税務

20190401vol. 29

固定資産税について

個人投資家の方は、確定申告が終わって、一段落している頃かと思います。そうこうしている内に、今度は、固定資産税に係る資料が届く頃です。

確定申告が、納税者が自ら申告書を作成して納税する「申告課税方式」の税目であるのに対し、固定資産税は、課税者側が納税額を決定する「賦課課税方式」の税目です(※)。そのため、届いた資料を確認せず、決定された課税額を鵜呑みにして納付していないでしょうか。今回はその概要と確認して頂きたい点についてご紹介します。

※固定資産の中でも、構築物,器具備品等の登記等で確認することが出来ない償却資産に課される償却資産税は、申告課税方式です。

固定資産税とは

毎年1月1日現在の固定資産(土地,建物)の所有者に対して課される地方税です。算式は課税標準額 × 税率 = 税額です。但し、課税標準額の算定に当たっては、政策的な各種の特例が準備されています。又、税額についても、負担軽減のために様々な減額措置があり、それらを加味すると、( 課税標準額 - 課税標準額の特例 )× 税率 - 減額措置 = 税額となります。

尚、法律上課される者は土地登記簿等記載者,固定資産課税台帳登録者であって、不動産を売買しても1月1日現在の所有者ではない買手に負担する義務はありません。ですが、商慣習上、買手が日数按分して負担することが通例となっています。
又、この不動産購入時の買手側の負担額は、税務上は税金の支払いではなく、不動産の取得価額を構成するものと考えて処理しますので注意して下さい。

課税標準額

続いて、算式を確認していきます。まず課税標準額ですが、土地は「路線価方式」,建物は「再建築価格方式」に基づき求められていて、3年に一回見直しが行われます。

手順としては、前者の土地は利用状況が共通な地域を区分する「用途地区の区分」から始まり、街路毎に「路線価の付設」をして価格を設定し、「角地計算法」により求めた単価に土地の面積たる地積を乗じて求められます。後者の建物は、評価時点で新築する場合の建築費用を求めた後、建築後の経過年数による価値の減少を加味して評価額が求められます。

確認して頂きたい点ですが、前者の土地であれば、まずは課税明細書に載っている土地の地目,地積(マンションは、共用部分を含みます)が現況に従っているかを確認して下さい。そして、土地の形状を反映した評価の妥当性の目安として、評価額を地積で除した単価が固定資産税路線価を上回っていないかを確認して下さい。上回っている場合には、評価単位が区画毎ではなく筆毎になっている等、何かしらの誤りがある可能性があるため、税理士に相談をおすすめします。

後者の建物の評価の確認に当たっては専門的な建築の知識が必要となりますので、一般の方にはハードルは高くなります。しかし、評価額は、相続税,贈与税等、他の税目にも関係します。ですから、評価額自体の検証はともかく、建物の一部として扱う資産を償却資産として二重に申告していないかは確認してみて下さい。例えば保有している建物の壁に埋め込むタイプのエアコンを設置した場合、償却資産として申告する必要はありませんので、こちらも税理士に償却資産の申告内容の確認をおすすめします。

課税標準額の特例

土地,建物共に、複雑な過程を通じて求められる課税標準額ですが、税率を乗じる前に、様々な特例が用意されています。例えば土地の場合、住宅用地であれば、下記の評価減免措置があります。

  住宅1戸で200㎡まで 住宅1戸で200㎡超
固定資産税 1/6 1/3
都市計画税(※) 1/3 2/3

ここでの確認して頂きたい点ですが、上記の表にあてはめて特例の適用が可能かどうか判断して、可能な場合には適用されているか確認して下さい。というのも、役所側では航空写真等で判定するため、例えばマンションに隣接する居住者用の駐車場は住宅用地として評価出来るものの、塀等で区切られている場合には別個に評価されていて、減免が受けられていない場合もあるからです。

その他、土地については地域性等によって格差が生じない様に「負担調整措置」も行われていて、地価の上昇による税負担の軽減が図られています。

※都市計画税は、都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てるために、固定資産税と同時に課税されるものです。

軽減措置

上記の特例が適用された課税標準額に固定資産税は1.4%,都市計画税は0.3%を乗じて、税額を求めますが、求められた税額から、更に軽減措置が適用出来る場合があります。

例えば、新築住宅であれば、新規に適用される年度から3年は、120㎡相当までの1/2が減額されます。その他、新築でなくても、耐震等の改修工事を行った場合には軽減措置を受けられる場合があります。

以上、専門用語が並ぶ資料は見るのも敬遠しがちですが、不動産投資にあたって毎年相応の負担を強いられる金額ですので、役所が決めることだからと甘受せず、これを機に一度は確かめることをおすすめします。

TOPへ戻る