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小規模宅地等の特例に関するQ&A②

今回も前回(小規模宅地等の特例に関するQ&A①)に引き続き、相続税計算における賃貸用不動産に関する小規模宅地等の減額特例を適用するにあたってのQ&Aをいくつかご紹介します。

相続の前3年以内の贈与は特例が適用されない?

Q

相続開始の前年に被相続人より宅地等の贈与を受けましたが、相続税法の規定により、相続財産に加算をして相続税の申告を行うことになります。他に小規模宅地等に該当する宅地等がないので、この贈与により取得した宅地等を特例の対象とすることはできますか?

Answer

贈与により取得した宅地については、この特例の適用を受けることはできません。
租税特別措置法では、「個人が相続または遺贈により取得した財産」と規定していることから、この特例の適用のある財産は、相続または遺贈により取得されたものに限られることになります。
したがって、相続開始前3年以内にその相続に係る被相続人から受けた贈与により取得した財産については、相続税法の規定により相続税の課税価格に加算されることとなっても、この特例の適用はありません。
なお、相続時精算課税の適用を受けた贈与により取得した財産についても、この特例の適用を受けることはできません。

アパートの空室部分は特例の対象外になる?

Q

被相続人はアパート1棟(20室)を所有し、これを貸し付けていましたが、相続開始の1カ月前にこのアパートの1室が空室となり、相続開始の直前においては19室を貸し付けていました。この空室については、不動産業者に依頼して新規の入居者を募集しているところであり、入居希望者があればすぐに貸付けできる状態です。このアパートの敷地全部が貸付事業用宅地等に該当しますか?

Answer

このアパートの敷地全部が、貸付事業用宅地等に該当するものと思われます。
貸付事業宅地等とは、相続開始の直前において、被相続人等の事業の用に供されていた宅地等で、これらの宅地等のうち、被相続人等の事業の用以外の用に供されていた部分がある時は、被相続人等の事業の用に供されていた部分に限ります。
この質問では、それまで貸付けの用に供されていたアパートの1室について、たまたま入居者が立ち退き、相続開始の直前には空室となっていましたが、新規の入居者を募集しており、空室についていつでも貸付けできるように整備しているなどの状況から、被相続人等の事業は継続されているものと考えられます。このような状態であれば、空室部分に対応する敷地部分も含めて、アパートの敷地全部が貸付事業用宅地等に該当することとなります。
しかし、アパートを譲渡するため、または貸付けを取りやめる目的などでその入居者を立ち退かせて空室となっている場合には、その空室となっている部分は被相続人等の事業が継続されていませんので、その空室に対応する敷地部分は貸付事業用宅地等に該当しません。

時間貸し駐車場にも特例は適用される?

Q

私の父は、アスファルト舗装した敷地で、管理人を置いて不特定多数の人から駐車時間に応じて料金を徴収する時間貸し駐車場業を営んでいました。父は所得税の確定申告において事業所得として申告していました。このたび父が亡くなったため、私がこの駐車場の敷地を相続して申告期限以降も引き続き時間貸し駐車場業を営み、その所得は事業所得として申告することとなります。
相続税の申告において、この駐車場の敷地につき、特定事業用宅地として80%(400㎡まで)の評価減を受けることができるでしょうか。それとも、貸付事業用宅地として50%(200㎡まで)の評価減しか受けることができないのでしょうか。

Answer

被相続人等の不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業は、特定事業用宅地等の対象ではなく、貸付事業用宅地等の対象となります。一方で、所得税においては、自己の責任において他人のものを保管する場合の所得が事業所得または雑所得に該当し、そうでない場合は不動産所得に該当することとされています。そのため、今回のケースでは所得を事業所得として申告しており、その流れから特定事業用宅地等の評価減の対象になると思われがちです。
しかし、条文では、あくまでも不動産貸付けの用に供している宅地等については、貸付規模、設備の状況、貸付形態にかかわらず、小規模宅地等の評価減割合は50%となっています。従いまして、ご質問のケースでは、貸付事業用宅地等の対象として50%(200㎡まで)の評価減を受けることができます。

 

税理士 西村敦正氏
株式会社BAMC associates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。

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