税務

20210721vol. 37

令和4年から変わる 電子帳簿保存法が大幅緩和

令和3年度税制改正にて電子帳簿保存法が大幅に変わりました。これまで手続きや要件が厳しく利用状況はごく一部に限られていました。政府はDX(デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術による生活やビジネスの変革)を推進していることから、今後デジタル化社会へ向けた取り組みが一層加速することが予想されます。今回は請求書、領収書などの税務書類の電子保存に関する制度についてお伝えし、電子帳簿保存法とは何か、改正により何が変わるのか、メリットなどを解説します。

電子帳簿保存法って何?

税務申告書や日々の取引を記録した帳簿などの書類は原則として7年間保存しなければならず、場合によっては10年間保存する必要があります。電子帳簿保存法とは1998年に制定された法律ですが、その名の通り、国税関係帳簿書類を紙ではなく電子データで保存する事を認めた法律です。

国税関係帳簿書類


日常的に送付されるレントロールや建物を修繕した際の請求書、領収書などの書類は、取引先から受領するため取引関係書類に該当します。

三つの保存方法

電子帳簿等の保存方法は三つに分類されます。

1. 電子データ保存(データで作成したもの)
上記国税関係帳簿書類を途中手書きなどせず、最初から最後まで一貫してシステム等で作成して保存する方法。

2. スキャナ保存(紙を電子データ化したもの)
紙で受領した取引先関係書類をスキャナで読み取り(デジカメなどで撮影し)、電子化して保存する方法。

3. 電子取引に係るデータ保存
電子データで受領した領収書や請求書等をそのまま電子で保存する方法。
電子取引とは電子メールを利用した取引やネット通販、キャッシュレス決済による取引をいいます。

請求書、レントロールなどの取引関係書類を紙で受け取る方は多いと思いますが、紙書類を電子化して保存する場合、②のスキャナ保存に該当します。デジカメやスマホでの撮影も認められていますが、紙の電子化にはひと手間かかるでしょう。
一方、最初からEメールでデータを受領する場合、③の電子取引に係るデータ保存に該当し、そのままの状態で保存します。

何が変わった電子帳簿保存法

電子帳簿保存制度はこれまでハードルが高い制度でしたが、令和3年の税制改正で大幅に要件が緩和されました。主な改正点をご紹介します。なおこれらは令和4年1月1日以降の適用となります。

(1) 承認制度の廃止
これまで電子保存する場合には、三か月前までに税務署長へ事前申請が必要でしたが、今回の改正で不要となりました。

(2) 保存要件の緩和
これまでは保存の際、訂正・削除の履歴の確保、電子帳簿と他の帳簿との相互の関連性の確認など、多くの必須要件がありました。
これらが不要となり、最低限システム関係書類の備え付け、操作マニュアルの備え付け、税務調査の際にダウンロードの求めに応じる事だけで適用可能となりました。

(3) タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプとはデータ改ざんを防ぐため、電子データがその時刻に存在していたことを証明する証明機能です。スキャナ保存においては従来、書類をスキャン後3営業日以内にタイムスタンプの付与が必要でしたが、これが最長約2カ月以内に延びました。
また、訂正や削除など改変できないクラウドシステム等で電子データを保存する場合は、タイムスタンプの付与が不要となりました。
電子取引においても、同様にタイムスタンプの付与期間が最長2カ月以内となり、不要の要件も同様です。

電子化によるメリットは

今回の改正によりペーパーレス化の流れが加速し、不動産管理会社や顧問税理士との書類の授受も電子によるやり取りが増えると思われます。電子による保存は、郵送や管理の手間が省け、データ管理をしっかりすれば紛失リスクもなくなり必要な情報にアクセスしやすくなります。
また、顧問税理士へ提供する資料のスピードが速くなれば、経営状況を素早く把握でき、次の投資判断に役立つことでしょう。
まずは紙で書類を受領している方は、電子メールに代えてもらうなど取引先に提案してみてはいかがでしょう?
国税庁のホームページには、電子帳簿保存法に対応したシステムの一例として、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証を受けたシステムの一覧が掲載されています。会計システムも日々進化し、通帳やクレジットカード明細の自動読み込みなど進んでいます。
DX時代に向け顧問税理士など身近な専門家に相談し電子化を進めてみましょう。

税理士 西村敦正氏
株式会社BAMC associates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。

TOPへ戻る