2015.10.01
税務

不動産を活用した相続対策

相続税法による不動産の評価方法は用途や権利関係によって異なり、相続税額に影響を及ぼします。 金融資産と不動産では、不動産を相続する方が節税できる場合があります。 今回は賃貸住宅用の敷地の取扱いを紹介します。

税理士 西村敦正氏 株式会社BAMCassociates代表税理士。相続・事業承継を中心とする資産税が専門。 1000件を超える相続コンサルティング実績を持つ。区画整理や不動産活用・開発に伴う案件に精通している。

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宅地評価の基本

相続税法における土地の評価額は、路線価×地積(㎡)で計算できます。例えば、路線価は田町駅前では199万円/㎡、三田側に少し離れると90万円/㎡といった金額がつけられており、毎年7月に国税庁より公表されています。また、路線価は売買する際の時価とは異なり、近隣の土地でも差が生じますので、対象の土地の路線価がいくらなのかを事前に確認しておくことをおすすめします。

topics2

アパート経営の相続対策

賃貸住宅用地は相続税法上、2種類の評価減制度が認められています。「貸家建付地の評価」と「小規模宅地等の特例」です。相続対策でアパート・マンション経営が有効なのは、この制度の活用が理由の一つになっています。同じ宅地でも、賃貸住宅用地の方が相続税評価額が低く、相続税額を抑えることができます。

topics3

貸家建付地の評価

相続税法では賃貸住宅用地を「貸家建付地(かしやたてつけち)」と呼び、評価にあたって借主の権利部分を差し引く計算方法が認められています。topics1で算出した路線価評価額を基に、図表❶の算式で求めます。仮に借地権割合(注1)が70%の土地の場合、借主の権利部分として借地権割合70%×借家権割合(注2)30%=21%を差し引くことができます。つまり、評価額を約80%に下げられます(図表❷)。区分所有マンションにも、敷地の持分に対してこの計算方法が適用されます。なお、アパートに長期的空室がある場合、空室に対応する土地には同制度が適用されない場合があるため注意が必要です。一方、一括借り上げ(サブリース)方式は全室賃貸扱いになるため、長期的空室があっても同制度が適用されます。[br][br] 注1:地域ごとに異なり、国税局のホームページの「財産評価基準」で調べられます。[br] 注2:全国のほとんどの地域が30%となっています。[br]

    

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小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続税負担が重荷となって事業や居住に支障をきたさないよう、一定の土地について評価額を50%〜80%減額できる制度です。賃貸住宅用地は、要件を満たせば200㎡(注3)まで50%の減額となります。主な要件は次の通りです。[br] 1. 相続人が申告期限(注4)まで土地を所有、かつ貸付事業継続[br] 2. 申告要件として、相続税がかからない場合も申告書を提出[br] 3. 申告期限(注4)までに遺産分割が行われている[br] 適用を受けるには対象地を一定期間処分できず、相続人は貸付事業を引き継ぐ必要があります。期限までにスムーズに遺産分割ができるよう、事前の対策が重要です。[br][br] 注3:適用面積の調整計算が必要な場合があります。[br] 注4:相続税の申告期限は、相続発生から10ヶ月以内です。[br]

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1億円のアパート用地の評価額

路線価評価1億円の土地に貸家建付地の評価、小規模宅地等の特例を適用した場合、相続税評価額(課税価格)は、図表❸の通りです。1億円の土地が約4000万円の評価に下がり、相続税の節税に有効なのが分かります。[br]  今回は土地の評価を中心に紹介しましたが、相続対策にあたっては、賃貸経営の収支状況や財産の全体像も把握する必要があります。

    
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