていくこと』を使命として、開発・運営に取り組んで参りました。
 特に開発に当たっては、環境に関わる各種検証と開発による環境への影響についての調査、それをベースとした造園計画ならびに電気・ガス・廃棄物の削減の為に有効な建築設計、など広範囲にわたる検討を行なっており、1992年7月のオープン以来、全豪ツーリズム大賞の新規開発部門において大賞を受賞、また「パシフィック・アジア・トラベル・アソシエーション」が主催するツーリズム大賞において、太平洋・アジアツーリズム大賞をオーストラリアの施設として、初めて受賞するなど、豪州内外から高い評価を頂いております。

◎「KBRV」における環境対策の具体例 (以下の記述は、KBRVのエコツーリズムマーケティングコンサルタントである、プロマークジャパン・小林寛子氏によるものです)

1)開発段階の調査 調査及びそれに基づく計画デザインには専門家57人が参加。「建設用地の地形、主な植物の特徴の調査」「アボリジニ(先住民)の使った痕跡のあるもの、ヨーロッパ人が入って来た時の痕跡のあるもの等、考古学的調査と確認」「すべての植物の分布図作成」「動物生態系の調査」「水質調査」などを実施。
2)エネルギー 計画段階ではソーラーシステム等も検討したが、諸事情から実施に至らず、オープン当初のジェネレーターによる自家発電方式から、現在は環境への配慮ならびにコストを考えて海底ケーブルにより本土で発電された電力を使用している。 また、自然の外観を壊さないこと、必要以上の電線が樹木の中を通ることによる火災等の心配を考慮し、電話と電気ケーブルは地下に埋設。建物にもエネルギーの節減の為に、15%程度のエネルギー節約となる「消エネ蛍光燈」を使用したほか、自然風の対流を考慮した設計にしてエアコン使用を最小限にするなど、消エネ量は年間約48万キロワット(約5万豪ドル)を実現。
3)廃棄物処理・管理 廃棄物はまず、リサイクルできるものと、できないものに分別する。ガラス類は粉砕、缶類は圧縮、段ボールもキュービック上に圧縮して本土に送り、本土でそれぞれの用途に応じてリサイクルされる。これはフレーザー島でも初の試み。さらに、環境とゴミ投棄場のスペースを考え、独自のゴミ処理システムを導入。キッチンやレストランで出る生ゴミは、一定期間、みみずと一緒に置いて処理し、最終的には堆肥土を生成。これにより生ゴミによる害虫等の発生を防ぐと共に、野生動物によって放置ゴミを荒らされる心配もない。堆肥土はリゾート内に作られたハーブ菜園において使用され、そこでできたハーブはリゾートのレストランで使用されるなど循環利用を目指している。
4)下水処理 汚水処理システムは、3段階に渡って汚水を浄化。州の環境庁の基準に合わせて浄化された水は、海水に流される。リゾートでは、独自に定期的に、排水が海洋生物に及ぼす影響について水質検査・生態系調査を行なっているが、オープン以来生態系に与えるインパクトはでていない。また最終的に残った汚泥は天日乾燥させ、粉砕して生ごみと一緒に、みみずによって堆肥土に再生する。 また、リゾート内で使用される洗剤などには、特に注意して科学薬品の入っていないものを使用。各ルームにあるアメニティーのシャンプーや石鹸についても、自然素材からできた、環境に優しいものを特に選別して使用。
5)造園 造園は、島の自然の様子を保護する為の非常に重要なポイント。島の外から新しい植物を運ぶことによって、動植物の生態系を壊すことを避けるなど、島本来の自然の姿を維持することに配慮した。用地にあった植物は小さな鉢に植え替え、リゾート内に特別に作った苗園において育て、建設終了後に元に戻して造園を完成。この苗園で育てた約9万鉢の植物に、林野庁の協力による6万鉢を加えて、現在のリゾートの外観を形成している。又、工事中に使用するトラックなどによって本土から渡ってくる土を経て、害虫や疫病が発生し、植物に影響を与えることを避けるため、入島するトラック等のタイヤをチェックしホースでよく土を落としてから島に運び入れるなど、最大限の配慮をした。加えて、工事に関わる人々に対して環境保護のガイダンスを行ない、すべてのスタッフが自然保護の重要性を認識しながら仕事に従事。この精神は、今も新しいスタッフの教育プログラムに組み込んで実践している。
6)その他の活動 観光客に対し、環境保護をどう解釈し、どう伝えていくかもまた重要なポイント。世界遺産に指定された場所で、その意味を伝え、実践し、享受するトータルアクティビティーが必要と考えた。フレーザー島のあらゆる自然と慣習の歴史を伝達するために、特別な訓練を受けた10名余の専属レンジャー(インタプリター)を置き、このレンジャーのガイドによる各種エコツアーを実施。また、5歳から15歳までの子供のための環境学習プログラム、エコレンジャープログラムを実施。 子供の頃から、自然を見る目を養い、環境保護の重要性を楽しみながら学ぶプログラムである。子供も大人も、フレーザー島の自然の様子を自分の目で確かめながら、その保護の重要性を認識してもらうきっかけ作りを各種プログラムでは目指している。