シェアハウスにカーシェア、写真や心情をSNSでシェアする等、様々な「シェア」が当たり前になってきた時代。
それは経済面でのメリットを生むだけでなく、人と人がつながることによって、安心感や相互の信頼も生んでいる。
地域の中で、時間・価値・経験をシェアしながら人と人がつながり、コミュニティを形成していく。
そんな居住スタイルが人々の中で広まりつつある。

ココラボは2014年のパートナーとして慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)玉村研究会の学生とともに、
「シェア」をキーワードとした新しいライフスタイルと居住スタイルについて調査研究を実施しました。

玉村研究会研究プロジェクトチーム

BACKGROUND

社会

■交通
交通手段の多様化、移動時間の短縮、移動費の軽減により、二拠点生活が実現可能になってきた。
・道路網の発達
高速道路網の整備は1970年の649kmから2002年には7,200kmと急速に進んだ。
・高速道路ネットワークの拡充
1960年代後半に高速道路が開通して以降、急激なモータリゼーションの進展にあわせ、高速道路の整備は進み、2011年には整備率は7割(9,855km)となった。
(参考)国土交通省 社会資本整備審議会道路分科会 第31回基本政策部会配布資料 参考資料1「これまでの道路政策とその現状」(2011)
・長距離バス路線の拡大
高速乗り合いバス(長距離バス)は、平成に入ってから事業者数が3倍(1989年117社→2013年365社)となり、運行系統数(延数)は約7倍になっている(1989年772本→2013年5,229本)。
(参考)国土交通省、統計情報・白書自動車関係統計データ、No4高速バスの運行状況(2013)
・LCCの登場
2012年3月に国内航空市場にLCCが参入して以降、LCCの便数は幹線・地方路線共に増加している。特に地方路線への就航拡大が進んでいる。
(参考)国土交通政策研究所報第 56 号 2015 年春季、P40-47(2015)
■インターネット
インターネットとSNSの普及により、情報拡散力が増し、同じ価値観の人を集め、シェアできるようになってきた。
・インターネット普及
携帯電話・PHS、パソコンといった情報通信機器の普及は全体的に飽和状態となっている中、スマートフォンは2010年では10%に満たなかったものの、2014年には64.2%と急速に普及が進み情報取得・発信・共有に欠かせないツールとなっている。
・SNSによる情報交換
日本国内におけるSNS利用者は年々増加しており、2016年末には、6,870万人、インターネットユーザー全体に占める利用率は66.5%に達すると予測される。SNSの大半は無料登録ができることから、複数登録する利用者も多く、2013年末の国内における登録総数は、重複登録分も含めると約2億8,000万件に達する。
(参考)ICT総研、2014年度 SNS利用動向に関する調査(2014)

個人

■ライフ&ワーク
豊かな生活価値を追求する人が増えている。
・自分のために使う時間の増加
男女有業者の生活時間配分の変化を見ると、仕事の時間は減少傾向にあり、休養やくつろぎ、趣味娯楽などに時間を使う人は増加傾向にある。
学習・自己啓発、趣味・娯楽、スポーツ、ボランティア活動といった積極的自由時間活動は、20代で増加傾向にあり、特に20~24歳で大幅に増加している。
(参考)総務省、平成23年社会生活基本調査生活時間に関する結果(2011)
■消費
所有からシェアへ、量から質へ、近年は消費に対する意識が変化している。
・シェアでいいもの
自動車のシェアはすでに一般化しているが、その他にもドレスやベビーカー、ミシンといった一時的に必要になるモノや日常的に使う家電など様々なシェアをしたいと考えている。
(参考)カルチャースタディーズ研究所、現代最新女性調査(2011)
・消費価値の変化
2000年頃から消費に対する価値が「安いものを購入する」から自分の気に入ったモノ「ライフスタイルへのこだわり」や「安全性重視」へ変化している。
(参考)NRI、生活者 1万人アンケート調査(2012)

RESEARCH

シェアについて考える

私たちは何のためにシェアするのだろうか。いつからシェア型の居住スタイルをするようになったのだろうか。
プロジェクトチームは、まず、「シェア」に関する250の事例を分析することから調査をはじめた。

FIELD WORK

SHARE VILLAGE/シェアビレッジ
SHINKAI/シンカイ
KOLONIHAVE/コロニーヘーブ
TRIPPIECE/トリッピース村
KLEIN GARTEN/笠間クラインガルテン

FUTURE

いく、つながる、またいく(帰る)。

シェアを基盤とした居住スタイルの特徴として、継続的な行き来をしていることが挙げられる。初めの頃は「場に行く」ことが目的であったが、継続的に行き来することによって、「場に行く」だけでなく、そこに住む「人」に会いに行くことや場で過ごす「時間」、場で経験する「コト」へと目的や価値が変換されていく。このような行き来の繰り返しが、やがて地域とのつながりや愛着を生み、「帰る」という感覚へと変化を遂げる。

時間・価値・経験のシェア

CONCLUSION

シェア型の居住スタイルに期待される価値

シェアを基盤とした居住スタイルは都市生活者だけでなく、地方生活者や地方自治体にも好影響をもたらしていたことが、これらの研究からわかってきた。

■地方生活者にとっての価値
・自分の住む地域の魅力の再発見による誇りや愛着の醸成
・新たな価値観や情報の獲得
■都市生活者にとっての価値
・普段とは違うコミュニティへの参加
・新たな自分の気付き
・閉塞感からの解放
・故郷という感覚の醸成
■地方自治体にとっての価値
・地域の情報の拡散による認知度向上
・来訪者数とリピーターの増加
・地域の活性化
・地域自治体の魅力の発見