税務

20190801vol. 30

土地の価格(地価)について

毎年7月初旬に、路線価が発表されます。土地の価格には他にもあって、一物四価あるいは一物五価とも言われます。今回は、路線価をはじめとした土地の価格について確認していきます。

路線価

路線価とは、道路(路線)に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの評価額のことです。路線価には、相続,贈与があった際に用いる「相続税路線価」と、固定資産税の計算に用いる「固定資産税路線価」の2種類があります。単に“路線価”と言う場合は、前者を指します。

国税庁のWebサイトには、過去7年分のデータが掲載されていますので(※1)、一度、ご自宅等、相続,贈与が発生することが予想される土地の評価額を確認してみてはいかがでしょうか。※1 実際の計算では、相続,贈与が生じた年のデータを選んで計算に使用します。

財産評価基準書路線価図・評価倍率表|国税庁

上記のWebサイトにアクセスすると、日本地図が表示されます。その地図あるいはスクロールした画面下方から目的の都道府県をクリックし、表示された画面上方の“路線価図”から探している市町村をクリックします。すると、地名と5桁の数値が並んでいますが、この5桁の番号が路線価図ページ番号です。

この番号は、住所,地番との関係はありません。ですから、目的の土地が含まれる路線価図を探すためには、先ずは目的の市町村に係る任意の番号をクリックして下さい。そして、表示された路線価図に目的の土地が含まれていない場合には、画面左の「接続図」を見ながら上下左右の路線価図に移動しながら探し当てて下さい。慣れないと目的の土地を見つけにくいですが、駅,公園等の大きな施設を目標にすると分かりやすいと思います。

見方ですが、道路毎に例えば“200C”の様に、数字とアルファベットを組み合わせた表記が確認できます。この内、数値は千円単位の土地の評価額で、ローマ字は借地権割合を指します。上方の凡例に説明がありますが、“C”は、借地権割合が70%に該当しますので、目的の土地を借りている場合の評価額は200×70%で140千円(貸している場合は200×30%で60千円)となります。

更に、この表記を囲む地区区分の種類に応じて,評価額の調整がなされます。目的の土地の形状が不規則な形状であれば利用しづらいため評価が下がったり、道路に接している度合いが高ければ利用しやすいため評価が上がったりといった具合です。この単価に面積を乗じた金額が、目的の土地の路線価による土地の価格となります(※2)※2 詳細は、相続,贈与に詳しい税理士等の専門家にお尋ね下さい。

公示地価

本来、土地には同質性,代替性は認められないため、価値を一律に求めるのは困難と言えます。しかし、相続,贈与の様な特別な間柄において生じる取引において個々の事情を汲んで価格を決定しては課税の公平性を欠きます。そのため、課税庁が定めたものが前項の路線価でした。

ただ、この価格は、自由な経済活動の一環として第三者同士で取引した場合の概ね8割程度に設定されています。というのも、第三者間で取引される価格そのものを課税のベースにすると、納税者の負担が過大になる可能性があるため、“堅め”に評価されているものです。そして、この時の国土交通省から公表される地価公示法に基づく価格が「公示地価」です。

この価格は、土地に関係する様々な取引の根拠になる様、専門家である不動産鑑定士が2人以上関わり、価格の決定に当たっては偏りが生じない様に各々の鑑定結果が加味されます。その上で、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格として3月に公示されます。平成31年地価公示では26,000箇所の特定の土地について価格が付けられました。

地価公示

基準地価

前項の公示地価は国土交通省から公表されますが、毎年9月に各都道府県からも国土利用計画法に基づく7月1日時点での特定の土地の価格が公表されます。これが「基準地価」です。

標準地・基準地検索システム

公示地価,基準地価、どちらも評価基準はほぼ同じですが、基準地価は、対象に都市計画区域外の土地も含まれること,関与する不動産鑑定士が1人以上であること等の点で異なります。又、公示地価と同じ地点を評価している場合もあり、公表のタイミング的に、基準地価は公示地価の中間時点の情報が得られることになります。

実勢価格

公示地価,基準地価は、何れも土地取引の指標になるべき情報ですが、実際の取引ではこれらの価格通りに取引は行われません。土地には一つとして同じものはなく、取引の状況,需給関係等に応じて価格は上下するからです。この時の価格を「実勢価格」と言い、こちらもまた、国土交通省のWebサイトで確認できます。

国土交通省土地総合情報検索

固定資産税評価額

その他の土地の価格として、「固定資産税評価額」があります。不動産を所有している方にとってはお馴染みの固定資産税の根拠となる土地の価格である他、登録免許税,不動産取得税の計算にも用いられます。

この評価額は、各市町村が管轄の不動産について独自に評価を行って付した価格で、3年に一度改訂されます。こちらは、土地の価格体系の一つとして、公示地価,基準地価の概ね7割程度とされていて、所有者に届く納税通知書に付いている課税明細書の他、役所で保管している固定資産課税台帳でも確認できます。

以上、今回は、様々な土地の価格を確認してきました。高額で、頻繁に取引が行われない土地に係る価格だけに、多数の価格が存在します。路線価であれば、道路(路線)ごとに定められていますので、この機会に国税庁のWebサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。

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