2017.01.17
税務

非上場会社の事業承継について その2

前回は非上場会社の事業承継にあたり、株式等の承継に係る相続税負担による会社の事業の支障となるケース及び今事業承継対策を考えるべき会社について触れましたが、今回は非上場会社の実際の株価算定方法についてご紹介いたします。

税理士 西村敦正氏 株式会社BAMC associates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。

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非上場会社の株価の算定方法は、国税庁が作成している「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に規定されています。非上場会社といっても、上場企業並みの規模を持つ会社から、個人商店並みの規模の会社まで千差万別です。そこで、財産評価基本通達では、非上場会社を従業員数、総資産価額、取引金額、業種に応じて大会社・中会社・小会社に区分し、その区分に応じた評価方法を定めております。[br] 非上場株式を贈与や相続で取得した株主が同族株主かそれ以外の株主かによって評価方法が変わってきます。同族株主か否かで会社経営への影響度(支配力)が変わるため、支配力によってその株式を保有している目的も変わってくると考えられるからです。[br] 支配権を有する同族株主が取得する株式の評価は、会社の業績や資産内容等を反映した原則的評価方式(類似業種比準価額方式、純資産価額方式及びこれらの併用方式)により評価し、同族株主以外の少数株主が取得する株主については、その株式に支配力はなく配当を受け取る価値のみであるということで特例的評価方式(配当還元方式)により評価することになります。一般的に特例的評価方式(配当還元方式)による評価の方が株価は低くなる傾向にあります。

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取引相場のない株式等の評価方式の判定

取引相場のない株式等の評価は、簡便的に表すと株主の所有する評価会社の議決権割合に応じて上図のような評価方法になります。(実際の判定は複雑であるため、税理士にご相談下さい)[br] 同族株主とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の一人及びその同族関係者(その株主の配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族等)の有する議決権割合の合計数が、その会社の議決権総数の30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます。[br] なお、この場合において、その評価会社の株主のうち、株主の一人及びその同族関係者の有する議決権割合の合計数のうち最も多いグループの有する議決権割合の合計数が、その会社の議決権総数の50%超である会社においては、50%超のその株主及び同族関係者をいいます。

    

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会社規模による評価方法

会社規模による評価方法は上図の通りです。評価方法の詳細は後に譲りますが、類似業種比準価額方式は、評価しようとする会社と類似する業種の上場会社の株価と比較する方式であるため、会社規模が大きいほど上場会社に実態が近く、類似業種比準価額の占めるウェートが大きくなります。一般的には類似業種比準価額方式のほうが純資産価額方式よりも株価が低くなるため、会社規模が大きいほど株価が低くなる傾向にあります。

    

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非上場株式の評価方法

①類似業種比準価額方式[br] 事業内容が類似する上場会社の株価を基に、自社の1株当たりの「配当」「利益」「純資産」の3つの要素を比較し株価を算定する方法です。指標となる類似する上場会社の株価、配当、利益、純資産は国税庁のホームページに掲載されています。[br] ②純資産価額方式 [br] 会社の所有する資産及び負債を相続税評価額によって評価し、資産から負債を引き(含み益)、含み益の37%を法人税相当額として控除した金額を純資産とし、これを発行済株式総数で割ることにより1株当たりの株価を計算する方法です。 [br] ③配当還元方式[br] 同族以外の株主が所有する株式の評価に利用する方法であり、過去2年間の配当を基礎に算出します。[br] 利益が出ている期は類似業種比準価額が上がりやすく、赤字でも過去に積み上げた利益が多ければ純資産評価が高いなど、法人の毎年の状況により株価が大きく変動するため、税理士に相談し株の移転・引下げ対策を計画的にされることをお勧めいたします。[br][br] 次回は平成29年度税制改正についてご紹介いたします。

    
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