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不動産市況

不動産からの収益に高まる関心

日本では、人口減少と並んで高齢化社会の進展が大きな問題となっているが、最近では「人生100年時代」という表現が多くなってきた。その種の研究や出版物も珍しくなく、欧米でも100年生きることを前提とした社会の仕組み作りに着手しているという。
先般、ある研究所が「人生100年時代の人生設計」に関する調査を行ったが、その調査項目の中に「高齢期に向けた準備として、どんなことを考えているか?」という興味深い質問があった。男性については20歳代から65歳まで、トップは「財産形成」であった。長寿になればなるほど、その分だけ老後の資金が必要になるという訳である。
参考までに言えば、財産形成に次いで関心が高かったものは「健康」と「老後の住まい」が挙げられていた。納得のいく結果であった。

不動産所得の増加が続いている


年明け2月に入り、株価の乱高下があり、上昇が続いてきた市場には驚きが走った。ただ、株価には変動があったとしても、このところ、株式からの配当も好業績を反映して増加している。
さて、不動産収入について見ると、不動産価格が高騰したことで利回りは低下したものの、安定した収益が定期的に確保できることに加えて、節税効果も享受できるとあって、需要は根強いものがある。最近では、株式を売却して不動産を購入する例も多くなっている。
図表1は、個人の不動産所得等の推移を示したものであるが、リーマンショック直後には一時的に減少したものの、その後はマイナス金利下で一貫して増加してきている。
注目すべき点としては、一人当たりの不動産収入が高まっていることであり、一人の人が複数の不動産を購入していることが想定されることである。即ち、すでに不動産を所有している人が「買い増し」をしているという訳である。確かに、周辺を見てもその様な事例が多く聞かれるようになった。持てる人が更に持つ、という構図が生まれている。
更に、最近になって目立ってきているのが「企業」であり、本業とは別に「安定した収益源」として積極的に収益不動産を取得している。企業によっては、全社の利益の半分以上になるところも出てきている。
また、不動産取得の理由として、景気の先行き不安、その中でもオリンピック後のことを考えての動きもある。中小零細企業でも、事業承継、清算、廃業後の事業として考える例も少なくなく、時代を反映している。
何れにせよ、理由はともかく、企業も不動産収入の確保に強い関心を持ち始めていることは確かである。

不動産も「質」が厳しく問われる時代に


不動産は「どんなものでも全て財産」と言われる時代は終わっている。最近では「負動産」とも表現されるほどで、その資産価値は厳しく問われるようになってきた。北海道の100万坪の土地よりも、東京銀座の1坪の土地の方が価値は高い。その理由は収益性と換金性にある。この数年間、全国各地で大量の賃貸アパートが供給されてきた。その多くが、人口増加のない地方圏であり、現在では空室の増加と賃料の値下がりでオーナーの悩みは深刻化している。図表2は、各種の物価指数の推移を示したものだが、全国平均の家賃は低下傾向が続いている。しかし、東京都心部や駅近の賃貸マンションの家賃は依然として高水準で推移している。住宅やオフィス・店舗など全て、地域・地点による賃料・価格の格差が拡大している。
先般、総務省が発表した2017年の人口移動報告によると、東京圏では22年連続して転入超となっているが、地域全体(圏域)で見ると、名古屋圏も大阪圏も共に5年連続で転出超過となっている。特に、東京都への転入数は7万5千人となっていて、一極集中が進行していることが証明される結果となった(図表3)。
不動産の価値は、人口増加、地域経済力、交通の利便性など各種の条件によって測られるが、その中でも人口の増加が大きな要件となることは言うまでもない。

一段と問われる交通の利便性


東京銀座の不動産価格が高いのには様々な理由が挙げられるが、交通の至便性においても群を抜いている。地下鉄の路線も多く、地上へ出る出入口の数も相当数にのぼる。 さて、図表4は、駅からの距離別に見た中古マンションの成約坪単価であるが、徒歩5分以内とバス便とでは天地の開きがあり、近年、この傾向は一段と強まっている。人口減少、格差社会の出現、高齢化社会の進行、少人数世帯の増加などの構造的な変化が進むことで、拍車がかかっている。今後、不動産の価値の2極化が更に進行していくことは必至であり、数多く所有する時代から、優良物件を厳選して所有していくことが望ましい時代となる。

 

不動産市況アナリスト 幸田昌則氏
ネットワーク88主宰。不動産業の事業戦略アドバイスのほか、資産家を対象とした講演を全国で多数行う。市況予測の確かさに定評がある。

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