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非上場会社の事業承継について

今回から4回にわたって非上場会社(不動産管理法人を含む)の事業承継についてお伝えしていきます。

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日本の会社の多くは、証券取引所等に株式を公開していない、いわゆる非上場会社です。

そして会社の株式は、株主が亡くなった場合、相続財産になります。
上場会社の株価は毎日取引価格が公表されますが、非上場会社の株式は果たして株価が存在するのでしょうか?
答えは「はい」です。非上場会社にも株価があり、その算定方法は国税庁の「財産評価基本通達」という通達に規定されています。
具体的な計算方法の説明は次回に譲りますが、非上場株式の株価は、創業以来順調に利益を出しているような優良な会社であれば、当初の出資金額の10倍、ともすれば100倍になっていることも少なくありません。
そしてこの高額となった非上場株式は、企業オーナーが亡くなった場合の相続において、単に多額の相続税が発生するという問題にとどまらず、会社の事業の継続・発展に大きな影響を与え、ひいては会社経営の不安定化を招きかねません。
後継者に事業を引き継ぐことを「事業承継」といいます。この事業承継には株式を後継者に引継ぎ、経営権を承継していくことが必須となります。
この事業承継において、高止まりした株式の存在がどのように事業の継続・発展の支障になるかを見ていきましょう。

株式等に係る相続税負担により、会社の事業の継続・発展の支障となるケース

①多額の相続税の発生

会社の後継者が株式を引き継ぐこととなり、この後継者に多額の相続税が発生することとなります。非上場株式の場合、市場で売却することができないため処分が難しく、相続税の納税資金の確保が困難になります。

②会社による自社株買取り

後継者が相続税の納税資金の確保のため、相続により取得した自社株を会社に買い取らせるケースがありますが、会社の現金が後継者へ流出することにより、会社の財政状態がひっぱくする事態に陥ります。

③事前の相続税対策

会社の業績を伸ばせば伸ばすほど、株式の価値は上がり相続税は増加します。
このため、事業活動を抑制して株価を下げるという不合理な企業活動を招きかねません。また、納税資金の確保や株価引き下げ対策として、高額な役員報酬や退職金を支出することも考えられますが、事業活動に影響を与えるだけでなく、ほかの株主や従業員の理解を得ることができません。

④経営者の個人保証・担保提供

中小企業においては、経営者が会社の借入に対して個人保証を行っていたり、会社に運転資金を貸し付けていることがよくあります。
このため、相続財産で納税資金に見合う預貯金がまかなえたとしても、将来の会社経営のために一定の流動資産を確保しておくことが必要になります。
また、企業オーナーの会社への貸付金は、貸付金額がそのままオーナーの相続財産に計上されます。この貸付金は、何千万単位、時には億単位になっていることがよくありますが、このまま相続を迎えた場合、思わぬ相続税の金額が課されることとなります。
会社の決算書の「貸借対照表」に「短期借入金」もしくは「長期借入金」が計上されておりますか?もしこの借入金のうち、オーナーからの借入金が含まれる場合、それは相続財産になりますので、返済するか、もしくはオーナーに返済を放棄してもらうなど、早いうちから減らす対策を講じてください。

今、事業承継対策を考えるべき会社

次のような会社につきましては、顧問税理士さんに株価評価をお願いして現状の株価を把握するとともに、①いつ株式を後継者に移転するか、②誰を後継者とするか、③どのような方法で株式を移転するか(相続による移転だけではなく、生前からの贈与・譲渡なども考慮に入れる)、④株価の引き下げ対策、を早めに検討されることをお勧めいたします。
・自社株の評価をしたことがない。
・社長の持ち株が100%である。
・社長の年齢が65歳を超えている。
・株主に知らない人がいる。
・決算書の貸借対照表「純資産の部」の金額が厚い。
・決算書の貸借対照表「借入金」に親族からの借入金が多額にある。
・後継者の選定をしていない。
・社長の勇退時期を決めていない。
・役員退職金規定がない。
・顧問税理士・経理担当者が高齢である。

次回は非上場株式の実際の株価算定方法についてご紹介いたします。

 

税理士 西村敦正氏
株式会社BAMC associates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。

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