COLUMN

不動産健康診断サービス、共同出資型不動産事業への取り組み

—従業員から新規事業のアイデアを募り、採用するということですが、実際に採用された事業にはどのようなものがあるのでしょうか?

走内:
実際に採用されたもののひとつとして、現在当社が力を入れて取り組んでいる「不動産健康診断サービス」があります。これは土地や投資用・事業用不動産を一棟以上お持ちの不動産オーナーさまに無料で会員になっていただき、現在ご所有の賃貸不動産の賃料をどうすれば改善できるのか、どうすれば空室は埋まるのか、築年数の経過した建物をどうすればよいのか、といった不動産に関するあらゆるお悩みや課題にお応えしていくというサービスです。
人に健康診断が必要なように、不動産にも定期的な健康診断を行っていくことで、潜在的なリスクの早期発見や資産価値の維持・向上を可能にしていくことができるのではないか?これまでの不動産サブリースや仲介といったスポット的な関わり方ではなく、不動産戦略パートナーとして、ご購入からご売却まで、大切な不動産の一生に関わらせていただくことで、不動産オーナーさまのお役に立ちたいという当社の覚悟でもあります。
現在、このサービスが誕生して5周年を迎えており、いまや3,000組を超える会員さまにご利用いただいております。今後お客さまが何を望んでいるかをキャッチして、ニーズの掘り起こしとともにお客さまの最適な資産運用の一助となるサービスと位置づけています。

ところで、今後、一層高まっていくと思われるニーズに相続対策※がありますが、須田さんは相続についてはどのようにお考えですか?

※金融資産を不動産資産に変更する、更地であれば建物を建築するなど。平成27年1月からの相続税法改正により、基礎控除額が下がり、課税対象が広がった。
コスモスイニシアでは、不動産健康診断サービスのサービスメニューの一つである「相続トリプルサポート」で課題の解決策を提供している。
須田:
不動産の健康診断とはいい着眼点ですね。「不動産の健康診断」とは、そのネーミングもさることながら、サービスの内容、目指す方向性ともに、非常に興味深い取り組みだと思います。これまでの日本におけるビジネス、商売のありようは、どちらかというと売って終わり、作って終わりというケースが多かった。経済が右肩上がりで成長していた時代ならそれもアリだったでしょう。しかし今はそんな時代ではない。これからはやはりきめ細かくニーズを掘り起こしていかなければ、顧客の満足度は高まっていかないでしょう。こうした一連の作業を私は「深耕(しんこう)」と呼んでいるのですが、これからのビジネスを考えていく上で、ひとつのビジネスキーワードになっていくと思います。少子高齢化、人口減少社会という変化の中で、間違いなく不動産マーケットや顧客ニーズも変化していきます。その変化への対応を図るためにも「不動産の健康診断」は今後の展開が非常に楽しみな取り組みだと思います。
現在の少子高齢化に鑑みても今後、相続に対するニーズは高まっていくでしょうね。現在の40代50代の将来への不安をどう解消していくのか、というのは大きな問題です。そもそも、高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者の定義を変えていく必要もあるのではないでしょうか。
現在の定義では65歳が高齢者ということになっています。しかし、平均寿命も伸び、加齢に伴う身体機能の変化が現れるタイミングが20年前と比較して遅れているという事実もあります。そういった現状を踏まえて高齢者を75歳以上とする、という考え方もあります。現在の65歳以上は准高齢者とする、という考え方です。そうなった場合、この准高齢者の年代の人たちの安定した収入をどうするか、という問題も発生してきます。

走内:
そうですね。人口は減っていくけれど、存在する資産は変わらない。ということは、資産を持つ人も増えてくる可能性があります。ニーズの高まる可能性のある分野です。
須田:
年金の支給年齢が上がった時、安定した収入を確保するに当たって、資産のある人と資産のない人では対応も変わります。
今の時代に所有するのにお勧めの資産のひとつが米国債ですが、やはりどうしても為替リスクがある。
現在の世界情勢からしても、為替リスクは読みにくく難しい問題です。そこで、米国債に代わる投資対象として、長期的に安定した利益を上げることが可能な不動産の魅力と必要性が高まるのではないでしょうか。特に人口減少の少ない地域の物件は、不動産価格が極端に下がることもありませんから。
走内:
そうですよね。確かに賃貸需要が高く、安定的な稼働が見込める都心の優良不動産は相続対策として非常に有効です。ただ、一棟を個人単独で購入できる方は限られてきてしまいます。
そこで、当社ではそういったニーズにお応えする新たな資産運用商品の一つとして、共同出資型不動産のご提供を開始しました。40年以上にわたる新築マンションの分譲事業でつちかった当社ならではのネットワークを活かして、賃貸需要の高い都心の優良不動産を当社が取得します。それを一口1,000万円で投資できるような商品に整え、相続対策に悩まれているより多くのお客さまに提供できればと考えております。
不動産投資信託とは異なり、不動産そのものを所有することになるため、不動産投資による税務効果があり、また一棟を共同所有することにより、個々に区分で所有する際の空室リスクなどを軽減できるという特性もあります。また、当社が一括で管理運営を行うため、不動産投資が初めてのお客さまや遠方にお住いのお客さまでもご安心いただける商品です。
須田:
まさにいいとこ取りの商品ですね。不動産投資信託というと、あくまでも金融商品です。結果、価格変動リスクに大きくさらされることになる。加えて相続対策としてはまったく不向きです。そもそもそうしたことを意識した商品ではない。だからと言って実物資産としての不動産投資は、魅力的な物件に投資しようとするとどうしても投資金額自体が大きくなってしまい、投資できる人も限定的になってしまう。その両者のウィークポイントを御社のノウハウ、ネットワークでカバーしようという、この共同出資型不動産は、顧客の支持を大きく集めることになるのではないでしょうか。
走内:
共同出資型不動産の第一号として「セレサージュ代官山」の販売を6月から開始しております。この共同出資型不動産事業も、先ほどお話しした社内公募のアイデアから生まれたサービスです。今後も、社内で新規事業に対するアイデアの募集を継続して、従業員の発想を取り入れ、社会課題・お客さまニーズに沿った新たなサービスを増やしていく予定です。

不動産健康診断サービス

コスモイニシアの共同出資型不動産

経済ジャーナリスト

須田慎一郎

  • プロフィール
  • 経済ジャーナリスト。1961年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。
  • 経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリスト転身。
  • 「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続けるかたわら、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」、読売テレビ「そこまで言って委員会NP」、ニッポン放送「あさラジ」他、テレビ、ラジオの報道番組等で活躍中。
  • 平成19年から24年まで、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。
  • 著書
  • 『偽装中流 中間層からこぼれ落ちる人たち』KKベストセラーズ、2016年1月
  • 『アベノミクスが激論で解けた!』小学館、2013年4月
  • 『金融資産は今すぐ現金化せよ』KKベストセラーズ、2008年
  • 『ブラックマネー』新潮社、2008年

株式会社
コスモスイニシア


走内 悦子

  • プロフィール
  • 株式会社コスモスイニシア 執行役員、ソリューション本部 副本部長。
  • 1986年、旧・(株)リクルートコスモスに入社後、新築分譲マンション・戸建ての開発・販売事業、中古マンションの流通事業、投資用不動産の仲介・賃貸・コンサルティング事業等、同社の全事業に携わる。
  • 保有資格
  • 宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター