税務

20201023vol. 34

コロナ市況下における最新の情報・対策

緊急事態宣言による自粛期間を経て、GOTOキャンペーンも始まりました。

コロナに対応した行動様式が浸透してきたせいか、7月末頃をピークに新規の感染者数は減少傾向にあるようです。
ただ、ワクチンがない中では、まだまだ予断を許さない状況です。

そこで、今回は斯かる状況での現状の対応方法と今後準備すべき点等について、主として法人の損益計算書に並ぶ勘定科目にそってご案内します(個人の方もほぼ同じです)。

売上金額

賃貸収入入居者から、家賃の支払いに係る相談を受けた場合、どの様に対応されているでしょうか。
管理会社任せにせず、先ずは、支払の猶予をお願いして下さい。
入居者が事業者であれば家賃支援給付金、一般の居住者であれば住居確保給付金等の支援策が準備されていますから、支払期限の延長を行うことで、これらの手続きが終わり次第、入金受けられる場合があるからです。
又、敷金をお預かりしている場合は、入金不足額について預かっている敷金を充当することもご検討ください。

何れも合意に至らなかった場合、そこで初めて減額対応の検討に進んで下さい。平時では、減額したことに何ら理由がない場合には、税務上の寄付金として扱われ、税金の計算上は経費になりません。ですが、コロナ禍では、減額対応した金額は全額経費として認められます。

礼金・更新料賃貸収入も同様ですが、コロナ禍だからといって、入居者からの礼金・更新料の減免要請について、安易に対応していないでしょうか。一度要請に対応すると、それが常態化するおそれがありますので、対応する場合には、あくまでも特別であることを強調して下さい。又、条件を変更した場合には、賃貸収入についても同様ですが、必ず文書を残しておいてください。

販売費及び一般管理費

役員報酬(法人のみ)賃貸収入等が減っているにも関らず、過大な役員報酬を設定していないでしょうか。原則、一度設定した役員報酬(定期同額報酬)は、同一年度中は変更できません。しかし、コロナ禍に限っては認められる可能性が高いですから、財務状況等を確認して、適切な水準への変更をご検討ください。

給料手当親族への給料でも、雇用調整助成金の受給は可能です。以前よりも、申請様式は平易になり、対象期間も年末まで延長されていますので、給料出している場合は、制度の活用をご検討ください。

法定福利費賃貸収入が前年同期と比較して20%減少した場合等には、社会保険料の支払猶予を受けることが出来ます。あくまでも”猶予”ですから将来は納付する必要がありますが、コロナの行方はまだまだ不透明ですので、仮に少々お金に余裕が出来たとしても猶予の期限までは支払わず、資金は手許に留保しておいた方がよいと思います。

管理諸費管理業務を委託している管理会社への支払,エレベータの保守代等、これらの費用は固定的に発生するものと思いこんで、手放しで毎月一定額の振込みしていないでしょうか。
条件を確認すると、誰が契約しても同額の支払いになる経費ばかりではありません。契約の時期,取り交わした経緯等に応じて実質相対契約で決定されていて、通常よりも割高な金額になっている場合があります。電気代等も含めて、改めて減額の余地がないか、専門業者を使う等してご確認ください。

修繕費既存の入居者を引き留め、将来の入居者を逃さないためにも、コロナ後を見据えた投資も行っておきたいものです。最近では、テレワークに適した物件が出てきていますが、少なくともネットワーク回線の整備は欠かせません。
又、緊急事態宣言中は、ネット通販が伸張しました。競争力アップのために、宅配ボックスの設置も、お手頃な投資になると思います。

保険料火災保険等、有事に備えて保険をかけられていると思いますが、今後、一定の条件下で家賃収入が減った場合について補償する保険も出てきますので、検討してみてはいかがでしょうか。家賃保証会社の起用に当たっても、複数の会社を使う等してリスク分散を図ることは有効と思います。

営業外収益

助成金,補助金コロナによる収入減等に対する配慮として得られるお金ですが、課税されるものと課税されないものがあります。国だけではなく自治体からのものも含めて申請漏れがないか確認していただくと共に、これから申請する課税される助成金等については、いつの時点(決算期)の収入になるのかという点まで含めて確認してから申請してください。

営業外費用

支払利息売上の減少度合いに応じて、新規に有利な借入が出来る時期です。既存の借入についても借換による減免が出来ないか、金融機関の担当者に相談してみてください。

法人税等社会保険料だけでなく、法人税等の各種税金の支払も猶予出来ます。申請書式も類似している部分があり、一方の申請が通った場合は、他方も通りやすくなりますので、公的費用は無理せず支払猶予してください。

以上、今回は勘定科目に紐づけて、ご案内してきました。コロナ禍で資金不足等の事態に機動的に対応するためにも、月次で試算表を作成して計数面から客観的に状況を捉え直していただくと共に、勘定科目毎に再点検してみてください。

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